サクラ大戦V妄想回顧録

夢か現か…思い入れ深く『サクラ大戦』をプレイした結果、そこでの体験がリアルなもう一つの人生経験のように感じている…そういう方々が、実はプレイヤーの中には多々いらっしゃるのではないかと思います。サクラとはそんなミラクルが生じた作品であり、わたくしもそのミラクルにあてられた一人。そんなわたくしが、かつて“太正”時代に“経験”した事を記憶が混濁したまま綴ります。今思い出しているのは1928年以降の紐育の記憶。これは新次郎であり、現代の他人であり…という、人格の混ざった記憶それ自身による、混乱した、妄想回顧録です

同人ゲーム没企画『サクラ大戦 -真夏のイルミネイション-(仮)』(全12話)を公開して / あとがきに代えて

…といったわけで全12話でお届けいたしました、同人ゲーム没企画『サクラ大戦 -真夏のイルミネイション-(仮)』いかがでしたでしょうか。

 

最初は帝劇初期メンから始まり、徐々にメンバーが合流し7話で集結を果たす流れなど、ゲーム上の都合に合わせながらも熱い展開に組み上がったのではないかな、と思います。

 

帝劇を引退した身であるすみれさんを中途半端な扱いにしないことなども実はかなりのこだわりで、そこはすみれさん最愛のわたくしの想いが詰まっているのではないかな、彼女にとっても滅茶苦茶美味しく仕上がっているのではないかな、と思います。

 

またそれらの骨組みは、紅蘭が主演を果たす構成とも一貫することができました。第11話最終盤で彼女に訪ずれる優しくも怒涛の展開も、熱い、熱い、熱い物語に仕上がったのではないかな、と思います。

 

…少々内幕を吐露しますと、実は今回のシナリオ制作、個人持ち出しで三百云万円ほどかかってしまいました。各方面にご迷惑をおかけしながら制作した、渾身の、入魂の、全身全霊の一作となっております。

 

…それだけに、作品として仕上がることがなかったことは、堪えました。それもあって、もう同人的な活動からは身を引こうと思い、当ブログの更新も5年前で一旦一区切りとした次第です。

 

それから何をしていたのかと言いますと、実は一次創作をしていました。とあるSF小説を書いておりまして、皆様にはそちらで改めて出会えたら…と思っております。

 

 

といったわけで、色々と申し上げましたが、本編シナリオ、まだご覧になっていらっしゃらない方は、まずは企画自体の概要を説明している資料集からぜひ…

 

rbr.hatenablog.jp

 

そして是非とも第1話から順繰りにご覧くださいませ。

 

rbr.hatenablog.jp

 

何分、開発向けシナリオですので読み解きには非常な難を要するとは思いますが、少なくとも、甲斐のある物語に仕上がっているとは思っています。

 

同人…と銘打ってはいるものの、紛れもなく本編サクラに準ずることのできる作品…を目指したシナリオです。当然あかほりテイストを再現することなどは叶いませんが、他に出来得る最高の状態を目指した作品ではあります。

 

たったひと夏の、熱い、熱い、熱い記憶。是非是非あらためてお楽しみくださいませ。

 

【第12話(最終話)】真夏のイルミネイション《同人ゲーム没企画『サクラ大戦 -真夏のイルミネイション-(仮)』》

 

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【第12話(最終話)】真夏のイルミネイション

 

★★第12話(最終話):開始★★

 

ゴゴゴゴゴゴゴ……と禍々しい効果音・音楽とともにフェードでカット表示。原始降魔ヨミを中心にした、幻影の桜吹雪舞う帝都の全景。帝都の西南の端から北東へ向けてのカメラ。芝公園付近から本所のヨミを捉えている。まるで遥か上空から捉えた絵のようだが、画面手前には芝公園付近の建物が存在している。遥か地面が持ち上がっていることを示している。

 

パッとカット切り替え。今度はヨミ側からのカメラ。遥か東海道が持ち上がって、壁のように迫ってきている。

 

パッとカット切り替え。第11話でも使われた、せり出した氏綱ヘッド。

 

氏綱:呵呵呵呵……!!

氏綱:此の世の生命は根絶やされる運命(さだめ)……

氏綱:ようやく我らが地上に顕現するのだ……!

 

ギシャアアアアアア!!という降魔傀の鳴き声とともにカット切り替え。逃げ惑う人々の図。同時に人々の悲鳴も入れること。和光の時計台に取り付いた降魔傀と、それを見上げ周辺でオロオロする人たち。

 

ギシャアアアアアア!!という降魔傀の鳴き声とともにカット切り替え。逃げ惑う人々の図。同時に人々の悲鳴も入れること。雷門に取り付いた降魔傀と、それを見上げ周辺でオロオロする人たち。

 

ドサッ!という音とともにパッとカット切り替え。内股で地面に膝をついたさくら……の、腹から下。だらんと垂らした両腕も見える。一瞬表示した後、すぐフェードでカット切り替え。そのさくらの上半身。ひとしきりボロ泣いて放心状態。

 

さくら:紅蘭……

 

フェードでカット切り替え。アイリスを抱き上げたカンナが、カメラ(紅蘭が消えたイルミくんがある場所の方向)に背を向けている。カンナに抱き上げられたアイリスはカンナの背中側に身体の正面が来ているので、泣き叫んでいる状態がよくわかる。

 

アイリス:うう……! 紅蘭……!!

 

ガショ……!という踵を返す靴音とともにパッとカット切り替え。カンナ同様にイルミくんに背を向けた大神。これ以上ない慚愧の表情。背後には膝をついたさくらが見える。

 

大神:すみれくん、砒霜はまだ使えるな?

すみれ:ええ……ですが……

大神:ひとまず、逃げ遅れている人々を救助する。

すみれ:中尉……!

大神:蒸機に乗ってくれ。

すみれ:中尉!

 

パッとカット切り替え。大神を睨むすみれ。第11話で使用したカットと同角度で、今度は前を向いているバージョン。泣きはらした顔を無理やり拭ったような様子。

 

すみれ:どうか冷静に……!

すみれ:今や帝都の空間そのものが滅茶苦茶になっていますわ。

すみれ:この状態をどうにかしなければ……

すみれ:人々を救うことはできませんわ……!

すみれ:もう一度あの切り札を発動すれば……

レニ:装置が壊れてる……

 

フェードでカット切り替え。イルミくんに手を当てて調べているレニ。

 

レニ:イルミくんも……観測盤もダメだ……

すみれ:……

 

ドオオオオオオオオオオン!!と激しい音。

 

フェードでカット切り替え。カンナに殴られて大きく陥没した瓦礫。一瞬表示したあと……

 

ポロポロ……とイシツブテの崩れる音とともにフェードでカット切り替え。カンナの後ろ姿。下ろした左手から血が流れている。すぐ横にはカンナに殴られて大きく陥没した瓦礫。霊力の効果でかめはめ波ぐらいの威力があるので、ド派手にしっかり陥没させること。右腕で抱かれたアイリスは、そんなカンナの頭を抱きしめるようにしている。

 

アイリス:カンナぁ……! うぇ……カンナぁ……

 

フェードでカット切り替え。大神の表情をアップで捉えるカット。カンナとアイリスの様子を見て、あまりの痛ましい様子に絶句している。男泣き寸前。

 

大神:……

 

一拍置いて……

 

パッとカット切り替え。遂に地面にくずおれたさくら。顔がうつむいていて表情がほとんどわからない。右腕で、荒鷹を手繰り寄せてはいる。

 

パッとカット切り替え。泣きはらした織姫の顔をアップで。髪の毛が一部顔に張り付いている。さくら同様ひとしきりボロ泣いて放心状態。

 

パッとカット切り替え。マリアの頭付近をアップで。第11話と同様のアングルだが、今度は画面……花組のみんなにも背を向けている。

 

パッとカット切り替え。花組全員の状態を引きのカメラで。しばし表示して……

 

パッと暗転。そして……

 

パッとタイトル表示。『最終話 真夏のイルミネイション』

 

タイトル文字が徐々に透明に抜けて、背景が見えて来て……カメラが下に行くととともに……黒抜き部分も薄くなって……完全に『大正』時代の色味と景色に変わる……というのもありか。その間、だんだん街の音が聞こえてくる。ストレンジャーシングスのOPの変形。

 

★以下、紅蘭の『大正』時代。全て『太正』ではなく『大正』仕様で。

 

ガヤガヤという都会の喧騒と、ラジオの音が聞こえる。

 

パッ……パッ……パと風景のモンタージュ。ここで重要なのは『“太”正』時代ではない、と強調すること。一切の蒸気関連のものがなく、電気関連のものを強調する。なお、銀座近辺。

 

①蒸気式ではない実在の車とショウウィンドウ。

②電柱

③市電

 

パッとカット切り替え。目を輝かせた紅蘭の顔アップ。

 

紅蘭:わぁ……!

 

パッとカット切り替え。東京的休日をアレンジした優しい版のメロディーをBGMとして開始。銀座四丁目交差点。和光の時計台を中心に。(背後には帝劇があるのか…?とそこはまだ明かさない。)サクラ大戦世界よりも実世界に近い世界なので、状態なども当時のものを再現してリアル寄りに。

 

パッとカット切り替え。満面の笑みで両親を振り返った紅蘭と、それに応える策杏と香燕の微笑み。三人の表情が入るような角度で。

 

紅蘭は船上のデッキで着けていた頬かむりを外している。メガネもかけておらず、微かにそばかすも少なく、髪もおろして片方に流してある。髪の長い時の李香蘭(山口淑子)をオマージュし、スタイルを参考に。ただし紅蘭にちゃんと似合う、可愛い髪型で。11話最終盤参照。

 

穏やかな音楽に乗せてパッ……パッ……パと風景のモンタージュ。銀座を堪能する三人。

 

①二階建て簡易時代の教文館の前の三人。

②木村屋であんぱんを買う三人

③歌舞伎座の前ではしゃぐ紅蘭と両親。

④街角には妖怪ものの映画ポスターが貼ってある。ポスターをメインにはせず、あくまで食べ歩きをしたりする李一家をメインに据え。たまたま画角に入るように。

⑤三越で家電を物色する三人。

⑥チラシを持ったまま奥の電気釜を見つめる策杏

⑦扇風機を触る紅蘭と、優しく見守る策杏。

 

フェードアウト。

 

ドサッという着席音。店内のラジオからは『パイノパイ節』が静かに流れている。歌が終わった場合、インストゥルメンタルで繰り返す。洋楽でも良いが、西条八十オマージュでもあるので、なるだけちゃんと用意すること。曲自体はパブリックドメイン。

 

紅蘭:はあ~……歩き疲れちゃった……(笑顔で)

 

フェードでカット表示。資生堂パーラーに入った李一家。四角いテーブル。席に着いた三人。全員の顔が見えるように、横から、斜め上から捉える。策杏と香燕が画面右側、香燕の向かいに紅蘭、その隣に買い物荷物が置いてある。

 

策杏:よし……ひと休みしよう。

紅蘭:パーラーでご飯だなんてお洒落だね……!

香燕:好きなものを選んでね。

 

メニューを持つ紅蘭を策杏たちの側からみたカット。ちょっとたじろいでいる様子。

 

紅蘭:わ……結構高級……

策杏:紅蘭が働いてくれてるから、我々もお礼をしなきゃ。

香燕:紅蘭……荷物持ってくれて嬉しいけど、私たち大丈夫だからね。

 

スッとフェードでカメラを引く。紅蘭の横にはたくさん買い物荷物が置かれている。紅蘭は「これぐらいなんでもないよ」という意味で、右手を振っている。左手は軽く握って胸にやっている。照れ笑いをしている。

 

紅蘭:そんな……わたしが一番元気なんだから、わたしが持つよ。

紅蘭:あ、でも、お父様ちょっと運動不足だから、運動してもらった方がいいのかな……

策杏:それもそうだね……

香燕:ふふ……

香燕:それにしても随分買い込んだわねぇ。

 

カショ……という金属音ともにフェードで画像切り替え。ナショナルの角型ランプ。もちろんナショナルのロゴは入れず、近い書体の何かにする。紅蘭が手で持って見聞しており、紅蘭の手で持ち上げられている。紅蘭目線のカメラ。

 

策杏:新しい電機製品や部品がいっぱいだよ。

策杏:日本のものは細工が良いし、どれも重宝がられる。

策杏:どうだい紅蘭? なんだったら分解して……

紅蘭:手提げでも大丈夫で、自転車に取り付けても大丈夫……(真顔)

紅蘭:すごくいい製品だと思う。欧州からはこういう新製品が入ってこないから……(笑顔)

紅蘭:中国でも需要があるはず。(真顔)

 

フェードで画像切り替え。製品を見聞する紅蘭の顔をクローズアップ。考えながら喋っているから……というのもあるが、淡々とした調子で喋る紅蘭。口の開き方が小さい。

 

紅蘭:電気製品には鉄がいる……鉄鉱石はこの先も確保しといて間違いはないはず……

 

フェードで画像切り替え。貿易のことを語る紅蘭を見つめる策杏。やや眉根を顰め、複雑そうな顔をしている。

 

紅蘭:それに見た限り、日本は洋服も良いものをたくさん作り始めてる。

紅蘭:最新の機械をどんどん取り入れてるわけだから……

紅蘭:当然その原料もいる。

紅蘭:綿に関しては中国の方が安いはずだし……

店員:お待たせしました。

 

コトッという音とともにカット切り替え。テーブルに置かれたオムライス。

 

紅蘭:わぁ……!

香燕:あら……美味しそう!

策杏:卵料理は名物らしいよ。見てるだけでお腹が空いてきちゃうな……

香燕:それじゃあ紅蘭、お先にどうぞ。

紅蘭:でも……

策杏:冷めないうちにね。

紅蘭:……うん。いただきます。

 

カチャっという音ともにパッとカット切り替え。はむっと紅蘭。スプーンをくわえた口元のアップ。一拍表示したのち……

 

フェードでカット切り替え。紅蘭を正面から。真顔の紅蘭。ただしちょっとだけ頰が紅潮。

 

紅蘭:……

策杏:どうだい?

紅蘭:……

 

フェードで差分切り替え。紅蘭の顔がほころぶ。

 

紅蘭:美味しい……!!

香燕:よかった……!

紅蘭:たまごがふわ~ってしてて、良い香りで……

 

フェードでカット切り替え。紅蘭視点のカメラで策杏と香燕。紅蘭が思いの外雄弁に語るので、二人ともややあっけにとられている表情。策杏は不意を突かれたように若干呆けたような顔で、香燕も同様だが、こちらは若干可笑しさと嬉しさが先に来て笑ってしまっている。

 

紅蘭:トロトロだけど、ベタってしてなくて……!

紅蘭:甘さとしょっぱさも絶妙で……!

 

フェードで差分切り替え。策杏と香燕がお互いに視線を合わす。

 

紅蘭:……

 

パッとカット切り替え。再び紅蘭の表情。今度こそ満面の笑み。

 

紅蘭:好吃……!(ハァォ チィー カタカナでは表せないので、ちゃんとした発音で)

 

パッとカット切り替え。最初の角度、テーブルを横から、ちょっと上空から捉えたショット。の、策杏と香燕の並びをもう一度。今度は二人が中心で、手前の香燕と奥の策杏が顔を見合わせて、ニヤニヤしている。紅蘭の様子が嬉しい様子。しばし表示したのち……

 

フェードで暗転。

 

カシャ……という音とともにカット表示。食後の紅茶。

 

紅蘭:はあ……美味しかった……!

香燕:美味しかったねぇ……

策杏:美味しかったね……

 

策杏:……

紅蘭:……お父様?

策杏:いや、あんまり紅蘭が美味しそうに食べてくれるから……

策杏:嬉しくてね。なんだか胸がいっぱいで……

香燕:……(微笑み)

紅蘭:その……ホントに美味しくて……

香燕:来てよかったわ、本当に……

紅蘭:……(照れ笑い)

 

カシャ……という音とともにカット表示。今度は名物のアイスクリーム。

 

店員:お待たせしました。

紅蘭:わぁ……!

策杏:そうだ、これもあったな。

紅蘭:アイスクリーム……!

香燕:こっちが本当の名物だものね。

策杏:よし! 食べよう食べよう!

 

カチャリ……という音とともにフェードでカット切り替え。一口食べた後の紅蘭。頬の紅潮は待った無し。思わずほっぺたに手を当てている。紅蘭、女子女子しいとこ。

 

紅蘭:はぁー……

策杏:うーん美味しい……! こりゃ良いな……

香燕:ふふふ……

紅蘭:んー……

 

フェードで紅蘭の表情を切り替え。目を開けて、視線を横にやる。口はちょこっとすぼめて。

 

紅蘭:……

 

パッとカット切り替え。紅蘭の視線の先、他のテーブルのお客さんが置いてあるアイスクリームお持ち帰り用のポットをアップに。このポットなめで、向こうのテーブルにいる紅蘭たちの姿も写っている。ピントはアイスクリームポットに合っている。

 

紅蘭:アレ、みんな持ってるね……

策杏:ああ……あれも名物なのかな?

香燕:アイスクリームポットですって。お持ち帰りできるんじゃないの?

策杏:おお……よく気づいたね。

香燕:入ってくるときに売ってましたわよ。

策杏:なるほど考えたな……要は魔法瓶なんだろうけど……

策杏:そうかアイスクリームにも使えるのか……

 

フェードでカット切り替え。先ほどと同じ紅蘭のカットだが、スプーンを下ろし、顔の角度そのものが視線の先へと変わっている。穏やかに微笑んでいる。

 

紅蘭:アイスクリームをお土産に持って帰れるなんて、素敵だな……

紅蘭:……

 

フェードで差分切り替え。紅蘭の表情をスッと真剣な表情にする。頬の紅潮はここでフッと消え去り、硬質な表情になる。無邪気な様子が消え去る。

 

紅蘭:そういえば、魔法瓶は真空加工しなきゃいけないから……

紅蘭:電球と同じ整形技術なんだよね……

 

フェードでカット切り替え。紅蘭を見つめる策杏の顔をアップで。複雑な顔をしている。紅蘭が仕事のことばかり考えて、すぐに目の前の楽しみを後回しにする様に、歯がゆい気持ちを抱いている。先ほども似たカットはあったので、ちゃんと別の表情にすること。こちらはより物言いたげに紅蘭を見ている感がある。またそれか……と。

 

紅蘭:魔法瓶のメッキは銅……銀かな……

紅蘭:そしたら中国の方が材料価格が安いかもしれないから……

策杏:……

 

キュイーン……ザザ……とラジオの音。とともにフェードで暗転。と同時くらいに花組の曲を途中から流す。局が変えられたらしい。『あなたが楽しければ』♪あなーたがたーのしければー わたーしもうれしいー♪

 

花組の曲が聞こえてきた……!とプレイヤーが判別できた瞬間!ぐらいのタイミングでパッとカット表示。紅蘭の横顔を大きく表示。ハッ!とした紅蘭の表情。身体は前に向いたまま、完全に顔は真横を向いている。上手向きが良い。要はラジオを探すように、音の方向を探すように、完全に意識がそっちに行っている。メッセージウィンドウなしで「(ハッ)!!」と言う息を飲む声色を台詞として再生する。一拍表示した後……

 

パッとカット切り替え。店内のラジオを映す。蓄音機型にラッパがあるものにする。米国製のもので。

 

パッとカット切り替え。ラジオ方面から見た視点の紅蘭。ちょい煽りの角度。呆然とした表情を映す。思わず視線の先に意識が行ってしまっている。

 

フェードで画像切り替え。紅蘭なめの策杏。画面手前にそっぽを向いている紅蘭の後頭部……と言うか側頭部があるが、画面に近すぎるため、ピンがボケている。ピントは策杏の表情に合っている。策杏もハッとした様な表情。紅蘭の様子を注視している。心配しているのではない。むしろ喜ぶべき兆候なのではないかと言う気配がしている。このカットはちょっと長めに表示する。

 

パッとカット切り替え。策杏らから見た紅蘭。このシーンでスタンダードに使っている画角の紅蘭。今はそっぽを向いているが……。

 

策杏:紅蘭。

紅蘭:あ……

 

サッとフェードで差分切り替え。こちらを向いて照れ笑いする紅蘭。

 

紅蘭:うん。ごめんね。

策杏:気になったのかい?

紅蘭:え……?

策杏:ラジオ。

紅蘭:ううん。そんなんじゃないよ。

策杏:そうかい? すっかり気が行ってたみたいだけど……

香燕:うん。上の空だったわよ。

紅蘭:ホント? あはは……(笑ってごまかす姿勢)

策杏:……

紅蘭:……

 

フェードでカット切り替え。再びラジオの画像を表示。と同時にBGMを上手いことフェードさせて、曲の終わり際っぽい効果音に続けてセリフを表示する。由里の声がする。

 

ラジオ(由里):帝国歌劇団による『あなたが楽しければ』御拝聴頂きまして誠にありがとうございます。銀座の中心銀座大帝国劇場では、日夜楽しく優雅なレビュウをお届けして参ります。今日は帝劇、明日は三越。豊かな文化香る銀座散歩のお供に、大帝国劇場、是非ともお越し下さいませ。

 

続けて洋楽が流れ始める。

 

策杏:へえ……銀座の劇場か……

策杏:紅蘭……せっかくだし、行ってみないかい?

 

フェードでカット切り替え。戸惑った紅蘭の顔を正面から。

 

紅蘭:え……いいよ、そんなの。予定になかったし……

策杏:まあ……そう言わないで。晩御飯までは空いてるんだし……

香燕:そうね……せっかく気になるんだったら、行ってみたらいいと思う。

香燕:母さんちょっとくたびれちゃったから、一旦ホテルに戻ってようかと思うけど……

策杏:ああ……そうだね。どうせ近いんだし……

策杏:それじゃこの後、ホテルに戻って……お母様には休んでもらって……

策杏:それから、僕と紅蘭とで、もう一度外に出てみようよ。

紅蘭:お父様……

香燕:いいんじゃない? たまには二人でお出かけもしたいでしょうし。

策杏:母様……

香燕:ふふふ……

紅蘭:……

香燕:行ってらっしゃい紅蘭。

紅蘭:……

策杏:よし……! 行ってみよう! ね?

紅蘭:うん……

 

フェードアウト。

 

川の流れる音とともにパッと画像表示。川の様子を描写。小舟が動いており、まだ交通に使われていることがわかる。まだ午後の日差し。

 

フェードでカット切り替え。川の音はやや小さくなり、街の喧騒も混じって聞こえる。現在の銀座4丁目晴海通りを西から東に向いた視点の景色。左手奥に歌舞伎座、その斜向かい、右手手前の川縁に大帝国劇場がある。『太正』時代の大帝国劇場とは場所が違う!広井さんインタビューで判明した、本来大帝国劇場を設定するはずだった位置に『大正』時代の大帝国劇場を設定する。新鮮さを出せるし、広井さんが本来やりたかったリアル寄りの設定なので『大正』時代にもマッチするはず。

 

フェードでカット切り替え。普段と同じ角度の大帝国劇場。しかし4丁目交差点ではないので、周辺の様子が違っている。いつもの大帝国劇場同様、上から下へとパン。

 

策杏:へえー……立派なもんだ……

策杏:さすが、東洋一の大劇場と謳うだけはあるね。

策杏:川縁にあるのも浪漫があるし……

策杏:……紅蘭?

