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【第12話(最終話)】真夏のイルミネイション
★★第12話(最終話):開始★★
ゴゴゴゴゴゴゴ……と禍々しい効果音・音楽とともにフェードでカット表示。原始降魔ヨミを中心にした、幻影の桜吹雪舞う帝都の全景。帝都の西南の端から北東へ向けてのカメラ。芝公園付近から本所のヨミを捉えている。まるで遥か上空から捉えた絵のようだが、画面手前には芝公園付近の建物が存在している。遥か地面が持ち上がっていることを示している。
パッとカット切り替え。今度はヨミ側からのカメラ。遥か東海道が持ち上がって、壁のように迫ってきている。
パッとカット切り替え。第11話でも使われた、せり出した氏綱ヘッド。
氏綱:呵呵呵呵……!!
氏綱:此の世の生命は根絶やされる運命(さだめ)……
氏綱:ようやく我らが地上に顕現するのだ……!
ギシャアアアアアア!!という降魔傀の鳴き声とともにカット切り替え。逃げ惑う人々の図。同時に人々の悲鳴も入れること。和光の時計台に取り付いた降魔傀と、それを見上げ周辺でオロオロする人たち。
ギシャアアアアアア!!という降魔傀の鳴き声とともにカット切り替え。逃げ惑う人々の図。同時に人々の悲鳴も入れること。雷門に取り付いた降魔傀と、それを見上げ周辺でオロオロする人たち。
ドサッ!という音とともにパッとカット切り替え。内股で地面に膝をついたさくら……の、腹から下。だらんと垂らした両腕も見える。一瞬表示した後、すぐフェードでカット切り替え。そのさくらの上半身。ひとしきりボロ泣いて放心状態。
さくら:紅蘭……
フェードでカット切り替え。アイリスを抱き上げたカンナが、カメラ(紅蘭が消えたイルミくんがある場所の方向)に背を向けている。カンナに抱き上げられたアイリスはカンナの背中側に身体の正面が来ているので、泣き叫んでいる状態がよくわかる。
アイリス:うう……! 紅蘭……!!
ガショ……!という踵を返す靴音とともにパッとカット切り替え。カンナ同様にイルミくんに背を向けた大神。これ以上ない慚愧の表情。背後には膝をついたさくらが見える。
大神:すみれくん、砒霜はまだ使えるな?
すみれ:ええ……ですが……
大神:ひとまず、逃げ遅れている人々を救助する。
すみれ:中尉……!
大神:蒸機に乗ってくれ。
すみれ:中尉!
パッとカット切り替え。大神を睨むすみれ。第11話で使用したカットと同角度で、今度は前を向いているバージョン。泣きはらした顔を無理やり拭ったような様子。
すみれ:どうか冷静に……!
すみれ:今や帝都の空間そのものが滅茶苦茶になっていますわ。
すみれ:この状態をどうにかしなければ……
すみれ:人々を救うことはできませんわ……!
すみれ:もう一度あの切り札を発動すれば……
レニ:装置が壊れてる……
フェードでカット切り替え。イルミくんに手を当てて調べているレニ。
レニ:イルミくんも……観測盤もダメだ……
すみれ:……
ドオオオオオオオオオオン!!と激しい音。
フェードでカット切り替え。カンナに殴られて大きく陥没した瓦礫。一瞬表示したあと……
ポロポロ……とイシツブテの崩れる音とともにフェードでカット切り替え。カンナの後ろ姿。下ろした左手から血が流れている。すぐ横にはカンナに殴られて大きく陥没した瓦礫。霊力の効果でかめはめ波ぐらいの威力があるので、ド派手にしっかり陥没させること。右腕で抱かれたアイリスは、そんなカンナの頭を抱きしめるようにしている。
アイリス:カンナぁ……! うぇ……カンナぁ……
フェードでカット切り替え。大神の表情をアップで捉えるカット。カンナとアイリスの様子を見て、あまりの痛ましい様子に絶句している。男泣き寸前。
大神:……
一拍置いて……
パッとカット切り替え。遂に地面にくずおれたさくら。顔がうつむいていて表情がほとんどわからない。右腕で、荒鷹を手繰り寄せてはいる。
パッとカット切り替え。泣きはらした織姫の顔をアップで。髪の毛が一部顔に張り付いている。さくら同様ひとしきりボロ泣いて放心状態。
パッとカット切り替え。マリアの頭付近をアップで。第11話と同様のアングルだが、今度は画面……花組のみんなにも背を向けている。
パッとカット切り替え。花組全員の状態を引きのカメラで。しばし表示して……
パッと暗転。そして……
パッとタイトル表示。『最終話 真夏のイルミネイション』
タイトル文字が徐々に透明に抜けて、背景が見えて来て……カメラが下に行くととともに……黒抜き部分も薄くなって……完全に『大正』時代の色味と景色に変わる……というのもありか。その間、だんだん街の音が聞こえてくる。ストレンジャーシングスのOPの変形。
★以下、紅蘭の『大正』時代。全て『太正』ではなく『大正』仕様で。
ガヤガヤという都会の喧騒と、ラジオの音が聞こえる。
パッ……パッ……パと風景のモンタージュ。ここで重要なのは『“太”正』時代ではない、と強調すること。一切の蒸気関連のものがなく、電気関連のものを強調する。なお、銀座近辺。
①蒸気式ではない実在の車とショウウィンドウ。
②電柱
③市電
パッとカット切り替え。目を輝かせた紅蘭の顔アップ。
紅蘭:わぁ……!
パッとカット切り替え。東京的休日をアレンジした優しい版のメロディーをBGMとして開始。銀座四丁目交差点。和光の時計台を中心に。(背後には帝劇があるのか…?とそこはまだ明かさない。)サクラ大戦世界よりも実世界に近い世界なので、状態なども当時のものを再現してリアル寄りに。
パッとカット切り替え。満面の笑みで両親を振り返った紅蘭と、それに応える策杏と香燕の微笑み。三人の表情が入るような角度で。
紅蘭は船上のデッキで着けていた頬かむりを外している。メガネもかけておらず、微かにそばかすも少なく、髪もおろして片方に流してある。髪の長い時の李香蘭(山口淑子)をオマージュし、スタイルを参考に。ただし紅蘭にちゃんと似合う、可愛い髪型で。11話最終盤参照。
穏やかな音楽に乗せてパッ……パッ……パと風景のモンタージュ。銀座を堪能する三人。
①二階建て簡易時代の教文館の前の三人。
②木村屋であんぱんを買う三人
③歌舞伎座の前ではしゃぐ紅蘭と両親。
④街角には妖怪ものの映画ポスターが貼ってある。ポスターをメインにはせず、あくまで食べ歩きをしたりする李一家をメインに据え。たまたま画角に入るように。
⑤三越で家電を物色する三人。
⑥チラシを持ったまま奥の電気釜を見つめる策杏
⑦扇風機を触る紅蘭と、優しく見守る策杏。
フェードアウト。
ドサッという着席音。店内のラジオからは『パイノパイ節』が静かに流れている。歌が終わった場合、インストゥルメンタルで繰り返す。洋楽でも良いが、西条八十オマージュでもあるので、なるだけちゃんと用意すること。曲自体はパブリックドメイン。
紅蘭:はあ~……歩き疲れちゃった……(笑顔で)
フェードでカット表示。資生堂パーラーに入った李一家。四角いテーブル。席に着いた三人。全員の顔が見えるように、横から、斜め上から捉える。策杏と香燕が画面右側、香燕の向かいに紅蘭、その隣に買い物荷物が置いてある。
策杏:よし……ひと休みしよう。
紅蘭:パーラーでご飯だなんてお洒落だね……!
香燕:好きなものを選んでね。
メニューを持つ紅蘭を策杏たちの側からみたカット。ちょっとたじろいでいる様子。
紅蘭:わ……結構高級……
策杏:紅蘭が働いてくれてるから、我々もお礼をしなきゃ。
香燕:紅蘭……荷物持ってくれて嬉しいけど、私たち大丈夫だからね。
スッとフェードでカメラを引く。紅蘭の横にはたくさん買い物荷物が置かれている。紅蘭は「これぐらいなんでもないよ」という意味で、右手を振っている。左手は軽く握って胸にやっている。照れ笑いをしている。
紅蘭:そんな……わたしが一番元気なんだから、わたしが持つよ。
紅蘭:あ、でも、お父様ちょっと運動不足だから、運動してもらった方がいいのかな……
策杏:それもそうだね……
香燕:ふふ……
香燕:それにしても随分買い込んだわねぇ。
カショ……という金属音ともにフェードで画像切り替え。ナショナルの角型ランプ。もちろんナショナルのロゴは入れず、近い書体の何かにする。紅蘭が手で持って見聞しており、紅蘭の手で持ち上げられている。紅蘭目線のカメラ。
策杏:新しい電機製品や部品がいっぱいだよ。
策杏:日本のものは細工が良いし、どれも重宝がられる。
策杏:どうだい紅蘭? なんだったら分解して……
紅蘭:手提げでも大丈夫で、自転車に取り付けても大丈夫……(真顔)
紅蘭:すごくいい製品だと思う。欧州からはこういう新製品が入ってこないから……(笑顔)
紅蘭:中国でも需要があるはず。(真顔)
フェードで画像切り替え。製品を見聞する紅蘭の顔をクローズアップ。考えながら喋っているから……というのもあるが、淡々とした調子で喋る紅蘭。口の開き方が小さい。
紅蘭:電気製品には鉄がいる……鉄鉱石はこの先も確保しといて間違いはないはず……
フェードで画像切り替え。貿易のことを語る紅蘭を見つめる策杏。やや眉根を顰め、複雑そうな顔をしている。
紅蘭:それに見た限り、日本は洋服も良いものをたくさん作り始めてる。
紅蘭:最新の機械をどんどん取り入れてるわけだから……
紅蘭:当然その原料もいる。
紅蘭:綿に関しては中国の方が安いはずだし……
店員:お待たせしました。
コトッという音とともにカット切り替え。テーブルに置かれたオムライス。
紅蘭:わぁ……!
香燕:あら……美味しそう!
策杏:卵料理は名物らしいよ。見てるだけでお腹が空いてきちゃうな……
香燕:それじゃあ紅蘭、お先にどうぞ。
紅蘭:でも……
策杏:冷めないうちにね。
紅蘭:……うん。いただきます。
カチャっという音ともにパッとカット切り替え。はむっと紅蘭。スプーンをくわえた口元のアップ。一拍表示したのち……
フェードでカット切り替え。紅蘭を正面から。真顔の紅蘭。ただしちょっとだけ頰が紅潮。
紅蘭:……
策杏:どうだい?
紅蘭:……
フェードで差分切り替え。紅蘭の顔がほころぶ。
紅蘭:美味しい……!!
香燕:よかった……!
紅蘭:たまごがふわ~ってしてて、良い香りで……
フェードでカット切り替え。紅蘭視点のカメラで策杏と香燕。紅蘭が思いの外雄弁に語るので、二人ともややあっけにとられている表情。策杏は不意を突かれたように若干呆けたような顔で、香燕も同様だが、こちらは若干可笑しさと嬉しさが先に来て笑ってしまっている。
紅蘭:トロトロだけど、ベタってしてなくて……!
紅蘭:甘さとしょっぱさも絶妙で……!
フェードで差分切り替え。策杏と香燕がお互いに視線を合わす。
紅蘭:……
パッとカット切り替え。再び紅蘭の表情。今度こそ満面の笑み。
紅蘭:好吃……!(ハァォ チィー カタカナでは表せないので、ちゃんとした発音で)
パッとカット切り替え。最初の角度、テーブルを横から、ちょっと上空から捉えたショット。の、策杏と香燕の並びをもう一度。今度は二人が中心で、手前の香燕と奥の策杏が顔を見合わせて、ニヤニヤしている。紅蘭の様子が嬉しい様子。しばし表示したのち……
フェードで暗転。
カシャ……という音とともにカット表示。食後の紅茶。
紅蘭:はあ……美味しかった……!
香燕:美味しかったねぇ……
策杏:美味しかったね……
策杏:……
紅蘭:……お父様?
策杏:いや、あんまり紅蘭が美味しそうに食べてくれるから……
策杏:嬉しくてね。なんだか胸がいっぱいで……
香燕:……(微笑み)
紅蘭:その……ホントに美味しくて……
香燕:来てよかったわ、本当に……
紅蘭:……(照れ笑い)
カシャ……という音とともにカット表示。今度は名物のアイスクリーム。
店員:お待たせしました。
紅蘭:わぁ……!
策杏:そうだ、これもあったな。
紅蘭:アイスクリーム……!
香燕:こっちが本当の名物だものね。
策杏:よし! 食べよう食べよう!
カチャリ……という音とともにフェードでカット切り替え。一口食べた後の紅蘭。頬の紅潮は待った無し。思わずほっぺたに手を当てている。紅蘭、女子女子しいとこ。
紅蘭:はぁー……
策杏:うーん美味しい……! こりゃ良いな……
香燕:ふふふ……
紅蘭:んー……
フェードで紅蘭の表情を切り替え。目を開けて、視線を横にやる。口はちょこっとすぼめて。
紅蘭:……
パッとカット切り替え。紅蘭の視線の先、他のテーブルのお客さんが置いてあるアイスクリームお持ち帰り用のポットをアップに。このポットなめで、向こうのテーブルにいる紅蘭たちの姿も写っている。ピントはアイスクリームポットに合っている。
紅蘭:アレ、みんな持ってるね……
策杏:ああ……あれも名物なのかな?
香燕:アイスクリームポットですって。お持ち帰りできるんじゃないの?
策杏:おお……よく気づいたね。
香燕:入ってくるときに売ってましたわよ。
策杏:なるほど考えたな……要は魔法瓶なんだろうけど……
策杏:そうかアイスクリームにも使えるのか……
フェードでカット切り替え。先ほどと同じ紅蘭のカットだが、スプーンを下ろし、顔の角度そのものが視線の先へと変わっている。穏やかに微笑んでいる。
紅蘭:アイスクリームをお土産に持って帰れるなんて、素敵だな……
紅蘭:……
フェードで差分切り替え。紅蘭の表情をスッと真剣な表情にする。頬の紅潮はここでフッと消え去り、硬質な表情になる。無邪気な様子が消え去る。
紅蘭:そういえば、魔法瓶は真空加工しなきゃいけないから……
紅蘭:電球と同じ整形技術なんだよね……
フェードでカット切り替え。紅蘭を見つめる策杏の顔をアップで。複雑な顔をしている。紅蘭が仕事のことばかり考えて、すぐに目の前の楽しみを後回しにする様に、歯がゆい気持ちを抱いている。先ほども似たカットはあったので、ちゃんと別の表情にすること。こちらはより物言いたげに紅蘭を見ている感がある。またそれか……と。
紅蘭:魔法瓶のメッキは銅……銀かな……
紅蘭:そしたら中国の方が材料価格が安いかもしれないから……
策杏:……
キュイーン……ザザ……とラジオの音。とともにフェードで暗転。と同時くらいに花組の曲を途中から流す。局が変えられたらしい。『あなたが楽しければ』♪あなーたがたーのしければー わたーしもうれしいー♪
花組の曲が聞こえてきた……!とプレイヤーが判別できた瞬間!ぐらいのタイミングでパッとカット表示。紅蘭の横顔を大きく表示。ハッ!とした紅蘭の表情。身体は前に向いたまま、完全に顔は真横を向いている。上手向きが良い。要はラジオを探すように、音の方向を探すように、完全に意識がそっちに行っている。メッセージウィンドウなしで「(ハッ)!!」と言う息を飲む声色を台詞として再生する。一拍表示した後……
パッとカット切り替え。店内のラジオを映す。蓄音機型にラッパがあるものにする。米国製のもので。
パッとカット切り替え。ラジオ方面から見た視点の紅蘭。ちょい煽りの角度。呆然とした表情を映す。思わず視線の先に意識が行ってしまっている。
フェードで画像切り替え。紅蘭なめの策杏。画面手前にそっぽを向いている紅蘭の後頭部……と言うか側頭部があるが、画面に近すぎるため、ピンがボケている。ピントは策杏の表情に合っている。策杏もハッとした様な表情。紅蘭の様子を注視している。心配しているのではない。むしろ喜ぶべき兆候なのではないかと言う気配がしている。このカットはちょっと長めに表示する。
パッとカット切り替え。策杏らから見た紅蘭。このシーンでスタンダードに使っている画角の紅蘭。今はそっぽを向いているが……。
策杏:紅蘭。
紅蘭:あ……
サッとフェードで差分切り替え。こちらを向いて照れ笑いする紅蘭。
紅蘭:うん。ごめんね。
策杏:気になったのかい?
紅蘭:え……?
策杏:ラジオ。
紅蘭:ううん。そんなんじゃないよ。
策杏:そうかい? すっかり気が行ってたみたいだけど……
香燕:うん。上の空だったわよ。
紅蘭:ホント? あはは……(笑ってごまかす姿勢)
策杏:……
紅蘭:……
フェードでカット切り替え。再びラジオの画像を表示。と同時にBGMを上手いことフェードさせて、曲の終わり際っぽい効果音に続けてセリフを表示する。由里の声がする。
ラジオ(由里):帝国歌劇団による『あなたが楽しければ』御拝聴頂きまして誠にありがとうございます。銀座の中心銀座大帝国劇場では、日夜楽しく優雅なレビュウをお届けして参ります。今日は帝劇、明日は三越。豊かな文化香る銀座散歩のお供に、大帝国劇場、是非ともお越し下さいませ。
続けて洋楽が流れ始める。
策杏:へえ……銀座の劇場か……
策杏:紅蘭……せっかくだし、行ってみないかい?
フェードでカット切り替え。戸惑った紅蘭の顔を正面から。
紅蘭:え……いいよ、そんなの。予定になかったし……
策杏:まあ……そう言わないで。晩御飯までは空いてるんだし……
香燕:そうね……せっかく気になるんだったら、行ってみたらいいと思う。
香燕:母さんちょっとくたびれちゃったから、一旦ホテルに戻ってようかと思うけど……
策杏:ああ……そうだね。どうせ近いんだし……
策杏:それじゃこの後、ホテルに戻って……お母様には休んでもらって……
策杏:それから、僕と紅蘭とで、もう一度外に出てみようよ。
紅蘭:お父様……
香燕:いいんじゃない? たまには二人でお出かけもしたいでしょうし。
策杏:母様……
香燕:ふふふ……
紅蘭:……
香燕:行ってらっしゃい紅蘭。
紅蘭:……
策杏:よし……! 行ってみよう! ね?
紅蘭:うん……
フェードアウト。
川の流れる音とともにパッと画像表示。川の様子を描写。小舟が動いており、まだ交通に使われていることがわかる。まだ午後の日差し。
フェードでカット切り替え。川の音はやや小さくなり、街の喧騒も混じって聞こえる。現在の銀座4丁目晴海通りを西から東に向いた視点の景色。左手奥に歌舞伎座、その斜向かい、右手手前の川縁に大帝国劇場がある。『太正』時代の大帝国劇場とは場所が違う!広井さんインタビューで判明した、本来大帝国劇場を設定するはずだった位置に『大正』時代の大帝国劇場を設定する。新鮮さを出せるし、広井さんが本来やりたかったリアル寄りの設定なので『大正』時代にもマッチするはず。
フェードでカット切り替え。普段と同じ角度の大帝国劇場。しかし4丁目交差点ではないので、周辺の様子が違っている。いつもの大帝国劇場同様、上から下へとパン。
策杏:へえー……立派なもんだ……
策杏:さすが、東洋一の大劇場と謳うだけはあるね。
策杏:川縁にあるのも浪漫があるし……
策杏:……紅蘭?
フェードでカット切り替え。大帝国劇場を見上げる紅蘭の横顔。策杏からの視点。苦い顔をしている。
紅蘭:……
しばし表示して……
遠くからうっすら音楽がフェードインしてくる。リザーブがかかったような音で…… ♪あなーたがたーのしければー わたーしもうれしいー♪
パッとカット切り替え。紅蘭の背後、足元からぐっと劇場の方を見上げた目線。ぐにゃりと湾曲した見た目になっており、紅蘭の不安な心理を表す。まるで大帝国劇場がすごく遠くにあるように見えている。音楽にかぶさるように、だんだんゴー……っという不安を煽るような雑音が聞こえてくる。実は辛亥革命時に家を焼かれた時の火災の音なので、同じ音を使い、音楽同様にリバーブをかける。じわっとアップになっていく。
パッとカット切り替え。紅蘭の姿がなくなり、さらにアップになった、大帝国劇場の正門。小人が下から見上げるような角度と、奇妙に捻じ曲がったパースがついており、威圧的に見える。紅蘭の不安な心理を表している。ゴー……っという不安を煽るような雑音がより大きな音になる。じわっとアップになっていく。
一拍おいて……
策杏:紅蘭……(遠くで響くように、くぐもった、小さい声)
一拍おいて……
策杏:紅蘭。(はっきりした声)
パッとカット表示。再び大帝国劇場を見上げる紅蘭の横顔。策杏からの視点。先ほどと同じ。
紅蘭:……!
