サクラ大戦V妄想回顧録

夢か現か…思い入れ深く『サクラ大戦』をプレイした結果、そこでの体験がリアルなもう一つの人生経験のように感じている…そういう方々が、実はプレイヤーの中には多々いらっしゃるのではないかと思います。サクラとはそんなミラクルが生じた作品であり、わたくしもそのミラクルにあてられた一人。そんなわたくしが、かつて“太正”時代に“経験”した事を記憶が混濁したまま綴ります。今思い出しているのは1928年以降の紐育の記憶。これは新次郎であり、現代の他人であり…という、人格の混ざった記憶それ自身による、混乱した、妄想回顧録です

5.チョコレートバーとパルプ雑誌

ハーシーのチョコが好きで、今でもよく新宿のプラザとかで買ったりします。

 

…うん、あの…好みは分かれると思うんですけど…w あの妙に甘ったるい、軽い感じが、いかにもアメリカの大衆チョコって感じがして、僕はハーシーのチョコを食べると、フッと紐育生活を思い出すんです。

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《A KISS FOR YOU HERSHEY'S KISSES MILK CHOCOLATE Trademark Information》

よく覚えてます。可愛い広告でしたね。

 

劇場のすぐ前の交差点の角(7番街と47丁目通りの交差点の…劇場側から言うと斜向かい、7番街の通りを渡った先の角)には、お気に入りの売店があって、休憩がてらよくそこで、ハーシーズミルクチョコバーを買ってました。

 

すごく愛想のない、でっぷりしたおじさんがいつも店番してたけど、それは別に僕が日本人だからとかじゃなくて、誰に対しても愛想がない感じでしたので…それはまあ、ある意味平等だなと思いました…w

 

ちなみにハーシーも好きなんですけど、他にもチョコバーはいくつか種類が置いてあって、いつもどれにしようか迷うんですよね…w ハーシーズ以外だと、僕が特に好きだったのは…Oh Henry ! ってチョコバーもお気に入りでした。ファッジっていうか。あの系列のお菓子、何だか食感が好きで…

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すごく甘いのは他のチョコバーと同じなんですけど、これはナッツが入ってたのが良かったんですよね。休憩中にコーヒーと一緒に頂くのにちょうど良くて。…で、そういうお菓子と一緒に、雑誌を買うんです。

 

そこで初めて『Amazing Stories』や『Weird Tales』なんかを目にして、派手な色彩に一瞬で心奪われたのも、鮮烈な記憶です。ちょっと怖い感じの、でもすごくかっこいい表紙の雑誌がたくさんあって…

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中でもやっぱり僕は、ジュール・ヴェルヌ原作物の表紙絵がすごく素敵に思えて、記憶に残ってます。パウルの絵だったのかなぁ…あれは。いや『Amazing Stories』はどぎつい絵が多かったから、別の本だった気もする…そっちは図書館で見た単行本だったかなぁ…

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まあとにかく、光武やスタア…僕らが運用した霊子甲冑のデザインは、ヴェルヌ的なヴィジョンから大きく影響を受けているところがあるわけです。蒸気時代の、本当に一番華やかなりしところというか。

 

なので、ヴェルヌ作品の表紙絵は、未来はこうなるといいな…と思わせる、ある種楽観的な、理想的な未来像が絵になっているようで、すごく美しく思ったし、ワクワクしました。

 

翻って、H・G・ウェルズ原作物の表紙は…やっぱりちょっと、怖かったです。不穏さに惹かれて、ちょっと買って読んでみたりもしたんですけど…タイムマシンの話とかね。

 

モーロックとかイーロイとか…暗喩自体は真面目なものでしたけど、でも…やっぱりちょっと少し…優生学的な匂いを感じてしまったんですよね。…あの頃…一部では流行った考えでしたし。

 

日本人の僕だからこそ…という風に、これは言ってしまってもいいと思いますけど…やっぱりちょっと、そういう発想が元になったアイデアに、敏感になってたような部分もあったと思います。まあ…やっぱり、あんまり良い気分はしないですよね…

 

黒岩涙香氏は一連の邦訳事業の一環で『タイム・マシン』も翻訳されてましたし、ご評価されてましたけどね。

 

例えばウェルズ的な未来像…ディストピア的な幻視というものは、不安や恐怖を煽り立てることで成り立っているわけです。確かに、ある種の文化的警鐘は必要だとは思いますが、だけども、本当に問題なのは、未来に対する不安や疑心暗鬼から生じる悪感情の方であるとも思うんです。

 

未来に対する不安や恐怖ばかりを煽っていると、その不安、恐怖から発した悪感情や行動によって、本当に悪いもの、禍々しいものを引き寄せてしまう、という側面があることを、僕たちは身をもって、知っているわけです。悪しき思念、怨念が形となったものと、僕たちは戦い続けてきたわけですから。

 

だからこそ、僕自身は、ヴェルヌ的な未来像、文化やテクノロジーに対して、楽観的でポジティブな見方を失わないでいたい…そして華撃団とは、その象徴でありたいと、思っているんです。

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紐育華撃団の、当時の徽章です。各組隊員にもれなく授与されたもので “NEW YORK FIGHTING TROUPE” と刻印されてます。…もう年代物ですね…w だけど通常のシアター勤務の折には外していたので、そんなには傷んでいないかと。今でも、たまに取り出して磨いたりしてます。

 

ちょっと話が大きくなってしまいましたね…。ほんとは、パルプ雑誌に対するみんなの反応をお話ししようかと思ってたんですが…では、それは次回に。