 

フェードでカット切り替え。大帝国劇場を見上げる紅蘭の横顔。策杏からの視点。苦い顔をしている。

 

紅蘭:……

 

しばし表示して……

 

遠くからうっすら音楽がフェードインしてくる。リザーブがかかったような音で…… ♪あなーたがたーのしければー わたーしもうれしいー♪

 

パッとカット切り替え。紅蘭の背後、足元からぐっと劇場の方を見上げた目線。ぐにゃりと湾曲した見た目になっており、紅蘭の不安な心理を表す。まるで大帝国劇場がすごく遠くにあるように見えている。音楽にかぶさるように、だんだんゴー……っという不安を煽るような雑音が聞こえてくる。実は辛亥革命時に家を焼かれた時の火災の音なので、同じ音を使い、音楽同様にリバーブをかける。じわっとアップになっていく。

 

パッとカット切り替え。紅蘭の姿がなくなり、さらにアップになった、大帝国劇場の正門。小人が下から見上げるような角度と、奇妙に捻じ曲がったパースがついており、威圧的に見える。紅蘭の不安な心理を表している。ゴー……っという不安を煽るような雑音がより大きな音になる。じわっとアップになっていく。

 

一拍おいて……

 

策杏:紅蘭……(遠くで響くように、くぐもった、小さい声)

 

一拍おいて……

 

策杏:紅蘭。(はっきりした声)

 

パッとカット表示。再び大帝国劇場を見上げる紅蘭の横顔。策杏からの視点。先ほどと同じ。

 

紅蘭:……!

 

フッとフェードで差分切り替え。紅蘭がこちらを向く。

 

紅蘭:ああ……ごめんない、お父様……

紅蘭:その……ちょっと、ぼうっとしちゃって。

紅蘭:……

 

フェードでカット切り替え。紅蘭を見つめる策杏のカット。心配そうな表情。やや後ろからのカメラなので、紅蘭、後頭部が見えている。

 

策杏:……(心配そうな顔)

 

フッとフェードで差分切り替え。策杏が紅蘭に向けて少しかがみこみ、にこやかに話す。

 

策杏:そうだ……せっかく二人で銀ぶらしてるんだし……

策杏:もういっこの銀ぶらも、してみないかい?

紅蘭:?

 

一拍おいたのち……

 

カランカラン♪……という喫茶店に入った時の鐘の音とともにパッとカット切り替え。銀座プランタンの入り口のドアのカット。閉めた直後らしい。どうやらあたりは夕焼けになっている。

 

カチャ……という音とともにパッとカット切り替え。カウンターに置かれたカフェプランタンのブラジルコーヒー。外から差し込む夕日を浴びていて、ロマンチック。

 

紅蘭:銀座でブラジルコーヒー……

 

フェードでカット切り替え。カウンターに横並びで座った策杏と紅蘭。カウンター側からの視点なので、策杏と紅蘭はこちらを向いている。左側が策杏、右側が紅蘭。紅蘭はカップに両手を添え、横目で策杏をみて、微笑んでいる。策杏は右手をカウンターに付き、体をかすかに紅蘭側に傾けている。完全に横を向くのはルール違反なので、少し。こちらもにこやか。横長の画像で、ジワ横パンする。

 

紅蘭:だから銀ブラ?

策杏:ご明察!

紅蘭:ふふ……ダジャレだね。

策杏:流行らないかな?

紅蘭:難しいんじゃないかな……(表情は笑顔で。言い方は若干意地悪く)

策杏:そっか……(心底残念そうに)

紅蘭:ふふふ……(さも可笑しそうに)

 

フェードでカット切り替え。今度は先ほどのカットを完全に裏表逆にした視点のカット。カウンターに並んだ紅蘭と策杏を背後から捉える。カウンターの端には店員もいる。紅蘭と策杏は軽くお互いの方を向いているので、横顔というほどのこともないかすかな横顔になっているが、表情は見えない。(プランタンの店員はキャラクターを出しすぎないように注意。ロマンスグレーの渋いマスターとかダメ。ここでは背景になるように。紅蘭たちとは別の方向を向いており、やや俯いた作業をして、表情もあまり描写しないように。)

 

策杏:紅蘭……さっきは……

策杏:……どうかな、気が進まなくなっちゃったのかい?

紅蘭:……んー……

策杏:や、すまないね、別に答えなくてもいいんだ。その……

紅蘭:……

紅蘭:ううん。嫌だったわけじゃないんだけど……

策杏:うん……

紅蘭:嫌だったわけじゃなくて……

策杏:……

 

フェードでカット切り替え。紅蘭の両手の添えられたコーヒーカップをアップで。横にじわパン。

 

策杏:……あの歌は、どうだった? 気になった?

紅蘭:うん……とってもいい歌だった。なんだかその……

策杏:歌いたくなった?

紅蘭:ふふ……

紅蘭:ううん、別に……

策杏:別に? ……本当に?

紅蘭:……その……

紅蘭:ホントは……

紅蘭:……

紅蘭:なんていうか……

紅蘭:ちょっと……ワクワクしたかも……

策杏:……(微笑む)

紅蘭:……(照れ笑い)

 

一拍おいて……

 

策杏:紅蘭……コレ、覚えてるかい?

紅蘭:……?

 

コトッという音とともにフェードでカット表示。カウンターに置かれた策杏の懐中時計。かつて紅蘭が組み立て直したもの。この世界ではガラスが健在。

 

紅蘭:……!

策杏:しばらく見てなかっただろう?

策杏:僕が、しまい込んでいたから……

紅蘭:……

 

一拍間を置いて……

 

策杏:……それと……

 

スッという音とともにフェードで画像切り替え。手続き書類を差し出す。画面の中心はあくまで書類。懐中時計はその横に。

 

紅蘭:これは……?

策杏:……

紅蘭:……アメリカの大学……?

策杏:紅蘭は、その……昔から、好きだっただろ?

紅蘭:電気工学……名門だよ……

策杏:小さい頃から、機械いじりが得意だったし……

紅蘭:そんな……ダメだよ……! こんなの……!

 

フェードでカット切り替え。紅蘭の顔をアップで。策杏の背中あたりから見たカメラ。困惑の表情。

 

紅蘭:お父様……どうして? だって……

 

フェードでカット切り替え。策杏の顔をアップで。紅蘭の背中側あたりから見たカメラ。悲しみを湛えた表情。

 

策杏:それだよ。紅蘭、気づいてるかい?(詰問調にならないようにトーンに要注意。さらっと抑えた言い方で。)

 

フェードでカット切り替え。再び紅蘭の顔。先ほどと同じ。

 

策杏:紅蘭……最近は、いつも……

策杏:いつも……同じ顔をしてる。

紅蘭:……同じ顔……?

策杏:……

 

フェードでカット切り替え。策杏の右手が添えられたコーヒーカップをアップで。紅蘭の側から。縦にじわパン。

 

策杏:例えば……ウチの商売の話をしてるときとか……ね。

紅蘭:……

策杏:さっきもそうだ。せっかく新しい電気を触って、いっときは楽しそうだったのに……

策杏:すぐに、商売の話になってしまう。……貿易云々の話に。

紅蘭:……

策杏:家業を継ごうと勉強してくれるのは嬉しい。だけど……

紅蘭:……

 

フェードでカット切り替え。策杏の上体をアップで。紅蘭側から見た視点で、策杏は前を見据えているため、横顔になっている。前には店の壁しかないため、何かを見ているのではない。考えながら話している。

 

策杏:……

策杏:思えば……そういう顔を見るようになったのは……

紅蘭:……

策杏:……あの時……

紅蘭:お父様……!

策杏:容蘭……芳蘭……

策杏:……姉さん二人を亡くしてからだ。

 

ゴーーーーー!という火焔の音とともにパッとカット切り替え。度々使っている辛亥革命の時の回想シーンをここでも激しい効果音&火の粉エフェクトとともに一秒ほど表示する。パッと元に戻る。

 

パッと元に戻ると、深く俯いた紅蘭の後頭部。策杏からの見た目。カップに両手を添えたまま、しかし上体は大きく屈みこんで俯いてしまっているために、表情は全く見えなくなっている。

 

策杏:……

策杏:あれ以来だ……

策杏:紅蘭、君が……機械いじりをしなくなったのは……

紅蘭:……

策杏:……それから……君はずっと……

策杏:商売のことを、勉強してくれていた……

 

フェードでカット切り替え。先ほどの策杏の横顔カットと同じアングルだが、今度は策杏が、紅蘭の方に向き直って、語りかけている。結果的に先ほどよりカメラにも顔が見えるようになっている。慈愛に満ちた、心配そうな顔。

 

策杏:姉さんたちがいないから……

策杏:だから……自分が頑張るしかない……

策杏:……そう思ったんじゃないかい?

紅蘭:……(悔しそうな表情)

 

グッと下から……カウンターから見上げたような位置からのカメラ。目に涙を浮かべる紅蘭の表情を捉える。下を向き、策杏には表情が見えないように完全に俯いている。

 

策杏:一生懸命……それも進んで、勉強してくれていたから……

策杏:僕も、お母様も、今まで、何も言わなかったんだけど……

策杏:……

策杏:だけど、本当は……

策杏:紅蘭は……

策杏:やっぱり、機械いじりの方が、好きなんじゃないかなって思うんだ……

 

フェードでカット切り替え。策杏から見た紅蘭の姿。紅蘭、涙に浮いた顔で策杏の方を見つめている。

 

策杏:……わかるさ。

策杏:……お父さんだし、お母さんなんだからね。

紅蘭:……

策杏:機械のことを話すときの紅蘭は、本当に嬉しそうだから……

策杏:なかなか、そんな女の子はいないしね。

策杏:……これは、お母様の言い方だけど。

 

フェードで差分切り替え。紅蘭、涙に浮いたままの顔で思わず笑う。口はキュッと結んでいる。一旦策杏からは視線を外し、カウンターの板を見るともなしに見る。

 

紅蘭:……(言葉にならない声で、へへ……という調子に笑う)

策杏:さっきも、そうだ。

策杏:歌を聴いた時も同じ。

 

フェードで差分切り替え。再び策杏から見た紅蘭の姿。紅蘭、涙に浮いた顔で策杏の方を見つめている。

 

策杏:ふっと顔が明るくなって……

策杏:他のことには目が行かなくなって……

策杏:本当に、心から嬉しそうな顔になる。

紅蘭:……

策杏:それから……それとは反対に……

策杏:ためらった時も同じだ。

 

一拍おいて……

 

フェードで差分切り替え。同じ画角で、再び、紅蘭が下を向く。

 

紅蘭:……

策杏:紅蘭……ひょっとしてなんだけど……

策杏:楽しいと思うことを……

策杏:自分が、心から楽しいと思えるようなことを、避けるような……

策杏:遠避けるような癖が、ついていないかい……?

紅蘭:……

 

フェードでカット切り替え。店内のラジオ機器を映す。ラジオなめで、遠くに座っている紅蘭と策杏を捉える。ピントは手前のラジオにあっている。横じわパン。

 

策杏:機械はどんどん進歩してる。

策杏:電気の道具が次々登場して、世の中は、すごい勢いで変わってる。

策杏:……

策杏:明日、僕が合うのは、欧州の人なんだけれど……

策杏:……

策杏:なんというか……今、世界の様子は、きな臭いところもある。

策杏:日々、新しい道具の奪い合い、新発明の競い合いだ……

紅蘭:……

 

フェードでカット切り替え。カウンターの上に置かれた懐中時計。夕日にとろりと光っている。

 

策杏:……それで……お母様と二人で話していてね、思ったんだ……

策杏:もしも、もっと早く……もっと前から、紅蘭に……

策杏:本当に好きなことを、思い切り、させてあげられてたら……

策杏:何かもっと、違った風になったのかもしれないって。

紅蘭:……

策杏:紅蘭が好きなことをすれば、きっとそれはいつか、人を幸せにする。

策杏:……機械の世界が、もう少し、優しくなるのかもしれないって……

 

フェードでカット切り替え。カウンター側から、横顔の紅蘭の顔を大写し。策杏の方、つまり左側を(ちょっと上目遣いで)見つめている。顔は夕日を浴びて輪郭が光っている。逆光だが、それが輪郭を強調している。ここでは大げさに瞳に涙の描写はしない。

 

策杏:……正直、これから世界がどうなるかは、わからない。

策杏:家を継ぐこと自体に、意味なんて無いんだ。

紅蘭:お父様……!

策杏:紅蘭が幸せにならないと……

紅蘭:……

策杏:幸せになれないと……結局、全部、意味がないんだから。

紅蘭:……

 

フェードでカット切り替え。再び大学の案内と手続き書類。

 

策杏:だから、もう一度……

策杏:機械工学を勉強しないか。

策杏:……今からだって、まったく遅くはないんだし。

 

フェードでカット切り替え。紅蘭から見た策杏。紅蘭の方を向いて、優しく微笑みかけている。

 

策杏:……ね?

 

一拍おいて……

 

カサ……という音とともにカット切り替え。書類を手にとって、胸のあたりに引き寄せ、見つめる紅蘭。涙ながらに笑顔を見せている。

 

紅蘭:……

紅蘭:……うん……わかった。

策杏:……(微笑み)

 

一拍の間ののち……

 

策杏:よし! そうと決まれば、これからは……

 

カチャリ……という音とともにフェードでカット表示。懐中時計を鎖の部分を引っ掛けるようにして、策杏が今一度紅蘭に手渡そうとしている。その手をクローズアップ。

 

策杏:もう一度、たくさん機械いじりをしなきゃね。

策杏:分解して、組み立てたりして。

 

カチャリ……という音とともにフェードでカット切り替え。策杏の手から、懐中時計を受け取る、紅蘭の両手。

 

フェードでカット切り替え。再び策杏側から見た紅蘭のカット。懐中時計を持ったまま、策杏の方を見て、感無量の、今度は微笑み。

 

紅蘭:……お父様は、分解の専門家だけどね。

策杏:……それは……そうとも言うね……

紅蘭:ふふふ……

 

フェードでカット切り替え。今一度、二人を後ろから捉えたカット。

 

策杏:それとそうだ……さっきの歌もだ。

策杏:何かを感じた……何か、どこかが、特別な感じだったんだろう?

紅蘭:……うん……

策杏:それなら、せっかく来たんだ。お芝居も観に行くこと。

策杏:どうだい?

紅蘭:……

紅蘭:……うん……そうしてみる!

 

フェードアウト。

 

川の流れる音とともにフェードでカット表示。大帝国劇場。夕日が煌めいている。いつもの大帝国劇場同様、上から下へとパン。人通りあり。

 

カツ……という音とともに、フェードでカット切り替え。ロビーに足を踏み入れた紅蘭の表情を捉えたショット。紅蘭、恐々とやや上目遣いにロビーを見渡している。若干目を丸くして、ほんの少し口が開いている。物珍しさと美しさに素直に感銘を受けている。

 

紅蘭:…… (!、とはなっていない。まだピンときておらず、素敵だな……という気配のみがしている状況なので、表情も注意する。)

 

一拍おいて……

 

パッとカット切り替え。立派なシャンデリアのカット。

パッとカット切り替え。階段踊り場をグッとローアングルから。

 

※優美な柱やその装飾をクローズアップしても良い。素敵に見えて、描きやすいところならどこでも。二階の柵部分……二階席入り口扉が後ろに見えているところ……など、雰囲気ある部分をクローズアップ。

 

パッとカット切り替え。先ほどの紅蘭の表情を捉えたショット。先ほどよりも少し頬が紅潮している。一拍おいて……

 

フェードでカット切り替え。帝劇ロビー。『太正』の帝劇とほぼ同じだが、色味が変化している。真鍮的な色味の部分が銀色に変わっている。既に人が入っており、賑わっている。

 

紅蘭:……(笑顔)

策杏:えーと……次の予定はどこかな……

 

トットッ……と足音。策杏が去る音。

 

一拍おいて……

 

かすみ:……ではどうぞ、夜の公演まで、奥でお寛ぎ下さい。

花小路:ああいや……結構。賑わっとるようだし、ふらふらするものも楽しみのうちでね。

 

カツ……と足音とともにフェードでカット切り替え。かすみと花小路伯爵が向かい合っている。花小路はこちらにほぼ背を向けており、かすみが丁寧に応対している。その左後ろ側、花小路たちよりもカメラに近い場所にマリア。ふと後ろを確認しに振り返ったところ。

 

かすみ:……それでは、何かご用がございましたら、何なりとお申し付けくださいませ。

花小路:ありがとう。

 

紅蘭:……

 

フェードで通常画面に。

 

トットッ……と足音。策杏が戻ってきた音。

 

策杏:かなり名のある人も来るんだね。護衛の人がいる。

策杏:不用意に近づくと、撃たれちゃうかもしれないから、気をつけてね。

紅蘭:え……!

策杏:はは……冗談だよ。

 

一拍の間の後……

 

策杏:そうだ、夜公演まではしばらく時間があるみたいだから……

策杏:やっぱりお母様も呼んで来ようか。せっかくだから一緒に観よう。

紅蘭:あ……うん……!

策杏:ホテルまではすぐだし、僕が呼んで来るよ。

策杏:じゃあ……紅蘭はそれまで探検してて。

紅蘭:うん……! 見て回ってみる!

策杏:じゃあ……楽しんでね。

紅蘭:うん!

 

フェードアウト。

 

パッとカット表示。お土産物のせんべい。じわパン。ちょっと表示した後……

 

パッとカット表示。お土産物のブロマイド。さくら、すみれ、カンナのみ。ちょっと表示した後……

 

パッとカット表示。ポスターが貼られた二階席の入り口の壁。斜めからの角度で捉えたカメラ。じわパン。ちょっと表示した後……

 

パッとカット表示。ポスター。椿姫の夕&スペシャルサマーレビュー。ちょっと表示した後……

 

由里:もう~ちょっと大きくした方が良かったかな……

 

フェードでカット切り替え。ポスターから見たカメラ。左側に由里、右側に紅蘭。由里はいかにも仕事中にちょっと立ち止まったという感じで、何か作業中のものが入っている荷物を持っており、紅蘭はやや驚いたような調子で、左側にいる由里を見ている。由里は壁のポスターに視線がいっている。カメラのちょっと上の方を見ている。

 

紅蘭:……!

由里:さくらさんのことね。最近頑張ってるし、人気も出てきたしねぇ……

紅蘭:……

由里:デザイン自体はすごくいいんだけど……

紅蘭:……

 

フェードで紅蘭の顔の向きを変え、視線を由里と同じ場所に持っていく。

 

フェードで今一度ポスターのカット。

 

由里:それに、もうちょっと子供向けの演目もできたらいいんだけどね……

由里:せっかく夏休みなんだし……ほら、妖怪変化が出てくる話とか。

由里:まあでも、なんせすみれさんがトップだからね……ちょっと怖くなりすぎちゃうか……

 

フェードで今一度並んでポスターを見る二人。

 

由里:……そうだ、どう? あなた、脚本(ホン)とか書いてみない?

 

フェードで紅蘭を今一度由里の方へ向ける。ちょっと戸惑いと照れ。頰が紅潮している。

 

紅蘭:ホンですカ?

由里:ん?

 

フェードで由里を紅蘭の方へ向ける。真横にならないように。

 

由里:あ、日本の人じゃなかったか……!

 

フェードで紅蘭の表情を変化。嬉し恥ずかしの照れ笑い。頰が紅潮している。

 

由里:ごめんなさいね、勝手に喋っちゃって……えーっと……

紅蘭:無問題。大丈夫ですネ。お話し、嬉しデス。

由里:あら、日本語お上手ね……! 喋れるの?

紅蘭:少しですネ。旅行で来たですから……勉強しました!

由里:旅行の準備だけでそんなに話せるなんて、すごいわね……

紅蘭:そんなことないですネ……! すごくないですョ。

由里:ううん、すごいすごい。私なんて随分前から英会話習ってるんだけど、なかなか上達しなくって……

紅蘭:……(照れ笑顔)

由里:……でもなんか、思った通り。(嬉しそうに)

紅蘭:?

由里:あなた、本読んだりするの、好きでしょ?

紅蘭:はい! 好きですネ。

紅蘭:……どうしてわかるですカ?

由里:ふふ……なんとなくね。

由里:なんかちょっと……難しそうなこととか、好きそうかもって。

紅蘭:……(虚を突かれたような顔)

由里:あはは。……ごめんなさいね、勝手なこと言ってら……

由里:ま、でも、さっきの話は本気だから。

紅蘭:ホン、ですか?

由里:そ。ウチはいつでも、新しい才能を求めてます!

紅蘭:……(笑顔)

由里:ふふ……あたし結構勘とか鋭い方なんだ。

由里:脚本を書いたりするタイプの人は、なんとなくピンと来るんだよね。

紅蘭:ワタシ……そうですカ?

由里:たぶんね。まあ、なんとなくだけど。

紅蘭:……(笑顔)

由里:あ、お客様にこんな話しちゃってごめんなさいね。

由里:なんだろ……つい話しかけちゃって……(自嘲込みで。)

紅蘭:ううん。嬉しです!

由里:夜の公演、観るのよね?

紅蘭:そうでス! 父と、母と、観るでス!

由里:じゃあ楽しんでってね! ……そうだ、気に入ったら感想教えて!

紅蘭:はいでス! ありがとございます。

由里:こちらこそ! 開演お楽しみに!

 

コッコッコ……と靴音とともにフェードでカット切り替え。由里が去り、一人残った紅蘭の満足そうな顔。去っていった由里の方を見つめる紅蘭を、顔の正面、やや横から捉える。

 

フェードアウト。

 

ガヤガヤ……と会場前のガヤ音。

 

フェードで画像表示。明かりが落とされ、暗い客席。客席に座っている紅蘭、策杏、香燕を写す。客席の同じ列の中からカメラで押さえているような画。角度が付いている。奥から、策杏、紅蘭、香燕。策杏の奥には別の観客がずらりと座っている。画角的に香燕は全て入っていなくとも良いが、アップになりすぎて目立たないように注意。あくまで紅蘭を中心に。三人とも、これから始まるショウに向けてワクワクしながら、穏やかに微笑んでいる。

 

ビーーーーーーーーーー……と開幕の音。ガヤ音が徐々に止む。

 

策杏:いよいよだね。

紅蘭:うん……!