フッとフェードで差分切り替え。紅蘭がこちらを向く。
紅蘭:ああ……ごめんない、お父様……
紅蘭:その……ちょっと、ぼうっとしちゃって。
紅蘭:……
フェードでカット切り替え。紅蘭を見つめる策杏のカット。心配そうな表情。やや後ろからのカメラなので、紅蘭、後頭部が見えている。
策杏:……(心配そうな顔)
フッとフェードで差分切り替え。策杏が紅蘭に向けて少しかがみこみ、にこやかに話す。
策杏:そうだ……せっかく二人で銀ぶらしてるんだし……
策杏:もういっこの銀ぶらも、してみないかい?
紅蘭:?
一拍おいたのち……
カランカラン♪……という喫茶店に入った時の鐘の音とともにパッとカット切り替え。銀座プランタンの入り口のドアのカット。閉めた直後らしい。どうやらあたりは夕焼けになっている。
カチャ……という音とともにパッとカット切り替え。カウンターに置かれたカフェプランタンのブラジルコーヒー。外から差し込む夕日を浴びていて、ロマンチック。
紅蘭:銀座でブラジルコーヒー……
フェードでカット切り替え。カウンターに横並びで座った策杏と紅蘭。カウンター側からの視点なので、策杏と紅蘭はこちらを向いている。左側が策杏、右側が紅蘭。紅蘭はカップに両手を添え、横目で策杏をみて、微笑んでいる。策杏は右手をカウンターに付き、体をかすかに紅蘭側に傾けている。完全に横を向くのはルール違反なので、少し。こちらもにこやか。横長の画像で、ジワ横パンする。
紅蘭:だから銀ブラ?
策杏:ご明察!
紅蘭:ふふ……ダジャレだね。
策杏:流行らないかな?
紅蘭:難しいんじゃないかな……(表情は笑顔で。言い方は若干意地悪く)
策杏:そっか……(心底残念そうに)
紅蘭:ふふふ……(さも可笑しそうに)
フェードでカット切り替え。今度は先ほどのカットを完全に裏表逆にした視点のカット。カウンターに並んだ紅蘭と策杏を背後から捉える。カウンターの端には店員もいる。紅蘭と策杏は軽くお互いの方を向いているので、横顔というほどのこともないかすかな横顔になっているが、表情は見えない。(プランタンの店員はキャラクターを出しすぎないように注意。ロマンスグレーの渋いマスターとかダメ。ここでは背景になるように。紅蘭たちとは別の方向を向いており、やや俯いた作業をして、表情もあまり描写しないように。)
策杏:紅蘭……さっきは……
策杏:……どうかな、気が進まなくなっちゃったのかい?
紅蘭:……んー……
策杏:や、すまないね、別に答えなくてもいいんだ。その……
紅蘭:……
紅蘭:ううん。嫌だったわけじゃないんだけど……
策杏:うん……
紅蘭:嫌だったわけじゃなくて……
策杏:……
フェードでカット切り替え。紅蘭の両手の添えられたコーヒーカップをアップで。横にじわパン。
策杏:……あの歌は、どうだった? 気になった?
紅蘭:うん……とってもいい歌だった。なんだかその……
策杏:歌いたくなった?
紅蘭:ふふ……
紅蘭:ううん、別に……
策杏:別に? ……本当に?
紅蘭:……その……
紅蘭:ホントは……
紅蘭:……
紅蘭:なんていうか……
紅蘭:ちょっと……ワクワクしたかも……
策杏:……(微笑む)
紅蘭:……(照れ笑い)
一拍おいて……
策杏:紅蘭……コレ、覚えてるかい?
紅蘭:……?
コトッという音とともにフェードでカット表示。カウンターに置かれた策杏の懐中時計。かつて紅蘭が組み立て直したもの。この世界ではガラスが健在。
紅蘭:……!
策杏:しばらく見てなかっただろう?
策杏:僕が、しまい込んでいたから……
紅蘭:……
一拍間を置いて……
策杏:……それと……
スッという音とともにフェードで画像切り替え。手続き書類を差し出す。画面の中心はあくまで書類。懐中時計はその横に。
紅蘭:これは……?
策杏:……
紅蘭:……アメリカの大学……?
策杏:紅蘭は、その……昔から、好きだっただろ?
紅蘭:電気工学……名門だよ……
策杏:小さい頃から、機械いじりが得意だったし……
紅蘭:そんな……ダメだよ……! こんなの……!
フェードでカット切り替え。紅蘭の顔をアップで。策杏の背中あたりから見たカメラ。困惑の表情。
紅蘭:お父様……どうして? だって……
フェードでカット切り替え。策杏の顔をアップで。紅蘭の背中側あたりから見たカメラ。悲しみを湛えた表情。
策杏:それだよ。紅蘭、気づいてるかい?(詰問調にならないようにトーンに要注意。さらっと抑えた言い方で。)
フェードでカット切り替え。再び紅蘭の顔。先ほどと同じ。
策杏:紅蘭……最近は、いつも……
策杏:いつも……同じ顔をしてる。
紅蘭:……同じ顔……?
策杏:……
フェードでカット切り替え。策杏の右手が添えられたコーヒーカップをアップで。紅蘭の側から。縦にじわパン。
策杏:例えば……ウチの商売の話をしてるときとか……ね。
紅蘭:……
策杏:さっきもそうだ。せっかく新しい電気を触って、いっときは楽しそうだったのに……
策杏:すぐに、商売の話になってしまう。……貿易云々の話に。
紅蘭:……
策杏:家業を継ごうと勉強してくれるのは嬉しい。だけど……
紅蘭:……
フェードでカット切り替え。策杏の上体をアップで。紅蘭側から見た視点で、策杏は前を見据えているため、横顔になっている。前には店の壁しかないため、何かを見ているのではない。考えながら話している。
策杏:……
策杏:思えば……そういう顔を見るようになったのは……
紅蘭:……
策杏:……あの時……
紅蘭:お父様……!
策杏:容蘭……芳蘭……
策杏:……姉さん二人を亡くしてからだ。
ゴーーーーー!という火焔の音とともにパッとカット切り替え。度々使っている辛亥革命の時の回想シーンをここでも激しい効果音&火の粉エフェクトとともに一秒ほど表示する。パッと元に戻る。
パッと元に戻ると、深く俯いた紅蘭の後頭部。策杏からの見た目。カップに両手を添えたまま、しかし上体は大きく屈みこんで俯いてしまっているために、表情は全く見えなくなっている。
策杏:……
策杏:あれ以来だ……
策杏:紅蘭、君が……機械いじりをしなくなったのは……
紅蘭:……
策杏:……それから……君はずっと……
策杏:商売のことを、勉強してくれていた……
フェードでカット切り替え。先ほどの策杏の横顔カットと同じアングルだが、今度は策杏が、紅蘭の方に向き直って、語りかけている。結果的に先ほどよりカメラにも顔が見えるようになっている。慈愛に満ちた、心配そうな顔。
策杏:姉さんたちがいないから……
策杏:だから……自分が頑張るしかない……
策杏:……そう思ったんじゃないかい?
紅蘭:……(悔しそうな表情)
グッと下から……カウンターから見上げたような位置からのカメラ。目に涙を浮かべる紅蘭の表情を捉える。下を向き、策杏には表情が見えないように完全に俯いている。
策杏:一生懸命……それも進んで、勉強してくれていたから……
策杏:僕も、お母様も、今まで、何も言わなかったんだけど……
策杏:……
策杏:だけど、本当は……
策杏:紅蘭は……
策杏:やっぱり、機械いじりの方が、好きなんじゃないかなって思うんだ……
フェードでカット切り替え。策杏から見た紅蘭の姿。紅蘭、涙に浮いた顔で策杏の方を見つめている。
策杏:……わかるさ。
策杏:……お父さんだし、お母さんなんだからね。
紅蘭:……
策杏:機械のことを話すときの紅蘭は、本当に嬉しそうだから……
策杏:なかなか、そんな女の子はいないしね。
策杏:……これは、お母様の言い方だけど。
フェードで差分切り替え。紅蘭、涙に浮いたままの顔で思わず笑う。口はキュッと結んでいる。一旦策杏からは視線を外し、カウンターの板を見るともなしに見る。
紅蘭:……(言葉にならない声で、へへ……という調子に笑う)
策杏:さっきも、そうだ。
策杏:歌を聴いた時も同じ。
フェードで差分切り替え。再び策杏から見た紅蘭の姿。紅蘭、涙に浮いた顔で策杏の方を見つめている。
策杏:ふっと顔が明るくなって……
策杏:他のことには目が行かなくなって……
策杏:本当に、心から嬉しそうな顔になる。
紅蘭:……
策杏:それから……それとは反対に……
策杏:ためらった時も同じだ。
一拍おいて……
フェードで差分切り替え。同じ画角で、再び、紅蘭が下を向く。
紅蘭:……
策杏:紅蘭……ひょっとしてなんだけど……
策杏:楽しいと思うことを……
策杏:自分が、心から楽しいと思えるようなことを、避けるような……
策杏:遠避けるような癖が、ついていないかい……?
紅蘭:……
フェードでカット切り替え。店内のラジオ機器を映す。ラジオなめで、遠くに座っている紅蘭と策杏を捉える。ピントは手前のラジオにあっている。横じわパン。
策杏:機械はどんどん進歩してる。
策杏:電気の道具が次々登場して、世の中は、すごい勢いで変わってる。
策杏:……
策杏:明日、僕が合うのは、欧州の人なんだけれど……
策杏:……
策杏:なんというか……今、世界の様子は、きな臭いところもある。
策杏:日々、新しい道具の奪い合い、新発明の競い合いだ……
紅蘭:……
フェードでカット切り替え。カウンターの上に置かれた懐中時計。夕日にとろりと光っている。
策杏:……それで……お母様と二人で話していてね、思ったんだ……
策杏:もしも、もっと早く……もっと前から、紅蘭に……
策杏:本当に好きなことを、思い切り、させてあげられてたら……
策杏:何かもっと、違った風になったのかもしれないって。
紅蘭:……
策杏:紅蘭が好きなことをすれば、きっとそれはいつか、人を幸せにする。
策杏:……機械の世界が、もう少し、優しくなるのかもしれないって……
フェードでカット切り替え。カウンター側から、横顔の紅蘭の顔を大写し。策杏の方、つまり左側を(ちょっと上目遣いで)見つめている。顔は夕日を浴びて輪郭が光っている。逆光だが、それが輪郭を強調している。ここでは大げさに瞳に涙の描写はしない。
策杏:……正直、これから世界がどうなるかは、わからない。
策杏:家を継ぐこと自体に、意味なんて無いんだ。
紅蘭:お父様……!
策杏:紅蘭が幸せにならないと……
紅蘭:……
策杏:幸せになれないと……結局、全部、意味がないんだから。
紅蘭:……
フェードでカット切り替え。再び大学の案内と手続き書類。
策杏:だから、もう一度……
策杏:機械工学を勉強しないか。
策杏:……今からだって、まったく遅くはないんだし。
フェードでカット切り替え。紅蘭から見た策杏。紅蘭の方を向いて、優しく微笑みかけている。
策杏:……ね?
一拍おいて……
カサ……という音とともにカット切り替え。書類を手にとって、胸のあたりに引き寄せ、見つめる紅蘭。涙ながらに笑顔を見せている。
紅蘭:……
紅蘭:……うん……わかった。
策杏:……(微笑み)
一拍の間ののち……
策杏:よし! そうと決まれば、これからは……
カチャリ……という音とともにフェードでカット表示。懐中時計を鎖の部分を引っ掛けるようにして、策杏が今一度紅蘭に手渡そうとしている。その手をクローズアップ。
策杏:もう一度、たくさん機械いじりをしなきゃね。
策杏:分解して、組み立てたりして。
カチャリ……という音とともにフェードでカット切り替え。策杏の手から、懐中時計を受け取る、紅蘭の両手。
フェードでカット切り替え。再び策杏側から見た紅蘭のカット。懐中時計を持ったまま、策杏の方を見て、感無量の、今度は微笑み。
紅蘭:……お父様は、分解の専門家だけどね。
策杏:……それは……そうとも言うね……
紅蘭:ふふふ……
フェードでカット切り替え。今一度、二人を後ろから捉えたカット。
策杏:それとそうだ……さっきの歌もだ。
策杏:何かを感じた……何か、どこかが、特別な感じだったんだろう?
紅蘭:……うん……
策杏:それなら、せっかく来たんだ。お芝居も観に行くこと。
策杏:どうだい?
紅蘭:……
紅蘭:……うん……そうしてみる!
フェードアウト。
川の流れる音とともにフェードでカット表示。大帝国劇場。夕日が煌めいている。いつもの大帝国劇場同様、上から下へとパン。人通りあり。
カツ……という音とともに、フェードでカット切り替え。ロビーに足を踏み入れた紅蘭の表情を捉えたショット。紅蘭、恐々とやや上目遣いにロビーを見渡している。若干目を丸くして、ほんの少し口が開いている。物珍しさと美しさに素直に感銘を受けている。
紅蘭:…… (!、とはなっていない。まだピンときておらず、素敵だな……という気配のみがしている状況なので、表情も注意する。)
一拍おいて……
パッとカット切り替え。立派なシャンデリアのカット。
パッとカット切り替え。階段踊り場をグッとローアングルから。
※優美な柱やその装飾をクローズアップしても良い。素敵に見えて、描きやすいところならどこでも。二階の柵部分……二階席入り口扉が後ろに見えているところ……など、雰囲気ある部分をクローズアップ。
パッとカット切り替え。先ほどの紅蘭の表情を捉えたショット。先ほどよりも少し頬が紅潮している。一拍おいて……
フェードでカット切り替え。帝劇ロビー。『太正』の帝劇とほぼ同じだが、色味が変化している。真鍮的な色味の部分が銀色に変わっている。既に人が入っており、賑わっている。
紅蘭:……(笑顔)
策杏:えーと……次の予定はどこかな……
トットッ……と足音。策杏が去る音。
一拍おいて……
かすみ:……ではどうぞ、夜の公演まで、奥でお寛ぎ下さい。
花小路:ああいや……結構。賑わっとるようだし、ふらふらするものも楽しみのうちでね。
カツ……と足音とともにフェードでカット切り替え。かすみと花小路伯爵が向かい合っている。花小路はこちらにほぼ背を向けており、かすみが丁寧に応対している。その左後ろ側、花小路たちよりもカメラに近い場所にマリア。ふと後ろを確認しに振り返ったところ。
かすみ:……それでは、何かご用がございましたら、何なりとお申し付けくださいませ。
花小路:ありがとう。
紅蘭:……
フェードで通常画面に。
トットッ……と足音。策杏が戻ってきた音。
策杏:かなり名のある人も来るんだね。護衛の人がいる。
策杏:不用意に近づくと、撃たれちゃうかもしれないから、気をつけてね。
紅蘭:え……!
策杏:はは……冗談だよ。
一拍の間の後……
策杏:そうだ、夜公演まではしばらく時間があるみたいだから……
策杏:やっぱりお母様も呼んで来ようか。せっかくだから一緒に観よう。
紅蘭:あ……うん……!
策杏:ホテルまではすぐだし、僕が呼んで来るよ。
策杏:じゃあ……紅蘭はそれまで探検してて。
紅蘭:うん……! 見て回ってみる!
策杏:じゃあ……楽しんでね。
紅蘭:うん!
フェードアウト。
パッとカット表示。お土産物のせんべい。じわパン。ちょっと表示した後……
パッとカット表示。お土産物のブロマイド。さくら、すみれ、カンナのみ。ちょっと表示した後……
パッとカット表示。ポスターが貼られた二階席の入り口の壁。斜めからの角度で捉えたカメラ。じわパン。ちょっと表示した後……
パッとカット表示。ポスター。椿姫の夕&スペシャルサマーレビュー。ちょっと表示した後……
由里:もう~ちょっと大きくした方が良かったかな……
フェードでカット切り替え。ポスターから見たカメラ。左側に由里、右側に紅蘭。由里はいかにも仕事中にちょっと立ち止まったという感じで、何か作業中のものが入っている荷物を持っており、紅蘭はやや驚いたような調子で、左側にいる由里を見ている。由里は壁のポスターに視線がいっている。カメラのちょっと上の方を見ている。
紅蘭:……!
由里:さくらさんのことね。最近頑張ってるし、人気も出てきたしねぇ……
紅蘭:……
由里:デザイン自体はすごくいいんだけど……
紅蘭:……
フェードで紅蘭の顔の向きを変え、視線を由里と同じ場所に持っていく。
フェードで今一度ポスターのカット。
由里:それに、もうちょっと子供向けの演目もできたらいいんだけどね……
由里:せっかく夏休みなんだし……ほら、妖怪変化が出てくる話とか。
由里:まあでも、なんせすみれさんがトップだからね……ちょっと怖くなりすぎちゃうか……
フェードで今一度並んでポスターを見る二人。
由里:……そうだ、どう? あなた、脚本(ホン)とか書いてみない?
フェードで紅蘭を今一度由里の方へ向ける。ちょっと戸惑いと照れ。頰が紅潮している。
紅蘭:ホンですカ?
由里:ん?
フェードで由里を紅蘭の方へ向ける。真横にならないように。
由里:あ、日本の人じゃなかったか……!
フェードで紅蘭の表情を変化。嬉し恥ずかしの照れ笑い。頰が紅潮している。
由里:ごめんなさいね、勝手に喋っちゃって……えーっと……
紅蘭:無問題。大丈夫ですネ。お話し、嬉しデス。
由里:あら、日本語お上手ね……! 喋れるの?
紅蘭:少しですネ。旅行で来たですから……勉強しました!
由里:旅行の準備だけでそんなに話せるなんて、すごいわね……
紅蘭:そんなことないですネ……! すごくないですョ。
由里:ううん、すごいすごい。私なんて随分前から英会話習ってるんだけど、なかなか上達しなくって……
紅蘭:……(照れ笑顔)
由里:……でもなんか、思った通り。(嬉しそうに)
紅蘭:?
由里:あなた、本読んだりするの、好きでしょ?
紅蘭:はい! 好きですネ。
紅蘭:……どうしてわかるですカ?
由里:ふふ……なんとなくね。
由里:なんかちょっと……難しそうなこととか、好きそうかもって。
紅蘭:……(虚を突かれたような顔)
由里:あはは。……ごめんなさいね、勝手なこと言ってら……
由里:ま、でも、さっきの話は本気だから。
紅蘭:ホン、ですか?
由里:そ。ウチはいつでも、新しい才能を求めてます!
紅蘭:……(笑顔)
由里:ふふ……あたし結構勘とか鋭い方なんだ。
由里:脚本を書いたりするタイプの人は、なんとなくピンと来るんだよね。
紅蘭:ワタシ……そうですカ?
由里:たぶんね。まあ、なんとなくだけど。
紅蘭:……(笑顔)
由里:あ、お客様にこんな話しちゃってごめんなさいね。
由里:なんだろ……つい話しかけちゃって……(自嘲込みで。)
紅蘭:ううん。嬉しです!
由里:夜の公演、観るのよね?
紅蘭:そうでス! 父と、母と、観るでス!
由里:じゃあ楽しんでってね! ……そうだ、気に入ったら感想教えて!
紅蘭:はいでス! ありがとございます。
由里:こちらこそ! 開演お楽しみに!
コッコッコ……と靴音とともにフェードでカット切り替え。由里が去り、一人残った紅蘭の満足そうな顔。去っていった由里の方を見つめる紅蘭を、顔の正面、やや横から捉える。
フェードアウト。
ガヤガヤ……と会場前のガヤ音。
フェードで画像表示。明かりが落とされ、暗い客席。客席に座っている紅蘭、策杏、香燕を写す。客席の同じ列の中からカメラで押さえているような画。角度が付いている。奥から、策杏、紅蘭、香燕。策杏の奥には別の観客がずらりと座っている。画角的に香燕は全て入っていなくとも良いが、アップになりすぎて目立たないように注意。あくまで紅蘭を中心に。三人とも、これから始まるショウに向けてワクワクしながら、穏やかに微笑んでいる。
ビーーーーーーーーーー……と開幕の音。ガヤ音が徐々に止む。
策杏:いよいよだね。
紅蘭:うん……!