 

フェードアウト。

 

バシャ!という音とともにスポットライトを浴びたさくら!前方右斜め、やや下から上を見上げるようなアングル。基本は画面のやや右向きで、座席にいるやや左向きの紅蘭たちと、向き合うような方向で。レビュー服を着ている。とともに音楽スタート。『イッツ・ショウタイム』♪イッツショウタイム イッツショウタイム ドゥビドゥドゥビドゥビダバ ショウタイム♪

 

パッとカット切り替え。舞台上の光の刺す客席。先ほどと同じ紅蘭たちのカットだが、ワッ!と気持ちが盛り上がって満面の笑みになっており、めいめいに拍手を送っている。他の観客も同様。みんなパッと口が開いてしまっている。口に手を当て、声援を送っている人もいる。

 

以下、さくら画像を連続で。曲に合わせ踊るさくらの様子。ここでは3枚程度でOK。フッ……フッ……フッ……と見せていく。

 

さくら&アンサンブルダンサーズの決めカット。BGMはフー……とフェードアウトさせながら、バシャーン!とシンバルを鳴らして、ワーーーー!と歓声と拍手を再生し、曲の途中でもそれっぽく曲の終わりに来たように演出する。

 

パッとカット切り替え。紅蘭の顔を正面からアップで。笑顔で拍手をしている。

 

パッとカット切り替え。手を振って声援に応える舞台上のさくらをやはり前方右斜め前、やや下からのアングルから。

 

フェードでカット切り替え。BGMが変わる。曲の途中の適当な箇所から。♪さーえーずるひばりよー♪ 椿姫の夕、すみれとカンナバージョンで3枚ほど。

 

同様に決めカット後に……

 

おおおおお!!と沸き立つ観客席の様子。

 

フェードアウト。

 

さくら:それでは今夜は、欧州からお招きした特別ゲストをご紹介いたします!

さくら:ソレッタ・織姫! そして、レニ・ミルヒシュトラーセ!

 

バシャーン!とシンバルを鳴らして、ワーーーー!と歓声。と同時にスポットライトを浴びた二人の様子をさくらとは反対側からの角度で。客席から見上げる感じ。賑やかな曲で。

 

その後、さくらのレビュウと同様、二人の共演を様々に角度ポーズを変えて。先ほどと同様に進むのかと思いきや……

 

バシャーン!とシンバルの音3連続で、レニ、織姫、アイリス、の順番で、顔半分から下、身体を中心に映したショットをパッパッパ……と連続させる。アイリス、が混じっている。レビュウ服を着て、いつものように舞台上に立っているアイリスの姿が、3枚目にパッと混じる。アイリスが手を差し出している。紅蘭(カメラ)に向けているように。三人とも笑顔。一瞬表示した後……

 

パッとカット切り替え。紅蘭の顔を正面からアップで。ハッと驚きの表情。手拍子のために正面に構えていた両手がへなっと体制を崩している。一拍表示した後……

 

パッとカット切り替え。再び何事もなかったかのようにレビュウの続き。レニ、織姫が揃ったカットで、舞台上にアイリスはいない。

 

パッとカット切り替え。再び先ほどの紅蘭のカットに戻る。

 

紅蘭:……

 

パッとカット切り替え。バシャーン!と決めカット!……

 

おおおおお!!と沸き立つ観客席の様子。今度は紅蘭だけ、戸惑ったような表情をしている。両側の策杏、香燕、他の観客は同じようにわー!と声援を送っている。

 

フェードアウト。

 

さくら:それでは本日のラストレビュウ……ゲストの皆様と揃ってお届けいたします。

さくら:最後まで、お楽しみください!

 

フェードでカット表示。さくら、すみれ、カンナ、レニ、織姫が揃ってラストレビュウ。

 

♪あなーたがたーのしければー わたーしもうれしいー♪

 

策杏:さっきの曲だね……!

紅蘭:うん……!

 

フェードでカット切り替え。レビュウの様子がカットを変えて映し出される。やがて……

 

フェードでカット切り替え。紅蘭の顔を左斜め前からアップで捉えたカット。呆然としたような表情だが、口がうっすらと空いて、動いている。歌詞を口ずさんでいる。

 

♪なきーたいこーとなんかはー……すこーしはあるけどー……♪

 

パッとカット切り替え。策杏、紅蘭、香燕、と並んだ、先ほどのショット。曲の最中なので、紅蘭以外の様子は変わっている。めいめいに手拍子をしているような調子。その中で紅蘭はひとつ前のカットを引き継いで、同じ様子で呆然と歌詞を口ずさんでいる。紅蘭が、自分のしたことにハッとしていることを示す。

 

♪笑って 笑って 踊って 笑って 心がはーずーむーよー♪

 

パッとカット切り替え。舞台上のレビュウの様子に戻る。

 

さくら、すみれ、カンナ、アイリス、マリア、紅蘭、の順番で、顔半分から下、身体を中心に映したショットをパッ……パッ……パッ……と連続させる。ここではアイリス、マリア、紅蘭が混じっている。レビュウ服を着て、いつものように舞台上に立っている三人の姿がパッと混じり、最後は紅蘭自身。

 

パッとカット切り替え。紅蘭の瞳、片目をドアップに。メッセージウィンドウなしで「!!(はっ……!)」と息を呑む声色を入れる。一瞬だけ表示したのち……

 

パッとカット切り替え。紅蘭の顔を正面からアップにしたカット。先ほどもあったカットなので、表情だけの差分でOK。驚愕と戸惑いでショック状態の紅蘭。やはり見てはいけないものを見てしまっている……。という実感。一瞬だけ表示したのち……

 

パッとカット切り替え。ステージ上の様子に戻る。さくら、すみれ、カンナ……と並んでいるが、アイリス、マリア、紅蘭の姿はない。ほんの少し表示したのち……

 

パッとでカット切り替え。先ほどの口ずさみシーンと同様の、紅蘭の顔を左斜め前からアップで捉えたカット。今度は一筋冷や汗が流れている……。

 

フッ……と音だけフェードアウトさせ始めると同時にバシャーン!とシンバルの音とともにパッとカット切り替え。最後、舞台上にみんなが並び、手を振るカット。ワーーッ!!という観客の大歓声。

 

フェードでカット切り替え。カメラを引き、舞台全体が見えているカットに。じわズームアウトで遠ざかるような調子。ワーー!!という歓声が水の中にいるときのような調子にぼやーっとした加工がされていき、フラッシュが焚かれたように白い光がワッと入って来てホワイトアウト。

 

白がゆっくりフェードで黒(大正世界なのでエンジ色?)へと変化する。

 

フェードで通常画面に。いつもの帝劇を上から下へジワパンするカット。

 

策杏:いやー素晴らしかったねー……!

香燕:楽しかったですわねぇ……!

策杏:歌って踊って♪

香燕:ふふふ……

策杏:どうだった、紅蘭?

紅蘭:……

紅蘭:……ごめん、もうちょっと……

紅蘭:もうちょっと、見て来てもいいかな……?

香燕:あら……そんなに気に入ったの?

策杏:……まあ、そんな気はしてたけど……

 

一拍の間の後……

 

策杏:じゃあ……僕らは公園でも散歩してようかな。

策杏:せっかくなんだから、時間いっぱいまで雰囲気を味わうといい。

香燕:ゆっくり楽しんで来てね。

紅蘭:うん。なんなら、先にホテルに戻っててくれていいから。

策杏:わかった。それじゃあ……

香燕:気をつけてね。

紅蘭:うん。

 

フェードでカット切り替え。下手側にいる両親の方を見ながら、身体だけ先に翻して、後ろに進み出している紅蘭。

 

フェードでカット切り替え。カツ……カツ……と歩みの音。下手から上手へ向けて、通りを帝劇に向けて歩き出した紅蘭。斜め前近いあたりから捉えたショット。ほとんど横からのショットにも近い。不安そうな表情。

 

パッとカット切り替え。無音で先ほどのレビュウで最初に出現したアイリスの姿をもう一度表示。顔は半分しかわからない。一瞬表示したのち……

 

パッとカット切り替え。下手から上手へ向けて、通りを帝劇に向けて早歩きしだした紅蘭。カツカツカツと徐々に歩みのスピードが早くなっていく。紅蘭の焦燥の象徴。首をちょっと下げ、目を閉じ、冷や汗が一筋。

 

カツカツカツと足音を続けたままフェードアウト……

 

ドン!という音。

 

紅蘭:あっ!!(痛がる顔)

 

ドシャ!という音ともに、カット表示。帝劇の玄関前、地面に崩折れた紅蘭。『サクラ大戦 熱き血潮に』第2話での紅蘭初登場シーンでバイクが大破した後と同じポーズ、同じ構図のショット。

 

紅蘭:……疼……!(タァン……)

 

大神:すみません! 大丈夫ですか……!?

 

紅蘭、ふと上を見上げる。

 

パッとカット切り替え。地面に跪いて、紅蘭に手を差し伸べる大神の姿。海軍の軍服姿。玄関の明かりで若干の逆光。

 

大神:お怪我はありませんか……?

紅蘭:……

 

ファサ……という衣擦れの音とともにフェードでカット切り替え。大神と、立ち上がった紅蘭。若干大神寄りで捉えたカメラのため、大神は後頭部多めで、紅蘭の表情がよく見える。紅蘭は、やや頬が上気しているが、ときめきではない。焦っているだけなので、そのニュアンスが出るように注意。

 

大神:申し訳ありません。自分が不注意でした。

紅蘭:……あ……! 違いまス!

紅蘭:ワタシ……考えてる……考えて歩いてるですから、ワタシ悪いです。

大神:ああ……なるほど……

紅蘭:……

大神:ともかく、お怪我がなくて良かったです……

紅蘭:……

 

フッとフェードで紅蘭にズームアップ。頰の上気が若干別のニュアンスに変わり、そのことに自分自身も戸惑っているかのような表情。大神の表情は映らない。

 

紅蘭:……どこかで……会ったですカ?

大神:え……自分と……ですか?

大神:……

大神:いえ、初めてだと……思いますが……

紅蘭:……

紅蘭:……そうです……ですね……

大神:……(照れ)

 

一拍の間を置いて……

 

加山:お、いたいた大神。ここだったか。

 

フェードでカット切り替え。紅蘭の背後側からのカメラ。大神はすでに先へと歩き出してしまっており、もっと向こうには加山がいる。劇場からは離れる方向。紅蘭が歩いてきた方向に向かっている。大神は紅蘭を振り返り、会釈しており、紅蘭も大神を振り返っている。

 

大神:悪い加山。今いくよ。

大神:その……それでは。

紅蘭:あ……

 

フェードでカット切り替え。去りゆく大神たち側からのカメラ。画面左端手前に逆光で影になっている大神と加山がおり、向こうには紅蘭がいる。紅蘭、思わず大神に手を伸ばしている。

 

紅蘭:……

 

フェードでカット切り替え。紅蘭のバストアップを横から捉えた図。道路側から捉えているので、紅蘭はおおよそ左向き。所在なくなった右手を胸に引き戻し、左手で抑えている。

 

紅蘭:……

紅蘭:わたし……変だな……

 

一拍置いて……

 

???(顔アイコンなし。だがアイリスの声):……らん……

 

フェードで差分切り替え。紅蘭の顔の向きを若干カメラ側に変える。視線は泳いでおり、宙をさまよっている。恐る恐る声の主を探しているような調子。

 

紅蘭:……?

 

一拍置いて……

 

???:……こうらん……!

 

シュ!という衣擦れの音とともにパッとカット切り替え。ハッとした表情で後ろを振り返る紅蘭のカット。紅蘭のバストアップを背後から捉えたショット。だが身体をひねって振り返っているので、紅蘭の表情が見える。謎の声に空恐ろしがっている。

 

紅蘭:!?

 

一拍置いて……

 

紅蘭:……誰……?

紅蘭:……なんなの……?

 

一拍置いて……

 

パッとカット切り替え。紅蘭の身体の正面側からのカメラ。紅蘭は現在後ろを振り返っている。画面左側、手前には紅蘭の方を向いたアイリスの後ろ姿がある。半透明で幽霊のよう。蒸気童子と全く同じように。手を伸ばして、手探りで何かを探しているかのよう。

 

???:こうらん!

 

パッとカット切り替え。紅蘭の顔を横から捉えた図。先ほど、右手を胸に引き戻し、左手で抑えていたカットとカメラ位置はほぼ同じで、ただしこちらは表情をグッとクローズアップしたバージョン。右から左へサッとブラー付きでパンする。

 

紅蘭:!?

 

パッとカット切り替え。再び、先ほどのアイリスがいたショット。構図は全く同じだが、今度は紅蘭はこちら側を向いており、さっきまでいたはずのアイリスがいない。紅蘭、冷や汗。しばし表示したのち……

 

パッとカット切り替え。紅蘭の顔を真正面から捉えた図。瞳に虹彩がなくなり、冷や汗をかいている。

 

紅蘭:……

紅蘭:……アイリス……?

 

一拍の間ののち……

 

ボーーーーーーン!!と(劇場内にある)柱時計の音を鳴らす。音の質感大事なので注意。優しい感じではなく、エッジーなビリビリした暴力的でヘビーな音に聞こえる『ボーーーーーーン!!』をいきなり鳴らす。シンデレラの魔法が解けた、という刷り込みを効果的に使う。

 

と、同時にカット切り替え。大帝国劇場の玄関前、足元付近からぐっと上を見上げる画角で、大帝国劇場を見上げる紅蘭の姿を捉えたショットを表示。パースが効いており、紅蘭の中での意識の基盤がぐらついていることを表す。まるで大帝国劇場に襲われる寸前のようなカット。

 

『ボーーーーーーン!!』に続いてカチ……カチ……カチと秒針の音。秒針の音が響く中……

 

フェードでカット切り替え。紅蘭が帝劇の建物全体を見つめたまま、呆然と後ずさりで道路に飛び出していく様子を客観的に捉えたショット。大通りで危なっかしい。

 

そして再び……

 

二度目の『ボーーーーーーン!!』と同時にフェードでカット切り替え。上方を見上げる紅蘭の顔を捉えたショット。依然瞳に虹彩はなく、ショック状態。正面から。なおも続けてカチ……カチ……カチと秒針の音。秒針の音が響く中……

 

三度目の『ボーーーーーーン!!』と同時にフェードでカット切り替え。もう一度紅蘭が帝劇を見上げるカット。先ほどのカットよりももう少し客観的になり、優しさが出始めた帝劇。ライティングが柔らかくなり、あかりの温もりを感じるようになる。なおも続けてカチ……カチ……カチと秒針の音。秒針の音が響く中……

 

カチ……とある秒針の音とともにパッと暗転。

 

ブワッ!と白フラッシュで、ストロボ効果と同じように、画面の輪郭付近は白トビしているようなエフェクトの中、まず通常状態の帝劇の外観が映り……その後、パパパパパ……!と今度は帝劇や花組に関するカットが連続してサブリミナル的に映し出される。『パ パ パ パ パパパパパパ』ぐらいのリズム感。だんだん現在に近づいていき、第11話の内容も最後のあたりにパパパと表示され、紅蘭がおそらく使命を思い出しているのであろう……ということが受け手に伝わるようにする。今回はある程度のフラッシュバックが終わった時、今現在の紅蘭のカットに戻さず、白暗転状態を少し作り、本当の最後に、二枚、パ……パ……と特別枠で見せる。①先ほど紅蘭が観劇中に幻視した、自分が舞台上でレビュウを踊っているシーンの、顔が写っている版のカット。②イルミくんに手を当てているカット。

 

最後のパ……パ……が終わったら……

 

白フェードで、フー……っとカット切り替え。フェード明けと同期して車のクラクションの音がパッパッパァ!と大きくなって聞こえてくる。道路に飛び出したまま、帝劇を見上げる紅蘭を横から捉えたカット。紅蘭の表情は依然瞳に虹彩なし。冷や汗が一筋。紅蘭の向こう側には車がいる。車のクラクションは、当時はホーンクラクション……つまりラッパなので、音は正確に。握りゴムを握って鳴らすのでプッ!と単音しかならない。それを何回か鳴らしているということ。しばし表示した後……

 

フェードでカット切り替え。車側から見たカメラ。呆然と帝劇を見上げている紅蘭。ヘッドライトに照らされている。そのままフェードで差分切り替え。紅蘭が、呆然としたまま、やや眩しそうに、しかし顔をこちらに向ける。パッパァ!とクラクション。

 

パッとカット切り替え。紅蘭視点。クラクションを鳴らす車が目の前にある。パッパァ!と再びクラクションが鳴る。

 

パッとカット切り替え。再び先ほどの車側から見たカメラ。しかし今回は紅蘭の顔にさらにクローズアップ。紅蘭が集中を始めたかのように見える。パッパァ!と再びクラクションが鳴る。

 

パッと暗転。一瞬の間ののち……

 

パッとカット表示。と同時にバシュー!!と蒸気の音。先ほどの紅蘭視点で見た車のカットと同じカット。クラクションを鳴らす車が目の前にある。だが今回は周りの景色を含めて全てが完全に『太正』時代版の景色になっている。パッパァ!と再びクラクションが鳴る。

 

ブロブロブロ……という車の音ともにフェードでカット切り替え。車が紅蘭を避けて去っていくショット。『大正』時代版に戻っている。運転手の顔などは余計なので窓ガラスの反射等で隠して描写しないように。紅蘭の視線は車を追いかけている。数瞬表示した後……

 

フェードでカット切り替え。大帝国劇場を見上げる紅蘭のバストアップを正面から。

 

パッと大帝国劇場の外観。『大正』版。数瞬表示した後……バババ!とノイズが混じるように『太正』版の絵に変わる。バシュー!と蒸気の音。絵にも蒸気筒(劇場版参照)などから立ち上る蒸気などをなるだけ多く描写して。

 

フェードでカット切り替え。『太正』の街並みの中に佇む紅蘭。いつのまにか銀座四丁目交差点に移動している。『太正』の大帝国劇場は四丁目交差点にあるため。

 

紅蘭:……わたし……

紅蘭:……ウチ……

 

フェードでカット切り替え。紅蘭の表情にグッとクローズアップする。瞳に虹彩が戻り、頬がやや紅潮する。

 

紅蘭:ウチ……ウチは……!

 

一拍置いて……

 

ブワッ!とストロボが焚かれたような音と共に白フラッシュでカット切り替え。元の『大正』時代の景色の中にいる紅蘭。グッと引いたカメラで、道の先(大神が去っていった帝国ホテル方面…画面左側)を見ている紅蘭。

 

フェードでカット切り替え。カメラをグッとクローズアップし、紅蘭のバストアップを映す。引き続き左向き。祈るような調子で、無意識に両手を胸に引きつけている。

 

キュイーン!という普段のゲーム中の霊力匣転送音と共にフェードで差分切り替え。首をやや下に傾げ、胸に引き寄せた両手をやや前に出し、見つめる紅蘭。

 

紅蘭:……?

 

フェードでカット切り替え。紅蘭の視点。開かれた両手。右手に左手が添えられている形なので、右手が内側。右手のひらの中には、霊力匣がひとつ載っている。

 

紅蘭:……

紅蘭:……大神はん……!

紅蘭:……みんな……!

 

一拍の間ののち……

 

パ……パ……パ……と連続でカット切り替え。ふと今日の思い出が蘇ってくる。ビジョンを見たようなフラッシュバックではなく、今日の思い出を振り返っているので、ちょっと長めの表示。

 

①大学の書類

②コーヒーカップを前にする紅蘭と策杏の絵

③パーラーで三人で食事をしている様子

④船の上、甲板に出た紅蘭

⑤船上での家族の食事

 

表示が終わると、パッとカット切り替え。紅蘭の顔のアップ。やや下からの煽りのアングル。若干の焦りが混じった、呆然とした表情。

 

カチャリ……という音とともにフェードでカット切り替え。紅蘭の視点。懐中時計を持った右手。

 

紅蘭:……(決意の表情)

 

フェードアウト。

 

しばしののちに……

 

フェードでカット表示。夜の日比谷公園。開園初期の非常に優美な様子を、まずは引きのショットで見せる。高い位置から眺めた当時の写真があるので、参考に。水の音や虫の声がする。また、かすかな音量で遠くから室内楽のような優しげな音楽が聞こえてくる。帝劇夜のテーマなどが良いかも。

 

パッとカット切り替え。音楽堂の周辺を引きのカットで。先程よりも室内楽がやや音量を上げる。近づいてきた。音楽堂でバンドが音楽を奏でている様子。策杏と香燕が歩いている様子が、小さく映っている。

 

パッとカット切り替え。並んで歩く策杏と香燕二人のショット。二人の向こうには音楽堂が見える。画面に対して奥の方にいる策杏が、手前にいる香燕の方を見ながら、話しながら歩いている。

 

香燕:(安堵の吐息をつくような調子を頭に入れて)それじゃ紅蘭……やってみるって?

策杏:ああ。なんとか……伝わったと思うよ。僕たちがどう思ってるか……

香燕:……そう……

香燕:……良かった……本当に……

策杏:……うん。……貿易の仕事にも意味はあるけど……

策杏:……なにも、あの子がやらなくてもいい。必要なことは、別の誰かがやるさ。

香燕:さっきのお芝居も、紅蘭が観たいって?

策杏:ああ。……まあ、最初はいいって言ってたんだけど……

策杏:そういう、約束をしたからね。

策杏:これからは、気になったものには素直になるっていう。

香燕:あの子、自分の楽しみを後回しにしがちだから……

策杏:そういうのは、今日でもう終わりさ。

策杏:今度こそ、紅蘭には……

 

タッタッタッタ!と走ってきた靴音。

 

紅蘭:お父様! ……お母様……!(走ってきたので息切れながら)

 

フェードでカット切り替え。向こうにある音楽堂を背景に、李一家の三人。音楽堂の明かりが他と比較して強めなので、三人はやや逆光気味。全員の身体全体が入る程度のカメラ距離。左側から、策杏、香燕、紅蘭、の順番。紅蘭は胸に手を当て、やや上体が屈んだ状態。息切れている。紅蘭の肩に優しく手を添える香燕。紅蘭に合わせるように、膝に手をつき、やや上体を畳んだ策杏。

 

紅蘭:はあ……はあ……

香燕:どうしたの紅蘭? そんなに走らなくても……

紅蘭:はあ……はあ……

 

一拍の間を置いて……

 

フェードでカット切り替え。紅蘭たち三人を、上体を中心にクローズアップする。三人の表情がよく見える。

 

紅蘭:お父様……お母様……!!

紅蘭:わたし……

紅蘭:ウチ……!

紅蘭:言わんとあかんことが……!!

紅蘭:あ……あの……

紅蘭:ウ……

紅蘭:ウチ……

 

フェードでカット切り替え。紅蘭、香燕の手に顔をのせ……

 

紅蘭:ううぅ……

紅蘭:うぁぁぁぁぁぁ……

紅蘭:あああああぁぁぁ……!!

 

フェードでカット切り替え。香燕、紅蘭をなだめる。

 

香燕:紅蘭、落ち着いて。大丈夫だから。ね?

策杏:紅蘭……

 

紅蘭:うう……うぅ……!!

紅蘭:お父様……お母様……!

紅蘭:わたし……行かなきゃ……!!

紅蘭:行かなきゃダメなの……!!

 

フェードでカット切り替え。紅蘭、一旦身体を離し、香燕と顔を見合わせる。紅蘭、涙顔で真剣な顔。

 

香燕:行くって……どこに?

策杏:……大学のことなら……

紅蘭:……

紅蘭:……行かなきゃ……!

紅蘭:みんなが……待ってるから……!

紅蘭:行かなきゃダメなの……!

 

香燕:紅蘭……

 

紅蘭:お父様……! お母様……!

紅蘭:わたし、お父様とお母様と、一緒にいられて……

紅蘭:うぅ……!!

 

フェードでカット切り替え。紅蘭、香燕にすがり、強く抱きしめる。奥側には策杏もいる。三人で抱き合うような格好。

 

紅蘭:嘘みたい……こんなの……!

紅蘭:でも……やらなきゃいけないことが……!

紅蘭:やらなきゃいけないことがあって……!

紅蘭:わたし……! わたし……!!

策杏:紅蘭…… 紅蘭……!

 

フェードでカット切り替え。カメラ位置をやや変更。策杏の表情を中心に捉えたショット。紅蘭は深く俯いている。

 

策杏:紅蘭、それは……どうしても、やらなきゃいけないことなのかい?

紅蘭:うううぅぅぅ……!

策杏:紅蘭……答えてくれ。どうしても、やらなきゃいけないことなのか?

紅蘭:ううううぅぅぅ……

紅蘭:……

紅蘭:……うん…… みんなが……待ってるから……

策杏:みんなのために?

紅蘭:……

 

フェードでカット切り替え。内袖で目元をこすり、涙を拭う紅蘭を正面から。一瞬表示してフッとカット差分切り替え。腕を下ろし、決然とした表情の紅蘭。

 

紅蘭:ううん……違う。

紅蘭:わたし……迷ってたの。わかんなくなっちゃって。

紅蘭:本当に、好きなこと、続けてもいいのか、どうか……

紅蘭:……

紅蘭:わたしが好きなことをしたら、みんなに迷惑がかかるんじゃないかって……

紅蘭:わたしのせいで、みんなが不幸になるんじゃないかって……

紅蘭:……

紅蘭:でも……

紅蘭:わたし……今日まで知らなかったよ……

紅蘭:わたし……好きじゃないことしてるとき……

 

ここで思わず笑い顔。

 

紅蘭:すごく、つまんなそうな顔してるってこと……

 

フェードでカット切り替え。策杏と香燕。正面からではなく、斜め前から。

 

策杏:……(苦笑)

香燕:……(苦笑)

 

カチャ……という音とともにフェードでカット切り替え。再び紅蘭の手中にある懐中時計。

 

紅蘭:お父様も、お母様も……

紅蘭:わたしが、好きなことしてる方が、いいって……

紅蘭:わたしが人を幸せにするには……

紅蘭:結局……わたしが好きなことをするしかないって……

紅蘭:言ってくれてたから……!

 

フェードでカット切り替え。今一度紅蘭の姿を正面から。決然。勇猛!

 

紅蘭:わたし、やってみるよ!

紅蘭:もう、逃げない!

紅蘭:自分から……自分が好きなことから……もう逃げない!!

 

フェードでカット切り替え。策杏と香燕。二人が顔を見合わせている。紅蘭の言葉に少し驚いている。

 

策杏:……

 

フェードでカット差分切り替え。二人とも、紅蘭の方を見る。表情を変更。心底安心した微笑。

 

策杏:それなら……

策杏:それなら、いいんだ……

 

パアア……という音とともにパッとカット切り替え。三人が一緒に写ったショット。紅蘭に異変。発光し始める……

 

香燕:紅蘭……?

紅蘭:行かなきゃ……!

紅蘭:もう……行かなきゃ……!!

 

フェードでカット切り替え。居住まいを正す紅蘭を正面から捉えたカット。せめて微笑もうとする。

 

紅蘭:お父様……お母様……

紅蘭:わたし……

紅蘭:……

紅蘭:この旅行、すごく楽しかった。

 

フェードでカット切り替え。策杏と香燕。二人とも、紅蘭の異変に戸惑いながらも……フッとフェードで表情を変更。紅蘭に応えるように微笑む。

 

策杏:また来よう。

香燕:みんなでね。

 

フェードでカット切り替え。再び紅蘭を正面から。紅蘭、気丈にも微笑み続けている。

 

紅蘭:……

紅蘭:……うん。

 

フェードでカット切り替え。策杏と香燕。二人とも、神妙な面持ちだが、紅蘭に答えてなんとか微笑んでいる。

 

二人とも、フッと微笑みから心配そうな表情になり……

 

策杏:紅蘭……!

 

フェードでカット切り替え。今一度光り始めた紅蘭のショット。今度は横から捉えたショット。紅蘭は胸に手をやっており、霊力匣が握られている。もはや微笑んではおらず、真剣な面持ちで最後まで両親の方を見つめたまま……

 

紅蘭:お父様……お母様……

 

光が広がり……

 

紅蘭:ありがとう。

 

ホワイトアウト……ファアアア……という音が高まり……頂点で……!!

 

パッと無音に。真っ暗闇かとまごうほどの『太正』帝都の現在の様子。地に伏したイルミくん。無音と思いきや、やがてゴゴゴゴ……という地鳴りのような音が低く響いていることがわかる。

 

カンナからは離れ、地面に内股で膝をつき、泣きはらしているアイリス……の姿をやや上から見下ろすアングルで。今だ涙が頬を伝っている。尚、画面はやや斜めに傾け不安な心理を暗喩する。パ……パ……と本話冒頭の沈痛な面持ちの花組カットを繰り返し表示。そして……

 

パッとカット切り替え。憔悴した表情のままオロオロと顔を上げたアイリス。の様子をやや下から見上げるアングルで。目に虹彩がない。

 

アイリス:……

 

フェードでカット切り替え。立ち上がったアイリスを横から捉えたショット。左向き。ヨロヨロと歩き出している。

 

アイリス:……

 

フェードでカット切り替え。アイリス、呆然とした表情のまま力なくイルミくんに触れる。

 

アイリス:……

 

しばしの間ののち……

 

アイリス:……紅蘭……

 

バッ!という激しい衣擦れの音とともにパッとカット切り替え。突然カッ!と全身をいからせたアイリスが首を伸ばし頭をもたげて見返り、どこか虚空を見据えて叫ぶ。未だ瞳に虹彩はない。まるでトランス状態。

 

アイリス:紅蘭……!!

アイリス:紅蘭っ!! 紅蘭っ!!

カンナ:アイリス!

 

スッとフェードアウトで一旦暗転。

 

レニ:アイリス……!?

すみれ:どうしたんですの!?

 

カタッという靴音とともにフェードでカット切り替え。カンナが画面右側からアイリスの背に手を当てている。アイリス、瞳に虹彩を取り戻し、カンナと目を合わせている。アイリスはヨロヨロと前かがみで、両手を無意識に祈るような形で胸に引き寄せている。紅蘭と同様。

 

カンナ:大丈夫かアイリス?

アイリス:声……!

アイリス:声がする……!

カンナ:声……?

アイリス:そう、声だよ! 紅蘭の!

カンナ:……

アイリス:聴こえるでしょ!?

カンナ:いや……

 

フェードで差分切り替え。アイリスの顔の角度を変え、周りにいる他の花組メンバーを見る。

 

アイリス:声だよ……! 紅蘭の声だよ!!

大神:マリア、どうだ!?

マリア:……いえ……私は何も……(悔しそうに)

 

フッとフェードで差分切り替え。アイリスの瞳から虹彩をなくす。

 

アイリス:紅蘭……! こうらん……!

 

バサッと座り込む音とともにフェードでカット切り替え。イルミくんのそばに寄り、イルミくんに向かうように祈りのポーズになったアイリスを少し上から見下ろすようなアングルで。位置的にイルミくん自体はカメラの背後だが、イルミくんがある場所だとわかるように、地面の様子をしっかり描写。アイリスの瞳にはまだ虹彩がない。

 

アイリス:こうらん……! こうらん……!

 

一拍の間ののち……

 

フワー……っというオーラ系の音がかすかに聞こえてき始め、同時に若干アイリスが光を放ち始める。フォトショのグロー効果まんまなイメージでOK。内側から若干の光が生じる……生じ始めた……と思った瞬間……

 

ピタッと無音になり、パッと暗転。一拍の間ののち……

 

パッと画像表示。アイリスの視点。紅蘭と同じような調子で、手のひらに霊力匣が出現している。紅蘭とアイリスとでは、手の開き方や、手首のくっつけ具合などが違う。こういう部分に個性が出るので、彼女ららしい仕草を出すように。紅蘭も案外女子女子しいが、アイリスの方がさらに可憐。開かれた両手。右手に左手が添えられていた形なので、右手が内側。右手のひらの中には、霊力匣がひとつ載っている。

 

アイリス:……!(驚きの表情)※言葉になっていない息遣いを

アイリス:……!(決意の表情)※言葉になっていない息遣いを

 

フェードでカット切り替え。霊力匣を顔の前に掲げ、それに向かって祈りを捧げるアイリスの様子を横から捉えたショット。アイリスは紅蘭と違いキリスト教(おそらく)なので、エリカくんらと同様に、よりはっきりと祈りを捧げる形になる。当然目は閉じている。左向き。帰還を目指す紅蘭は主に右向きに進むので、それに対応して迎えるような形。横長の画像で、右から左へとゆっくりパンする。最初はアイリスの顔は写っていないが、左に向かってパンすると、祈る様子も全て把握できる。

 

アイリス:……

 

一拍の間を置いて……

 

フェードで暗転。

 

アイリス:……こうらん……

 

一拍の間を置いて……

 

アイリス:……ここだよ……!

アイリス:……紅蘭……!

 

一拍の間を置いて……

 

ファアアア……!!という、『大正』の紅蘭が光に包まれたときと同じ効果音が始まる。音が始まった……この音は……あ!とプレイヤーが感じる瞬間!ぐらいのタイミングで……

 

パッとカット表示。レニの横顔を大きくクローズアップ!右向き。アイリス視点でいうとレニはイルミくんやアイリスの左側にいる。イルミくんとアイリスの中間地点を見て、ハッ!と息を飲む驚愕の表情を浮かべている。メッセージウィンドウなしで「!!(ハッ!!)」という息遣いを再生する。

 

やがてレニの顔に(若干緑色の光の混じった)光の照り返しが現れ、強くなっていく。

 

パッとカット切り替え。イルミくんとアイリスの中間地点を捉えたカメラ。何やらぼんやり人型……?に光が集まっていく……!だんだんだんだん集まって、光が強くなり、強力なストロボ効果が現れるほどにも強力な光になり……

 

パッと無音&暗転。一瞬の間ののち……

 

バシュウウウウウウウウウウ!!!という激しい衝撃音と共に激しいウィグルを共って、パッと一気に真っ白ストロボフラッシュ!そしてフラッシュが晴れカット表示。紅蘭が出現している!しかし身体が半透明になって、透けている。イルミくんに寄りかかるようにして、目を閉じ、昏睡状態の紅蘭。ぐったりと手を投げ出している。

 

アイリス:紅蘭!!

 

ファ……という音とともにパッとカット切り替え。紅蘭のバストアップ(倒れこんでいるが)をクローズアップしたカット。アイリス視点。紅蘭に触れようと伸ばしたアイリスの両手が、紅蘭をすり抜け、中に突入してしまっている。

 

アイリス:……!!

アイリス:ダメ……触れない……!

アイリス:すり抜けちゃう……!!

 

ファ……という音とともにパッとカット切り替え。アイリスに続き、紅蘭に向かって伸ばされたレニの右手。紅蘭の顔に触れるものの、やはりすり抜けている。

 

レニ:……!(厳しい表情)

 

パッとカット切り替え。大神に向かって叫ぶレニの顔をやや下のアングルから。

 

レニ:隊長!! レジオトロンだ!! 急いで!!

大神:!! わかった……!

 

カツッ!と激しい靴音とともにカット切り替え。地を蹴る大神の足元。右向き。振り返って紅蘭たちとは反対側、光武の方に向かって走り出した。サッと右から左へ高速でパンさせても良い。一瞬表示して……

 

パッと暗転。

 

バシュウウウウウ!とコックピット解放音。

 

ガチャガチャラチャラ……!!と霊力匣が嵌められた音。とともに通常ゲームプレイ画面表示。

 

大神:いいぞ! レニ! 始めていいのか!?

レニ:大丈夫……! 今こっちの観測盤を……!

 

フェードアウト。

 

ガシャ!という機械の一部をひっぺがす音がする。

 

レニ:接続は千切れている……

レニ:でも基部は……!

 

再びガシャ!という音とともにパッとカット表示。金の観測盤を引き出し、紅蘭の頭のそばに設置したレニの両腕。金の観測盤はイルミくんに立てかけられるようにして置かれている。観測盤からはケーブルが多々伸びているが、ほとんどが途中でちぎれてしまっている。

 

レニ:隊長!! 今だ!!

 

ギュオーーーン!!通常のようにゲームプレイ開始!ごく簡単だが、ちょっと考える短い手。紅蘭の霊力匣を揃える。制限時間あり。一分以内のスピード勝負。(場合によってはもっと早く。難易度と緊張感との兼ね合いで設定)なお、このゲームは開始タイミングをボタン入力待ちなどせず、画面が遷移してきた途端、問答無用で開始する!

 

アイリス:お兄ちゃん急いで!! 紅蘭が消えちゃう……!!

 

アイリスのセリフを機に、制限時間を表示。短い制限時間がすでに減り始めているという状況にする。切羽詰まった急な事態だということをプレイヤーにも体感してもらう。

 

大神:必ず連れ戻す……!!

大神:……頼む……間に合え!!

 

手が揃えられなかった場合、即座にパッとカット切り替え。紅蘭を表示し、バシュウウー!と光の粒子として散らし、即ゲームオーバー。もう一度挑戦するかどうかの選択を表示。復帰した際はゲームプレイ開始!からすぐ再開する。

 

手を揃えられた場合、先に進む。

 

バシーーーーーーン!!霊力匣……の中のキューブが転送される。

 

大神:よし!! どうだ!?

 

ストロボ白フラッシュフェードでカット切り替え。金の観測盤。枠部分の多角形が高速回転!すると空っぽの盤面がバシュウ!!と発光し、紅蘭が持っていた霊力匣が出現する。霊子オーラで空中に浮かんでいる霊力匣が発光しながら回転を始める。ゆっくり始まった回転が高速回転に!

 

高速回転する霊力匣から稲妻のようなものが迸る!バシィ!!バババシィ!!ババババババシィ!!とどんどん強くなる稲妻。

 

ビジ!と画像が乱れるようにして、パッとカット切り替え。半透明の紅蘭の全身を、やや上の位置から見下ろすようにして、引きのカメラで捉えたショット。ビビ!ビビジ!と、大正世界の紅蘭が太正世界を垣間見た時のノイズと同じ演出で紅蘭のショットにノイズが走り、実体を持った紅蘭の画像がサブリミナル的に混じる……実体を持った紅蘭は寝そべっておらず、地面に屈みこんでいる。膝を曲げ、腰を落とし、上体を前のめりに屈ませ、何かに祈るように合わせたを両手を胸の前で固くぎゅっと握っている。目は苦しそうに閉じている。

 

バシュウウウウウウウウウウウウン!!!とひときわ大きな衝撃音&ウィグル&ストロボフラッシュでカット切り替え。紅蘭が完全に実体化する。白フラッシュが明けていくと同時に、足元から上体へとカメラがパンすると……紅蘭の全身が現れる。紅蘭は左手を顔の前に掲げ、何やら眩しそうな様子で、苦しそうな表情。眉根を顰め、片目を閉じている。右手は軽く握り、胸の前に。

 

と同時に『ゲキテイ』……のイントロを流す。その後ドラムロールでずっと勇壮なリズムが流れてる……というのが出来たらいいなぁ……。

 

アイリス:紅蘭っ!!

紅蘭:アイリ……

 

フッとフェードアウトしながらカメラを上にパン。紅蘭が倒れこんだ、という演出。

 

ドサッ!という音とともに、カット表示。アイリスに抱きとめられ、あらためて地面に寝そべる紅蘭。アイリスは聖母マリアのように紅蘭を抱きとめている。頭を膝に載せ、撫でている。紅蘭は急速に眠気が来たかのように、苦しげに目を閉じている。

 

フェードでカメラをフッと引く。花組の背部や後頭部も見切れて何人か混じる。自然とカメラに入る範囲内で、花組全員が寄ってきていることを示す。

 

カンナ:紅蘭!!

レニ:紅蘭……!

さくら:紅蘭……!

紅蘭:うぅ……

 

フェードで差分切り替え。紅蘭、うっすら目を開く。

 

紅蘭:アイリス……みんな……!

大神:紅蘭、大丈夫か!?

紅蘭:……大神はん……!

アイリス:紅蘭……!

 

ギュッという音とともにフェードでカット切り替え。アイリスが上体を起こした紅蘭に抱きついているカット。紅蘭、感無量で目を瞑り、アイリスの頭をグッと胸に抱いている。

 

紅蘭:アイリス……!

紅蘭:ありがとな……アイリスの声が……

紅蘭:アイリスの声が聞こえたから……ウチ……帰って来てん……!

アイリス:聞こえたよ……! 紅蘭の声、アイリスにも聞こえた……!

紅蘭:……ありがと……ありがとな……!

アイリス:……!

紅蘭:……

紅蘭:……せや……!

 

パッとカット切り替え。アイリスから一旦身体を離し、周りを見る紅蘭。虹彩に光なし。焦燥の極み!という表情。アイリスは紅蘭の左手を両手でぎゅっと握っている。画面左手前側には地面に膝をついてかがみ込んだ大神。カメラに背を向けている。

 

紅蘭:大神はん、あれから……!!

紅蘭:あれから……どのくらい経った!?

大神:……あれから……?

大神:……たった今だ。

大神:紅蘭、君が消えてから、すぐだ。数分だ。

大神:みんな気が動転してたが、アイリスが君の声を聞いたと言い出して……

 

ほんの一瞬の間ののち……

 

ガシャ!という瓦礫をどかす音&ウィグルともにパッとカット切り替え。地面に膝をつき姿勢を低くしてイルミくんの様子を調べる紅蘭。紅蘭の顔がカメラに見えるように。依然虹彩なし。カチャカチャと機械いじりの音も再生する。

 

紅蘭:焼き切れてしもうとる……

紅蘭:……

紅蘭:……けど、部品はある……!

紅蘭:いける!! 直せる!!

 

バッ!という衣擦れの音とともにカット切り替え。肩越しに振り返った紅蘭。左側から。横目でギリみんなの方を見ながら叫ぶ紅蘭の肩より上を中心に捉えたショット。瞳に虹彩が戻っている。

 

紅蘭:大神はん! みんな!

紅蘭:イルミくんを直して、もう一回起動させる!!

 

一瞬の間ののち……

 

さくら:そんな……!

織姫:なにがあったかわかってないですか!?

紅蘭:今度こそ……

紅蘭:今度こそ成功させる!!

紅蘭:せやからみんな……

紅蘭:……もう一回……!

紅蘭:どうか……もう一回、ウチのこと……!

すみれ:信じてますわよ。

 

フェードでカット切り替え。すみれのカット。すみれさん、紅蘭に対して身体を横向きにして立っており、首を紅蘭とは反対方向に傾げ、なんならちょっと挑発的に紅蘭を見る。カメラに対しては身体は正面を向いており、左手を腰に当てている。藤島感のあるポーズ。素直でない姿勢。

 

すみれ:随分いい顔してるじゃありませんの。なにがあったか知りませんけれど。

 

スッとフェードでカメラを引くと、アイリス以外の花組全員がカメラに収まる。紅蘭を取り囲むように近づいていたため、若干の輪になりながら、みんな横並びに並んでいる。決然とした表情、笑顔、など、表情は様々。以下、表情指定。さくら、戸惑い。レニ、真剣な面持ち。すみれ、カメラを引いただけなのでそのまま挑発的な笑顔。大神、決然とした表情。再び正義の炎を燃え滾らせている。カンナ、再挑戦への気概を見せる挑戦的ニヤリ笑顔。織姫、腕組みの姿勢から片手を上げ、顔に添えるようにして覆っている。泣いているのを一応隠しているが、バレバレ。マリア、大神と同じく決然とした表情。しかしこちらは極低温のクール寄り。敵を打破するためにどんどん冷静になっている。

 

すみれ:やってやりますわよ。ね? 中尉。

大神:……

大神:紅蘭……本気なのか?

紅蘭:……うん……ウチの身に起こったこと……

紅蘭:ウチ、ハッキリ原因がわかってん。

紅蘭:説明は、しづらいねんけど……

紅蘭:……

紅蘭:……もう、迷わへん。

大神:……

紅蘭:……

大神:……わかった……

大神:紅蘭……君がやるというのなら、俺たちは君の指示通りに動く。

大神:だから……

 

フェードでカット切り替え。今一度紅蘭のカット。真剣な面持ち。

 

大神:今度こそ……何としても……

大神:切り札を起動させるんだ……!

大神:……また消えるのだけは禁止だ。

 

フッと紅蘭の表情を感じ入った笑顔に。

 

紅蘭:大神はん……みんな……!

大神:よし……いくぞみんな……!!

大神:今度こそ……何としても成功させる……!!

全員(顔アイコン代表、紅蘭。笑顔で):了解!!

 

フェードアウト。

 

しばしの間を置いて……

 

バシュ……バシュ……!と壊れかけのモニターの音とともにパッとカット表示。第11話で使用した蒸気ボイラーの説明画面再び。しかし今回はモニターの枠が損壊しており、画面も汚れている。と言っても、正直キネマトロン画面の仕組みはよくわからないので、破損状態を表現しようとして、明らかに“ブラウン管”っぽくなったり“液晶モニター”っぽくなったりしないように注意する。案外そういうのを配慮なしに表現してしまうと結構違和感出ると思うので、画面の表面だけをうまいこと汚して、お茶を濁すように。

 

日比谷ボイラー以外のボイラーが赤く表示され、破壊されたことを示す。

 

紅蘭:あかん……! ボイラー網がやられとる……!