フェードアウト。
バシャ!という音とともにスポットライトを浴びたさくら!前方右斜め、やや下から上を見上げるようなアングル。基本は画面のやや右向きで、座席にいるやや左向きの紅蘭たちと、向き合うような方向で。レビュー服を着ている。とともに音楽スタート。『イッツ・ショウタイム』♪イッツショウタイム イッツショウタイム ドゥビドゥドゥビドゥビダバ ショウタイム♪
パッとカット切り替え。舞台上の光の刺す客席。先ほどと同じ紅蘭たちのカットだが、ワッ!と気持ちが盛り上がって満面の笑みになっており、めいめいに拍手を送っている。他の観客も同様。みんなパッと口が開いてしまっている。口に手を当て、声援を送っている人もいる。
以下、さくら画像を連続で。曲に合わせ踊るさくらの様子。ここでは3枚程度でOK。フッ……フッ……フッ……と見せていく。
さくら&アンサンブルダンサーズの決めカット。BGMはフー……とフェードアウトさせながら、バシャーン!とシンバルを鳴らして、ワーーーー!と歓声と拍手を再生し、曲の途中でもそれっぽく曲の終わりに来たように演出する。
パッとカット切り替え。紅蘭の顔を正面からアップで。笑顔で拍手をしている。
パッとカット切り替え。手を振って声援に応える舞台上のさくらをやはり前方右斜め前、やや下からのアングルから。
フェードでカット切り替え。BGMが変わる。曲の途中の適当な箇所から。♪さーえーずるひばりよー♪ 椿姫の夕、すみれとカンナバージョンで3枚ほど。
同様に決めカット後に……
おおおおお!!と沸き立つ観客席の様子。
フェードアウト。
さくら:それでは今夜は、欧州からお招きした特別ゲストをご紹介いたします!
さくら:ソレッタ・織姫! そして、レニ・ミルヒシュトラーセ!
バシャーン!とシンバルを鳴らして、ワーーーー!と歓声。と同時にスポットライトを浴びた二人の様子をさくらとは反対側からの角度で。客席から見上げる感じ。賑やかな曲で。
その後、さくらのレビュウと同様、二人の共演を様々に角度ポーズを変えて。先ほどと同様に進むのかと思いきや……
バシャーン!とシンバルの音3連続で、レニ、織姫、アイリス、の順番で、顔半分から下、身体を中心に映したショットをパッパッパ……と連続させる。アイリス、が混じっている。レビュウ服を着て、いつものように舞台上に立っているアイリスの姿が、3枚目にパッと混じる。アイリスが手を差し出している。紅蘭(カメラ)に向けているように。三人とも笑顔。一瞬表示した後……
パッとカット切り替え。紅蘭の顔を正面からアップで。ハッと驚きの表情。手拍子のために正面に構えていた両手がへなっと体制を崩している。一拍表示した後……
パッとカット切り替え。再び何事もなかったかのようにレビュウの続き。レニ、織姫が揃ったカットで、舞台上にアイリスはいない。
パッとカット切り替え。再び先ほどの紅蘭のカットに戻る。
紅蘭:……
パッとカット切り替え。バシャーン!と決めカット!……
おおおおお!!と沸き立つ観客席の様子。今度は紅蘭だけ、戸惑ったような表情をしている。両側の策杏、香燕、他の観客は同じようにわー!と声援を送っている。
フェードアウト。
さくら:それでは本日のラストレビュウ……ゲストの皆様と揃ってお届けいたします。
さくら:最後まで、お楽しみください!
フェードでカット表示。さくら、すみれ、カンナ、レニ、織姫が揃ってラストレビュウ。
♪あなーたがたーのしければー わたーしもうれしいー♪
策杏:さっきの曲だね……!
紅蘭:うん……!
フェードでカット切り替え。レビュウの様子がカットを変えて映し出される。やがて……
フェードでカット切り替え。紅蘭の顔を左斜め前からアップで捉えたカット。呆然としたような表情だが、口がうっすらと空いて、動いている。歌詞を口ずさんでいる。
♪なきーたいこーとなんかはー……すこーしはあるけどー……♪
パッとカット切り替え。策杏、紅蘭、香燕、と並んだ、先ほどのショット。曲の最中なので、紅蘭以外の様子は変わっている。めいめいに手拍子をしているような調子。その中で紅蘭はひとつ前のカットを引き継いで、同じ様子で呆然と歌詞を口ずさんでいる。紅蘭が、自分のしたことにハッとしていることを示す。
♪笑って 笑って 踊って 笑って 心がはーずーむーよー♪
パッとカット切り替え。舞台上のレビュウの様子に戻る。
さくら、すみれ、カンナ、アイリス、マリア、紅蘭、の順番で、顔半分から下、身体を中心に映したショットをパッ……パッ……パッ……と連続させる。ここではアイリス、マリア、紅蘭が混じっている。レビュウ服を着て、いつものように舞台上に立っている三人の姿がパッと混じり、最後は紅蘭自身。
パッとカット切り替え。紅蘭の瞳、片目をドアップに。メッセージウィンドウなしで「!!(はっ……!)」と息を呑む声色を入れる。一瞬だけ表示したのち……
パッとカット切り替え。紅蘭の顔を正面からアップにしたカット。先ほどもあったカットなので、表情だけの差分でOK。驚愕と戸惑いでショック状態の紅蘭。やはり見てはいけないものを見てしまっている……。という実感。一瞬だけ表示したのち……
パッとカット切り替え。ステージ上の様子に戻る。さくら、すみれ、カンナ……と並んでいるが、アイリス、マリア、紅蘭の姿はない。ほんの少し表示したのち……
パッとでカット切り替え。先ほどの口ずさみシーンと同様の、紅蘭の顔を左斜め前からアップで捉えたカット。今度は一筋冷や汗が流れている……。
フッ……と音だけフェードアウトさせ始めると同時にバシャーン!とシンバルの音とともにパッとカット切り替え。最後、舞台上にみんなが並び、手を振るカット。ワーーッ!!という観客の大歓声。
フェードでカット切り替え。カメラを引き、舞台全体が見えているカットに。じわズームアウトで遠ざかるような調子。ワーー!!という歓声が水の中にいるときのような調子にぼやーっとした加工がされていき、フラッシュが焚かれたように白い光がワッと入って来てホワイトアウト。
白がゆっくりフェードで黒(大正世界なのでエンジ色?)へと変化する。
フェードで通常画面に。いつもの帝劇を上から下へジワパンするカット。
策杏:いやー素晴らしかったねー……!
香燕:楽しかったですわねぇ……!
策杏:歌って踊って♪
香燕:ふふふ……
策杏:どうだった、紅蘭?
紅蘭:……
紅蘭:……ごめん、もうちょっと……
紅蘭:もうちょっと、見て来てもいいかな……?
香燕:あら……そんなに気に入ったの?
策杏:……まあ、そんな気はしてたけど……
一拍の間の後……
策杏:じゃあ……僕らは公園でも散歩してようかな。
策杏:せっかくなんだから、時間いっぱいまで雰囲気を味わうといい。
香燕:ゆっくり楽しんで来てね。
紅蘭:うん。なんなら、先にホテルに戻っててくれていいから。
策杏:わかった。それじゃあ……
香燕:気をつけてね。
紅蘭:うん。
フェードでカット切り替え。下手側にいる両親の方を見ながら、身体だけ先に翻して、後ろに進み出している紅蘭。
フェードでカット切り替え。カツ……カツ……と歩みの音。下手から上手へ向けて、通りを帝劇に向けて歩き出した紅蘭。斜め前近いあたりから捉えたショット。ほとんど横からのショットにも近い。不安そうな表情。
パッとカット切り替え。無音で先ほどのレビュウで最初に出現したアイリスの姿をもう一度表示。顔は半分しかわからない。一瞬表示したのち……
パッとカット切り替え。下手から上手へ向けて、通りを帝劇に向けて早歩きしだした紅蘭。カツカツカツと徐々に歩みのスピードが早くなっていく。紅蘭の焦燥の象徴。首をちょっと下げ、目を閉じ、冷や汗が一筋。
カツカツカツと足音を続けたままフェードアウト……
ドン!という音。
紅蘭:あっ!!(痛がる顔)
ドシャ!という音ともに、カット表示。帝劇の玄関前、地面に崩折れた紅蘭。『サクラ大戦 熱き血潮に』第2話での紅蘭初登場シーンでバイクが大破した後と同じポーズ、同じ構図のショット。
紅蘭:……疼……!(タァン……)
大神:すみません! 大丈夫ですか……!?
紅蘭、ふと上を見上げる。
パッとカット切り替え。地面に跪いて、紅蘭に手を差し伸べる大神の姿。海軍の軍服姿。玄関の明かりで若干の逆光。
大神:お怪我はありませんか……?
紅蘭:……
ファサ……という衣擦れの音とともにフェードでカット切り替え。大神と、立ち上がった紅蘭。若干大神寄りで捉えたカメラのため、大神は後頭部多めで、紅蘭の表情がよく見える。紅蘭は、やや頬が上気しているが、ときめきではない。焦っているだけなので、そのニュアンスが出るように注意。
大神:申し訳ありません。自分が不注意でした。
紅蘭:……あ……! 違いまス!
紅蘭:ワタシ……考えてる……考えて歩いてるですから、ワタシ悪いです。
大神:ああ……なるほど……
紅蘭:……
大神:ともかく、お怪我がなくて良かったです……
紅蘭:……
フッとフェードで紅蘭にズームアップ。頰の上気が若干別のニュアンスに変わり、そのことに自分自身も戸惑っているかのような表情。大神の表情は映らない。
紅蘭:……どこかで……会ったですカ?
大神:え……自分と……ですか?
大神:……
大神:いえ、初めてだと……思いますが……
紅蘭:……
紅蘭:……そうです……ですね……
大神:……(照れ)
一拍の間を置いて……
加山:お、いたいた大神。ここだったか。
フェードでカット切り替え。紅蘭の背後側からのカメラ。大神はすでに先へと歩き出してしまっており、もっと向こうには加山がいる。劇場からは離れる方向。紅蘭が歩いてきた方向に向かっている。大神は紅蘭を振り返り、会釈しており、紅蘭も大神を振り返っている。
大神:悪い加山。今いくよ。
大神:その……それでは。
紅蘭:あ……
フェードでカット切り替え。去りゆく大神たち側からのカメラ。画面左端手前に逆光で影になっている大神と加山がおり、向こうには紅蘭がいる。紅蘭、思わず大神に手を伸ばしている。
紅蘭:……
フェードでカット切り替え。紅蘭のバストアップを横から捉えた図。道路側から捉えているので、紅蘭はおおよそ左向き。所在なくなった右手を胸に引き戻し、左手で抑えている。
紅蘭:……
紅蘭:わたし……変だな……
一拍置いて……
???(顔アイコンなし。だがアイリスの声):……らん……
フェードで差分切り替え。紅蘭の顔の向きを若干カメラ側に変える。視線は泳いでおり、宙をさまよっている。恐る恐る声の主を探しているような調子。
紅蘭:……?
一拍置いて……
???:……こうらん……!
シュ!という衣擦れの音とともにパッとカット切り替え。ハッとした表情で後ろを振り返る紅蘭のカット。紅蘭のバストアップを背後から捉えたショット。だが身体をひねって振り返っているので、紅蘭の表情が見える。謎の声に空恐ろしがっている。
紅蘭:!?
一拍置いて……
紅蘭:……誰……?
紅蘭:……なんなの……?
一拍置いて……
パッとカット切り替え。紅蘭の身体の正面側からのカメラ。紅蘭は現在後ろを振り返っている。画面左側、手前には紅蘭の方を向いたアイリスの後ろ姿がある。半透明で幽霊のよう。蒸気童子と全く同じように。手を伸ばして、手探りで何かを探しているかのよう。
???:こうらん!
パッとカット切り替え。紅蘭の顔を横から捉えた図。先ほど、右手を胸に引き戻し、左手で抑えていたカットとカメラ位置はほぼ同じで、ただしこちらは表情をグッとクローズアップしたバージョン。右から左へサッとブラー付きでパンする。
紅蘭:!?
パッとカット切り替え。再び、先ほどのアイリスがいたショット。構図は全く同じだが、今度は紅蘭はこちら側を向いており、さっきまでいたはずのアイリスがいない。紅蘭、冷や汗。しばし表示したのち……
パッとカット切り替え。紅蘭の顔を真正面から捉えた図。瞳に虹彩がなくなり、冷や汗をかいている。
紅蘭:……
紅蘭:……アイリス……?
一拍の間ののち……
ボーーーーーーン!!と(劇場内にある)柱時計の音を鳴らす。音の質感大事なので注意。優しい感じではなく、エッジーなビリビリした暴力的でヘビーな音に聞こえる『ボーーーーーーン!!』をいきなり鳴らす。シンデレラの魔法が解けた、という刷り込みを効果的に使う。
と、同時にカット切り替え。大帝国劇場の玄関前、足元付近からぐっと上を見上げる画角で、大帝国劇場を見上げる紅蘭の姿を捉えたショットを表示。パースが効いており、紅蘭の中での意識の基盤がぐらついていることを表す。まるで大帝国劇場に襲われる寸前のようなカット。
『ボーーーーーーン!!』に続いてカチ……カチ……カチと秒針の音。秒針の音が響く中……
フェードでカット切り替え。紅蘭が帝劇の建物全体を見つめたまま、呆然と後ずさりで道路に飛び出していく様子を客観的に捉えたショット。大通りで危なっかしい。
そして再び……
二度目の『ボーーーーーーン!!』と同時にフェードでカット切り替え。上方を見上げる紅蘭の顔を捉えたショット。依然瞳に虹彩はなく、ショック状態。正面から。なおも続けてカチ……カチ……カチと秒針の音。秒針の音が響く中……
三度目の『ボーーーーーーン!!』と同時にフェードでカット切り替え。もう一度紅蘭が帝劇を見上げるカット。先ほどのカットよりももう少し客観的になり、優しさが出始めた帝劇。ライティングが柔らかくなり、あかりの温もりを感じるようになる。なおも続けてカチ……カチ……カチと秒針の音。秒針の音が響く中……
カチ……とある秒針の音とともにパッと暗転。
ブワッ!と白フラッシュで、ストロボ効果と同じように、画面の輪郭付近は白トビしているようなエフェクトの中、まず通常状態の帝劇の外観が映り……その後、パパパパパ……!と今度は帝劇や花組に関するカットが連続してサブリミナル的に映し出される。『パ パ パ パ パパパパパパ』ぐらいのリズム感。だんだん現在に近づいていき、第11話の内容も最後のあたりにパパパと表示され、紅蘭がおそらく使命を思い出しているのであろう……ということが受け手に伝わるようにする。今回はある程度のフラッシュバックが終わった時、今現在の紅蘭のカットに戻さず、白暗転状態を少し作り、本当の最後に、二枚、パ……パ……と特別枠で見せる。①先ほど紅蘭が観劇中に幻視した、自分が舞台上でレビュウを踊っているシーンの、顔が写っている版のカット。②イルミくんに手を当てているカット。
最後のパ……パ……が終わったら……
白フェードで、フー……っとカット切り替え。フェード明けと同期して車のクラクションの音がパッパッパァ!と大きくなって聞こえてくる。道路に飛び出したまま、帝劇を見上げる紅蘭を横から捉えたカット。紅蘭の表情は依然瞳に虹彩なし。冷や汗が一筋。紅蘭の向こう側には車がいる。車のクラクションは、当時はホーンクラクション……つまりラッパなので、音は正確に。握りゴムを握って鳴らすのでプッ!と単音しかならない。それを何回か鳴らしているということ。しばし表示した後……
フェードでカット切り替え。車側から見たカメラ。呆然と帝劇を見上げている紅蘭。ヘッドライトに照らされている。そのままフェードで差分切り替え。紅蘭が、呆然としたまま、やや眩しそうに、しかし顔をこちらに向ける。パッパァ!とクラクション。
パッとカット切り替え。紅蘭視点。クラクションを鳴らす車が目の前にある。パッパァ!と再びクラクションが鳴る。
パッとカット切り替え。再び先ほどの車側から見たカメラ。しかし今回は紅蘭の顔にさらにクローズアップ。紅蘭が集中を始めたかのように見える。パッパァ!と再びクラクションが鳴る。
パッと暗転。一瞬の間ののち……
パッとカット表示。と同時にバシュー!!と蒸気の音。先ほどの紅蘭視点で見た車のカットと同じカット。クラクションを鳴らす車が目の前にある。だが今回は周りの景色を含めて全てが完全に『太正』時代版の景色になっている。パッパァ!と再びクラクションが鳴る。
ブロブロブロ……という車の音ともにフェードでカット切り替え。車が紅蘭を避けて去っていくショット。『大正』時代版に戻っている。運転手の顔などは余計なので窓ガラスの反射等で隠して描写しないように。紅蘭の視線は車を追いかけている。数瞬表示した後……
フェードでカット切り替え。大帝国劇場を見上げる紅蘭のバストアップを正面から。
パッと大帝国劇場の外観。『大正』版。数瞬表示した後……バババ!とノイズが混じるように『太正』版の絵に変わる。バシュー!と蒸気の音。絵にも蒸気筒(劇場版参照)などから立ち上る蒸気などをなるだけ多く描写して。
フェードでカット切り替え。『太正』の街並みの中に佇む紅蘭。いつのまにか銀座四丁目交差点に移動している。『太正』の大帝国劇場は四丁目交差点にあるため。
紅蘭:……わたし……
紅蘭:……ウチ……
フェードでカット切り替え。紅蘭の表情にグッとクローズアップする。瞳に虹彩が戻り、頬がやや紅潮する。
紅蘭:ウチ……ウチは……!
一拍置いて……
ブワッ!とストロボが焚かれたような音と共に白フラッシュでカット切り替え。元の『大正』時代の景色の中にいる紅蘭。グッと引いたカメラで、道の先(大神が去っていった帝国ホテル方面…画面左側)を見ている紅蘭。
フェードでカット切り替え。カメラをグッとクローズアップし、紅蘭のバストアップを映す。引き続き左向き。祈るような調子で、無意識に両手を胸に引きつけている。
キュイーン!という普段のゲーム中の霊力匣転送音と共にフェードで差分切り替え。首をやや下に傾げ、胸に引き寄せた両手をやや前に出し、見つめる紅蘭。
紅蘭:……?
フェードでカット切り替え。紅蘭の視点。開かれた両手。右手に左手が添えられている形なので、右手が内側。右手のひらの中には、霊力匣がひとつ載っている。
紅蘭:……
紅蘭:……大神はん……!
紅蘭:……みんな……!
一拍の間ののち……
パ……パ……パ……と連続でカット切り替え。ふと今日の思い出が蘇ってくる。ビジョンを見たようなフラッシュバックではなく、今日の思い出を振り返っているので、ちょっと長めの表示。
①大学の書類
②コーヒーカップを前にする紅蘭と策杏の絵
③パーラーで三人で食事をしている様子
④船の上、甲板に出た紅蘭
⑤船上での家族の食事
表示が終わると、パッとカット切り替え。紅蘭の顔のアップ。やや下からの煽りのアングル。若干の焦りが混じった、呆然とした表情。
カチャリ……という音とともにフェードでカット切り替え。紅蘭の視点。懐中時計を持った右手。
紅蘭:……(決意の表情)
フェードアウト。
しばしののちに……
フェードでカット表示。夜の日比谷公園。開園初期の非常に優美な様子を、まずは引きのショットで見せる。高い位置から眺めた当時の写真があるので、参考に。水の音や虫の声がする。また、かすかな音量で遠くから室内楽のような優しげな音楽が聞こえてくる。帝劇夜のテーマなどが良いかも。
パッとカット切り替え。音楽堂の周辺を引きのカットで。先程よりも室内楽がやや音量を上げる。近づいてきた。音楽堂でバンドが音楽を奏でている様子。策杏と香燕が歩いている様子が、小さく映っている。
パッとカット切り替え。並んで歩く策杏と香燕二人のショット。二人の向こうには音楽堂が見える。画面に対して奥の方にいる策杏が、手前にいる香燕の方を見ながら、話しながら歩いている。
香燕:(安堵の吐息をつくような調子を頭に入れて)それじゃ紅蘭……やってみるって?
策杏:ああ。なんとか……伝わったと思うよ。僕たちがどう思ってるか……
香燕:……そう……
香燕:……良かった……本当に……
策杏:……うん。……貿易の仕事にも意味はあるけど……
策杏:……なにも、あの子がやらなくてもいい。必要なことは、別の誰かがやるさ。
香燕:さっきのお芝居も、紅蘭が観たいって?