 

パッとカット切り替え。日比谷ボイラーのボイラー設備の様子。第11話の繰り返し……だが、状況が変わっている。

 

ゴオオオオオオオオオ……!バシューーーーー!!とまずボイラー本体描写。やや火が落ち着いている。

シューーーー……と、弱めの蒸気音とともに次は入り組んだ配管を描写。

シューーー……ともう一つ違う場所、より地上に近い場所の配管。

圧力メーターを表示。表示が下降し、青に近いラインになっている。

ゴオオオオオ……とスリットが入った蒸気の噴出孔がある。スリットは展開しているが、蒸気はほぼほぼ消えている。

 

パッと元のモニター画面に戻す。

 

紅蘭:ここしか使えへんかったら……出力が足りひん……!

紅蘭:蒸気がないことには……

紅蘭:……

 

バシャァァァァ!!と水エフェクトとともにカット切り替え。低く腰を落とし、そのまま地面にへたりこむようにくずおれた水虎。と、水虎に支えられた御婢子狐。どちらも満身創痍。二人とも子供のような体格になってしまっている。

 

水虎:蒸気……?

紅蘭:……!!

水虎:蒸気がなんだと……!?

 

シャン!という鈴の音とともにカット切り替え。右手にキラキラと砒霜を握り込み、構えている紅蘭。握りこぶしの右手を前に出し、左手で念を込めるように支えている。

 

紅蘭:砒霜をわけてもろうとる……!!

紅蘭:痛い目に……

紅蘭:痛い目にあいとうなかったら……!!

水虎:はっ……無駄だよ……!

水虎:オイラたちが本気を出しゃあ……

水虎:そんなもん……なんの助けにもならねぇ……!

水虎:んなこた、わかってんでしょうに……

紅蘭:……黙れ……!!

 

フェードでカット切り替え。元の水虎と御婢子狐のカットに戻す。

 

水虎:……蒸気がありゃいいのかい……?

紅蘭:なんやて……!?

水虎:答えなよ。蒸気がありゃいいのかい?

紅蘭:……

水虎:……ったく…… ……姐さん……

御婢子狐:ああ……

御婢子狐:……(表面的には浅くかすかな、しかし深い深い諦念が滲んだ、苦い嘆息)

御婢子狐:仕様がないたあ……このことさ……

御婢子狐:他にやることも無くなっちまった……

紅蘭:あんたら……何を……?

水虎:なあ……眼鏡の姉さん……

水虎:おいらたちの力はこれで最後だ……

水虎:無駄にしないでおくれよ……

 

バシャァァァァ!!と水エフェクトとともにカット切り替え。取り残された紅蘭の呆然とした表情。一筋の冷や汗。右手は先ほどの位置よりも下ろされている。目には虹彩あり、水虎と御婢子狐の意外な行動に強く戸惑いながらも、希望を感じている。

 

バシャア!ボオォ!と水と火の音と共にカット表示。日比谷ボイラー本体の直上に躍り出た水虎と御婢子狐。水虎は水エフェクト、御婢子狐は炎エフェクトを飛び散らせて。

 

ショワーーン、ビシュウゥ!とフェードでカット表示。水虎、御婢子狐それぞれが青いオーラ、赤いオーラとなり、蒸気ボイラーの中に入っていくショット。

 

ゴーーン……と重い衝撃音。とともにカット切り替え。日比谷ボイラー本体の基本ショット。フッと火が消えて、暗くなる。しかし……

 

ドオオオオォォォォン!と爆発音のような音ともに一気に強力な火が起こり、今にも爆発するほどに燃えたぎる。衝撃波エフェクト&白フラッシュなども併用して、一気に爆発したということを表現。カッ!と全体が明るくなる。爆発と同時に激しい炎上音がボオオオオオオオオオ!!となり続ける。

 

バシューーーーー!!ともう一つ違う場所、より地上に近い場所の配管。一瞬だけ。

 

圧力メーターを表示。表示が一気に上昇し、真っ赤なラインに。

 

ドーーーーン!ドドーーーーン!と爆発音&ウィグルとともに、パッとカット切り替え。蒸気パイプラインが箇所箇所で爆発している様子を2枚ほどパパッと見せる。

 

パッとカット切り替え。モニターを見つめる紅蘭の驚愕と苦渋の表情を正面から捉えたショット。メッセージウィンドウなしで『!!(ハッ!)』という息遣いを入れる。

 

パッとカット切り替え。モニター画面の様子。日比谷ボイラーと周辺のパイプラインが赤く点滅している。

 

紅蘭:あかん……!! 強すぎる!!

紅蘭:パイプラインがもたへん……!!

 

パッとカット切り替え。制御盤を操作する男の腕。着物を着ている。制御盤はアナログレバーが多め。各種メーターなど大量についている。グイーーン……というアナログレバー操作音。

 

バシン!バシン!と別の場所でこちらはオンオフ系の制御レバーを倒す、こちらは黒子の腕を2連続で。

 

パッとカット切り替え。モニター画面の様子。日比谷ボイラーと周辺のパイプラインが点滅し、緑に変化する。

 

紅蘭:……!?

紅蘭:治った……?

加山:それで開放できるのか?

 

ビシュ!ビシュビシュ!カッ!カッ!カッ!という忍者音とともにフェードでカット切り替え。紅蘭の周りに月組黒子部隊が展開している……と思った瞬間……

 

カッ!という音とともにパッとカット表示。地面に降り立った加山の脚をアップで。右足から降りている。一瞬表示したのち……

 

パッと元のカットに戻る。すると加山が現れている。紅蘭の近くに来ているが、紅蘭の方は見ておらず、すでに腕をあげて黒子部隊に指示を出している。

 

加山:駆け車!!

月組:ハッ!(複数人の掛け声)

紅蘭:加山はん!!

 

フッとフェードでカット切り替え。腕を上げた加山を後ろから捉えたショット『サクラ大戦2』終盤での加山をオマージュしたカット。あの時は防衛線を表して腕を上げていたが、今回も似たような仕草になっている。後ろを見返る形で話している。

 

加山:パイプラインの制御は月組に任せて……紅蘭さんは、切り札の制御に全力を……!

紅蘭:おおきに加山はん……!!

加山:いえいえ。実際に制御してるのは、俺じゃないんでね。

紅蘭:……?

 

パッとカット切り替え。再び制御盤を操作する男の腕。着物を着ている。先ほどとは違う場所。右腕である様子。グイーーン……というアナログレバー操作音。

 

バシンバシン!とパッとカット切り替え。別の場所で横に連続して並んだオンオフ系のレバーを次々に倒しているらしい左腕の様子。

 

バシューー!!という音とともにパッとカット切り替え。大きく両腕を広げ、必死で制御盤を操作する青木保治郎の姿を背後から。左右には月組が付いており、彼らも何らか操作している。一瞬表示した後……

 

バシューー!!という音とともにパッとカット切り替え。メーター類を見つめる青木保治郎の表情を正面から大写しに。必死の形相。

 

紅蘭:青木先生が……!

 

パッとカット切り替え。元の加山のショット。

 

加山:彼以上の適任者はいませんからね。

加山:ま、大審院からすぐ目の前のここまで来るのに……

加山:赤坂まで飛んじまったのには参りましたけどね……

紅蘭:加山はん……

 

フッと加山の表情を変え、真顔に。

 

加山:それと……これを。

 

シュ!という物を投げる音とともにフェードアウト。

 

パシ!という物をキャッチする音とともにパッとカット表示。紅蘭が両手で何かをキャッチしている。両手の中に収まるほどの大きさのもので、両手ですっぽりしまっているので、何なのかは見えない。加山の投げ方が上手いので、紅蘭も苦せず受け取れている。

 

紅蘭:……!

紅蘭:……これは……?

 

フェードでカット切り替え。紅蘭の表情をアップに。顔をアップにしているので、手元は写っていないが、手の中のものを見つめているらしい角度の表情。虚を突かれたような表情から、スッと気が引き締まった決然とした表情へと変化する。

 

紅蘭:……

紅蘭:加山はん……おおきに……!

紅蘭:……

紅蘭:今度こそ……!

 

フェードアウト。

 

パッとカット表示。光武紅蘭機。上のカメラアイが取られている。基部だけ見えている様子がわかるように。

 

フェードでカット切り替え。光武紅蘭機の無くなったカメラアイの位置とそのまま同じ箇所に出現する、とろりと光るカメラアイ。イルミくんに取り付けられた紅蘭機のカメラアイをアップで表示する。

 

ガシュウーーン!という音とともにパッとカット表示。イルミくんが立ち上がり、元の位置に戻ったカット。

 

この後、第11話のイルミくん準備モンタージュカットを繰り返す。もう一度!を強調。

 

バシュー!と、イルミくんにケーブルを接続した瞬間の様子。ケーブルの色が変わっている。

 

バシュー!と、イルミくんにケーブルを接続した瞬間の様子を、続けてもう一箇所。今度は肩部などが良いか。要は、ちょっとイルミくんの顔の一部を見せるのが目的。

 

カチッ!っと紅蘭の手が何かバックパックの装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。この先全く違う構図の、しかし紅蘭が手慣れた様子でペチペチ!っとスイッチを入れて行く様子を三連続。

 

カチッ!っと紅蘭の手が何か装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。二箇所目。

 

カチッ!っと紅蘭の手が何か装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。三箇所目。

 

キュオーン……ヴォーーン!と、キネマトロンディスプレイの照り返しを受けた紅蘭。カチカチと何やら操作している。やや横顔気味。首の向きや目線は、胴の向きや手元からは離れているのがポイント。複数作業を同時進行していることが一発でわかるスタイルに。両手も離れており、別々の場所を操作している。

 

フェードアウト。

 

パシュー!と蒸気音をさせながら、ゆっくりとフェードで画像表示。イルミくんの自動手動切り替えスイッチを今一度見せる。

 

紅蘭:……

 

一拍の間を置き……

 

シャラ……という鎖の音とともに、フェードでカット切り替え。紅蘭の視点。左手のひらに握られた紅蘭の懐中時計。『太正』時代の懐中時計なので、蓋のガラスが無くなっている。しばし表示し……

 

フェードで差分切り替え。スッと懐中時計を優しく握る紅蘭の手。しばし表示し……

 

キュッという衣擦れの音とともにパッとカット切り替え。自動手動切り替えレバーに置かれた紅蘭の右手。

 

紅蘭:……ウチ……

 

一拍の間ののち……

 

パッとカット挿入。再び紅蘭の左手。しかし今度は横から捉えたショット。懐中時計をクッと握り込んだ左手は胸の前にある。大きさ的に手のひらに収まり切りはしない。一拍表示したのち、元のカットへ。

 

パッと元のカット。

 

紅蘭:もう……絶対……!

 

一拍の間ののち……

 

ガシャン!!と大きな音とともにカット切り替え。手動に入ったレバーをクローズアップ。迫力の角度で。

 

バシュウウウウウウ!!キュワーーーーーン!!と発光し始めるイルミくん!第11話の決めカットと同じショット。今回は発光している。再び渾身の勇ましい系BGMを。

 

紅蘭:大神はん! みんな! 準備はええか!?

 

パッとカット切り替え。大神コックピット。

 

大神:ああ……! やるぞ紅蘭!!

 

ドン!とイルミくんを中心にした花組光武勢揃いカット。11話と同様のもの。

 

紅蘭:今度こそ……!

 

カシャ!カシャ!カシャ!と3連続でイルミくんの各種レバーを調整する紅蘭の手。保治郎の様子にも似ている。

 

スッとフェードでカット切り替え。金の観測盤にクッと添えられた紅蘭の手。

 

パッとカット切り替え。紅蘭の顔を正面から。目を閉じ、集中する紅蘭。オーラで髪の毛や服が持ち上がっている。

 

コオオオオオオオオオオオ!という激しいオーラの音が高まり、光が満ち、白フラッシュ!

 

パッとカット表示。円陣を組んだ花組の光武がオーラを放ち光り輝く!!

 

大神:紅蘭!!

 

パッとカット切り替え。同じくオーラに包まれた紅蘭、イルミくんを必死に操作している。第11話と同じようにオーラで髪の毛や服が持ち上がっている。

 

紅蘭:蒸気解放……!!

紅蘭:イルミネイション……

紅蘭:……起動!!

 

バシン!とという音とともにパッとカット表示。大きなボタンを押し込んだ紅蘭の握り拳。

 

バシュウウウウウウウウウウウ!!!とパッとカット切り替え。スリットが展開した排気口から大量の蒸気が噴出している!第11話よりも大量!今回はオーバーロード!!

 

ドドドドドーーーーーーーン!……という大轟音とともにパッとカット切り替え。帝都の遠景。第11話でもあった、原始降魔ヨミと吹き上がる蒸気柱を引きで捉えたショット。だが、今回はより巨大な蒸気柱!規模が拡大している。

 

パッとカット切り替え。氏綱ヘッド。

 

氏綱:まだ何をかするつもりか……

氏綱:これが蒸気の断末魔とは……

 

ゴオオオオオオオオオオオ……という、こちらはダークな音とともにパッとカット切り替え。破壊……というか、侵食されている帝都の様子。降魔傀がモニョモニョと増殖し、触手を伸ばし、建物を包み込もうとしている。上野精養軒が侵食されている。人気(ひとけ)はない。横にじわパンさせる。幻影の桜は鈍くぼんやりと漂っている。

 

オオオオオオ……ともう一箇所。第11話で降魔傀が落ちてきた同潤会アパートメントも、すっかり侵食されている。同じく人気なし。縦にじわパンさせる。同じく幻影の桜が鈍く漂う。

 

パッと暗転。

 

ドドドドーーーーーン!と蒸気噴出音が遠くで地響きのように響く。

 

パッとカット表示。今一度帝都市民の様子。第一話冒頭の長屋の親子。戸口を開けて、外を見ている。

 

子供:蒸気?

 

パッとカット切り替え。親子の視点。遠くに巨大な蒸気柱が出現している。

 

パッとカット切り替え。再び親子の姿。父親が子供の肩を抱き、緊張の面持ちで上空を眺めている。子供も同じく。

 

父親:なんだありゃあ……

 

一拍の間ののち……

 

パッと暗転。同時にドーーーーーーーーーン!キシャーーーーーーーーーーン!という花火のような音と、続いて独特のイルミネーション起動音が遠くで鳴り響く。音が終わらないタイミングで……

 

パッとカット表示。子供の顔をアップで。まるで花火に照り返されているように、顔に光が当たっており、瞳がキラキラ輝いている。笑顔ではない。美しさに畏怖を覚えたかの表情。

 

フッとフェードでカメラを引き、親子二人の姿を映す。二人とも花火を見ているかのよう。

 

父親:あ……

父親:ありゃあ……!!

 

一拍の間を置いて……

 

パッと暗転。再び同時にドーーーーーーーーーン!キシャーーーーーーーーーーン!という花火のような音と、続いて独特のイルミネーション起動音が遠くで鳴り響く。音が終わらないタイミングで……

 

パッとカット表示。外を眺める加山の姿。花火に照り返されているよう。青木保治郎は計器類に集中している。加山もやはり畏怖の表情。

 

加山:青木先生……!!

 

シャーーーーーーーン……と鈴の音のような音が起動音が響き、同時にフッとフェードでカット切り替え。加山に促され、外を見る保治郎。花火に照り返されているよう。眩しさに若干顔を顰めている。

 

保治郎:……

 

一拍の間ののち……

 

パッとカット切り替え。保治郎の瞳のアップ。メッセージウィンドウなしで「!!(ハッ!)」という驚愕の息遣いを入れる。一瞬表示したのち……

 

パッとカット切り替え。外を見る保治郎表情が変わっている。驚愕に目は見開かれ、若干口も開いている。

 

保治郎:……

 

パッとカット切り替え。今度は上空を見上げる保治郎の顔を横から捉えたショット。感きわまる寸前の、なんなら苦痛の極みにも見える痛ましい表情。眉間に力を入れ、歯を食いしばり、なんとか耐えている。

 

保治郎:あれは……

 

パッと暗転。再び同時にドーーーーーーーーーン!キシャーーーーーーーーーーン!という花火のような音と、続いて独特のイルミネーション起動音が遠くで鳴り響く。音が終わらないタイミングで……

 

パッとカット表示。氏綱ヘッドを正面、少し上側から見下ろすようなショット。ある程度離れている。氏綱ヘッドに花火の照り返しのような光が当たっている。

 

氏綱:……な……

 

一拍の間を置いて……

 

パッとカット切り替え。氏綱ヘッドに近寄る。より表情がよく見えるようになる。

 

氏綱:……なんだ……

 

一拍の間を置いて……

 

パッとカット切り替え。さらに氏綱ヘッドに近寄る。より表情がよく見えるようになる。困惑の表情。

 

氏綱:……あれは……!?

 

ゴオオオオオオオオオオオ!と迫力の蒸気音とともにパッとカット切り替え。遂に最終決戦祈祷術・幻武が出現!BGMはまだ。無音。帝都の建物がシルエットで写っている遠景のショットの中、まずは幻武の脚部が出現。幻武はキラキラと虹色のワイヤーフレームのような調子で輝いている。半透明なので、輪郭でない部分も虹色のマーブル模様になっている。ウルトラマンのオープニングの素材みたいな感じ。

 

ゴオオオオオオオオオオオ!と迫力の蒸気音とともにパッとカット切り替え。次に幻武の腹部。ここで既に雲が出ている。極小の鳥の群れを配置して、大きさが対比できるように。でかい。

 

ゴオオオオオオオオオオオ!と迫力の蒸気音とともにパッとカット切り替え。幻武の頭部が出現。あまりに巨大なので普通の光武とは湾曲度が違う。遥か下に鳥の群れがあり、いかに幻武がいかに巨大かということがわかるように。幻武は青木清司が作った模型が映し出されたもののため、頭部は三つ目になっている。あの三つ目の光武だということがハッキリわかるように。

 

ゴオオオオオオオオオオオ!と迫力の蒸気音とともにパッとカット切り替え。遂に幻武の全身。遥か引いたカメラで、足元に帝都の建物の影がある。

 

ドーーーーーーーン!とテロップ表示。『対巨大怪異決戦用次元超克祈祷術・幻武』

 

要は『幻武』なので「幻武」の文字が目立つように。二段にして、文字の大きさ等も変えて。

 

BGMも幻武のテーマが開始する。

 

氏綱:馬鹿な……

 

ゴオオオオオオオオオオオ!と迫力の蒸気音とともにパッとカット切り替え。ここから先、ちょっと特殊なカット。原始降魔ヨミの影からそれに比肩する幻武が出現する様を見せる。

 

まず原始降魔ヨミの背後からのカメラ。超巨大なので遥か何百メートルか離れた場所からのカメラなのだが……。ヨミの影(の右側)から向こうにいる幻武が少し見えている。カメラは右方向へ向かって超高速移動している様子で、画面手前にヨミの触手が少し見えており、それが右から左へ向かって、超高速で移動している。ブラーをかけて、高速感を出す。だが、あまりに対象が巨大なため、原始降魔ヨミ&幻武はほとんど動かない。じり……と少しだけヨミも幻武も動いている。ヨミは左側に、幻武は右側にジワリと移動している。そこで……

 

バシュウウウウ!と蒸気雲を画面に出し、それをワイプとすることで、パッと移動を飛ばし、原始降魔ヨミと幻武がほとんど重ならないような位置へとジャンプさせる。画面手前ではなおもヨミの触手が超高速で移動している。

 

ドーーーーーーーン!と、パッとカット切り替え。ヨミと幻武が向かい合った様子を地上から一枚に収めたショット。右側、上手が幻武。左側、下手がヨミ。遂に花組が上手に回る……!

 

氏綱:なんたる……なんたる不遜……!

氏綱:人間とは……卑小な生物であろうが……!

氏綱:それを……かように巨大な……!!

 

コオオオオオオオ!というオーラ音とともに、パッとカット切り替え。紅蘭の顔を正面から。目を閉じ、集中する紅蘭……の図だったが、今回は目を開いているバージョン。オーラで髪の毛や服が持ち上がっている。

 

コオオオオオオオ!というオーラ音はそのままに、パッと暗転。

 

カシャン!カシャカシャカシャン!!といういつもの霊力匣を動かす効果音。

 

パッとカット表示。金の観測盤に嵌め込まれた霊力匣を紅蘭の手が動かしている。カシャン!といういつもの効果音とともに、サッとフェードで動かしたということがわかるように。

 

コオオオオオオオオオオオ!と激しいオーラの音ともに、パッとカット表示。再び円陣を組んだ花組の光武。が……

 

バシュン!バシュバシュバシュン!と、霊力匣の転送と同じエフェクトで転送される。

 

その後、空中に転送された光武の様子を示すショットに移る。それぞれの光武が合体ロボットよろしく、幻武の各部に配置される。

 

バシュン!シュ!×9機分。バシュン!で空中に転送された光武のショットを正面から。光武はオーラを纏っており、幻武の中に転送され、宙に浮かんでいる。そしてシュ!でカメラをサッと引き、各隊員が幻武のどこに配属されたのかを示す。ここはちゃんと全員分、9機分示す。

 

尚、空中に浮かんでいるのは舞空術を使ってる悟空のようなイメージで、大神とカンナはポーズももろにそれだが、隊員によってそれらしいポーズにする。さくら、カンナ、マリア、すみれ、レニ、アイリス、織姫、大神、紅蘭の順に表示。それぞれテーマカラーのオーラを纏っているのもポイントなので、そこもはっきりさせる。さらに幻武搭乗中は大神も含めた花組全員が、コックピット内部でも各色のオーラを纏いっぱなしになる。コックピットカットが出てくる隊員はオーラ発動状態に。

 

以下、各隊員の配属先の部位とポーズ集。

 

さくら機、右腕・上腕。つま先を伸ばしているが、剣道の足捌きを引きずった直線的な配置。太刀を右側下段に伸ばすように構え、円月殺法の発動前のようになっている。

 

カンナ機、右脚。完全に悟空……あ、クリリンか。気を発して飛んでいるかのよう。両足を開き、両腕を気合い入れポーズに構えている。

 

すみれ機、左脚。砒霜匣が重く、機体が後ろに傾きがちだが、逆に胸を張っているかのようにポージングし、巨大鉄扇を上向きで構え(投げキッスの直前構えスタイル)、カッコつけている。その様子がよくわかるように、すみれ機は完全に正面でなく、カメラに対してちょっと体を傾ける。身体が左上を向いているような調子。

 

マリア機、頭部。既に銃を構えて、狙いを定めている。マリアも身体を横に構えており、前のめりになっているような調子なので、ちょうどすみれ機と裏表のようになる。身体が右下を向いており、大きく左上に向かって右手の拳銃を突き出すような形。足は開いている。

 

レニ機、左肩。ランスを左手で構えている。強い肩!グッと溜めた姿勢。足は大きく開き、踏ん張っているかのよう。

 

アイリス機、腹部中央部、つま先は揃え、身体をやや上向け、両腕を横に広げ、抱きしめ待機状態。慈母のよう。左右対称。

 

織姫機、左腕・下腕。両足を中央で揃え、両腕を左右下段に広げ、身体をやや下向け、真正面から「いらっしゃいませ」と迎え撃つかのような姿勢。悪魔のよう。DIOポーズともいう。ちょうどアイリス機の裏表のような姿勢。ボス感凄い。劇場版の禍々しいバージョンを若干彷彿とさせる……気もする。

 

大神機、心臓部。カンナと同様に悟空ポーズだが、大神は両刀があるので、自然に広げて持っている。

 

紅蘭機、バックパック部。全武装を完全展開している。

 

ドーーーーーーン!と引きのショットで再び幻武の全身像。各部に各隊員のオーラの光が煌めいている。

 

氏綱:呵呵……

 

パッとカット切り替え。氏綱ヘッド。

 

氏綱:呵呵呵呵呵呵……くだらぬ……

氏綱:くだらぬわ……!

氏綱:妖怪どもに懲りもせず……

氏綱:幻影……またしても幻影……

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!という音とともにカット切り替え。ヨミから右腕のような触手が伸び、振りかぶられている。

 

氏綱:そんなものが何になる……!

氏綱:虚仮威し! 気休めそのものだ……!

 

バシュウウウウウウウウウ!!と原始降魔・ヨミからの右腕?巨大な触手が振り下ろされ、幻武が攻撃される!

 

パッとカット切り替え。オーラを纏った紅蘭の顔を正面から。オーラで髪の毛や服が持ち上がっている。

 

紅蘭:大神はん!!

 

ガシャ!という音とともにカット切り替え。大神機のコックピット内、観測盤で何かが揃えられた様子。一瞬表示。

 

キュワーーーーン!と幻武の右腕がさくら色に光り輝く!!

 

バシュウウウウウウウウウウウウ!!という音とともにパッとカット切り替え。右下段から左上段に向かって大太刀を斬り上げた幻武。途中で両断されたヨミの触手。

 

パッとカット切り替え。両断された先のヨミの触手がキュアアアアアアア!という気味の悪い断末魔を上げて、空中で光の粒子となって分解消滅する。さくら色の光!

 

氏綱:な……!!

 

パッとカット切り替え。氏綱ヘッド。狼狽した表情!

 

氏綱:な……!!

氏綱:はっ……!!

 

サッとフェードでカット切り替え。先ほどのポーズのままの幻武。右腕がさくら色に光り輝いている。

 

パッとカット切り替え。幻武と同じポーズをとったさくら機。

 

パッとカット切り替え。さくら機コックピット。氏綱を睨め付けるさくら。

 

氏綱:破邪の血統っ……!!

 

ドーーーーーーン!という音とともに、バシュ!と再び先ほどのポーズのままの幻武に戻る。ブラー&ズームアウト効果で、サッとカメラが一気に引いたように見せる。

 

パッとカット切り替え。再びさくら機コックピット。じわ横パン。

 

さくら:氏綱……お前は人々を襲うだけでなく、妖怪たちをも利用した……

さくら:その上……帝都ばかりか……世界そのものを辱めようだなんて……!

 

ドーーーーーン!と再び幻武の姿。が、今回はヨミ目線。目の前に大太刀の切っ先を突きつけられている!

 

さくら:……外道め!!

さくら:帝都の人々の希望を奪うものは……

 

パッとカット切り替え。さくらの凛々しい表情をアップで。

 

さくら:私たちが、絶対にゆるさない……!

 

ドーーーーーン!と氏綱ヘッド。下からの煽りのカメラで、氏綱がひどく狼狽しているように見える。

 

氏綱:く……

氏綱:ぬぅ……

 

フェードでカット切り替え。紅蘭機コックピット。

 

紅蘭:みんな、調子はどうや!?

カンナ:行けるぜ……!! 力が漲ってくる!!

アイリス:紅蘭……!!

 

バシューーー!という音とともに、カット切り替え。幻武の頭頂部付近を捉えたショット。蒸気が沸き立っている。

 

フェードでカット切り替え。アイリス機コックピット。金色の光に包まれたアイリス。

 

アイリス:アイリス……わかる……!

アイリス:……セイちゃんが……!

アイリス:セイちゃんがいるよ……!!

紅蘭:……清司くんが……?

アイリス:うん……! アイリスたちと、一緒にいる……!

アイリス:セイちゃんも、味方してくれてる……!

紅蘭:……そっか……あの子も……!

紅蘭:……せやったら……

 

パッとカット切り替え。再び紅蘭機コックピット。

 

紅蘭:絶対に負けへんな……ウチらは!!

紅蘭:光武は、あの子の、憧れなんやから……!!

紅蘭:大神はん!! さっきの通りや!!

紅蘭:普段通りの祈祷で、ウチらは氏綱と戦える!!

 

バッ!とカット切り替え。大神機コックピット。

 

紅蘭:行くで……大神はん……!

紅蘭:あのタコをぶっ飛ばすんや!!

大神:ああ……これが最後の戦いだ……!!

大神:行くぞみんな!! 氏綱を倒すぞ!!

全員(顔アイコン代表、さくら):了解!!

 

☆☆☆戦闘パート開始:文月:常世の国/帝都☆☆☆

 

第12話 戦闘パートスタート!! 

 

ラストバトルは特殊戦闘。ゲーム盤の横は通常マップ画面ではなく、超巨大なヨミと幻武が戦う様子が映っている。プレイヤーが何か花組隊員の色を揃えると、幻武の各部位が各隊員の色に光り輝き、各隊員の攻撃方法で攻撃を行う。アイリスは当然回復。いよいよラストバトルだ!!

 

☆☆☆☆☆☆

カンナ:おいおっさん……! よくもあたいたちを裏切ってくれたな……!

氏綱:ふん……見抜けなんだお主らの手落ちよ……!

カンナ:……あたいは最初から怪しいと思ってたさ……!

氏綱:呵呵! ……戯言を……

氏綱:そなたが何を思ったか知らぬが、所詮は……

カンナ:スイカだよ。

氏綱:……何?

カンナ:スイカだよ……!

氏綱:……(絶句)

カンナ:あたいより先に全部食っちまったのはしょうがねえさ……

カンナ:けどそのあとだ……妖怪たちを退治するとか言って……

カンナ:面白がってバシャバシャ余計に投げつけやがって……

氏綱:……(絶句)

カンナ:食いもんを粗末にするような奴が……

カンナ:いいもんなわけがあるかよ!!

氏綱:……な……(狼狽)

カンナ:あたいの蹴りでも……食らいやがれってんだ……!!

☆☆☆☆☆☆

 

☆☆☆☆☆☆

すみれ:ちょっと中尉! どうしてこのわたくしが左脚なんですの!?

大神:え……! お、俺に言われても……

すみれ:では紅蘭、あなたですの!?

紅蘭:え、いや、これは……なんか自然に決まったっちゅうか……

すみれ:この神崎すみれが脚になって戦うだなんて……!

レニ:おそらく、すみれが舞踊の名人で、足捌きの達人だからだ。

すみれ:……(虚を突かれた顔)

レニ:さらにカンナとの相性がいい。

レニ:カンナもまた、足技、足捌きに優れてる……

レニ:達人同士が両脚に配置されるのは、それが最適解だからだ。

すみれ:……そうですの。

すみれ:まあ……カンナさんとコンビ扱いなのは不本意ですけど、そういうことでしたら……

カンナ:おいおいなんだ……ここで始める気か?

すみれ:願ってもいませんことよ、なんでしたら……

大神:おいおい……! 左脚と右脚で喧嘩は勘弁してくれ……!

織姫:本当に相性いいですか?

レニ:ああ。完璧だ。

☆☆☆☆☆☆

 

☆☆☆☆☆☆

四分の三程度のダメージを与えたところで……

 

ギュルルルル!!と右腕(っぽい触手)が復活する。最初にさくらによって切り落とされた触手。ウィグルを伴ってカット切り替え!

 

氏綱:無駄だと……無駄だと言っておろうが!!

氏綱:今やこの地は常世の国と混ざっておる……!

氏綱:儂は……儂らは、無限に再生するのだ……!

 

ファー……という神聖な音とともにパッとカット切り替え。マリア機コックピット。目を閉じて、集中している。タチバナ色の黄色い光に包まれている。

 

氏綱:たとえ触れることできたとて……!

氏綱:それにどれほどの意味がある……!

 

ファー……という音と光が強くなり、白フェードアウト、そして暗転。

 

ゴオオオオオオオオオ!という炎の音と、ガーン!ガーン!という銃撃音。とともにパッとカット表示。ウクライナ時代のマリアのシーン。モスクワの戦闘。瓦礫の影に隠れて銃撃している味方革命軍の同志の背中。

 

ガーン!とひときわ大きな音ともに、味方が吹き飛ぶ。銃撃されたわけだが、血とかはダメ。

 

バタ!という音とともに、仰向けに倒れ、地面に投げ出された仲間の腕先ナメの、画面奥側に革命時の若いマリア。マリアも物陰に隠れ、戦っている。今、視線は画面手前で倒れた兵士に向けられている。

 

マリア:……!

 

カチャ!という音ともにカット切り替え。物陰から身を乗り出し、狙撃体勢のマリア。横から捉えたショット。右向き。一瞬表示した後……

 

同じ角度でマリアの目のドアップ。驚きの目。『!』という感嘆の息遣い音声を入れる。これも一瞬表示した後……

 

パッとカット切り替え。マリア同様物陰に隠れ、銃弾の嵐の中、機を伺うユーリの姿をクローズアップ。身体はこちら側を向いている。一瞬表示した後……

 

パッとカメラを移動&引くことで……ユーリの後ろ、死角にクダンがいることを示す。一瞬表示した後……

 

カチャ……という音とともにカット切り替え。一瞬怯み、銃を下ろすマリアの姿。マリアの表情をやや煽りで捉えたカット。視線は最初正面を向いており、フッ……フッ……とフェードで視線を左右に降る。銃は一旦下ろしている。ここのカチャ……は銃を下ろした音。

 

パ……パ…… と連続でカット切り替え。二枚でOK。別の兵士の後ろにもクダンがいることを示すカット。マリアが見ている感が出るように、そこそこ引きのショットで。

 

パッとカット切り替え。先ほどのマリアのカットを今一度。表情はさらに動揺を強めている。

 

ドオオオオオーーン!と遠くで響くくぐもった爆発とともにウィグルを伴ってパッとカット切り替え。マリアの瞳のどアップ。マリアの瞳に、赤い空と、シルエットが写っていることがわかる。上空にヒルコが現れている。

 

ゴオオオオオ……戦火に赤くなったモスクワの空を『ヒルコ(太りきっていない原始降魔・ヨミ)』が覆っている。ドラマ『ストレンジャーシングス』シーズン2の予告に出てくる感じの絵。(と、諸星大二郎の『影の街』をミックスした感じで。ちなみにこれはエヴァの元ネタでもあります)この決め絵はしばらく表示。もののけ姫の『ダイダラボッチ』も元ネタは『影の街』であるため『細い脚が何本も飛び出た、蜘蛛のような姿の真っ黒いダイダラボッチ……あるいは使徒』という見た目にする。『ヒルコ』はヨミよりもずっと痩せていて、長く伸びた首の先に氏綱の顔があるような形状をしている。尚、このカットはパッと切り替わる代わりに、ピントが時間差で合う、という演出を。上空に存在する「何か」にカメラをさっと構えた結果、最初はうまくピントが合わずにブレるるんだけど、スッと合わせる、という感じ。ピントが合った後、数瞬して……

 

パッとカット切り替え。氏綱の顔。最初は虚空を見つめているが、直後、スッと目線が変わり、こちらと目が合う。遥か上空、遠くの空に浮かぶ顔を見ている感じを出すため、それなりに引きのショットで。と言ってもあくまで中距離。表情がわからない程遠くてはいけない。

 

ガーン!ガーン!という銃撃音とともにカット切り替え。吹き飛ぶ革命軍の兵士たち。先ほどの兵士二人分、二枚のカットをパッパと見せる。それぞれ一瞬だけ表示して……

 

パッとカット切り替え。氏綱、こちらを見て笑っている。数瞬表示した後……

 

パッとカット切り替え。冷静に空を見つめるマリア。数瞬表示した後……

 

コオォ!という音とともに、マリアがタチバナ色の黄色い光に包まれる。表情はそのまま。

 

ガチャ!とという音とともにカット切り替え。信号拳銃、ベリーピストルに持ち帰るマリアの手元。

 

チャ!再び上空に向かって銃を構えるマリア。

 

ボーーーーーーーンシュ!と照明弾の独特の発砲音。とともにストロボフラッシュ……&そのまま暗転。一瞬だけ暗転し、そのまま……

 

ボシュ!とガス灯が灯るように照明弾の明かりによって『ヒルコ』の体の一部、右下腹あたり、肝臓の位置に降魔の頭であり、心臓があることが見える。

 

パッとカット切り替え。氏綱のハッとした顔……ギギ……という鳴き声とともに、搔き消えるヒルコ。

 

パッとカット切り替え。先ほどの上空を見つめるマリアのカット。差分で信号拳銃を撃った後の状態になっている。表情はそのまま。オーラが、フ……と消える。

 

ユーリ:……マリア!

ユーリ:マリア!!

 

ファー……という神聖な音とともにパッとカット切り替え。昔のマリアの場面に入る前と全く同じカット。マリア機コックピット。目を閉じて、集中している。タチバナ色の黄色い光に包まれている。

 

大神:マリア!! どうした!?

 

目を閉じたマリア。目を開く。

 

パッとカット切り替え。原始降魔ヨミ、氏綱の顔をクローズアップしたショット。あからさまに怯んだ表情をしている。動揺まで見て取れる。

 

氏綱:!? まさか……!!

 

パッとカット切り替え。再びコックピット内のマリア。

 

マリア:隊長!! 奴の弱点がわかりました……!!

大神:何!?

 

マリア:右脇腹……今は丸々太っているせいでわかりませんが、そこに奴の本体がある……!

マリア:肝臓です……! 奴の弱点はそこ……!

大神:肝臓だと……!?

カンナ:納得だぜ……魂は肝にあっからな……!

 

フェードで通常戦闘画面へ戻る。

 

マリア:さくら! 頼んだわよ!

さくら:わかりました……! 懐に入り込みます……!

 

氏綱:……まさか……そんなことが……!!

 

戦闘再開。

 

その直後の攻撃ヒット後……

 

氏綱:……おのれ……!!

氏綱:時の巫女め……! ここまで力が覚醒するとは……!

マリア:中途半端に私の人生をうろちょろしたのが……あなたの運の尽きよ。

氏綱:意識が時を超えるとは……!!

氏綱:我らと同質の存在となりしか……!

マリア:お前とは違う……!!

 

ドーーーーーーン!!と攻撃。

 

氏綱:うおおおおおおおおおおお!!

 

紅蘭:効果絶大!! 一気に決めんで!!

さくら:はあああああああああああ!!

 

ドン!!とさくらボーナス。揃えやすいように。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

原始降魔ヨミ、撃破!!

 

氏綱:おおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!

 

バシュウウウウウウ!!コワアアアアアアアアアアアア!!と光のオーラの音とともに、ヨミの全体が網の目のような光でひび割れていく。イルミネイションと同じ虹色の光が幾筋も発し、いかにも爆発しそうな風情に。

 

氏綱:馬鹿な……!!

 

コワアアアアアアアアアアアア!!と光の音はしたまま、パッとカット切り替え。あちこちの細胞がボロボロと崩れていく。中距離程度のカット。

 

パッとカット切り替え。落下していく肉片に寄ったカット。超上空をまさに落下中で、雲が下から上へと流れていく。すると、肉片が光り輝き、ボロボロとさらに細かく崩れていく。

 

パッとカット切り替え。崩れる肉片にさらに寄ったカット。細かく分解された肉片は、霊力匣と同様のエフェクトでどこかに転送されるように消えていっていることがわかる。

 

パッとカット切り替え。氏綱ヘッド。周りのあちこちからイルミネイションと同じ、虹色の光が漏れている。

 

氏綱:馬鹿なっ……!!

氏綱:馬鹿なぁあああああああああぁぁぁぁ!!

 

コワアアアアアアアアアアアア!!とゲッター線に消滅していくゲッターロボそのままな感じで光の波動の濁流の中にいる氏綱の顔。

 

氏綱:馬鹿な……ここで……ここで間違いはなかったはず……!!

氏綱:何故(なぜ)……!! 何故(なにゆえ)……!!

 

バシュ!とカット切り替え。紅蘭機の目前に現れたクダンを横から捉えたカット。右側が紅蘭、左側がクダン……だが、クダンの身体中には多数の氏綱の顔が盛り上がって出てしまっている。以下、氏綱とクダンの声をミックスで。

 

クダン:貴様……貴様は……

クダン:彼の世に……!

紅蘭:行ってきた。あんたの予言通りにな。

紅蘭:……そんで、帰ってきた。

クダン:そんなことが……

紅蘭:すまんな。往生際が悪いんや。文字通りにな。

クダン:そんなはずがあるか…… 予言は絶対だ……!!

 

パッとカット切り替え。第5話と同じようにクダンのアップ。

 

クダン:貴様は……必ず、彼の世へ……!!

 

ドドーーーン!バシュウウウウ!!とウィグルを伴ってクダンが爆発。

 

フェードでカット切り替え。煙が晴れると……光武の武装を撃ち放った紅蘭機。カメラに向かって構えている。尚、紅蘭機のカメラはイルミくんに移植しているのでひとつ欠損したまま。

 

紅蘭:……ま、そのうちな。

 

パッとカット切り替え。紅蘭機コックピット。ふっとニヤリ笑顔の紅蘭。一瞬だけ表示し……

 

キュオオオオオオオオオオオ!!とパッとカット切り替え。遂に原始降魔ヨミが完全に崩壊、分解していく……!

 

バシュウウウウウウウウウウ!!白フラッシュ。明けると……原始降魔が跡形もなく消えている。帝都遠景。

しばらくの間ののち……

 

シュウウウウウウ!と降魔傀に襲われていた帝都各所の様子を連続パ……パ……パ……とゆっくりめに見せていく。シュワー……と全ての降魔傀が分解していく。幻影の桜も分解していく。上野精養軒、同潤会アパートメント……。

 

大団円BGM。続けて帝劇夜のテーマ、という初代『サクラ大戦』と同じ構成でエピローグへ……

 

フェードでカット切り替え。長屋の親子。幻武を見つめたまま、会心の笑顔で話す二人。

 

父親:ほらな……

子供:うん! お父ちゃんの言った通り……!

父親:へへ……

子供:……

父親:……なかなか綺麗なもんじゃねえか……

 

パッとカット切り替え。長屋の屋根から向こうの景色。巨大な幻武が威風堂々、未だ輝いている。ちゃんと顔が見えている角度で。

 

フェードでカット切り替え。朝焼けの日比谷公園に出てきて、上空を見上げる加山と保治郎の横顔……バストアップを横から捉えたアングルのショット。満足そうに微笑を浮かべる保治郎。加山も大神と花組の働きを思い微笑している。

 

しばしの間ののち……

 

フェードで暗転。

 

保治郎:加山さん……

 

フェードでカット表示。差し出された保治郎の両腕。

 

加山:……必要ないでしょう……

 

ふっとフェードでカット切り替え。加山の方を見る保治郎。若干腕を下げ、不思議そうな表情。加山はカメラに入っていない。

 

加山:まあ……大審院次第ですが……

加山:あなたはいずれご自分の力を、世の中のために役立てた方がいい。

 

パッとカット切り替え。保治郎の視点。上空を見上げる加山。表情は向こうになっていて見えない。

 

加山:息子さんのためにも。……そのほうがいいんじゃないですかね。

 

パッとカット切り替え。再び保治郎。眉間にしわを寄せ、感じ入っている表情。

 

ふっとフェードでカット切り替え。再び上空を見上げる保治郎の横顔。

 

フェードでカット切り替え。朝焼けの中、巨大な幻武の輝きが、ゆっくり消えていく……。

 

フェードアウト。

 

以下、エピローグ。

 

帝劇夜のテーマとともに……

 

チュンチュン……雀ちゃん鳴き声とともにパッとカット表示。夜の明けた帝都の遠景。全景と言ってもいいくらいなので、ほとんどダメージはわからない。

 

フェードでカット切り替え。戦いを終え、日比谷公園に集まっている花組。加山はいない。先に保治郎を連れて行っている。

 

パッとカット切り替え。日比谷公園の入り口付近に風組。と、かすみに支えられたかえで。前から、椿ちゃん、由里、かすみ&かえでという形。椿は満面の笑みで手を振っている。由里は不敵に笑う。やや右向き。

 

パッとカット切り替え。風組とかえでに向かって手を振る花組。やや左向き。アイリス、さくらだけが手を振り、他のメンバーも全員風組の方を見ているが、めいめいにくつろいでいる。織姫は大きく伸び&左手を口に当てて思いきりあくび。

 

無音でパシャリとカメラで撮ったようなエフェクト&画面遷移。画面が移行すると、勝利のポーズ、決め!の写真が出来ている。すでに現像され、どうやら支配人室の机に置かれている模様。

 

パッとカット切り替え。決め写真をパッと拡大すると、真ん中にイルミくんがあり、イルミくんの左側には紅蘭がいることがわかる。紅蘭は左手をイルミくんに置いている。右手で誇らしげに眼鏡を支え、いたずらな調子で微笑み、こちらを見つめている。照れ半分なので、やや頬が紅潮している。

 

フェードアウト。

 

パッと通常画面に戻る。久々の通常画面……。

 

帝劇の外観を表示。

 

フェードで画像切り替え。支配人室の上の書類。

 

大神:その後、天笠貴一は無事に見つかった。

大神:深い傷を負ってはいたが、奇跡的に助かったようだ。

 

フェードで画像切り替え。瓦礫に埋もれる是害坊。羽を展開し、テントのような、繭のようなものを作っている。ここは大神によるレポート調の部分なので、回想シーン風に淡い色合いなどにはしない。色ははっきりと。

 

大神:発見した月組隊員によると、是害坊が守っていたらしい。

 

フェードで差分切り替え。キラキラと光だす是害坊。

 

大神:しかし力を使い果たしたのか、天笠貴一の無事を見届け……

大神:是害坊は消えていったという。

 

パッとカット切り替え。獄中の天笠貴一。

 

大神:天笠貴一は、騒動の責任を取ることになる。

大神:幸い、弟の後を追うつもりはなさそうではあるが……

大神:思うところは多々あったのだろう。まるで陰陽師から僧侶に鞍替えしたかのように……

大神:今はただ静かに経を唱える日々だということだ。

大神:まるで出家したての修行僧のようだという。

 

パッとカット切り替え。裁判所の青木保治郎。伏し目がちに、静かに佇んでいる。

 

大神:責任を取るといえば、青木保治郎も同様だ。

 

パッとカット切り替え。保治郎の手元。清司の模型を持っている。

 

大神:だが彼の場合は、帝都の守護に協力した功績も、多少なり考慮されるとのこと。

大神:また、それに関しては紅蘭が証言するそうだ。

 

フェードアウト。

 

大神:なお、その後の報告によると、紅蘭自身によるデータ解析では……

 

フェードでカット表示。半透明の紅蘭。

 

大神:決戦の直前、紅蘭は、厳密には『消滅』したわけではなかったという。

大神:よくはわからないが、身体が物理的に、どこか遠くに飛んでいたわけではないらしい。

 

フェードでカット切り替え。データが印字されたテープを確認する紅蘭。真剣な眼差しで集中するが故に、少し口を開いてしまっている。気を入れてテープを読んでいることがわかる。

 

大神:その結果を得た紅蘭は、なぜか安堵していた。

大神:それなら『向こう』の自分もまた、存在し続けているのかもしれないという。

大神:多くを語ってはくれないが、かなり奇妙な体験をしたようだ。

 

フェードでカット切り替え。賢人機関のラウンドテーブル。

 

大神:そして今回、稗田武治……北条氏綱の侵略を見抜けなかったことは……

大神:賢人機関でも大いに反省された。

大神:帝都にとっては、異次元の生物の非常な狡猾さを改めて思い知る、苦い経験となった。

大神:かえでさんは今回の事件を教訓に、改めて帝都防衛の対策を練り直すそうだ。

 

フェードでカット切り替え。『百鬼夜行襲来絵図』

 

大神:降魔、そして新たに判明した別の勢力のこともある。

大神:帝都に人が集まる限り、魔もまた集まってゆく。

大神:帝都の脅威は未だ去らない。

 

フェードでカット切り替え。太正期の神田祭の様子。横にじわパン。

 

大神:尚、今回帝都に強力な魔を招いてしまったことには……

大神:盆の時期に神田祭が間に合わなかったことも、大いに影響したという。

大神:稗田武治……魔人・北条氏綱の主張は、実際正しかったというわけだ。

大神:そのため、神田祭の時期をもっと早めようという案が計画されているらしい。

大神:早ければ、来年から実施されるそうだ。

 

フェードでカット切り替え。エンディングでおなじみの窓辺のぼーっとしてる大神。

 

大神:後は変わりなく。天下泰平こともなし……

大神:もうすぐ、夏の公演が始まる。

 

フェードアウト。

 

パッとカット表示。事務室。紅蘭の表情をアップで捉えたショット。涙ぐむ紅蘭。手に持った何かを見ているようで、視線は下を向いている。

 

紅蘭:……!