策杏:ああ。……まあ、最初はいいって言ってたんだけど……
策杏:そういう、約束をしたからね。
策杏:これからは、気になったものには素直になるっていう。
香燕:あの子、自分の楽しみを後回しにしがちだから……
策杏:そういうのは、今日でもう終わりさ。
策杏:今度こそ、紅蘭には……
タッタッタッタ!と走ってきた靴音。
紅蘭:お父様! ……お母様……!(走ってきたので息切れながら)
フェードでカット切り替え。向こうにある音楽堂を背景に、李一家の三人。音楽堂の明かりが他と比較して強めなので、三人はやや逆光気味。全員の身体全体が入る程度のカメラ距離。左側から、策杏、香燕、紅蘭、の順番。紅蘭は胸に手を当て、やや上体が屈んだ状態。息切れている。紅蘭の肩に優しく手を添える香燕。紅蘭に合わせるように、膝に手をつき、やや上体を畳んだ策杏。
紅蘭:はあ……はあ……
香燕:どうしたの紅蘭? そんなに走らなくても……
紅蘭:はあ……はあ……
一拍の間を置いて……
フェードでカット切り替え。紅蘭たち三人を、上体を中心にクローズアップする。三人の表情がよく見える。
紅蘭:お父様……お母様……!!
紅蘭:わたし……
紅蘭:ウチ……!
紅蘭:言わんとあかんことが……!!
紅蘭:あ……あの……
紅蘭:ウ……
紅蘭:ウチ……
フェードでカット切り替え。紅蘭、香燕の手に顔をのせ……
紅蘭:ううぅ……
紅蘭:うぁぁぁぁぁぁ……
紅蘭:あああああぁぁぁ……!!
フェードでカット切り替え。香燕、紅蘭をなだめる。
香燕:紅蘭、落ち着いて。大丈夫だから。ね?
策杏:紅蘭……
紅蘭:うう……うぅ……!!
紅蘭:お父様……お母様……!
紅蘭:わたし……行かなきゃ……!!
紅蘭:行かなきゃダメなの……!!
フェードでカット切り替え。紅蘭、一旦身体を離し、香燕と顔を見合わせる。紅蘭、涙顔で真剣な顔。
香燕:行くって……どこに?
策杏:……大学のことなら……
紅蘭:……
紅蘭:……行かなきゃ……!
紅蘭:みんなが……待ってるから……!
紅蘭:行かなきゃダメなの……!
香燕:紅蘭……
紅蘭:お父様……! お母様……!
紅蘭:わたし、お父様とお母様と、一緒にいられて……
紅蘭:うぅ……!!
フェードでカット切り替え。紅蘭、香燕にすがり、強く抱きしめる。奥側には策杏もいる。三人で抱き合うような格好。
紅蘭:嘘みたい……こんなの……!
紅蘭:でも……やらなきゃいけないことが……!
紅蘭:やらなきゃいけないことがあって……!
紅蘭:わたし……! わたし……!!
策杏:紅蘭…… 紅蘭……!
フェードでカット切り替え。カメラ位置をやや変更。策杏の表情を中心に捉えたショット。紅蘭は深く俯いている。
策杏:紅蘭、それは……どうしても、やらなきゃいけないことなのかい?
紅蘭:うううぅぅぅ……!
策杏:紅蘭……答えてくれ。どうしても、やらなきゃいけないことなのか?
紅蘭:ううううぅぅぅ……
紅蘭:……
紅蘭:……うん…… みんなが……待ってるから……
策杏:みんなのために?
紅蘭:……
フェードでカット切り替え。内袖で目元をこすり、涙を拭う紅蘭を正面から。一瞬表示してフッとカット差分切り替え。腕を下ろし、決然とした表情の紅蘭。
紅蘭:ううん……違う。
紅蘭:わたし……迷ってたの。わかんなくなっちゃって。
紅蘭:本当に、好きなこと、続けてもいいのか、どうか……
紅蘭:……
紅蘭:わたしが好きなことをしたら、みんなに迷惑がかかるんじゃないかって……
紅蘭:わたしのせいで、みんなが不幸になるんじゃないかって……
紅蘭:……
紅蘭:でも……
紅蘭:わたし……今日まで知らなかったよ……
紅蘭:わたし……好きじゃないことしてるとき……
ここで思わず笑い顔。
紅蘭:すごく、つまんなそうな顔してるってこと……
フェードでカット切り替え。策杏と香燕。正面からではなく、斜め前から。
策杏:……(苦笑)
香燕:……(苦笑)
カチャ……という音とともにフェードでカット切り替え。再び紅蘭の手中にある懐中時計。
紅蘭:お父様も、お母様も……
紅蘭:わたしが、好きなことしてる方が、いいって……
紅蘭:わたしが人を幸せにするには……
紅蘭:結局……わたしが好きなことをするしかないって……
紅蘭:言ってくれてたから……!
フェードでカット切り替え。今一度紅蘭の姿を正面から。決然。勇猛!
紅蘭:わたし、やってみるよ!
紅蘭:もう、逃げない!
紅蘭:自分から……自分が好きなことから……もう逃げない!!
フェードでカット切り替え。策杏と香燕。二人が顔を見合わせている。紅蘭の言葉に少し驚いている。
策杏:……
フェードでカット差分切り替え。二人とも、紅蘭の方を見る。表情を変更。心底安心した微笑。
策杏:それなら……
策杏:それなら、いいんだ……
パアア……という音とともにパッとカット切り替え。三人が一緒に写ったショット。紅蘭に異変。発光し始める……
香燕:紅蘭……?
紅蘭:行かなきゃ……!
紅蘭:もう……行かなきゃ……!!
フェードでカット切り替え。居住まいを正す紅蘭を正面から捉えたカット。せめて微笑もうとする。
紅蘭:お父様……お母様……
紅蘭:わたし……
紅蘭:……
紅蘭:この旅行、すごく楽しかった。
フェードでカット切り替え。策杏と香燕。二人とも、紅蘭の異変に戸惑いながらも……フッとフェードで表情を変更。紅蘭に応えるように微笑む。
策杏:また来よう。
香燕:みんなでね。
フェードでカット切り替え。再び紅蘭を正面から。紅蘭、気丈にも微笑み続けている。
紅蘭:……
紅蘭:……うん。
フェードでカット切り替え。策杏と香燕。二人とも、神妙な面持ちだが、紅蘭に答えてなんとか微笑んでいる。
二人とも、フッと微笑みから心配そうな表情になり……
策杏:紅蘭……!
フェードでカット切り替え。今一度光り始めた紅蘭のショット。今度は横から捉えたショット。紅蘭は胸に手をやっており、霊力匣が握られている。もはや微笑んではおらず、真剣な面持ちで最後まで両親の方を見つめたまま……
紅蘭:お父様……お母様……
光が広がり……
紅蘭:ありがとう。
ホワイトアウト……ファアアア……という音が高まり……頂点で……!!
パッと無音に。真っ暗闇かとまごうほどの『太正』帝都の現在の様子。地に伏したイルミくん。無音と思いきや、やがてゴゴゴゴ……という地鳴りのような音が低く響いていることがわかる。
カンナからは離れ、地面に内股で膝をつき、泣きはらしているアイリス……の姿をやや上から見下ろすアングルで。今だ涙が頬を伝っている。尚、画面はやや斜めに傾け不安な心理を暗喩する。パ……パ……と本話冒頭の沈痛な面持ちの花組カットを繰り返し表示。そして……
パッとカット切り替え。憔悴した表情のままオロオロと顔を上げたアイリス。の様子をやや下から見上げるアングルで。目に虹彩がない。
アイリス:……
フェードでカット切り替え。立ち上がったアイリスを横から捉えたショット。左向き。ヨロヨロと歩き出している。
アイリス:……
フェードでカット切り替え。アイリス、呆然とした表情のまま力なくイルミくんに触れる。
アイリス:……
しばしの間ののち……
アイリス:……紅蘭……
バッ!という激しい衣擦れの音とともにパッとカット切り替え。突然カッ!と全身をいからせたアイリスが首を伸ばし頭をもたげて見返り、どこか虚空を見据えて叫ぶ。未だ瞳に虹彩はない。まるでトランス状態。
アイリス:紅蘭……!!
アイリス:紅蘭っ!! 紅蘭っ!!
カンナ:アイリス!
スッとフェードアウトで一旦暗転。
レニ:アイリス……!?
すみれ:どうしたんですの!?
カタッという靴音とともにフェードでカット切り替え。カンナが画面右側からアイリスの背に手を当てている。アイリス、瞳に虹彩を取り戻し、カンナと目を合わせている。アイリスはヨロヨロと前かがみで、両手を無意識に祈るような形で胸に引き寄せている。紅蘭と同様。
カンナ:大丈夫かアイリス?
アイリス:声……!
アイリス:声がする……!
カンナ:声……?
アイリス:そう、声だよ! 紅蘭の!
カンナ:……
アイリス:聴こえるでしょ!?
カンナ:いや……
フェードで差分切り替え。アイリスの顔の角度を変え、周りにいる他の花組メンバーを見る。
アイリス:声だよ……! 紅蘭の声だよ!!
大神:マリア、どうだ!?
マリア:……いえ……私は何も……(悔しそうに)
フッとフェードで差分切り替え。アイリスの瞳から虹彩をなくす。
アイリス:紅蘭……! こうらん……!
バサッと座り込む音とともにフェードでカット切り替え。イルミくんのそばに寄り、イルミくんに向かうように祈りのポーズになったアイリスを少し上から見下ろすようなアングルで。位置的にイルミくん自体はカメラの背後だが、イルミくんがある場所だとわかるように、地面の様子をしっかり描写。アイリスの瞳にはまだ虹彩がない。
アイリス:こうらん……! こうらん……!
一拍の間ののち……
フワー……っというオーラ系の音がかすかに聞こえてき始め、同時に若干アイリスが光を放ち始める。フォトショのグロー効果まんまなイメージでOK。内側から若干の光が生じる……生じ始めた……と思った瞬間……
ピタッと無音になり、パッと暗転。一拍の間ののち……
パッと画像表示。アイリスの視点。紅蘭と同じような調子で、手のひらに霊力匣が出現している。紅蘭とアイリスとでは、手の開き方や、手首のくっつけ具合などが違う。こういう部分に個性が出るので、彼女ららしい仕草を出すように。紅蘭も案外女子女子しいが、アイリスの方がさらに可憐。開かれた両手。右手に左手が添えられていた形なので、右手が内側。右手のひらの中には、霊力匣がひとつ載っている。
アイリス:……!(驚きの表情)※言葉になっていない息遣いを
アイリス:……!(決意の表情)※言葉になっていない息遣いを
フェードでカット切り替え。霊力匣を顔の前に掲げ、それに向かって祈りを捧げるアイリスの様子を横から捉えたショット。アイリスは紅蘭と違いキリスト教(おそらく)なので、エリカくんらと同様に、よりはっきりと祈りを捧げる形になる。当然目は閉じている。左向き。帰還を目指す紅蘭は主に右向きに進むので、それに対応して迎えるような形。横長の画像で、右から左へとゆっくりパンする。最初はアイリスの顔は写っていないが、左に向かってパンすると、祈る様子も全て把握できる。
アイリス:……
一拍の間を置いて……
フェードで暗転。
アイリス:……こうらん……
一拍の間を置いて……
アイリス:……ここだよ……!
アイリス:……紅蘭……!
一拍の間を置いて……
ファアアア……!!という、『大正』の紅蘭が光に包まれたときと同じ効果音が始まる。音が始まった……この音は……あ!とプレイヤーが感じる瞬間!ぐらいのタイミングで……
パッとカット表示。レニの横顔を大きくクローズアップ!右向き。アイリス視点でいうとレニはイルミくんやアイリスの左側にいる。イルミくんとアイリスの中間地点を見て、ハッ!と息を飲む驚愕の表情を浮かべている。メッセージウィンドウなしで「!!(ハッ!!)」という息遣いを再生する。
やがてレニの顔に(若干緑色の光の混じった)光の照り返しが現れ、強くなっていく。
パッとカット切り替え。イルミくんとアイリスの中間地点を捉えたカメラ。何やらぼんやり人型……?に光が集まっていく……!だんだんだんだん集まって、光が強くなり、強力なストロボ効果が現れるほどにも強力な光になり……
パッと無音&暗転。一瞬の間ののち……
バシュウウウウウウウウウウ!!!という激しい衝撃音と共に激しいウィグルを共って、パッと一気に真っ白ストロボフラッシュ!そしてフラッシュが晴れカット表示。紅蘭が出現している!しかし身体が半透明になって、透けている。イルミくんに寄りかかるようにして、目を閉じ、昏睡状態の紅蘭。ぐったりと手を投げ出している。
アイリス:紅蘭!!
ファ……という音とともにパッとカット切り替え。紅蘭のバストアップ(倒れこんでいるが)をクローズアップしたカット。アイリス視点。紅蘭に触れようと伸ばしたアイリスの両手が、紅蘭をすり抜け、中に突入してしまっている。
アイリス:……!!
アイリス:ダメ……触れない……!
アイリス:すり抜けちゃう……!!
ファ……という音とともにパッとカット切り替え。アイリスに続き、紅蘭に向かって伸ばされたレニの右手。紅蘭の顔に触れるものの、やはりすり抜けている。
レニ:……!(厳しい表情)
パッとカット切り替え。大神に向かって叫ぶレニの顔をやや下のアングルから。
レニ:隊長!! レジオトロンだ!! 急いで!!
大神:!! わかった……!
カツッ!と激しい靴音とともにカット切り替え。地を蹴る大神の足元。右向き。振り返って紅蘭たちとは反対側、光武の方に向かって走り出した。サッと右から左へ高速でパンさせても良い。一瞬表示して……
パッと暗転。
バシュウウウウウ!とコックピット解放音。
ガチャガチャラチャラ……!!と霊力匣が嵌められた音。とともに通常ゲームプレイ画面表示。
大神:いいぞ! レニ! 始めていいのか!?
レニ:大丈夫……! 今こっちの観測盤を……!
フェードアウト。
ガシャ!という機械の一部をひっぺがす音がする。
レニ:接続は千切れている……
レニ:でも基部は……!
再びガシャ!という音とともにパッとカット表示。金の観測盤を引き出し、紅蘭の頭のそばに設置したレニの両腕。金の観測盤はイルミくんに立てかけられるようにして置かれている。観測盤からはケーブルが多々伸びているが、ほとんどが途中でちぎれてしまっている。
レニ:隊長!! 今だ!!
ギュオーーーン!!通常のようにゲームプレイ開始!ごく簡単だが、ちょっと考える短い手。紅蘭の霊力匣を揃える。制限時間あり。一分以内のスピード勝負。(場合によってはもっと早く。難易度と緊張感との兼ね合いで設定)なお、このゲームは開始タイミングをボタン入力待ちなどせず、画面が遷移してきた途端、問答無用で開始する!
アイリス:お兄ちゃん急いで!! 紅蘭が消えちゃう……!!
アイリスのセリフを機に、制限時間を表示。短い制限時間がすでに減り始めているという状況にする。切羽詰まった急な事態だということをプレイヤーにも体感してもらう。
大神:必ず連れ戻す……!!
大神:……頼む……間に合え!!
手が揃えられなかった場合、即座にパッとカット切り替え。紅蘭を表示し、バシュウウー!と光の粒子として散らし、即ゲームオーバー。もう一度挑戦するかどうかの選択を表示。復帰した際はゲームプレイ開始!からすぐ再開する。
手を揃えられた場合、先に進む。
バシーーーーーーン!!霊力匣……の中のキューブが転送される。
大神:よし!! どうだ!?
ストロボ白フラッシュフェードでカット切り替え。金の観測盤。枠部分の多角形が高速回転!すると空っぽの盤面がバシュウ!!と発光し、紅蘭が持っていた霊力匣が出現する。霊子オーラで空中に浮かんでいる霊力匣が発光しながら回転を始める。ゆっくり始まった回転が高速回転に!
高速回転する霊力匣から稲妻のようなものが迸る!バシィ!!バババシィ!!ババババババシィ!!とどんどん強くなる稲妻。
ビジ!と画像が乱れるようにして、パッとカット切り替え。半透明の紅蘭の全身を、やや上の位置から見下ろすようにして、引きのカメラで捉えたショット。ビビ!ビビジ!と、大正世界の紅蘭が太正世界を垣間見た時のノイズと同じ演出で紅蘭のショットにノイズが走り、実体を持った紅蘭の画像がサブリミナル的に混じる……実体を持った紅蘭は寝そべっておらず、地面に屈みこんでいる。膝を曲げ、腰を落とし、上体を前のめりに屈ませ、何かに祈るように合わせたを両手を胸の前で固くぎゅっと握っている。目は苦しそうに閉じている。
バシュウウウウウウウウウウウウン!!!とひときわ大きな衝撃音&ウィグル&ストロボフラッシュでカット切り替え。紅蘭が完全に実体化する。白フラッシュが明けていくと同時に、足元から上体へとカメラがパンすると……紅蘭の全身が現れる。紅蘭は左手を顔の前に掲げ、何やら眩しそうな様子で、苦しそうな表情。眉根を顰め、片目を閉じている。右手は軽く握り、胸の前に。
と同時に『ゲキテイ』……のイントロを流す。その後ドラムロールでずっと勇壮なリズムが流れてる……というのが出来たらいいなぁ……。
アイリス:紅蘭っ!!
紅蘭:アイリ……
フッとフェードアウトしながらカメラを上にパン。紅蘭が倒れこんだ、という演出。
ドサッ!という音とともに、カット表示。アイリスに抱きとめられ、あらためて地面に寝そべる紅蘭。アイリスは聖母マリアのように紅蘭を抱きとめている。頭を膝に載せ、撫でている。紅蘭は急速に眠気が来たかのように、苦しげに目を閉じている。
フェードでカメラをフッと引く。花組の背部や後頭部も見切れて何人か混じる。自然とカメラに入る範囲内で、花組全員が寄ってきていることを示す。
カンナ:紅蘭!!
レニ:紅蘭……!
さくら:紅蘭……!
紅蘭:うぅ……
フェードで差分切り替え。紅蘭、うっすら目を開く。
紅蘭:アイリス……みんな……!
大神:紅蘭、大丈夫か!?
紅蘭:……大神はん……!
アイリス:紅蘭……!
ギュッという音とともにフェードでカット切り替え。アイリスが上体を起こした紅蘭に抱きついているカット。紅蘭、感無量で目を瞑り、アイリスの頭をグッと胸に抱いている。
紅蘭:アイリス……!
紅蘭:ありがとな……アイリスの声が……
紅蘭:アイリスの声が聞こえたから……ウチ……帰って来てん……!
アイリス:聞こえたよ……! 紅蘭の声、アイリスにも聞こえた……!
紅蘭:……ありがと……ありがとな……!
アイリス:……!
紅蘭:……
紅蘭:……せや……!
パッとカット切り替え。アイリスから一旦身体を離し、周りを見る紅蘭。虹彩に光なし。焦燥の極み!という表情。アイリスは紅蘭の左手を両手でぎゅっと握っている。画面左手前側には地面に膝をついてかがみ込んだ大神。カメラに背を向けている。
紅蘭:大神はん、あれから……!!
紅蘭:あれから……どのくらい経った!?
大神:……あれから……?
大神:……たった今だ。
大神:紅蘭、君が消えてから、すぐだ。数分だ。
大神:みんな気が動転してたが、アイリスが君の声を聞いたと言い出して……
ほんの一瞬の間ののち……
ガシャ!という瓦礫をどかす音&ウィグルともにパッとカット切り替え。地面に膝をつき姿勢を低くしてイルミくんの様子を調べる紅蘭。紅蘭の顔がカメラに見えるように。依然虹彩なし。カチャカチャと機械いじりの音も再生する。
紅蘭:焼き切れてしもうとる……
紅蘭:……
紅蘭:……けど、部品はある……!
紅蘭:いける!! 直せる!!
バッ!という衣擦れの音とともにカット切り替え。肩越しに振り返った紅蘭。左側から。横目でギリみんなの方を見ながら叫ぶ紅蘭の肩より上を中心に捉えたショット。瞳に虹彩が戻っている。
紅蘭:大神はん! みんな!
紅蘭:イルミくんを直して、もう一回起動させる!!
一瞬の間ののち……
さくら:そんな……!
織姫:なにがあったかわかってないですか!?
紅蘭:今度こそ……
紅蘭:今度こそ成功させる!!
紅蘭:せやからみんな……
紅蘭:……もう一回……!
紅蘭:どうか……もう一回、ウチのこと……!
すみれ:信じてますわよ。
フェードでカット切り替え。すみれのカット。すみれさん、紅蘭に対して身体を横向きにして立っており、首を紅蘭とは反対方向に傾げ、なんならちょっと挑発的に紅蘭を見る。カメラに対しては身体は正面を向いており、左手を腰に当てている。藤島感のあるポーズ。素直でない姿勢。
すみれ:随分いい顔してるじゃありませんの。なにがあったか知りませんけれど。
スッとフェードでカメラを引くと、アイリス以外の花組全員がカメラに収まる。紅蘭を取り囲むように近づいていたため、若干の輪になりながら、みんな横並びに並んでいる。決然とした表情、笑顔、など、表情は様々。以下、表情指定。さくら、戸惑い。レニ、真剣な面持ち。すみれ、カメラを引いただけなのでそのまま挑発的な笑顔。大神、決然とした表情。再び正義の炎を燃え滾らせている。カンナ、再挑戦への気概を見せる挑戦的ニヤリ笑顔。織姫、腕組みの姿勢から片手を上げ、顔に添えるようにして覆っている。泣いているのを一応隠しているが、バレバレ。マリア、大神と同じく決然とした表情。しかしこちらは極低温のクール寄り。敵を打破するためにどんどん冷静になっている。
すみれ:やってやりますわよ。ね? 中尉。
大神:……
大神:紅蘭……本気なのか?