紅蘭:これ……!

由里:ま……色々ドタバタしてたしね。

由里:舞台のことばっかり優先するわけにはいかないし……

 

一拍の間を置いて……

 

バサッ!という音とともにカット切り替え。由里に抱き付いた紅蘭。紅蘭の背後側からの視点のカメラで、由里のたじろぎ顔がよく見える。位置関係は、紅蘭が上手手前側で、由里が下手奥側。

 

由里:ちょ! やめっ……! 勘弁してよっ!

紅蘭:うぅ……!

由里:……もう……!

大神:由里くんのおかげだよ。

 

フッとフェードでカット切り替え。アングルは似た場所で、やや位置が変わっただけ。奥から大神がやってきて、話し始める。紅蘭、一旦退いているが、腕はそのまま。大神の方を向いているので、カメラには顔が映らず。由里も大神の方を向く。こちらはやや横顔になる。

 

由里:大神さん……!

大神:由里くんがギリギリまで粘ってくれたんだ。

大神:印刷屋さんに拝み倒してね。

 

フェードでカット切り替え。印刷屋と交渉する由里のカット。頭を下げる由里。印刷屋さんは両手に大きな椿ちゃんのセンベエの瓶。困った表情をしている。

 

大神:直接行って、なんとか交渉してもらって……

大神:椿ちゃん家のおせんべえも総動員してね。

 

フェードでカット切り替え。元に戻す。

 

由里:ちょっ! 裏切り者!

大神:しかも配送は無理だからって言われて……

大神:自分で取りに行ったそうじゃないか。

大神:リヤカーで。

由里:……もう……!

 

バサッ!という音とともにカット切り替え。今一度由里に抱きつく紅蘭。先ほどのカットと共通で良いが、今度はバストアップ……頭部を中心にアップで捉える。

 

由里:もう……ちょっと、あんた……

紅蘭:……ぅぅ……!

由里:……

由里:……紅蘭……?

 

フェードでカット切り替え。切り返しで、反対側から紅蘭の表情。真剣な表情で泣いている紅蘭。両親の時とは違い、もはや堪えておらず、泣くままに任せている。

 

紅蘭:由里はん……

紅蘭:ありがとう……

紅蘭:ウチ……

 

ファサッとフェードでカット切り替え。腕はそのまま、由里から一旦離れた紅蘭。二人を横から捉えた図。紅蘭、ぎゅっと気張って無理やり笑顔を作り、愛を込めて由里を見つめている。由里は呆れたような、照れたような絶妙な表情。奥には腕を組んで微笑む大神がいる。

 

紅蘭:舞台……頑張るで……!

紅蘭:きっと、成功させる……!

由里:ああ……その……

由里:……良かった……喜んでくれて。

紅蘭:ウチ……わかってん……

紅蘭:こんなに……応援してくれてる人がおるの……

紅蘭:ウチ……!!

 

フッとフェードでカット切り替え。今一度紅蘭側からのカメラ。由里が紅蘭の頭にポンと左手を添えている。今度は微笑んでいる。ちょっと照れが入っており、若干頬が紅潮している。

 

由里:紅蘭。

由里:言ったでしょ。いつでも味方だって。

紅蘭:……由里はん……!

由里:あれ……言ったかな……言ったような……

由里:まいっか……

 

ファサッとフェードでカット切り替え。由里が紅蘭に載せていた手をそのまま引き付けるようにして、おでこをコツッと合わせたショット。目を閉じて、優しく。紅蘭、目を見開き、ときめいている(と言っても過言ではない程、感動している、ということ)。

 

由里:頑張ってね、紅蘭。

由里:応援してる。

紅蘭:……(紅潮している。ため息)

由里:……応援してる、ねんで。

由里:ん? 応援してるでんねん?

紅蘭:ちょ……!

 

フェードでカット切り替え。切り返しで、今度は紅蘭の表情。ぐしゅぐしゅの顔で思わず笑っている。

 

紅蘭:やめてや! エセ関西弁はずるいて!

由里:あんたもエセ関西弁やて!

紅蘭:ちょ! もう……せやけど!

 

あはは……と、二人の笑い声とともにフェードアウト。暗転。ここ、由里:せやけどって、ほんまに言うのん? 等、メッセージ表示なしで続いている。

 

数拍の間ののち……

 

パッとカット表示。街中に華々しく張り出された『妖怪道五十三次』の公演ポスター。由里が死守した蒸気とイルミネイション推しのキャッチコピーが踊る。しばし表示したのち……

 

フェードでカット切り替え。ワイワイと人で賑わう帝劇のロビー。ついに公演がスタート!がやがやとしたSEを流す。公演が始まっているので、各種その仕様に。

 

カチャ……という音ともにパッとカット切り替え。ティーカップを持ったマリアの手のアップ。カップにはロシアンティーがなみっと入っている。

 

フェードで通常画面に。楽屋。『十六夜』姿のマリア。

 

大神:紅茶が鍵……?

マリア:ええ……というより、マーマレードが……

大神:マーマレード……? 手作りしたっていう?

マリア:そうです。……と言っても、なんとなく、そう思う……というだけなんですが……

マリア:もしかすると……橘の実に、何か霊的な力があるのかもしれません。

大神:タチバナ……

マリア:……ええ……

 

一瞬の間ののち……

 

マリア:……隊長……今まで私は……その……

大神:……?

マリア:……母方の…… いえ、父の方もそうですが……

マリア:……血筋というものは、ほとんど意識していなかったんです……

マリア:……正直、それが理由で色々なことがありましたし……

マリア:……あまり考えないようにしていたというか……

大神:……

 

一瞬の間ののち……

 

マリア:聞いた話では、田道間守というのは、お菓子の神様なんだそうですね。

マリア:常世の国から、非時香具菓という、神秘の実を持ち帰ったとか……

大神:トキジクノ……カグノコノミ……? ……もしかして、それが……

マリア:橘の実、だそうです。

マリア:日本の伝説上では、この橘の実こそが、世界で最初のお菓子、らしいですよ。

大神:……

マリア:非時香具菓は、時を超えて香りが続く……

マリア:要は、長持ちする実だということなんですが……

マリア:そのまま、時を超える、という意味にも、受け取れます。

大神:……常世の国、というのも、気になるな……

マリア:はい。調べる必要はあると思います。

マリア:実際、氏綱は私を利用して、この世に躍り出たわけですから……

大神:そうだな……調査を進めよう。

マリア:……はい……

大神:……

マリア:……

 

大神:……どうした?

マリア:……

マリア:その……

マリア:……

マリア:……本当は……私にとっては……

マリア:そんな話は、どうでもいいんです……

大神:……

マリア:……紅蘭の話は、少ししか聞いてないんですが……

マリア:もしかしたら、私も……母と……

マリア:何か……繋がりが持てるのかもしれないと思って……

大神:……

マリア:……

マリア:すみません、本番前なのに辛気臭い話を……

大神:いや、いいんだ。話してくれて、ありがとう、マリア。

マリア:……

マリア:……隊長も、お茶、いかがですか?

大神:……頂くよ。

 

フェードアウト。

 

ガシャン!という音とともにパッとカット表示。舞台裏。イルミくんの自動手動切り替えスイッチを、自動に入れた紅蘭の手。

 

この後続けて、パッとカット表示を連続して。イルミくんのスイッチを入れていく下りがまたあるので、同じ素材を流用して、ライティングを変えて舞台裏を再現。

 

カチッ!っと紅蘭の手が何かバックパックの装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。この先三連続。

 

カチッ!っと紅蘭の手が何か装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。二箇所目。

 

カチッ!っと紅蘭の手が何か装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。三箇所目。

 

キュオーン……ヴォーーン!と、キネマトロンディスプレイの照り返しを受けた紅蘭。カチカチと何やら操作している。やや横顔気味。首の向きや目線は、胴の向きや手元からは離れているのがポイント。複数作業を同時進行していることが一発でわかるスタイルに。両手も離れており、別々の場所を操作している。

 

フェードアウト。

 

ポン。という金属を叩いた軽い音とともにパッとカット切り替え。イルミくんの頭に乗せられた紅蘭の手。

 

紅蘭:よし!

紅蘭:……えーと……後は……

紅蘭:……

紅蘭:……せや……!!

 

フェードで通常画面に戻る。

 

紅蘭:えーと……これがこうで、ここがこうで……

大神:紅蘭。

 

同時にガタッ!という音。

 

紅蘭:おあ! 大神はん!

大神:ごめん、またやっちゃったか……

紅蘭:ああ……いや、ええねん。

紅蘭:ちょうどメモし終わったとこやったから。

大神:メモ?

紅蘭:ああ……うん、せやねん。

紅蘭:……! 大神はん、これ見て。

 

フェードでカット切り替え。複雑怪奇な図式。何かのモデルを表しているらしい。

 

紅蘭:今思い付いてん。

紅蘭:霊子系の扱い方そのものを展開した図なんやけど……

大神:うーん……ごめん紅蘭……難しいかも……

紅蘭:……んー……そっか……

紅蘭:……まあでも、大神はんは無茶苦茶数学出来る人やから……

紅蘭:こら……ウチの図の書き方の問題かな……

 

フェードで元に戻る。

 

紅蘭:まあええわ。とにかく、ええこと思いついてん。

大神:それは良かった……何かのアイデア?

紅蘭:うん。大神はん……ウチ……

紅蘭:蒸気の問題のこと、必ず、解決してみせる。

大神:蒸気の問題…… というと、その……

紅蘭:……蒸気症のこととか、な。

大神:……

紅蘭:それが……ウチ、最近レジオトロンのこと、研究しとったやろ?

紅蘭:あれな……つまりは、霊子力に関することを、研究してんねん。

大神:霊子力……俺たちの力を?

紅蘭:せや。そして、霊子力の学問は、極小世界を扱う学問でもある。

紅蘭:そんで、先天性蒸気症っちゅうんは……

紅蘭:蒸気の粒子の大きさが原因で、起きる病気やねん。

大神:大きさ……

大神:……なるほど、つまり……

紅蘭:霊子学を応用すれば、何らかの解決方法が見出せる可能性がある。

大神:……それは……! それは朗報だ……!

紅蘭:今まさに進み始めたとこやねんけどな……

紅蘭:この研究……青木博士にも協力してもろて、共同で進めてく予定やねん。

紅蘭:それに、神崎重工もかなり資金援助してくれるて。

大神:そうか……それは良かった……!

紅蘭:……

紅蘭:……見たい景色を見る……

紅蘭:……今やったら……ちょっとわかる気がする。

紅蘭:科学者の責任は……

紅蘭:科学で果たさんとな……

大神:……ああ。

 

一拍間を置いて……

 

ピンポンパンポン♪ ……かすみのご案内。メッセージウィンドウなしで、背景音として以下再生。「本日は当劇場にご来場頂き、誠にありがとうございます。次回公演までの間、食堂でのお食事、ロビーでのお買い物等をお楽しみ下さいませ。尚、本日より上演開始しました『妖怪道五十三次』のお土産品は、一階売店にて販売中です。どうぞご利用くださいませ。」

 

紅蘭:よし……準備せな……!

 

フェードでカット切り替え。舞台裏に設置されたイルミくん。

 

紅蘭:イルミくんにも、頑張ってもらわんとな。

 

フェードアウト。

 

ビーーーーーーーーー……。と開演前のブザー。

 

紅蘭:まったく……こんな妖怪だらけの江戸になんていられるかってんでえ!

 

アイリス喜多さんのカット。

アイリス:そんじゃ弥次さん、あたいらの全財産はこの風呂敷に包んだからね。

 

紅蘭弥次さんのカット。

紅蘭:あいよ喜多さん。これでもう金輪際、妖怪騒動とはおさらばでえ!

 

二人のカット。

 

アイリス:そいじゃ妖怪祓いの厄除け祈願!

紅蘭:この自慢の膝が栗毛の馬ってなもんよ! いざ! お伊勢参りに……

 

二人:出発でい!!

 

二人のカットをさらに引いたカメラで舞台全体が見える位置から。ド派手な書き割りが展開する。現在やっている八月納涼歌舞伎のデザインを参照。各部が回転したりする、派手な仕掛けがある。

 

○舞台

 

アイリス:弥次さん弥次さん! う、う、う!

紅蘭:なんだい喜多さん、う、う、って。うなぎ?

アイリス:ううううう!!

紅蘭:うな重?

アイリス:ううううう!!

紅蘭:うな丼?

アイリス:もう! うなぎから離れてよ!

アイリス:弥次さん! う、う……!

 

子供:やじさんうしろー!

別の子供:弥次さん後ろー!

別の子供:うーしーろー!

紅蘭:はあ? うしろ……?

 

デーン!と大袈裟な音で、人形の妖怪変化。

紅蘭:ぎゃああああああああ! で、出たああああああああ!!

観客:あははは!

アイリス:弥次さん違うよ!そっちじゃないよ!もっと、もっとすごいのが!!

 

カット切り替え。溢れ出る蒸気のみを大写ししたカット。

バシューーーー!!激しく吹き出る蒸気の音。

 

ヒュ~ドロドロドロドロ……

 

バシン!とツケ音、さらにキシャーーーーーーーーーーン!という音とともにカット表示。

 

舞台いっぱいに広がったジャンポール!お化けの三角巾をつけている。イルミネーションで表示されている。上から覆いかぶさって観客に襲いかかるようなポーズ。

 

ジャンポール:がおー!

 

きゃあああああ!と、うおおおおお!が混じったような歓声が上がる!やがてパチパチパチパチと拍手に変化。

 

パッとカット切り替え。妖怪ジャンポールが焼かれたせんべえ。……を持った子供の手。

 

子供:がおー!

 

フェードでカット切り替え。長屋の家族が観に来ていた。ワイワイとはしゃぎながら出て来ている。

 

父親:あっはっは。あのクマすごかったなー!

子供:妖怪ジャンポールだよ!

 

パッとカット切り替え。アイリスの顔をアップで。憤慨している。

 

アイリス:ジャンポール妖怪じゃないもん……!

 

パッとカット切り替え。椿の売店を遠巻きに。お客さんが多数おり、妖怪せんべえがたくさん売れている。織姫が様子を覗いている。アイリスはその横でイヤそうな顔。先程の顔はこの顔のアップ。

 

織姫:でもエグイぐらい売れてるでーす。

椿:妖怪せんべえ二箱お買い上げ、ありがとうございます!

アイリス:ジャンポール妖怪じゃないもーん!

 

フェードでカット切り替え。売店の前、オシロ製菓のお菓子を手に取った子供がいる。アパートの母子。子供をクローズアップ。母は足元しか見えていない。

 

子供:……

 

フッとフェードでカット切り替え。母の方を見る。カメラからは表情が隠れる。

 

子供:お母さん……これ……

母親:これ……この前の……?

子供:……

 

フッとフェードでカット切り替え。母親が屈んで、子供と目線を合わせる。やっとカメラに母親の顔が映る。前回はこれをしていなかった。象徴的な仕草。母親はすでに態度が軟化しており、優しめの笑顔。

 

母親:これが欲しいの?

子供:うん。

母親:……

母親:おもちゃが欲しいから?

子供:……うん。

母親:……

 

フェードでカット切り替え。母の手に持たれたオシロ製菓のお菓子をアップで。

 

母親:つまり……光武が欲しいの?

子供:……(目を開き、ハッとした顔になる。)

母親:ねえ、この前のは、何? あれも光武?

子供:ううん! 幻武! (にわかに喜び勇んで!食い気味!)

母親:ゲンブ? っていうの? (食いつきの良さに戸惑いつつも、嬉しい)

子供:うん! 新聞にのってた!

母親:新聞? 新聞まで読んだの?

子供:いっつもそうだよ? 蒸気工廠の欄がね、すごいの!

母親:あら……そう……

 

フェードでカット切り替え。再び先ほどのカット。母親が屈んでいる。

 

母親:よし……じゃあ……買ってあげましょう!

子供:ホント!?

母親:ホント!

子供:ウソ!

母親:ウソじゃないよ! どっちなの。(苦笑交じりで)

子供:蒸気なのに!?

母親:うん……だってこの前、すごかったもんね。

母親:みんなのこと、助けてくれたもん。

母親:お母さんのことも、シゲちゃんのこともね。

 

フェードでカット切り替え。屈みこんで箱を選び出す母子の頭ナメで、向こうにいる紅蘭と大神。母子の様子を見て、微笑んでいる。紅蘭は腕を組んで、若干感極まり気味。子供の気持ち、めっちゃわかる派。

 

母親:そのかわり教えて。どれがゲンブ?

子供:えっとね! だから……これがゲンブ!

母親:光武は?

子供:光武はね、種類がいっぱいあるの!

子供:銃型装備と、キャタピラ装備と、佩刀型と、ビーム型と……

 

フェードアウト。

 

バシッ!っという音とともにパッとカット表示。舞台を褒める帝都グラフの記事。『笑って泣けて感涙せしめる驚天動地のイルミネイション!』

 

由里:出ましたーーーっ!! 大絶賛!!

由里:大・絶・賛!!

由里:大……!! 絶……!! 賛……!!

かすみ:わかったわよ由里。落ち着いて。

 

フェードで通常画面へ。事務室。

 

由里:いいよっしゃあ!!

さくら:すごい喜びようですね……(笑顔)

かすみ:帝都グラフさんの批評記事が出たみたいですよ。

かすみ:今回の舞台が絶賛されてるとか。

由里:絶賛なんてもんじゃないわよー……!

由里:『笑わせ泣かせ感涙せしむる驚天動地のイルミネイション!』

由里:いいぞ! もっと言え!

椿:良かったです……! すごいですね!!

さくら:帝都グラフ……ゲネプロでは、かなり厳しかったってことでしたけど……

由里:だからこそ嬉しいのよ! もうすっかり手のひら返し!

由里:へっへーザマミロっての……!

かすみ:はしたないわよ由里。だいたい手のひら返しってことはないでしょう?

由里:んっふっふー……♪

マリア:ご機嫌ね。

さくら:マリアさん。

かすみ:帝都グラフの記事が出て……

マリア:なるほどね。それでこの調子……

由里:もう一号買っときゃ良かったかなー……

さくら:保存版ですか?

由里:ううん。布教用。

マリア:帝都グラフだったら、ちょうどこの後、私とアイリスが仕事だから……

マリア:ついでに、記事のお礼を言っとくわ。

かすみ:ありがとうございます。助かります。

由里:帰ってきたら、どんな感じだったか教えてくださいね!

マリア:ええ。

 

フェードアウト。

 

江戸川明子:では、藤沢先生、今度は次の金曜日に。

藤沢:ありがとうございました。ぬらりひょんの件は、そのときに。

 

カラン……と扉を開く音とともに、カット切り替え。帝都日報、帝都グラフ編集部のドアを出てきた人物とすれ違いざまに中に入ろうとしているマリア……と後についてきているアイリス。マリアは先ほど出てきた人物を何気なく目で追っている。先に出てきた人物氏(=藤沢衛彦)は、画面の右端に肩だけ見切れている。顔などはよくわからない。実在の方なので、はっきりした描写は避ける。

 

フェードで通常画面に。

 

江戸川明子:あら、いらっしゃいませ。時間ぴったり。

マリア:あの……さっきの方は……?

江戸川明子:民俗学の先生よ。……何かご用でも?

マリア:いえ……ぬらりひょんがどうとか……

江戸川明子:ああ……民俗学の一環として、妖怪の研究もされてるんですって。

アイリス:妖怪?

江戸川明子:アイリスちゃーん! お久しぶり!

江戸川明子:舞台最高だったよー……!! 可愛かったー……!

アイリス:えへへ……ありがと!

アイリス:ねえねえ、妖怪さんの研究だったら、マリアもアイリスも詳しいから……

アイリス:たぶん参考になると思うよ!

江戸川明子:そう……! なら今度、先生に言っとくね……!

アイリス:うん!

マリア:あの……舞台の記事、ありがとうございました。

江戸川明子:いえ……実際良かったからね。それだけよ。

江戸川明子:何かあったらまた批判するかもしれないから。覚悟しといて。

マリア:お手柔らかに。

江戸川明子:ふふ……

マリア:……(笑顔)

江戸川明子:さて……じゃあグラビアの打ち合わせをしましょ。

江戸川明子:じゃ、アイリスちゃんはいつも通りこちらへどうぞー。

アイリス:おっけー!