紅蘭:……うん……ウチの身に起こったこと……
紅蘭:ウチ、ハッキリ原因がわかってん。
紅蘭:説明は、しづらいねんけど……
紅蘭:……
紅蘭:……もう、迷わへん。
大神:……
紅蘭:……
大神:……わかった……
大神:紅蘭……君がやるというのなら、俺たちは君の指示通りに動く。
大神:だから……
フェードでカット切り替え。今一度紅蘭のカット。真剣な面持ち。
大神:今度こそ……何としても……
大神:切り札を起動させるんだ……!
大神:……また消えるのだけは禁止だ。
フッと紅蘭の表情を感じ入った笑顔に。
紅蘭:大神はん……みんな……!
大神:よし……いくぞみんな……!!
大神:今度こそ……何としても成功させる……!!
全員(顔アイコン代表、紅蘭。笑顔で):了解!!
フェードアウト。
しばしの間を置いて……
バシュ……バシュ……!と壊れかけのモニターの音とともにパッとカット表示。第11話で使用した蒸気ボイラーの説明画面再び。しかし今回はモニターの枠が損壊しており、画面も汚れている。と言っても、正直キネマトロン画面の仕組みはよくわからないので、破損状態を表現しようとして、明らかに“ブラウン管”っぽくなったり“液晶モニター”っぽくなったりしないように注意する。案外そういうのを配慮なしに表現してしまうと結構違和感出ると思うので、画面の表面だけをうまいこと汚して、お茶を濁すように。
日比谷ボイラー以外のボイラーが赤く表示され、破壊されたことを示す。
紅蘭:あかん……! ボイラー網がやられとる……!
パッとカット切り替え。日比谷ボイラーのボイラー設備の様子。第11話の繰り返し……だが、状況が変わっている。
ゴオオオオオオオオオ……!バシューーーーー!!とまずボイラー本体描写。やや火が落ち着いている。
シューーーー……と、弱めの蒸気音とともに次は入り組んだ配管を描写。
シューーー……ともう一つ違う場所、より地上に近い場所の配管。
圧力メーターを表示。表示が下降し、青に近いラインになっている。
ゴオオオオオ……とスリットが入った蒸気の噴出孔がある。スリットは展開しているが、蒸気はほぼほぼ消えている。
パッと元のモニター画面に戻す。
紅蘭:ここしか使えへんかったら……出力が足りひん……!
紅蘭:蒸気がないことには……
紅蘭:……
バシャァァァァ!!と水エフェクトとともにカット切り替え。低く腰を落とし、そのまま地面にへたりこむようにくずおれた水虎。と、水虎に支えられた御婢子狐。どちらも満身創痍。二人とも子供のような体格になってしまっている。
水虎:蒸気……?
紅蘭:……!!
水虎:蒸気がなんだと……!?
シャン!という鈴の音とともにカット切り替え。右手にキラキラと砒霜を握り込み、構えている紅蘭。握りこぶしの右手を前に出し、左手で念を込めるように支えている。
紅蘭:砒霜をわけてもろうとる……!!
紅蘭:痛い目に……
紅蘭:痛い目にあいとうなかったら……!!
水虎:はっ……無駄だよ……!
水虎:オイラたちが本気を出しゃあ……
水虎:そんなもん……なんの助けにもならねぇ……!
水虎:んなこた、わかってんでしょうに……
紅蘭:……黙れ……!!
フェードでカット切り替え。元の水虎と御婢子狐のカットに戻す。
水虎:……蒸気がありゃいいのかい……?
紅蘭:なんやて……!?
水虎:答えなよ。蒸気がありゃいいのかい?
紅蘭:……
水虎:……ったく…… ……姐さん……
御婢子狐:ああ……
御婢子狐:……(表面的には浅くかすかな、しかし深い深い諦念が滲んだ、苦い嘆息)
御婢子狐:仕様がないたあ……このことさ……
御婢子狐:他にやることも無くなっちまった……
紅蘭:あんたら……何を……?
水虎:なあ……眼鏡の姉さん……
水虎:おいらたちの力はこれで最後だ……
水虎:無駄にしないでおくれよ……
バシャァァァァ!!と水エフェクトとともにカット切り替え。取り残された紅蘭の呆然とした表情。一筋の冷や汗。右手は先ほどの位置よりも下ろされている。目には虹彩あり、水虎と御婢子狐の意外な行動に強く戸惑いながらも、希望を感じている。
バシャア!ボオォ!と水と火の音と共にカット表示。日比谷ボイラー本体の直上に躍り出た水虎と御婢子狐。水虎は水エフェクト、御婢子狐は炎エフェクトを飛び散らせて。
ショワーーン、ビシュウゥ!とフェードでカット表示。水虎、御婢子狐それぞれが青いオーラ、赤いオーラとなり、蒸気ボイラーの中に入っていくショット。
ゴーーン……と重い衝撃音。とともにカット切り替え。日比谷ボイラー本体の基本ショット。フッと火が消えて、暗くなる。しかし……
ドオオオオォォォォン!と爆発音のような音ともに一気に強力な火が起こり、今にも爆発するほどに燃えたぎる。衝撃波エフェクト&白フラッシュなども併用して、一気に爆発したということを表現。カッ!と全体が明るくなる。爆発と同時に激しい炎上音がボオオオオオオオオオ!!となり続ける。
バシューーーーー!!ともう一つ違う場所、より地上に近い場所の配管。一瞬だけ。
圧力メーターを表示。表示が一気に上昇し、真っ赤なラインに。
ドーーーーン!ドドーーーーン!と爆発音&ウィグルとともに、パッとカット切り替え。蒸気パイプラインが箇所箇所で爆発している様子を2枚ほどパパッと見せる。
パッとカット切り替え。モニターを見つめる紅蘭の驚愕と苦渋の表情を正面から捉えたショット。メッセージウィンドウなしで『!!(ハッ!)』という息遣いを入れる。
パッとカット切り替え。モニター画面の様子。日比谷ボイラーと周辺のパイプラインが赤く点滅している。
紅蘭:あかん……!! 強すぎる!!
紅蘭:パイプラインがもたへん……!!
パッとカット切り替え。制御盤を操作する男の腕。着物を着ている。制御盤はアナログレバーが多め。各種メーターなど大量についている。グイーーン……というアナログレバー操作音。
バシン!バシン!と別の場所でこちらはオンオフ系の制御レバーを倒す、こちらは黒子の腕を2連続で。
パッとカット切り替え。モニター画面の様子。日比谷ボイラーと周辺のパイプラインが点滅し、緑に変化する。
紅蘭:……!?
紅蘭:治った……?
加山:それで開放できるのか?
ビシュ!ビシュビシュ!カッ!カッ!カッ!という忍者音とともにフェードでカット切り替え。紅蘭の周りに月組黒子部隊が展開している……と思った瞬間……
カッ!という音とともにパッとカット表示。地面に降り立った加山の脚をアップで。右足から降りている。一瞬表示したのち……
パッと元のカットに戻る。すると加山が現れている。紅蘭の近くに来ているが、紅蘭の方は見ておらず、すでに腕をあげて黒子部隊に指示を出している。
加山:駆け車!!
月組:ハッ!(複数人の掛け声)
紅蘭:加山はん!!
フッとフェードでカット切り替え。腕を上げた加山を後ろから捉えたショット『サクラ大戦2』終盤での加山をオマージュしたカット。あの時は防衛線を表して腕を上げていたが、今回も似たような仕草になっている。後ろを見返る形で話している。
加山:パイプラインの制御は月組に任せて……紅蘭さんは、切り札の制御に全力を……!
紅蘭:おおきに加山はん……!!
加山:いえいえ。実際に制御してるのは、俺じゃないんでね。
紅蘭:……?
パッとカット切り替え。再び制御盤を操作する男の腕。着物を着ている。先ほどとは違う場所。右腕である様子。グイーーン……というアナログレバー操作音。
バシンバシン!とパッとカット切り替え。別の場所で横に連続して並んだオンオフ系のレバーを次々に倒しているらしい左腕の様子。
バシューー!!という音とともにパッとカット切り替え。大きく両腕を広げ、必死で制御盤を操作する青木保治郎の姿を背後から。左右には月組が付いており、彼らも何らか操作している。一瞬表示した後……
バシューー!!という音とともにパッとカット切り替え。メーター類を見つめる青木保治郎の表情を正面から大写しに。必死の形相。
紅蘭:青木先生が……!
パッとカット切り替え。元の加山のショット。
加山:彼以上の適任者はいませんからね。
加山:ま、大審院からすぐ目の前のここまで来るのに……
加山:赤坂まで飛んじまったのには参りましたけどね……
紅蘭:加山はん……
フッと加山の表情を変え、真顔に。
加山:それと……これを。
シュ!という物を投げる音とともにフェードアウト。
パシ!という物をキャッチする音とともにパッとカット表示。紅蘭が両手で何かをキャッチしている。両手の中に収まるほどの大きさのもので、両手ですっぽりしまっているので、何なのかは見えない。加山の投げ方が上手いので、紅蘭も苦せず受け取れている。
紅蘭:……!
紅蘭:……これは……?
フェードでカット切り替え。紅蘭の表情をアップに。顔をアップにしているので、手元は写っていないが、手の中のものを見つめているらしい角度の表情。虚を突かれたような表情から、スッと気が引き締まった決然とした表情へと変化する。
紅蘭:……
紅蘭:加山はん……おおきに……!
紅蘭:……
紅蘭:今度こそ……!
フェードアウト。
パッとカット表示。光武紅蘭機。上のカメラアイが取られている。基部だけ見えている様子がわかるように。
フェードでカット切り替え。光武紅蘭機の無くなったカメラアイの位置とそのまま同じ箇所に出現する、とろりと光るカメラアイ。イルミくんに取り付けられた紅蘭機のカメラアイをアップで表示する。
ガシュウーーン!という音とともにパッとカット表示。イルミくんが立ち上がり、元の位置に戻ったカット。
この後、第11話のイルミくん準備モンタージュカットを繰り返す。もう一度!を強調。
バシュー!と、イルミくんにケーブルを接続した瞬間の様子。ケーブルの色が変わっている。
バシュー!と、イルミくんにケーブルを接続した瞬間の様子を、続けてもう一箇所。今度は肩部などが良いか。要は、ちょっとイルミくんの顔の一部を見せるのが目的。
カチッ!っと紅蘭の手が何かバックパックの装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。この先全く違う構図の、しかし紅蘭が手慣れた様子でペチペチ!っとスイッチを入れて行く様子を三連続。
カチッ!っと紅蘭の手が何か装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。二箇所目。
カチッ!っと紅蘭の手が何か装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。三箇所目。
キュオーン……ヴォーーン!と、キネマトロンディスプレイの照り返しを受けた紅蘭。カチカチと何やら操作している。やや横顔気味。首の向きや目線は、胴の向きや手元からは離れているのがポイント。複数作業を同時進行していることが一発でわかるスタイルに。両手も離れており、別々の場所を操作している。
フェードアウト。
パシュー!と蒸気音をさせながら、ゆっくりとフェードで画像表示。イルミくんの自動手動切り替えスイッチを今一度見せる。
紅蘭:……
一拍の間を置き……
シャラ……という鎖の音とともに、フェードでカット切り替え。紅蘭の視点。左手のひらに握られた紅蘭の懐中時計。『太正』時代の懐中時計なので、蓋のガラスが無くなっている。しばし表示し……
フェードで差分切り替え。スッと懐中時計を優しく握る紅蘭の手。しばし表示し……
キュッという衣擦れの音とともにパッとカット切り替え。自動手動切り替えレバーに置かれた紅蘭の右手。
紅蘭:……ウチ……
一拍の間ののち……
パッとカット挿入。再び紅蘭の左手。しかし今度は横から捉えたショット。懐中時計をクッと握り込んだ左手は胸の前にある。大きさ的に手のひらに収まり切りはしない。一拍表示したのち、元のカットへ。
パッと元のカット。
紅蘭:もう……絶対……!
一拍の間ののち……
ガシャン!!と大きな音とともにカット切り替え。手動に入ったレバーをクローズアップ。迫力の角度で。
バシュウウウウウウ!!キュワーーーーーン!!と発光し始めるイルミくん!第11話の決めカットと同じショット。今回は発光している。再び渾身の勇ましい系BGMを。
紅蘭:大神はん! みんな! 準備はええか!?
パッとカット切り替え。大神コックピット。
大神:ああ……! やるぞ紅蘭!!
ドン!とイルミくんを中心にした花組光武勢揃いカット。11話と同様のもの。
紅蘭:今度こそ……!
カシャ!カシャ!カシャ!と3連続でイルミくんの各種レバーを調整する紅蘭の手。保治郎の様子にも似ている。
スッとフェードでカット切り替え。金の観測盤にクッと添えられた紅蘭の手。
パッとカット切り替え。紅蘭の顔を正面から。目を閉じ、集中する紅蘭。オーラで髪の毛や服が持ち上がっている。
コオオオオオオオオオオオ!という激しいオーラの音が高まり、光が満ち、白フラッシュ!
パッとカット表示。円陣を組んだ花組の光武がオーラを放ち光り輝く!!
大神:紅蘭!!
パッとカット切り替え。同じくオーラに包まれた紅蘭、イルミくんを必死に操作している。第11話と同じようにオーラで髪の毛や服が持ち上がっている。
紅蘭:蒸気解放……!!
紅蘭:イルミネイション……
紅蘭:……起動!!
バシン!とという音とともにパッとカット表示。大きなボタンを押し込んだ紅蘭の握り拳。
バシュウウウウウウウウウウウ!!!とパッとカット切り替え。スリットが展開した排気口から大量の蒸気が噴出している!第11話よりも大量!今回はオーバーロード!!
ドドドドドーーーーーーーン!……という大轟音とともにパッとカット切り替え。帝都の遠景。第11話でもあった、原始降魔ヨミと吹き上がる蒸気柱を引きで捉えたショット。だが、今回はより巨大な蒸気柱!規模が拡大している。
パッとカット切り替え。氏綱ヘッド。
氏綱:まだ何をかするつもりか……
氏綱:これが蒸気の断末魔とは……
ゴオオオオオオオオオオオ……という、こちらはダークな音とともにパッとカット切り替え。破壊……というか、侵食されている帝都の様子。降魔傀がモニョモニョと増殖し、触手を伸ばし、建物を包み込もうとしている。上野精養軒が侵食されている。人気(ひとけ)はない。横にじわパンさせる。幻影の桜は鈍くぼんやりと漂っている。
オオオオオオ……ともう一箇所。第11話で降魔傀が落ちてきた同潤会アパートメントも、すっかり侵食されている。同じく人気なし。縦にじわパンさせる。同じく幻影の桜が鈍く漂う。
パッと暗転。
ドドドドーーーーーン!と蒸気噴出音が遠くで地響きのように響く。
パッとカット表示。今一度帝都市民の様子。第一話冒頭の長屋の親子。戸口を開けて、外を見ている。
子供:蒸気?
パッとカット切り替え。親子の視点。遠くに巨大な蒸気柱が出現している。
パッとカット切り替え。再び親子の姿。父親が子供の肩を抱き、緊張の面持ちで上空を眺めている。子供も同じく。
父親:なんだありゃあ……
一拍の間ののち……
パッと暗転。同時にドーーーーーーーーーン!キシャーーーーーーーーーーン!という花火のような音と、続いて独特のイルミネーション起動音が遠くで鳴り響く。音が終わらないタイミングで……
パッとカット表示。子供の顔をアップで。まるで花火に照り返されているように、顔に光が当たっており、瞳がキラキラ輝いている。笑顔ではない。美しさに畏怖を覚えたかの表情。
フッとフェードでカメラを引き、親子二人の姿を映す。二人とも花火を見ているかのよう。
父親:あ……
父親:ありゃあ……!!
一拍の間を置いて……
パッと暗転。再び同時にドーーーーーーーーーン!キシャーーーーーーーーーーン!という花火のような音と、続いて独特のイルミネーション起動音が遠くで鳴り響く。音が終わらないタイミングで……
パッとカット表示。外を眺める加山の姿。花火に照り返されているよう。青木保治郎は計器類に集中している。加山もやはり畏怖の表情。
加山:青木先生……!!
シャーーーーーーーン……と鈴の音のような音が起動音が響き、同時にフッとフェードでカット切り替え。加山に促され、外を見る保治郎。花火に照り返されているよう。眩しさに若干顔を顰めている。
保治郎:……
一拍の間ののち……
パッとカット切り替え。保治郎の瞳のアップ。メッセージウィンドウなしで「!!(ハッ!)」という驚愕の息遣いを入れる。一瞬表示したのち……
パッとカット切り替え。外を見る保治郎表情が変わっている。驚愕に目は見開かれ、若干口も開いている。
保治郎:……
パッとカット切り替え。今度は上空を見上げる保治郎の顔を横から捉えたショット。感きわまる寸前の、なんなら苦痛の極みにも見える痛ましい表情。眉間に力を入れ、歯を食いしばり、なんとか耐えている。
保治郎:あれは……
パッと暗転。再び同時にドーーーーーーーーーン!キシャーーーーーーーーーーン!という花火のような音と、続いて独特のイルミネーション起動音が遠くで鳴り響く。音が終わらないタイミングで……
パッとカット表示。氏綱ヘッドを正面、少し上側から見下ろすようなショット。ある程度離れている。氏綱ヘッドに花火の照り返しのような光が当たっている。
氏綱:……な……
一拍の間を置いて……
パッとカット切り替え。氏綱ヘッドに近寄る。より表情がよく見えるようになる。
氏綱:……なんだ……
一拍の間を置いて……
パッとカット切り替え。さらに氏綱ヘッドに近寄る。より表情がよく見えるようになる。困惑の表情。
氏綱:……あれは……!?
ゴオオオオオオオオオオオ!と迫力の蒸気音とともにパッとカット切り替え。遂に最終決戦祈祷術・幻武が出現!BGMはまだ。無音。帝都の建物がシルエットで写っている遠景のショットの中、まずは幻武の脚部が出現。幻武はキラキラと虹色のワイヤーフレームのような調子で輝いている。半透明なので、輪郭でない部分も虹色のマーブル模様になっている。ウルトラマンのオープニングの素材みたいな感じ。
ゴオオオオオオオオオオオ!と迫力の蒸気音とともにパッとカット切り替え。次に幻武の腹部。ここで既に雲が出ている。極小の鳥の群れを配置して、大きさが対比できるように。でかい。
ゴオオオオオオオオオオオ!と迫力の蒸気音とともにパッとカット切り替え。幻武の頭部が出現。あまりに巨大なので普通の光武とは湾曲度が違う。遥か下に鳥の群れがあり、いかに幻武がいかに巨大かということがわかるように。幻武は青木清司が作った模型が映し出されたもののため、頭部は三つ目になっている。あの三つ目の光武だということがハッキリわかるように。
ゴオオオオオオオオオオオ!と迫力の蒸気音とともにパッとカット切り替え。遂に幻武の全身。遥か引いたカメラで、足元に帝都の建物の影がある。
ドーーーーーーーン!とテロップ表示。『対巨大怪異決戦用次元超克祈祷術・幻武』
要は『幻武』なので「幻武」の文字が目立つように。二段にして、文字の大きさ等も変えて。
BGMも幻武のテーマが開始する。
氏綱:馬鹿な……
ゴオオオオオオオオオオオ!と迫力の蒸気音とともにパッとカット切り替え。ここから先、ちょっと特殊なカット。原始降魔ヨミの影からそれに比肩する幻武が出現する様を見せる。
まず原始降魔ヨミの背後からのカメラ。超巨大なので遥か何百メートルか離れた場所からのカメラなのだが……。ヨミの影(の右側)から向こうにいる幻武が少し見えている。カメラは右方向へ向かって超高速移動している様子で、画面手前にヨミの触手が少し見えており、それが右から左へ向かって、超高速で移動している。ブラーをかけて、高速感を出す。だが、あまりに対象が巨大なため、原始降魔ヨミ&幻武はほとんど動かない。じり……と少しだけヨミも幻武も動いている。ヨミは左側に、幻武は右側にジワリと移動している。そこで……
バシュウウウウ!と蒸気雲を画面に出し、それをワイプとすることで、パッと移動を飛ばし、原始降魔ヨミと幻武がほとんど重ならないような位置へとジャンプさせる。画面手前ではなおもヨミの触手が超高速で移動している。
ドーーーーーーーン!と、パッとカット切り替え。ヨミと幻武が向かい合った様子を地上から一枚に収めたショット。右側、上手が幻武。左側、下手がヨミ。遂に花組が上手に回る……!
氏綱:なんたる……なんたる不遜……!
氏綱:人間とは……卑小な生物であろうが……!
氏綱:それを……かように巨大な……!!
コオオオオオオオ!というオーラ音とともに、パッとカット切り替え。紅蘭の顔を正面から。目を閉じ、集中する紅蘭……の図だったが、今回は目を開いているバージョン。オーラで髪の毛や服が持ち上がっている。
コオオオオオオオ!というオーラ音はそのままに、パッと暗転。
カシャン!カシャカシャカシャン!!といういつもの霊力匣を動かす効果音。
パッとカット表示。金の観測盤に嵌め込まれた霊力匣を紅蘭の手が動かしている。カシャン!といういつもの効果音とともに、サッとフェードで動かしたということがわかるように。
コオオオオオオオオオオオ!と激しいオーラの音ともに、パッとカット表示。再び円陣を組んだ花組の光武。が……
バシュン!バシュバシュバシュン!と、霊力匣の転送と同じエフェクトで転送される。
その後、空中に転送された光武の様子を示すショットに移る。それぞれの光武が合体ロボットよろしく、幻武の各部に配置される。
バシュン!シュ!×9機分。バシュン!で空中に転送された光武のショットを正面から。光武はオーラを纏っており、幻武の中に転送され、宙に浮かんでいる。そしてシュ!でカメラをサッと引き、各隊員が幻武のどこに配属されたのかを示す。ここはちゃんと全員分、9機分示す。
尚、空中に浮かんでいるのは舞空術を使ってる悟空のようなイメージで、大神とカンナはポーズももろにそれだが、隊員によってそれらしいポーズにする。さくら、カンナ、マリア、すみれ、レニ、アイリス、織姫、大神、紅蘭の順に表示。それぞれテーマカラーのオーラを纏っているのもポイントなので、そこもはっきりさせる。さらに幻武搭乗中は大神も含めた花組全員が、コックピット内部でも各色のオーラを纏いっぱなしになる。コックピットカットが出てくる隊員はオーラ発動状態に。
以下、各隊員の配属先の部位とポーズ集。
さくら機、右腕・上腕。つま先を伸ばしているが、剣道の足捌きを引きずった直線的な配置。太刀を右側下段に伸ばすように構え、円月殺法の発動前のようになっている。
カンナ機、右脚。完全に悟空……あ、クリリンか。気を発して飛んでいるかのよう。両足を開き、両腕を気合い入れポーズに構えている。
すみれ機、左脚。砒霜匣が重く、機体が後ろに傾きがちだが、逆に胸を張っているかのようにポージングし、巨大鉄扇を上向きで構え(投げキッスの直前構えスタイル)、カッコつけている。その様子がよくわかるように、すみれ機は完全に正面でなく、カメラに対してちょっと体を傾ける。身体が左上を向いているような調子。
マリア機、頭部。既に銃を構えて、狙いを定めている。マリアも身体を横に構えており、前のめりになっているような調子なので、ちょうどすみれ機と裏表のようになる。身体が右下を向いており、大きく左上に向かって右手の拳銃を突き出すような形。足は開いている。
レニ機、左肩。ランスを左手で構えている。強い肩!グッと溜めた姿勢。足は大きく開き、踏ん張っているかのよう。
アイリス機、腹部中央部、つま先は揃え、身体をやや上向け、両腕を横に広げ、抱きしめ待機状態。慈母のよう。左右対称。
織姫機、左腕・下腕。両足を中央で揃え、両腕を左右下段に広げ、身体をやや下向け、真正面から「いらっしゃいませ」と迎え撃つかのような姿勢。悪魔のよう。DIOポーズともいう。ちょうどアイリス機の裏表のような姿勢。ボス感凄い。劇場版の禍々しいバージョンを若干彷彿とさせる……気もする。
大神機、心臓部。カンナと同様に悟空ポーズだが、大神は両刀があるので、自然に広げて持っている。
紅蘭機、バックパック部。全武装を完全展開している。
ドーーーーーーン!と引きのショットで再び幻武の全身像。各部に各隊員のオーラの光が煌めいている。
氏綱:呵呵……
パッとカット切り替え。氏綱ヘッド。
氏綱:呵呵呵呵呵呵……くだらぬ……
氏綱:くだらぬわ……!
氏綱:妖怪どもに懲りもせず……
氏綱:幻影……またしても幻影……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!という音とともにカット切り替え。ヨミから右腕のような触手が伸び、振りかぶられている。
氏綱:そんなものが何になる……!
氏綱:虚仮威し! 気休めそのものだ……!
バシュウウウウウウウウウ!!と原始降魔・ヨミからの右腕?巨大な触手が振り下ろされ、幻武が攻撃される!
パッとカット切り替え。オーラを纏った紅蘭の顔を正面から。オーラで髪の毛や服が持ち上がっている。
紅蘭:大神はん!!
ガシャ!という音とともにカット切り替え。大神機のコックピット内、観測盤で何かが揃えられた様子。一瞬表示。
キュワーーーーン!と幻武の右腕がさくら色に光り輝く!!
バシュウウウウウウウウウウウウ!!という音とともにパッとカット切り替え。右下段から左上段に向かって大太刀を斬り上げた幻武。途中で両断されたヨミの触手。
パッとカット切り替え。両断された先のヨミの触手がキュアアアアアアア!という気味の悪い断末魔を上げて、空中で光の粒子となって分解消滅する。さくら色の光!
氏綱:な……!!
パッとカット切り替え。氏綱ヘッド。狼狽した表情!
氏綱:な……!!
氏綱:はっ……!!
サッとフェードでカット切り替え。先ほどのポーズのままの幻武。右腕がさくら色に光り輝いている。
パッとカット切り替え。幻武と同じポーズをとったさくら機。
パッとカット切り替え。さくら機コックピット。氏綱を睨め付けるさくら。
氏綱:破邪の血統っ……!!
ドーーーーーーン!という音とともに、バシュ!と再び先ほどのポーズのままの幻武に戻る。ブラー&ズームアウト効果で、サッとカメラが一気に引いたように見せる。
パッとカット切り替え。再びさくら機コックピット。じわ横パン。
さくら:氏綱……お前は人々を襲うだけでなく、妖怪たちをも利用した……
さくら:その上……帝都ばかりか……世界そのものを辱めようだなんて……!
ドーーーーーン!と再び幻武の姿。が、今回はヨミ目線。目の前に大太刀の切っ先を突きつけられている!
さくら:……外道め!!
さくら:帝都の人々の希望を奪うものは……
パッとカット切り替え。さくらの凛々しい表情をアップで。
さくら:私たちが、絶対にゆるさない……!
ドーーーーーン!と氏綱ヘッド。下からの煽りのカメラで、氏綱がひどく狼狽しているように見える。
氏綱:く……
氏綱:ぬぅ……
フェードでカット切り替え。紅蘭機コックピット。
紅蘭:みんな、調子はどうや!?
カンナ:行けるぜ……!! 力が漲ってくる!!
アイリス:紅蘭……!!
バシューーー!という音とともに、カット切り替え。幻武の頭頂部付近を捉えたショット。蒸気が沸き立っている。
フェードでカット切り替え。アイリス機コックピット。金色の光に包まれたアイリス。
アイリス:アイリス……わかる……!
アイリス:……セイちゃんが……!
アイリス:セイちゃんがいるよ……!!
紅蘭:……清司くんが……?
アイリス:うん……! アイリスたちと、一緒にいる……!
アイリス:セイちゃんも、味方してくれてる……!
紅蘭:……そっか……あの子も……!
紅蘭:……せやったら……
パッとカット切り替え。再び紅蘭機コックピット。
紅蘭:絶対に負けへんな……ウチらは!!
紅蘭:光武は、あの子の、憧れなんやから……!!
紅蘭:大神はん!! さっきの通りや!!
紅蘭:普段通りの祈祷で、ウチらは氏綱と戦える!!
バッ!とカット切り替え。大神機コックピット。
紅蘭:行くで……大神はん……!
紅蘭:あのタコをぶっ飛ばすんや!!
大神:ああ……これが最後の戦いだ……!!
大神:行くぞみんな!! 氏綱を倒すぞ!!
全員(顔アイコン代表、さくら):了解!!
☆☆☆戦闘パート開始:文月:常世の国/帝都☆☆☆
第12話 戦闘パートスタート!!
ラストバトルは特殊戦闘。ゲーム盤の横は通常マップ画面ではなく、超巨大なヨミと幻武が戦う様子が映っている。プレイヤーが何か花組隊員の色を揃えると、幻武の各部位が各隊員の色に光り輝き、各隊員の攻撃方法で攻撃を行う。アイリスは当然回復。いよいよラストバトルだ!!
☆☆☆☆☆☆
カンナ:おいおっさん……! よくもあたいたちを裏切ってくれたな……!
氏綱:ふん……見抜けなんだお主らの手落ちよ……!
カンナ:……あたいは最初から怪しいと思ってたさ……!
氏綱:呵呵! ……戯言を……
氏綱:そなたが何を思ったか知らぬが、所詮は……
カンナ:スイカだよ。
氏綱:……何?
カンナ:スイカだよ……!
氏綱:……(絶句)
カンナ:あたいより先に全部食っちまったのはしょうがねえさ……
カンナ:けどそのあとだ……妖怪たちを退治するとか言って……
カンナ:面白がってバシャバシャ余計に投げつけやがって……
氏綱:……(絶句)
カンナ:食いもんを粗末にするような奴が……
カンナ:いいもんなわけがあるかよ!!
氏綱:……な……(狼狽)
カンナ:あたいの蹴りでも……食らいやがれってんだ……!!
☆☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆☆
すみれ:ちょっと中尉! どうしてこのわたくしが左脚なんですの!?
大神:え……! お、俺に言われても……
すみれ:では紅蘭、あなたですの!?
紅蘭:え、いや、これは……なんか自然に決まったっちゅうか……
すみれ:この神崎すみれが脚になって戦うだなんて……!
レニ:おそらく、すみれが舞踊の名人で、足捌きの達人だからだ。
すみれ:……(虚を突かれた顔)
レニ:さらにカンナとの相性がいい。
レニ:カンナもまた、足技、足捌きに優れてる……
レニ:達人同士が両脚に配置されるのは、それが最適解だからだ。
すみれ:……そうですの。
すみれ:まあ……カンナさんとコンビ扱いなのは不本意ですけど、そういうことでしたら……
カンナ:おいおいなんだ……ここで始める気か?
すみれ:願ってもいませんことよ、なんでしたら……
大神:おいおい……! 左脚と右脚で喧嘩は勘弁してくれ……!
織姫:本当に相性いいですか?
レニ:ああ。完璧だ。
☆☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆☆
四分の三程度のダメージを与えたところで……
ギュルルルル!!と右腕(っぽい触手)が復活する。最初にさくらによって切り落とされた触手。ウィグルを伴ってカット切り替え!
氏綱:無駄だと……無駄だと言っておろうが!!
氏綱:今やこの地は常世の国と混ざっておる……!
氏綱:儂は……儂らは、無限に再生するのだ……!
ファー……という神聖な音とともにパッとカット切り替え。マリア機コックピット。目を閉じて、集中している。タチバナ色の黄色い光に包まれている。
氏綱:たとえ触れることできたとて……!
氏綱:それにどれほどの意味がある……!
ファー……という音と光が強くなり、白フェードアウト、そして暗転。
ゴオオオオオオオオオ!という炎の音と、ガーン!ガーン!という銃撃音。とともにパッとカット表示。ウクライナ時代のマリアのシーン。モスクワの戦闘。瓦礫の影に隠れて銃撃している味方革命軍の同志の背中。
ガーン!とひときわ大きな音ともに、味方が吹き飛ぶ。銃撃されたわけだが、血とかはダメ。
バタ!という音とともに、仰向けに倒れ、地面に投げ出された仲間の腕先ナメの、画面奥側に革命時の若いマリア。マリアも物陰に隠れ、戦っている。今、視線は画面手前で倒れた兵士に向けられている。
マリア:……!
カチャ!という音ともにカット切り替え。物陰から身を乗り出し、狙撃体勢のマリア。横から捉えたショット。右向き。一瞬表示した後……
同じ角度でマリアの目のドアップ。驚きの目。『!』という感嘆の息遣い音声を入れる。これも一瞬表示した後……
パッとカット切り替え。マリア同様物陰に隠れ、銃弾の嵐の中、機を伺うユーリの姿をクローズアップ。身体はこちら側を向いている。一瞬表示した後……
パッとカメラを移動&引くことで……ユーリの後ろ、死角にクダンがいることを示す。一瞬表示した後……
カチャ……という音とともにカット切り替え。一瞬怯み、銃を下ろすマリアの姿。マリアの表情をやや煽りで捉えたカット。視線は最初正面を向いており、フッ……フッ……とフェードで視線を左右に降る。銃は一旦下ろしている。ここのカチャ……は銃を下ろした音。
パ……パ…… と連続でカット切り替え。二枚でOK。別の兵士の後ろにもクダンがいることを示すカット。マリアが見ている感が出るように、そこそこ引きのショットで。
パッとカット切り替え。先ほどのマリアのカットを今一度。表情はさらに動揺を強めている。
ドオオオオオーーン!と遠くで響くくぐもった爆発とともにウィグルを伴ってパッとカット切り替え。マリアの瞳のどアップ。マリアの瞳に、赤い空と、シルエットが写っていることがわかる。上空にヒルコが現れている。
ゴオオオオオ……戦火に赤くなったモスクワの空を『ヒルコ(太りきっていない原始降魔・ヨミ)』が覆っている。ドラマ『ストレンジャーシングス』シーズン2の予告に出てくる感じの絵。(と、諸星大二郎の『影の街』をミックスした感じで。ちなみにこれはエヴァの元ネタでもあります)この決め絵はしばらく表示。もののけ姫の『ダイダラボッチ』も元ネタは『影の街』であるため『細い脚が何本も飛び出た、蜘蛛のような姿の真っ黒いダイダラボッチ……あるいは使徒』という見た目にする。『ヒルコ』はヨミよりもずっと痩せていて、長く伸びた首の先に氏綱の顔があるような形状をしている。尚、このカットはパッと切り替わる代わりに、ピントが時間差で合う、という演出を。上空に存在する「何か」にカメラをさっと構えた結果、最初はうまくピントが合わずにブレるるんだけど、スッと合わせる、という感じ。ピントが合った後、数瞬して……
パッとカット切り替え。氏綱の顔。最初は虚空を見つめているが、直後、スッと目線が変わり、こちらと目が合う。遥か上空、遠くの空に浮かぶ顔を見ている感じを出すため、それなりに引きのショットで。と言ってもあくまで中距離。表情がわからない程遠くてはいけない。
ガーン!ガーン!という銃撃音とともにカット切り替え。吹き飛ぶ革命軍の兵士たち。先ほどの兵士二人分、二枚のカットをパッパと見せる。それぞれ一瞬だけ表示して……
パッとカット切り替え。氏綱、こちらを見て笑っている。数瞬表示した後……
パッとカット切り替え。冷静に空を見つめるマリア。数瞬表示した後……
コオォ!という音とともに、マリアがタチバナ色の黄色い光に包まれる。表情はそのまま。
ガチャ!とという音とともにカット切り替え。信号拳銃、ベリーピストルに持ち帰るマリアの手元。
チャ!再び上空に向かって銃を構えるマリア。
ボーーーーーーーンシュ!と照明弾の独特の発砲音。とともにストロボフラッシュ……&そのまま暗転。一瞬だけ暗転し、そのまま……
ボシュ!とガス灯が灯るように照明弾の明かりによって『ヒルコ』の体の一部、右下腹あたり、肝臓の位置に降魔の頭であり、心臓があることが見える。
パッとカット切り替え。氏綱のハッとした顔……ギギ……という鳴き声とともに、搔き消えるヒルコ。
パッとカット切り替え。先ほどの上空を見つめるマリアのカット。差分で信号拳銃を撃った後の状態になっている。表情はそのまま。オーラが、フ……と消える。
ユーリ:……マリア!
ユーリ:マリア!!
ファー……という神聖な音とともにパッとカット切り替え。昔のマリアの場面に入る前と全く同じカット。マリア機コックピット。目を閉じて、集中している。タチバナ色の黄色い光に包まれている。
大神:マリア!! どうした!?
目を閉じたマリア。目を開く。
パッとカット切り替え。原始降魔ヨミ、氏綱の顔をクローズアップしたショット。あからさまに怯んだ表情をしている。動揺まで見て取れる。
氏綱:!? まさか……!!
パッとカット切り替え。再びコックピット内のマリア。
マリア:隊長!! 奴の弱点がわかりました……!!
大神:何!?
マリア:右脇腹……今は丸々太っているせいでわかりませんが、そこに奴の本体がある……!
マリア:肝臓です……! 奴の弱点はそこ……!
大神:肝臓だと……!?
カンナ:納得だぜ……魂は肝にあっからな……!
フェードで通常戦闘画面へ戻る。
マリア:さくら! 頼んだわよ!
さくら:わかりました……! 懐に入り込みます……!
氏綱:……まさか……そんなことが……!!
戦闘再開。
その直後の攻撃ヒット後……
氏綱:……おのれ……!!
氏綱:時の巫女め……! ここまで力が覚醒するとは……!
マリア:中途半端に私の人生をうろちょろしたのが……あなたの運の尽きよ。
氏綱:意識が時を超えるとは……!!
氏綱:我らと同質の存在となりしか……!
マリア:お前とは違う……!!
ドーーーーーーン!!と攻撃。
氏綱:うおおおおおおおおおおお!!
紅蘭:効果絶大!! 一気に決めんで!!
さくら:はあああああああああああ!!
ドン!!とさくらボーナス。揃えやすいように。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
原始降魔ヨミ、撃破!!
氏綱:おおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!
バシュウウウウウウ!!コワアアアアアアアアアアアア!!と光のオーラの音とともに、ヨミの全体が網の目のような光でひび割れていく。イルミネイションと同じ虹色の光が幾筋も発し、いかにも爆発しそうな風情に。
氏綱:馬鹿な……!!
コワアアアアアアアアアアアア!!と光の音はしたまま、パッとカット切り替え。あちこちの細胞がボロボロと崩れていく。中距離程度のカット。
パッとカット切り替え。落下していく肉片に寄ったカット。超上空をまさに落下中で、雲が下から上へと流れていく。すると、肉片が光り輝き、ボロボロとさらに細かく崩れていく。
パッとカット切り替え。崩れる肉片にさらに寄ったカット。細かく分解された肉片は、霊力匣と同様のエフェクトでどこかに転送されるように消えていっていることがわかる。
パッとカット切り替え。氏綱ヘッド。周りのあちこちからイルミネイションと同じ、虹色の光が漏れている。
氏綱:馬鹿なっ……!!
氏綱:馬鹿なぁあああああああああぁぁぁぁ!!
コワアアアアアアアアアアアア!!とゲッター線に消滅していくゲッターロボそのままな感じで光の波動の濁流の中にいる氏綱の顔。
氏綱:馬鹿な……ここで……ここで間違いはなかったはず……!!
氏綱:何故(なぜ)……!! 何故(なにゆえ)……!!
バシュ!とカット切り替え。紅蘭機の目前に現れたクダンを横から捉えたカット。右側が紅蘭、左側がクダン……だが、クダンの身体中には多数の氏綱の顔が盛り上がって出てしまっている。以下、氏綱とクダンの声をミックスで。
クダン:貴様……貴様は……
クダン:彼の世に……!
紅蘭:行ってきた。あんたの予言通りにな。
紅蘭:……そんで、帰ってきた。
クダン:そんなことが……
紅蘭:すまんな。往生際が悪いんや。文字通りにな。
クダン:そんなはずがあるか…… 予言は絶対だ……!!
パッとカット切り替え。第5話と同じようにクダンのアップ。
クダン:貴様は……必ず、彼の世へ……!!
ドドーーーン!バシュウウウウ!!とウィグルを伴ってクダンが爆発。
フェードでカット切り替え。煙が晴れると……光武の武装を撃ち放った紅蘭機。カメラに向かって構えている。尚、紅蘭機のカメラはイルミくんに移植しているのでひとつ欠損したまま。
紅蘭:……ま、そのうちな。
パッとカット切り替え。紅蘭機コックピット。ふっとニヤリ笑顔の紅蘭。一瞬だけ表示し……
キュオオオオオオオオオオオ!!とパッとカット切り替え。遂に原始降魔ヨミが完全に崩壊、分解していく……!
バシュウウウウウウウウウウ!!白フラッシュ。明けると……原始降魔が跡形もなく消えている。帝都遠景。
しばらくの間ののち……
シュウウウウウウ!と降魔傀に襲われていた帝都各所の様子を連続パ……パ……パ……とゆっくりめに見せていく。シュワー……と全ての降魔傀が分解していく。幻影の桜も分解していく。上野精養軒、同潤会アパートメント……。
大団円BGM。続けて帝劇夜のテーマ、という初代『サクラ大戦』と同じ構成でエピローグへ……
フェードでカット切り替え。長屋の親子。幻武を見つめたまま、会心の笑顔で話す二人。
父親:ほらな……
子供:うん! お父ちゃんの言った通り……!
父親:へへ……
子供:……
父親:……なかなか綺麗なもんじゃねえか……
パッとカット切り替え。長屋の屋根から向こうの景色。巨大な幻武が威風堂々、未だ輝いている。ちゃんと顔が見えている角度で。
フェードでカット切り替え。朝焼けの日比谷公園に出てきて、上空を見上げる加山と保治郎の横顔……バストアップを横から捉えたアングルのショット。満足そうに微笑を浮かべる保治郎。加山も大神と花組の働きを思い微笑している。
しばしの間ののち……
フェードで暗転。
保治郎:加山さん……
フェードでカット表示。差し出された保治郎の両腕。
加山:……必要ないでしょう……
ふっとフェードでカット切り替え。加山の方を見る保治郎。若干腕を下げ、不思議そうな表情。加山はカメラに入っていない。
加山:まあ……大審院次第ですが……
加山:あなたはいずれご自分の力を、世の中のために役立てた方がいい。
パッとカット切り替え。保治郎の視点。上空を見上げる加山。表情は向こうになっていて見えない。
加山:息子さんのためにも。……そのほうがいいんじゃないですかね。
パッとカット切り替え。再び保治郎。眉間にしわを寄せ、感じ入っている表情。
ふっとフェードでカット切り替え。再び上空を見上げる保治郎の横顔。
フェードでカット切り替え。朝焼けの中、巨大な幻武の輝きが、ゆっくり消えていく……。
フェードアウト。
以下、エピローグ。
帝劇夜のテーマとともに……
チュンチュン……雀ちゃん鳴き声とともにパッとカット表示。夜の明けた帝都の遠景。全景と言ってもいいくらいなので、ほとんどダメージはわからない。
フェードでカット切り替え。戦いを終え、日比谷公園に集まっている花組。加山はいない。先に保治郎を連れて行っている。
パッとカット切り替え。日比谷公園の入り口付近に風組。と、かすみに支えられたかえで。前から、椿ちゃん、由里、かすみ&かえでという形。椿は満面の笑みで手を振っている。由里は不敵に笑う。やや右向き。
パッとカット切り替え。風組とかえでに向かって手を振る花組。やや左向き。アイリス、さくらだけが手を振り、他のメンバーも全員風組の方を見ているが、めいめいにくつろいでいる。織姫は大きく伸び&左手を口に当てて思いきりあくび。
無音でパシャリとカメラで撮ったようなエフェクト&画面遷移。画面が移行すると、勝利のポーズ、決め!の写真が出来ている。すでに現像され、どうやら支配人室の机に置かれている模様。
パッとカット切り替え。決め写真をパッと拡大すると、真ん中にイルミくんがあり、イルミくんの左側には紅蘭がいることがわかる。紅蘭は左手をイルミくんに置いている。右手で誇らしげに眼鏡を支え、いたずらな調子で微笑み、こちらを見つめている。照れ半分なので、やや頬が紅潮している。
フェードアウト。
パッと通常画面に戻る。久々の通常画面……。
帝劇の外観を表示。
フェードで画像切り替え。支配人室の上の書類。
大神:その後、天笠貴一は無事に見つかった。
大神:深い傷を負ってはいたが、奇跡的に助かったようだ。
フェードで画像切り替え。瓦礫に埋もれる是害坊。羽を展開し、テントのような、繭のようなものを作っている。ここは大神によるレポート調の部分なので、回想シーン風に淡い色合いなどにはしない。色ははっきりと。
大神:発見した月組隊員によると、是害坊が守っていたらしい。
フェードで差分切り替え。キラキラと光だす是害坊。
大神:しかし力を使い果たしたのか、天笠貴一の無事を見届け……
大神:是害坊は消えていったという。
パッとカット切り替え。獄中の天笠貴一。
大神:天笠貴一は、騒動の責任を取ることになる。
大神:幸い、弟の後を追うつもりはなさそうではあるが……
大神:思うところは多々あったのだろう。まるで陰陽師から僧侶に鞍替えしたかのように……
大神:今はただ静かに経を唱える日々だということだ。
大神:まるで出家したての修行僧のようだという。
パッとカット切り替え。裁判所の青木保治郎。伏し目がちに、静かに佇んでいる。
大神:責任を取るといえば、青木保治郎も同様だ。
パッとカット切り替え。保治郎の手元。清司の模型を持っている。
大神:だが彼の場合は、帝都の守護に協力した功績も、多少なり考慮されるとのこと。
大神:また、それに関しては紅蘭が証言するそうだ。
フェードアウト。
大神:なお、その後の報告によると、紅蘭自身によるデータ解析では……
フェードでカット表示。半透明の紅蘭。
大神:決戦の直前、紅蘭は、厳密には『消滅』したわけではなかったという。
大神:よくはわからないが、身体が物理的に、どこか遠くに飛んでいたわけではないらしい。
フェードでカット切り替え。データが印字されたテープを確認する紅蘭。真剣な眼差しで集中するが故に、少し口を開いてしまっている。気を入れてテープを読んでいることがわかる。
大神:その結果を得た紅蘭は、なぜか安堵していた。
大神:それなら『向こう』の自分もまた、存在し続けているのかもしれないという。
大神:多くを語ってはくれないが、かなり奇妙な体験をしたようだ。
フェードでカット切り替え。賢人機関のラウンドテーブル。
大神:そして今回、稗田武治……北条氏綱の侵略を見抜けなかったことは……
大神:賢人機関でも大いに反省された。
大神:帝都にとっては、異次元の生物の非常な狡猾さを改めて思い知る、苦い経験となった。
大神:かえでさんは今回の事件を教訓に、改めて帝都防衛の対策を練り直すそうだ。
フェードでカット切り替え。『百鬼夜行襲来絵図』
大神:降魔、そして新たに判明した別の勢力のこともある。
大神:帝都に人が集まる限り、魔もまた集まってゆく。
大神:帝都の脅威は未だ去らない。
フェードでカット切り替え。太正期の神田祭の様子。横にじわパン。
大神:尚、今回帝都に強力な魔を招いてしまったことには……
大神:盆の時期に神田祭が間に合わなかったことも、大いに影響したという。
大神:稗田武治……魔人・北条氏綱の主張は、実際正しかったというわけだ。
大神:そのため、神田祭の時期をもっと早めようという案が計画されているらしい。
大神:早ければ、来年から実施されるそうだ。
フェードでカット切り替え。エンディングでおなじみの窓辺のぼーっとしてる大神。
大神:後は変わりなく。天下泰平こともなし……
大神:もうすぐ、夏の公演が始まる。
フェードアウト。
パッとカット表示。事務室。紅蘭の表情をアップで捉えたショット。涙ぐむ紅蘭。手に持った何かを見ているようで、視線は下を向いている。
紅蘭:……!
紅蘭:これ……!
由里:ま……色々ドタバタしてたしね。
由里:舞台のことばっかり優先するわけにはいかないし……
一拍の間を置いて……
バサッ!という音とともにカット切り替え。由里に抱き付いた紅蘭。紅蘭の背後側からの視点のカメラで、由里のたじろぎ顔がよく見える。位置関係は、紅蘭が上手手前側で、由里が下手奥側。
由里:ちょ! やめっ……! 勘弁してよっ!
紅蘭:うぅ……!
由里:……もう……!
大神:由里くんのおかげだよ。
フッとフェードでカット切り替え。アングルは似た場所で、やや位置が変わっただけ。奥から大神がやってきて、話し始める。紅蘭、一旦退いているが、腕はそのまま。大神の方を向いているので、カメラには顔が映らず。由里も大神の方を向く。こちらはやや横顔になる。
由里:大神さん……!
大神:由里くんがギリギリまで粘ってくれたんだ。
大神:印刷屋さんに拝み倒してね。
フェードでカット切り替え。印刷屋と交渉する由里のカット。頭を下げる由里。印刷屋さんは両手に大きな椿ちゃんのセンベエの瓶。困った表情をしている。
大神:直接行って、なんとか交渉してもらって……
大神:椿ちゃん家のおせんべえも総動員してね。
フェードでカット切り替え。元に戻す。
由里:ちょっ! 裏切り者!
大神:しかも配送は無理だからって言われて……
大神:自分で取りに行ったそうじゃないか。
大神:リヤカーで。
由里:……もう……!
バサッ!という音とともにカット切り替え。今一度由里に抱きつく紅蘭。先ほどのカットと共通で良いが、今度はバストアップ……頭部を中心にアップで捉える。
由里:もう……ちょっと、あんた……
紅蘭:……ぅぅ……!
由里:……
由里:……紅蘭……?
フェードでカット切り替え。切り返しで、反対側から紅蘭の表情。真剣な表情で泣いている紅蘭。両親の時とは違い、もはや堪えておらず、泣くままに任せている。
紅蘭:由里はん……
紅蘭:ありがとう……
紅蘭:ウチ……
ファサッとフェードでカット切り替え。腕はそのまま、由里から一旦離れた紅蘭。二人を横から捉えた図。紅蘭、ぎゅっと気張って無理やり笑顔を作り、愛を込めて由里を見つめている。由里は呆れたような、照れたような絶妙な表情。奥には腕を組んで微笑む大神がいる。
紅蘭:舞台……頑張るで……!
紅蘭:きっと、成功させる……!
由里:ああ……その……
由里:……良かった……喜んでくれて。
紅蘭:ウチ……わかってん……
紅蘭:こんなに……応援してくれてる人がおるの……
紅蘭:ウチ……!!
フッとフェードでカット切り替え。今一度紅蘭側からのカメラ。由里が紅蘭の頭にポンと左手を添えている。今度は微笑んでいる。ちょっと照れが入っており、若干頬が紅潮している。
由里:紅蘭。
由里:言ったでしょ。いつでも味方だって。
紅蘭:……由里はん……!
由里:あれ……言ったかな……言ったような……
由里:まいっか……
ファサッとフェードでカット切り替え。由里が紅蘭に載せていた手をそのまま引き付けるようにして、おでこをコツッと合わせたショット。目を閉じて、優しく。紅蘭、目を見開き、ときめいている(と言っても過言ではない程、感動している、ということ)。
由里:頑張ってね、紅蘭。
由里:応援してる。
紅蘭:……(紅潮している。ため息)
由里:……応援してる、ねんで。
由里:ん? 応援してるでんねん?
紅蘭:ちょ……!
フェードでカット切り替え。切り返しで、今度は紅蘭の表情。ぐしゅぐしゅの顔で思わず笑っている。
紅蘭:やめてや! エセ関西弁はずるいて!
由里:あんたもエセ関西弁やて!
紅蘭:ちょ! もう……せやけど!
あはは……と、二人の笑い声とともにフェードアウト。暗転。ここ、由里:せやけどって、ほんまに言うのん? 等、メッセージ表示なしで続いている。
数拍の間ののち……
パッとカット表示。街中に華々しく張り出された『妖怪道五十三次』の公演ポスター。由里が死守した蒸気とイルミネイション推しのキャッチコピーが踊る。しばし表示したのち……
フェードでカット切り替え。ワイワイと人で賑わう帝劇のロビー。ついに公演がスタート!がやがやとしたSEを流す。公演が始まっているので、各種その仕様に。
カチャ……という音ともにパッとカット切り替え。ティーカップを持ったマリアの手のアップ。カップにはロシアンティーがなみっと入っている。
フェードで通常画面に。楽屋。『十六夜』姿のマリア。
大神:紅茶が鍵……?
マリア:ええ……というより、マーマレードが……
大神:マーマレード……? 手作りしたっていう?
マリア:そうです。……と言っても、なんとなく、そう思う……というだけなんですが……
マリア:もしかすると……橘の実に、何か霊的な力があるのかもしれません。
大神:タチバナ……
マリア:……ええ……
一瞬の間ののち……
マリア:……隊長……今まで私は……その……
大神:……?
マリア:……母方の…… いえ、父の方もそうですが……
マリア:……血筋というものは、ほとんど意識していなかったんです……
マリア:……正直、それが理由で色々なことがありましたし……
マリア:……あまり考えないようにしていたというか……
大神:……
一瞬の間ののち……
マリア:聞いた話では、田道間守というのは、お菓子の神様なんだそうですね。
マリア:常世の国から、非時香具菓という、神秘の実を持ち帰ったとか……
大神:トキジクノ……カグノコノミ……? ……もしかして、それが……
マリア:橘の実、だそうです。
マリア:日本の伝説上では、この橘の実こそが、世界で最初のお菓子、らしいですよ。
大神:……
マリア:非時香具菓は、時を超えて香りが続く……
マリア:要は、長持ちする実だということなんですが……
マリア:そのまま、時を超える、という意味にも、受け取れます。
大神:……常世の国、というのも、気になるな……
マリア:はい。調べる必要はあると思います。
マリア:実際、氏綱は私を利用して、この世に躍り出たわけですから……
大神:そうだな……調査を進めよう。
マリア:……はい……
大神:……
マリア:……
大神:……どうした?
マリア:……
マリア:その……
マリア:……
マリア:……本当は……私にとっては……
マリア:そんな話は、どうでもいいんです……
大神:……
マリア:……紅蘭の話は、少ししか聞いてないんですが……
マリア:もしかしたら、私も……母と……
マリア:何か……繋がりが持てるのかもしれないと思って……
大神:……
マリア:……
マリア:すみません、本番前なのに辛気臭い話を……
大神:いや、いいんだ。話してくれて、ありがとう、マリア。
マリア:……
マリア:……隊長も、お茶、いかがですか?
大神:……頂くよ。
フェードアウト。
ガシャン!という音とともにパッとカット表示。舞台裏。イルミくんの自動手動切り替えスイッチを、自動に入れた紅蘭の手。
この後続けて、パッとカット表示を連続して。イルミくんのスイッチを入れていく下りがまたあるので、同じ素材を流用して、ライティングを変えて舞台裏を再現。
カチッ!っと紅蘭の手が何かバックパックの装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。この先三連続。
カチッ!っと紅蘭の手が何か装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。二箇所目。
カチッ!っと紅蘭の手が何か装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。三箇所目。
キュオーン……ヴォーーン!と、キネマトロンディスプレイの照り返しを受けた紅蘭。カチカチと何やら操作している。やや横顔気味。首の向きや目線は、胴の向きや手元からは離れているのがポイント。複数作業を同時進行していることが一発でわかるスタイルに。両手も離れており、別々の場所を操作している。
フェードアウト。
ポン。という金属を叩いた軽い音とともにパッとカット切り替え。イルミくんの頭に乗せられた紅蘭の手。
紅蘭:よし!
紅蘭:……えーと……後は……
紅蘭:……
紅蘭:……せや……!!
フェードで通常画面に戻る。
紅蘭:えーと……これがこうで、ここがこうで……
大神:紅蘭。
同時にガタッ!という音。
紅蘭:おあ! 大神はん!
大神:ごめん、またやっちゃったか……
紅蘭:ああ……いや、ええねん。
紅蘭:ちょうどメモし終わったとこやったから。
大神:メモ?
紅蘭:ああ……うん、せやねん。
紅蘭:……! 大神はん、これ見て。
フェードでカット切り替え。複雑怪奇な図式。何かのモデルを表しているらしい。
紅蘭:今思い付いてん。
紅蘭:霊子系の扱い方そのものを展開した図なんやけど……
大神:うーん……ごめん紅蘭……難しいかも……
紅蘭:……んー……そっか……
紅蘭:……まあでも、大神はんは無茶苦茶数学出来る人やから……
紅蘭:こら……ウチの図の書き方の問題かな……
フェードで元に戻る。
紅蘭:まあええわ。とにかく、ええこと思いついてん。
大神:それは良かった……何かのアイデア?
紅蘭:うん。大神はん……ウチ……
紅蘭:蒸気の問題のこと、必ず、解決してみせる。
大神:蒸気の問題…… というと、その……
紅蘭:……蒸気症のこととか、な。
大神:……
紅蘭:それが……ウチ、最近レジオトロンのこと、研究しとったやろ?
紅蘭:あれな……つまりは、霊子力に関することを、研究してんねん。
大神:霊子力……俺たちの力を?
紅蘭:せや。そして、霊子力の学問は、極小世界を扱う学問でもある。
紅蘭:そんで、先天性蒸気症っちゅうんは……
紅蘭:蒸気の粒子の大きさが原因で、起きる病気やねん。
大神:大きさ……
大神:……なるほど、つまり……
紅蘭:霊子学を応用すれば、何らかの解決方法が見出せる可能性がある。
大神:……それは……! それは朗報だ……!
紅蘭:今まさに進み始めたとこやねんけどな……
紅蘭:この研究……青木博士にも協力してもろて、共同で進めてく予定やねん。
紅蘭:それに、神崎重工もかなり資金援助してくれるて。
大神:そうか……それは良かった……!
紅蘭:……
紅蘭:……見たい景色を見る……
紅蘭:……今やったら……ちょっとわかる気がする。
紅蘭:科学者の責任は……
紅蘭:科学で果たさんとな……
大神:……ああ。
一拍間を置いて……
ピンポンパンポン♪ ……かすみのご案内。メッセージウィンドウなしで、背景音として以下再生。「本日は当劇場にご来場頂き、誠にありがとうございます。次回公演までの間、食堂でのお食事、ロビーでのお買い物等をお楽しみ下さいませ。尚、本日より上演開始しました『妖怪道五十三次』のお土産品は、一階売店にて販売中です。どうぞご利用くださいませ。」
紅蘭:よし……準備せな……!
フェードでカット切り替え。舞台裏に設置されたイルミくん。
紅蘭:イルミくんにも、頑張ってもらわんとな。
フェードアウト。
ビーーーーーーーーー……。と開演前のブザー。
紅蘭:まったく……こんな妖怪だらけの江戸になんていられるかってんでえ!
アイリス喜多さんのカット。
アイリス:そんじゃ弥次さん、あたいらの全財産はこの風呂敷に包んだからね。
紅蘭弥次さんのカット。
紅蘭:あいよ喜多さん。これでもう金輪際、妖怪騒動とはおさらばでえ!
二人のカット。
アイリス:そいじゃ妖怪祓いの厄除け祈願!
紅蘭:この自慢の膝が栗毛の馬ってなもんよ! いざ! お伊勢参りに……
二人:出発でい!!
二人のカットをさらに引いたカメラで舞台全体が見える位置から。ド派手な書き割りが展開する。現在やっている八月納涼歌舞伎のデザインを参照。各部が回転したりする、派手な仕掛けがある。
○舞台
アイリス:弥次さん弥次さん! う、う、う!
紅蘭:なんだい喜多さん、う、う、って。うなぎ?
アイリス:ううううう!!
紅蘭:うな重?
アイリス:ううううう!!
紅蘭:うな丼?
アイリス:もう! うなぎから離れてよ!
アイリス:弥次さん! う、う……!
子供:やじさんうしろー!
別の子供:弥次さん後ろー!
別の子供:うーしーろー!
紅蘭:はあ? うしろ……?
デーン!と大袈裟な音で、人形の妖怪変化。
紅蘭:ぎゃああああああああ! で、出たああああああああ!!
観客:あははは!
アイリス:弥次さん違うよ!そっちじゃないよ!もっと、もっとすごいのが!!
カット切り替え。溢れ出る蒸気のみを大写ししたカット。
バシューーーー!!激しく吹き出る蒸気の音。
ヒュ~ドロドロドロドロ……
バシン!とツケ音、さらにキシャーーーーーーーーーーン!という音とともにカット表示。
舞台いっぱいに広がったジャンポール!お化けの三角巾をつけている。イルミネーションで表示されている。上から覆いかぶさって観客に襲いかかるようなポーズ。
ジャンポール:がおー!
きゃあああああ!と、うおおおおお!が混じったような歓声が上がる!やがてパチパチパチパチと拍手に変化。
パッとカット切り替え。妖怪ジャンポールが焼かれたせんべえ。……を持った子供の手。
子供:がおー!
フェードでカット切り替え。長屋の家族が観に来ていた。ワイワイとはしゃぎながら出て来ている。
父親:あっはっは。あのクマすごかったなー!
子供:妖怪ジャンポールだよ!
パッとカット切り替え。アイリスの顔をアップで。憤慨している。
アイリス:ジャンポール妖怪じゃないもん……!
パッとカット切り替え。椿の売店を遠巻きに。お客さんが多数おり、妖怪せんべえがたくさん売れている。織姫が様子を覗いている。アイリスはその横でイヤそうな顔。先程の顔はこの顔のアップ。
織姫:でもエグイぐらい売れてるでーす。
椿:妖怪せんべえ二箱お買い上げ、ありがとうございます!
アイリス:ジャンポール妖怪じゃないもーん!
フェードでカット切り替え。売店の前、オシロ製菓のお菓子を手に取った子供がいる。アパートの母子。子供をクローズアップ。母は足元しか見えていない。
子供:……
フッとフェードでカット切り替え。母の方を見る。カメラからは表情が隠れる。
子供:お母さん……これ……
母親:これ……この前の……?
子供:……
フッとフェードでカット切り替え。母親が屈んで、子供と目線を合わせる。やっとカメラに母親の顔が映る。前回はこれをしていなかった。象徴的な仕草。母親はすでに態度が軟化しており、優しめの笑顔。
母親:これが欲しいの?
子供:うん。
母親:……
母親:おもちゃが欲しいから?
子供:……うん。
母親:……
フェードでカット切り替え。母の手に持たれたオシロ製菓のお菓子をアップで。
母親:つまり……光武が欲しいの?
子供:……(目を開き、ハッとした顔になる。)
母親:ねえ、この前のは、何? あれも光武?
子供:ううん! 幻武! (にわかに喜び勇んで!食い気味!)
母親:ゲンブ? っていうの? (食いつきの良さに戸惑いつつも、嬉しい)
子供:うん! 新聞にのってた!
母親:新聞? 新聞まで読んだの?
子供:いっつもそうだよ? 蒸気工廠の欄がね、すごいの!
母親:あら……そう……
フェードでカット切り替え。再び先ほどのカット。母親が屈んでいる。
母親:よし……じゃあ……買ってあげましょう!
子供:ホント!?
母親:ホント!
子供:ウソ!
母親:ウソじゃないよ! どっちなの。(苦笑交じりで)
子供:蒸気なのに!?
母親:うん……だってこの前、すごかったもんね。
母親:みんなのこと、助けてくれたもん。
母親:お母さんのことも、シゲちゃんのこともね。
フェードでカット切り替え。屈みこんで箱を選び出す母子の頭ナメで、向こうにいる紅蘭と大神。母子の様子を見て、微笑んでいる。紅蘭は腕を組んで、若干感極まり気味。子供の気持ち、めっちゃわかる派。
母親:そのかわり教えて。どれがゲンブ?
子供:えっとね! だから……これがゲンブ!
母親:光武は?
子供:光武はね、種類がいっぱいあるの!
子供:銃型装備と、キャタピラ装備と、佩刀型と、ビーム型と……
フェードアウト。
バシッ!っという音とともにパッとカット表示。舞台を褒める帝都グラフの記事。『笑って泣けて感涙せしめる驚天動地のイルミネイション!』
由里:出ましたーーーっ!! 大絶賛!!
由里:大・絶・賛!!
由里:大……!! 絶……!! 賛……!!
かすみ:わかったわよ由里。落ち着いて。
フェードで通常画面へ。事務室。
由里:いいよっしゃあ!!
さくら:すごい喜びようですね……(笑顔)
かすみ:帝都グラフさんの批評記事が出たみたいですよ。
かすみ:今回の舞台が絶賛されてるとか。
由里:絶賛なんてもんじゃないわよー……!
由里:『笑わせ泣かせ感涙せしむる驚天動地のイルミネイション!』
由里:いいぞ! もっと言え!
椿:良かったです……! すごいですね!!
さくら:帝都グラフ……ゲネプロでは、かなり厳しかったってことでしたけど……
由里:だからこそ嬉しいのよ! もうすっかり手のひら返し!
由里:へっへーザマミロっての……!
かすみ:はしたないわよ由里。だいたい手のひら返しってことはないでしょう?
由里:んっふっふー……♪
マリア:ご機嫌ね。
さくら:マリアさん。
かすみ:帝都グラフの記事が出て……
マリア:なるほどね。それでこの調子……
由里:もう一号買っときゃ良かったかなー……
さくら:保存版ですか?
由里:ううん。布教用。
マリア:帝都グラフだったら、ちょうどこの後、私とアイリスが仕事だから……
マリア:ついでに、記事のお礼を言っとくわ。
かすみ:ありがとうございます。助かります。
由里:帰ってきたら、どんな感じだったか教えてくださいね!
マリア:ええ。
フェードアウト。
江戸川明子:では、藤沢先生、今度は次の金曜日に。
藤沢:ありがとうございました。ぬらりひょんの件は、そのときに。
カラン……と扉を開く音とともに、カット切り替え。帝都日報、帝都グラフ編集部のドアを出てきた人物とすれ違いざまに中に入ろうとしているマリア……と後についてきているアイリス。マリアは先ほど出てきた人物を何気なく目で追っている。先に出てきた人物氏(=藤沢衛彦)は、画面の右端に肩だけ見切れている。顔などはよくわからない。実在の方なので、はっきりした描写は避ける。
フェードで通常画面に。
江戸川明子:あら、いらっしゃいませ。時間ぴったり。
マリア:あの……さっきの方は……?
江戸川明子:民俗学の先生よ。……何かご用でも?
マリア:いえ……ぬらりひょんがどうとか……
江戸川明子:ああ……民俗学の一環として、妖怪の研究もされてるんですって。
アイリス:妖怪?
江戸川明子:アイリスちゃーん! お久しぶり!
江戸川明子:舞台最高だったよー……!! 可愛かったー……!
アイリス:えへへ……ありがと!
アイリス:ねえねえ、妖怪さんの研究だったら、マリアもアイリスも詳しいから……
アイリス:たぶん参考になると思うよ!
江戸川明子:そう……! なら今度、先生に言っとくね……!
アイリス:うん!
マリア:あの……舞台の記事、ありがとうございました。
江戸川明子:いえ……実際良かったからね。それだけよ。
江戸川明子:何かあったらまた批判するかもしれないから。覚悟しといて。
マリア:お手柔らかに。
江戸川明子:ふふ……
マリア:……(笑顔)
江戸川明子:さて……じゃあグラビアの打ち合わせをしましょ。
江戸川明子:じゃ、アイリスちゃんはいつも通りこちらへどうぞー。
アイリス:おっけー!
ガチャ……とドアの音。
江戸川明子:……ちなみに、私は信じてませんから。
マリア:……え?
江戸川明子:妖怪変化。この前の事件、結局は降魔関連だったんでしょ?
マリア:……そう……なんですか?
江戸川明子:ええ。そうらしいって話よ。
江戸川明子:だから、さっきの先生みたいに伝説だって言われるなら納得もいくんだけど……
江戸川明子:実在するとまで言われると、ねえ……
マリア:でも……降魔は現実に存在しますよね?
江戸川明子:あれとこれとは……別、かな。
マリア:はあ……
江戸川明子:ま、ホントに妖怪なんてものがいるなら、見せてもらいたいもんだわ。
江戸川明子:その時はすぐにでも記事にするから。
バシュ!という音とともにカット表示。水虎の足元を背後から捉えたショット。御婢子狐の足元も見える。向こうにはレニ、織姫、すみれがいる。
フェードでカット切り替え。通常画面。日が暮れる寸前の山の腹。
すみれ:それで? あなたたち、どうなさいますの?
水虎:妖怪さんに当てなんてないよ。どこに行こうかしらねえ。
織姫:もうイタズラしちゃダメですよ。
水虎:悪いけど、そういう約束はできないな。
フェードでカット切り替え。凄むレニ、織姫、すみれの三人。なぜか三人とも似たような調子でやや見下しにかかり、凄みが増す形式。織姫、すみれは怖い微笑。画面の左端に水虎の後頭部が見切れてる。
一拍の間を置いて……
水虎:わかった。約束するよ。
フェードで通常画面に戻る。
水虎:……ったく……天敵ばっかよこしやがって……
すみれ:……
レニ:……
織姫:……
一拍の間を置いて……
レニ:御婢子狐……あなたも行くの?
御婢子狐:まあね……ここにゃ居場所はなさそうだしさ……
すみれ:……
御婢子狐:……ま、どこに行こうが、同じことさ……
御婢子狐:……本当の記憶さえ無かったんだから……
御婢子狐:……
御婢子狐:でもいざそうなると……
御婢子狐:なきゃないで、それもいい……って……
御婢子狐:なんとなく思えるようになってきたよ。
御婢子狐:あんたらのこと、見てたらね。
すみれ:……
レニ:……
織姫:……
御婢子狐:先のことか、昔のことか……大概はどっちかに引っ張られるもんだ。
御婢子狐:今を生きるってのは難しいよ……
一拍の間を置いて……
織姫:そう言えば、カラスさんは本当に消えちゃったですか?
水虎:そうかもしれないね……でも、旦那は旦那だ。
水虎:それに……神様だ。
水虎:いつでも、どこにでもいるようなもんさ。
フェードアウト。
ビシュウウ!!という空手の音とともにパッとカット切り替え。カンナの正拳突き!!正拳をアップで!右から左に攻撃!現在の立ち位置は『2P側』。早朝、暁の山中。「ゼエイ!」など、カンナのくだりはメッセージウィンドウなしで、掛け声を入れていく。以下、全て格闘ものなので、適宜ウィグルを入れる。
ビシュウウ!!という空手の音とともにパッとカット切り替え。カンナの回し蹴り!『2P側』
ズバーーーン!という空手の音とともにパッとカット切り替え。カンナの裏拳!ズバーーーン!というのは空気を叩く音!『2P側』
パッとカット切り替え。引きのカメラ。やや上空から撮り下ろしたカメラ。カンナは画面右寄りの位置で、左側に向かって構えている。『2P側』。引きのカメラで、カンナのふとした瞬間の孤独を表現する。横長の絵だが、横方向にじわパンではなく、縦、上方にじわパンさせる。
以下、最初の三連撃の反対方向バージョン。全て『1P側』。しかし三連撃目に異変が起きる。
ビシュウウ!!という空手の音とともにパッとカット切り替え。カンナの正拳突き!!
ビシュウウ!!という空手の音とともにパッとカット切り替え。カンナの回し蹴り!
ズバーーーン!という空手の音とともにパッとカット切り替え。カンナの裏拳!がヒットしたと思ったら、半透明の山伏装束の腕が現れ、裏拳をガード。半透明是害坊出現。
ハッ!とカンナの横顔のクローズアップ。驚愕の表情。目に虹彩はあり。『1P側』
バシーーーン!バシーーーン!バシーーーーン!と、以下、カンナの攻撃を真似た半透明の是害坊の正拳突きや回し蹴り、裏拳が襲ってくる。カンナ、辛くも全てガード。
バッ!という音とともにパッとカット切り替え。バランスを崩し、後ろに倒れこみそうになるカンナの横顔のクローズアップ。体自体がやや上向き、カンナ、若干の焦りの表情。一瞬だけ表示したあと……
バシーーーン!×6回ほど、是害坊の連撃がやってくる!徐々にスピードアップする。6連撃目で……
パッとカット切り替え。さらにバランスを崩すカンナ。焦りの表情強まる!が……!
キッ!と目にクローズアップ。瞬間、覇気を取り戻し、鋭い目つきに!そして……
パッとカット切り替え。グルン!と身体を大きくひねり……
カンナ:スーパー……
ドドーーーーーン!とウィグルを伴って返す太刀の回し蹴り!!是害坊、腕でガードするが、無謀!ヒットする!
カンナ:リンパイ!
パッと暗転。
ズサアアア!とスライディング的な地面擦り音。
パッとカット表示。カンナの横顔『1P側』。ハッとした表情。
パッとカット切り替え。冒頭の引きのカメラと同じショット。だが、カンナは攻撃を終えた後で、深く地面に腰を落とし手を地面に着いている姿勢。また上方にじわパン。カンナ以外は誰もいない。
ペシペシ……と身体の泥をはらう音とともにフェードでカット切り替え。カンナを背後から。腰の泥をパパッと払っている。
フッとフェードでカット切り替え。空を眺めるカンナの口元から胸元。口笛でも吹いているかのように、爽やかにすうー……と息を整えている。カンナの両腕は道着の襟元をキュッと締め直すように引っ張っている。
ヒュウウウウ!という風の音とともにフッとフェードでカット切り替え。カメラをさっと引いて、空を眺めるカンナの腰から上アップ。木の葉が舞い、風が吹き抜けている。しばし表示したのち……
バシン!という音とともにパッとカット切り替え。合掌し、目を閉じ、集中したカンナを正面から。『押忍!!』と音声。
しばしの間ののち……
ザッ!という音とともにパッとカット切り替え。礼をするカンナ。どこに向かうともなく。向かってやや右斜め上あたりから見下ろすようなカメラ。夏の早朝。風の音がしている。
フェードアウト
ミーンミンミンミーーン……とミンミンゼミの鳴き声がフェードイン。……してきたなー……と思ったぐらいのタイミングで、パッとカット切り替え。尚、蝉の鳴き声は朝の涼しいうちのため、暑苦しくなり過ぎないように注意。音量を調整したり、ジージー系の蝉も混ぜたりして調整。
墓地。御墓参りに来ている紅蘭、アイリス、大神の姿……を遠くから捉えたカメラ。逆光気味。今現在、紅蘭が座り込んで合掌している模様。少し後ろにアイリスが立っており、その後ろに大神が立っている。アイリスは今もちょこっと手を合わせて合掌風にしている模様。顔の表情がわかるほどの距離ではない。
パッとカット切り替え。青木家のお墓を紅蘭視点で。清司のお参りに来ている。花は新しく、スイカを供えてある。線香を新しく炊いている。
パッとカット切り替え。さらに少し横、お供え物を置ける場所に、紅蘭が作ったらしい、幻武の模型。オシロ製菓の模型に似ているが、素材が違っている。銅板を加工したらしい。簡単な街並みのジオラマの中心に、幻武を模した模型が作られている。幻武の模型はオシロ製菓の模型の二倍ほどの大きさ。
パッとカット切り替え。蝉の鳴き声。小高い丘を歩いている紅蘭たちのシルエット。引きのカメラ。表情は見えない。縦にじわパン。金魚売りの声がどこかから聞こえてくる。
大神:涼しいうちに行っといてよかったな。
アイリス:蚊にくわれちゃうもんね。
しばしの間ののち……
ポン!シュワー!とラムネを開けた音とともに、ラムネ瓶。
フェードでカット切り替え。木陰になっているちょっとした腰掛けに並んで座って、休憩する三人。丘の上で風が吹いている。アイリスが真ん中。向かって左側が大神、右側が紅蘭。大神がちょうど外を向いて、ラムネをクイッと飲んでいる。
フェードでカット切り替え。三人を後ろ側から捉えたショット。
アイリス:セイちゃん、神様になるんだよね……?
大神:神様……?
アイリス:ニッポンでは、死んじゃった人は、神様になるんでしょ?
大神:……そうだね…… そういうこともあるね。
アイリス:アイリスあのとき、セイちゃんがいるの、わかったよ。
アイリス:紅蘭のイルミネイションがばー!って点いたとき……
アイリス:蒸気の中に、セイちゃんがいたの。
大神:……蒸気の中に……
アイリス:セイちゃん、お父さんのお仕事すごく好きだったから……
アイリス:蒸気の守り神様に……なるのかも。
大神:……
ポンポン!という太鼓の音。千葉助の「ほいいらっしゃい!」という呼び声が聞こえて、わああ……という子供たちのはしゃぎ声がする。
フッとフェードでカット切り替え。先ほどの正面からのカメラ。パタッという軽い靴音。アイリスが立ち上がって、向こう(画面右側)を見ている。紅蘭、大神もつられて同じ方を向いている。
アイリス:あ! 千葉助のおじちゃん!
フッとフェードで大神の方を見る紅蘭。
アイリス:アイリス、お姉ちゃんだから、紙芝居のお手伝いしなきゃ!
アイリス:行ってきてもいい?
大神:ああ。もちろん。
アイリス:じゃあ、アイリス、帝劇にはあとからひとりで帰るね!
大神:わかった。気をつけて帰ってくるんだよ。
アイリス:うん! じゃあね!
タッタッタ……という足音とともにフェードでカット切り替え。アイリスが去る。
大神:道路はちゃんと左右を見て渡るんだよ!
紅蘭:んっふっふ……お姉ちゃんねえ……
紅蘭:お姉ちゃんは紙芝居見るんかな……
大神:……
紅蘭:……
紅蘭:やっぱりウチ、ついてこか?
大神:いや……
フェードでカット切り替え。千葉助を手伝って紙芝居をお届けしているアイリス。子供たちに向かって、ニコニコとお姉さんぶっている。
大神:やめとこう。
紅蘭:……
紅蘭:……せやね……
フェードでカット切り替え。元の腰掛に戻る。紅蘭が立ち上がっている。
紅蘭:したら、行こか。
大神:そうだね。
カツカツ……と靴音とともにフェードでカット切り替え。坂道。画面右上から、画面左下へ向かって大きく下っていく、坂道。そこを紅蘭と大神が歩いている。紅蘭が結構先を歩いている。
大神:……
紅蘭:……
紅蘭:な、大神はん……
紅蘭:ひょっとして、登ってるみたいな感じとか、せえへん?
大神:登ってる……? いや……
大神:今は、降ってるし……
大神:おいおい……それ、もしかして、この間の……
紅蘭:ふふ……まあ、せやったら怖いよな……
カタッ……という音とともにフェードでカット切り替え。大神視点。少し先を行く紅蘭が、不意に立ち止まり、フッと遠くを眺めている。土手側でない、景色が開けている方(画面左側)を見ている。
紅蘭:どのみち、わからへんしな……
紅蘭:今自分が、登ってんのか、降ってんのか……そんなこと……
大神:え……?
紅蘭:……
カチャリ……という音ともにカット切り替え。懐中時計をもつ紅蘭の左手。
しばしの間ののち……
シュ……という音とともにフェードでカット切り替え。おさげを解く紅蘭。
大神:紅蘭……?
フッとフェードでカット切り替え。くるっと回って、こちらを向いた紅蘭。メガネを取っている。
紅蘭:大神さん! 私……!
紅蘭:やるだけやってみる……って決めたんだ!
フッとフェードで差分切り替え。完全にこちらを向き、真剣に訴える紅蘭。
紅蘭:だから、もう、逃げないよ!
紅蘭:自分から……!
大神:……(虚を突かれた顔)
大神:……紅蘭……(虚を突かれた顔……しかし、大神は真剣に言葉を受け止めている)
フェードで紅蘭の表情を変える。堪え切れなくなり、ニヤリと笑っている。
紅蘭:ぷぷ……
大神:……紅蘭……?(やや様子がおかしいことに戸惑っている)
フェードで紅蘭を俯かせる。堪え切れなくなり、下を向いてごまかしている。
紅蘭:ぶふっ……
大神:紅蘭……
フェードでカット切り替え。サッと顔を上げ、爽やかに笑う紅蘭。
紅蘭:なっはっはっは!! やっぱり標準語は難しいなぁ……
フェードでカット切り替え。眼鏡をかける紅蘭。目の前に広がる景色を見ており、こちらは見ていない。
紅蘭:なんや喋れる気がしてんけどなぁ…… 気のせいかー……
大神:……(戸惑いの表情)
フェードでカット切り替え。再び髪を結いながら、こちらを見る紅蘭。
紅蘭:やっぱりウチは……こっちの方がええな。
大神:……(微笑み)
フェードでカット切り替え。引きのカメラで、入道雲を映す。ここから先、オートで進行し、音声が少しづつ遠くなる。蝉の鳴き声などの環境音はそのまま。音声は少しずつ遠くなっていき、最後から3番目の『紅蘭:冗談やて……でもまあいっぺんやってみんことには……。』あたりで、エンディングテーマのイントロを流し始める。そして……
大神:それにしても……この前、ホントは何があったんだ?
紅蘭:……ナイショ! ナイショや!
紅蘭:まあ……そのうち教えたる。
大神:今じゃダメなのか?
紅蘭:今?
紅蘭:うーん……
紅蘭:せや! 雲!
大神:雲?
紅蘭:雲をスクリーンにするっちゅうんはどうや!?
紅蘭:巨大なイルミネーションを、帝都上空に……!
大神:紅蘭……!
紅蘭:冗談やて……でもまあいっぺんやってみんことには……
大神:何があったのかを教えてくれよ……
紅蘭:せやからナイショやて……!
エンディングテーマが流れ出し……
終幕。
サクラ大戦~真夏のイルミネイション~ これにて、完。クリア後モードをお楽しみに。
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