 

ガチャ……とドアの音。

 

江戸川明子:……ちなみに、私は信じてませんから。

マリア:……え?

江戸川明子:妖怪変化。この前の事件、結局は降魔関連だったんでしょ?

マリア:……そう……なんですか?

江戸川明子:ええ。そうらしいって話よ。

江戸川明子:だから、さっきの先生みたいに伝説だって言われるなら納得もいくんだけど……

江戸川明子:実在するとまで言われると、ねえ……

マリア:でも……降魔は現実に存在しますよね?

江戸川明子:あれとこれとは……別、かな。

マリア:はあ……

江戸川明子:ま、ホントに妖怪なんてものがいるなら、見せてもらいたいもんだわ。

江戸川明子:その時はすぐにでも記事にするから。

 

バシュ!という音とともにカット表示。水虎の足元を背後から捉えたショット。御婢子狐の足元も見える。向こうにはレニ、織姫、すみれがいる。

 

フェードでカット切り替え。通常画面。日が暮れる寸前の山の腹。

 

すみれ:それで? あなたたち、どうなさいますの?

水虎:妖怪さんに当てなんてないよ。どこに行こうかしらねえ。

織姫:もうイタズラしちゃダメですよ。

水虎:悪いけど、そういう約束はできないな。

 

フェードでカット切り替え。凄むレニ、織姫、すみれの三人。なぜか三人とも似たような調子でやや見下しにかかり、凄みが増す形式。織姫、すみれは怖い微笑。画面の左端に水虎の後頭部が見切れてる。

 

一拍の間を置いて……

 

水虎:わかった。約束するよ。

 

フェードで通常画面に戻る。

 

水虎:……ったく……天敵ばっかよこしやがって……

すみれ:……

レニ:……

織姫:……

 

一拍の間を置いて……

 

レニ:御婢子狐……あなたも行くの?

御婢子狐:まあね……ここにゃ居場所はなさそうだしさ……

すみれ:……

御婢子狐:……ま、どこに行こうが、同じことさ……

御婢子狐:……本当の記憶さえ無かったんだから……

御婢子狐:……

御婢子狐:でもいざそうなると……

御婢子狐:なきゃないで、それもいい……って……

御婢子狐:なんとなく思えるようになってきたよ。

御婢子狐:あんたらのこと、見てたらね。

すみれ:……

レニ:……

織姫:……

御婢子狐:先のことか、昔のことか……大概はどっちかに引っ張られるもんだ。

御婢子狐:今を生きるってのは難しいよ……

 

一拍の間を置いて……

 

織姫:そう言えば、カラスさんは本当に消えちゃったですか?

水虎:そうかもしれないね……でも、旦那は旦那だ。

水虎:それに……神様だ。

水虎:いつでも、どこにでもいるようなもんさ。

 

フェードアウト。

 

ビシュウウ!!という空手の音とともにパッとカット切り替え。カンナの正拳突き!!正拳をアップで!右から左に攻撃!現在の立ち位置は『2P側』。早朝、暁の山中。「ゼエイ!」など、カンナのくだりはメッセージウィンドウなしで、掛け声を入れていく。以下、全て格闘ものなので、適宜ウィグルを入れる。

 

ビシュウウ!!という空手の音とともにパッとカット切り替え。カンナの回し蹴り!『2P側』

 

ズバーーーン!という空手の音とともにパッとカット切り替え。カンナの裏拳!ズバーーーン!というのは空気を叩く音!『2P側』

 

パッとカット切り替え。引きのカメラ。やや上空から撮り下ろしたカメラ。カンナは画面右寄りの位置で、左側に向かって構えている。『2P側』。引きのカメラで、カンナのふとした瞬間の孤独を表現する。横長の絵だが、横方向にじわパンではなく、縦、上方にじわパンさせる。

 

以下、最初の三連撃の反対方向バージョン。全て『1P側』。しかし三連撃目に異変が起きる。

 

ビシュウウ!!という空手の音とともにパッとカット切り替え。カンナの正拳突き!!

ビシュウウ!!という空手の音とともにパッとカット切り替え。カンナの回し蹴り!

 

ズバーーーン!という空手の音とともにパッとカット切り替え。カンナの裏拳!がヒットしたと思ったら、半透明の山伏装束の腕が現れ、裏拳をガード。半透明是害坊出現。

 

ハッ!とカンナの横顔のクローズアップ。驚愕の表情。目に虹彩はあり。『1P側』

 

バシーーーン!バシーーーン!バシーーーーン!と、以下、カンナの攻撃を真似た半透明の是害坊の正拳突きや回し蹴り、裏拳が襲ってくる。カンナ、辛くも全てガード。

 

バッ!という音とともにパッとカット切り替え。バランスを崩し、後ろに倒れこみそうになるカンナの横顔のクローズアップ。体自体がやや上向き、カンナ、若干の焦りの表情。一瞬だけ表示したあと……

 

バシーーーン!×6回ほど、是害坊の連撃がやってくる!徐々にスピードアップする。6連撃目で……

 

パッとカット切り替え。さらにバランスを崩すカンナ。焦りの表情強まる!が……!

 

キッ!と目にクローズアップ。瞬間、覇気を取り戻し、鋭い目つきに!そして……

 

パッとカット切り替え。グルン!と身体を大きくひねり……

 

カンナ:スーパー……

 

ドドーーーーーン!とウィグルを伴って返す太刀の回し蹴り!!是害坊、腕でガードするが、無謀!ヒットする!

 

カンナ:リンパイ!

 

パッと暗転。

 

ズサアアア!とスライディング的な地面擦り音。

 

パッとカット表示。カンナの横顔『1P側』。ハッとした表情。

 

パッとカット切り替え。冒頭の引きのカメラと同じショット。だが、カンナは攻撃を終えた後で、深く地面に腰を落とし手を地面に着いている姿勢。また上方にじわパン。カンナ以外は誰もいない。

 

ペシペシ……と身体の泥をはらう音とともにフェードでカット切り替え。カンナを背後から。腰の泥をパパッと払っている。

 

フッとフェードでカット切り替え。空を眺めるカンナの口元から胸元。口笛でも吹いているかのように、爽やかにすうー……と息を整えている。カンナの両腕は道着の襟元をキュッと締め直すように引っ張っている。

 

ヒュウウウウ!という風の音とともにフッとフェードでカット切り替え。カメラをさっと引いて、空を眺めるカンナの腰から上アップ。木の葉が舞い、風が吹き抜けている。しばし表示したのち……

 

バシン!という音とともにパッとカット切り替え。合掌し、目を閉じ、集中したカンナを正面から。『押忍!!』と音声。

 

しばしの間ののち……

 

ザッ!という音とともにパッとカット切り替え。礼をするカンナ。どこに向かうともなく。向かってやや右斜め上あたりから見下ろすようなカメラ。夏の早朝。風の音がしている。

 

フェードアウト

 

ミーンミンミンミーーン……とミンミンゼミの鳴き声がフェードイン。……してきたなー……と思ったぐらいのタイミングで、パッとカット切り替え。尚、蝉の鳴き声は朝の涼しいうちのため、暑苦しくなり過ぎないように注意。音量を調整したり、ジージー系の蝉も混ぜたりして調整。

 

墓地。御墓参りに来ている紅蘭、アイリス、大神の姿……を遠くから捉えたカメラ。逆光気味。今現在、紅蘭が座り込んで合掌している模様。少し後ろにアイリスが立っており、その後ろに大神が立っている。アイリスは今もちょこっと手を合わせて合掌風にしている模様。顔の表情がわかるほどの距離ではない。

 

パッとカット切り替え。青木家のお墓を紅蘭視点で。清司のお参りに来ている。花は新しく、スイカを供えてある。線香を新しく炊いている。

 

パッとカット切り替え。さらに少し横、お供え物を置ける場所に、紅蘭が作ったらしい、幻武の模型。オシロ製菓の模型に似ているが、素材が違っている。銅板を加工したらしい。簡単な街並みのジオラマの中心に、幻武を模した模型が作られている。幻武の模型はオシロ製菓の模型の二倍ほどの大きさ。

 

パッとカット切り替え。蝉の鳴き声。小高い丘を歩いている紅蘭たちのシルエット。引きのカメラ。表情は見えない。縦にじわパン。金魚売りの声がどこかから聞こえてくる。

 

大神:涼しいうちに行っといてよかったな。

アイリス:蚊にくわれちゃうもんね。

 

しばしの間ののち……

 

ポン!シュワー!とラムネを開けた音とともに、ラムネ瓶。

 

フェードでカット切り替え。木陰になっているちょっとした腰掛けに並んで座って、休憩する三人。丘の上で風が吹いている。アイリスが真ん中。向かって左側が大神、右側が紅蘭。大神がちょうど外を向いて、ラムネをクイッと飲んでいる。

 

フェードでカット切り替え。三人を後ろ側から捉えたショット。

 

アイリス:セイちゃん、神様になるんだよね……?

大神:神様……?

アイリス:ニッポンでは、死んじゃった人は、神様になるんでしょ?

大神:……そうだね…… そういうこともあるね。

アイリス:アイリスあのとき、セイちゃんがいるの、わかったよ。

アイリス:紅蘭のイルミネイションがばー!って点いたとき……

アイリス:蒸気の中に、セイちゃんがいたの。

大神:……蒸気の中に……

アイリス:セイちゃん、お父さんのお仕事すごく好きだったから……

アイリス:蒸気の守り神様に……なるのかも。

大神:……

 

ポンポン!という太鼓の音。千葉助の「ほいいらっしゃい!」という呼び声が聞こえて、わああ……という子供たちのはしゃぎ声がする。

 

フッとフェードでカット切り替え。先ほどの正面からのカメラ。パタッという軽い靴音。アイリスが立ち上がって、向こう(画面右側)を見ている。紅蘭、大神もつられて同じ方を向いている。

 

アイリス:あ! 千葉助のおじちゃん!

 

フッとフェードで大神の方を見る紅蘭。

 

アイリス:アイリス、お姉ちゃんだから、紙芝居のお手伝いしなきゃ!

アイリス:行ってきてもいい?

大神:ああ。もちろん。

アイリス:じゃあ、アイリス、帝劇にはあとからひとりで帰るね!

大神:わかった。気をつけて帰ってくるんだよ。

アイリス:うん! じゃあね!

 

タッタッタ……という足音とともにフェードでカット切り替え。アイリスが去る。

 

大神:道路はちゃんと左右を見て渡るんだよ!

紅蘭:んっふっふ……お姉ちゃんねえ……

紅蘭:お姉ちゃんは紙芝居見るんかな……

大神:……

紅蘭:……

紅蘭:やっぱりウチ、ついてこか?

大神:いや……

 

フェードでカット切り替え。千葉助を手伝って紙芝居をお届けしているアイリス。子供たちに向かって、ニコニコとお姉さんぶっている。

 

大神:やめとこう。

紅蘭:……

紅蘭:……せやね……

 

フェードでカット切り替え。元の腰掛に戻る。紅蘭が立ち上がっている。

 

紅蘭:したら、行こか。

大神:そうだね。

 

カツカツ……と靴音とともにフェードでカット切り替え。坂道。画面右上から、画面左下へ向かって大きく下っていく、坂道。そこを紅蘭と大神が歩いている。紅蘭が結構先を歩いている。

 

大神:……

紅蘭:……

紅蘭:な、大神はん……

紅蘭:ひょっとして、登ってるみたいな感じとか、せえへん?

大神:登ってる……? いや……

大神:今は、降ってるし……

大神:おいおい……それ、もしかして、この間の……

紅蘭:ふふ……まあ、せやったら怖いよな……

 

カタッ……という音とともにフェードでカット切り替え。大神視点。少し先を行く紅蘭が、不意に立ち止まり、フッと遠くを眺めている。土手側でない、景色が開けている方(画面左側)を見ている。

 

紅蘭:どのみち、わからへんしな……

紅蘭:今自分が、登ってんのか、降ってんのか……そんなこと……

大神:え……?

紅蘭:……

 

カチャリ……という音ともにカット切り替え。懐中時計をもつ紅蘭の左手。

 

しばしの間ののち……

 

シュ……という音とともにフェードでカット切り替え。おさげを解く紅蘭。

 

大神:紅蘭……?

 

フッとフェードでカット切り替え。くるっと回って、こちらを向いた紅蘭。メガネを取っている。

 

紅蘭:大神さん! 私……!

紅蘭:やるだけやってみる……って決めたんだ!

 

フッとフェードで差分切り替え。完全にこちらを向き、真剣に訴える紅蘭。

 

紅蘭:だから、もう、逃げないよ!

紅蘭:自分から……!

大神:……(虚を突かれた顔)

大神:……紅蘭……(虚を突かれた顔……しかし、大神は真剣に言葉を受け止めている)

 

フェードで紅蘭の表情を変える。堪え切れなくなり、ニヤリと笑っている。

 

紅蘭:ぷぷ……

大神:……紅蘭……?(やや様子がおかしいことに戸惑っている)

 

フェードで紅蘭を俯かせる。堪え切れなくなり、下を向いてごまかしている。

 

紅蘭:ぶふっ……

大神:紅蘭……

 

フェードでカット切り替え。サッと顔を上げ、爽やかに笑う紅蘭。

 

紅蘭:なっはっはっは!! やっぱり標準語は難しいなぁ……

 

フェードでカット切り替え。眼鏡をかける紅蘭。目の前に広がる景色を見ており、こちらは見ていない。

 

紅蘭:なんや喋れる気がしてんけどなぁ…… 気のせいかー……

大神:……(戸惑いの表情)

 

フェードでカット切り替え。再び髪を結いながら、こちらを見る紅蘭。

 

紅蘭:やっぱりウチは……こっちの方がええな。

大神:……(微笑み)

 

フェードでカット切り替え。引きのカメラで、入道雲を映す。ここから先、オートで進行し、音声が少しづつ遠くなる。蝉の鳴き声などの環境音はそのまま。音声は少しずつ遠くなっていき、最後から3番目の『紅蘭:冗談やて……でもまあいっぺんやってみんことには……。』あたりで、エンディングテーマのイントロを流し始める。そして……

 

大神:それにしても……この前、ホントは何があったんだ?

紅蘭:……ナイショ! ナイショや!

紅蘭:まあ……そのうち教えたる。

大神:今じゃダメなのか?

紅蘭:今?

紅蘭:うーん……

紅蘭:せや! 雲!

大神:雲?

紅蘭:雲をスクリーンにするっちゅうんはどうや!?

紅蘭:巨大なイルミネーションを、帝都上空に……!

大神:紅蘭……!

紅蘭:冗談やて……でもまあいっぺんやってみんことには……

大神:何があったのかを教えてくれよ……

紅蘭:せやからナイショやて……!

 

エンディングテーマが流れ出し……

 

終幕。

 

サクラ大戦~真夏のイルミネイション~ これにて、完。クリア後モードをお楽しみに。

 

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【第11話】妖怪道五十三次《同人ゲーム没企画『サクラ大戦 -真夏のイルミネイション-(仮)』》

 

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【第11話】妖怪道五十三次

 

★★第11話:開始★★

 

コオオオオオ……上空であるため吹きすさぶ風の音……しばらく流した後……

 

パッとカット表示。第10話ラストの、百鬼連&氏綱のカット。

 

氏綱:儂はこの偽りの都の全てを滅ぼすモノだ。

氏綱:些細な……ほんの小さな犠牲によってな。

 

ガシィ!という音とともにウィグルを伴ってパッとカット切り替え。カンナ機暴れる。

 

カンナ:おいてめえ……!!(これでもかという怒気)

カンナ:氏綱だか魔人だか知らねえが、稗田のおっさんよ……!

カンナ:御託を並べてやがるが、つまりはこういうこったよな……

 

フェードでカット切り替え。カンナ機コックピット。怒髪天カンナ。

 

カンナ:あんたは……あたいらを騙してた……

カンナ:裏切りやがったんだ!!

氏綱:呵呵…… 土虫の視野とは、かほどに狭量か……

氏綱:何という蒙昧さ。このようなものどもが……

 

ガシィ!再びカンナ機暴れる。パッとカット切り替え。

 

カンナ:あたいにはそれで十分なんだよ!!

氏綱:それでどうする? 其方(そなた)らに出来事を変える力は無い。

カンナ:あんたは降魔なんだろ!? その面はどうみてもな!!

カンナ:どうして降魔が妖怪を縛り付けてやがんだ!?

 

フェードでカット切り替え。百鬼連&稗田のカットの、百鬼連部分のクローズアップ。

 

氏綱:其奴らは『妖怪』などでは無い。

 

カンナ:何……?

氏綱:呵呵…… 諸君らは本当に『妖怪変化』が化け出たと? そう思うたのか?

氏綱:人間の思いつきによって創られた、夢想の産物が。

アイリス:……

すみれ:どういうことですの……?

 

ギギ……と身じろぎする音と共に、パッとカット切り替え。苦しみながらも、稗田を睨む迦具土の表情をアップで捉えたカット。

 

迦具土:そうだ……貴様の言う通り……我らは……妖怪などではない!

迦具土:復活したのだ……! 偉大なる……火の一族が!!

氏綱:ククク呵呵呵呵呵呵呵呵!!

 

フェードでカット切り替え。迦具土を見下す氏綱の表情を煽りでクローズアップ。笑い声とは裏腹に全く笑っていない表情。

 

氏綱:なんと!! なんという滑稽さよ!!

氏綱:確かに其奴らは妖怪でもなければ、火の一族でもない。

氏綱:それはお前も同じだ。妖怪の大将よ。

迦具土:……なに……?

 

フェードでカット切り替え。氏綱の全身を正面から捉えたカット。氏綱はやや頭を向かって左下に傾け、突き出た後頭部の降魔ヘッドがよく見えるようになっている。降魔ヘッドは氏綱が喋るとき、同時に口を開けパクパクしている。

 

氏綱:諸君らは遥か昔に忘れ去ったのだ。自分たちのことを。

氏綱:だからこそ伝承を誤解した。

氏綱:……火の一族、根の一族などと……

氏綱:勝手に火と根だと思うておる。だが……

氏綱:それこそが大きな間違いだ。

氏綱:そもそもは大和言葉、仮名文字であるということを忘れておる。

 

フェードでカット切り替え。ヒの一族とネの一族の戦闘の絵巻物。第7話で使用した九条家文書の絵巻物の一枚。下手側が人間、ヒの一族、上手側がネの一族。

 

氏綱:ヒ と ネ。ヒの一族と、ネの一族。

氏綱:ヒとは卑しき『卑』の字が由来……諸君らは卑しき『卑の一族』……そして……

氏綱:ネとは『神』……神の申し子のこと……我らはネの一族、神の一族なのだ!

 

フェードでカット切り替え。大神の顔をアップで。唖然とした顔。尚、コックピットハッチが開けられているので、現在大神はむき出し。首を触手に捕まれ、外気にさらされている。

 

氏綱:つまるところ諸君らは、自分たちが何者であるのかも忘れておるのだ……

 

パッとカット切り替え。再び迦具土の顔。迦具土は驚愕と絶望の表情。

 

氏綱:諸君らはヒトであろう? 卑しき徒(ともがら)。卑徒(ひと)なのだよ。

迦具土:……

迦具土:……そんな……

迦具土:……はずが……

 

ギギ……と言う音とともに、フェードでカット切り替え。御婢子狐ナメの氏綱カット。画面手前に御婢子狐。向こう側に氏綱が見えている。ピントは御婢子狐に合っている。御婢子狐は目を閉じ、苦しみの表情。

 

氏綱:時の流れの前に真実は朽ち、旧い記憶は忘れ去られたのだ。

すみれ:旧い記憶……?

 

フッと画像のピントを変更。画面手前の御婢子狐から、画面奥側の氏綱にピントが合う。

 

氏綱:今日でこそ、地上に居る生物は我が世の春を謳歌しておる。

氏綱:だが……

氏綱:地上を蹂躙する、諸君ら人間……ヒの一族を始めとする畜生どもとは違う生命……

氏綱:地上の生物とは、根本的に違う生命が存在するのだ。

 

パッとカット切り替え。先程の氏綱の顔をアップで捉えたカット。笑っていない。

 

氏綱:此の世でなく……彼の世にな。

紅蘭:……彼の世……

氏綱:我らは根本的に相容れぬ存在。諸君らが忘れた旧きものよ。

 

フェードでカット切り替え。京都の戦士たちが黒い塊と戦っている。ここは絵巻物風ではなく、実際の映像。黒い塊は不定形のオーラのようで、どうやら脚が何本もある模様。

 

氏綱:そも、京の守護者どもは何者と戦っておったのか……

氏綱:娘よ、砒霜などを持ち出しておきながら、それは解らなんだか。

すみれ:……

氏綱:あるいは最早、当人どもも覚えておらぬか。

 

フェードでカット切り替え。先ほどのカットの黒い塊の顔……的な部分をアップで表示。妖蟲が顔を見せたカット。蜘蛛のように多数の目がある。

 

氏綱:『妖蟲』……道理の通じぬ蟲ども……

氏綱:それが京に現れる、彼の世の生命のひとつ……

すみれ:……蟲……

 

氏綱:京の守護者どもはその妖蟲の侵入を防ぐ防人。

氏綱:碁盤の目は、そこの娘が用いる祈祷盤と同じ呪い(まじない)よ。

氏綱:そして……

 

フェードでカット切り替え。百鬼連四人のカット。

 

氏綱:諸君らが妖怪変化だと思うておる其奴ら……

氏綱:愚かなる百鬼夜行こそが……

氏綱:『屍鬼』……実体を持たぬ亡魂。

紅蘭:……シキ……?

レニ:……実体のない……亡魂……

 

フェードでカット切り替え。暗黒の生命系統樹が示される。諸星大二郎『妖怪ハンター』のものを参考にした系統樹。アメーバから人間へと進化してきた系統がある横で、全く違う、流れになっていない生命系統樹が存在する。縦長で上から下へとジワパンする。

 

氏綱:彼の世には三つの種族が居る……

氏綱:『屍鬼』『妖蟲』そして我ら『降魔』……

氏綱:我らはその全員がネの一族、神の一族なのだ!

氏綱:諸君らの物言いに於いては“非生物”の種族……

氏綱:地上の生物によって、遥か太古に彼の世に追いやられた生命だ……

氏綱:諸君らは我らを疎んじ、遠ざけたが……

氏綱:神として崇めることで、我らの怒りを……そして自らの罪を鎮めようとした……

大神:……

氏綱:何が……

 

フェードでカット切り替え。氏綱の顔アップ。

 

氏綱:何が“非生物”か……!

氏綱:我らにとってみれば……諸君らこそが“非生物”よ……!

氏綱:諸君らは我らを擬似生命体と認じ、地の底に追いやったのだ……!

レニ:……地の底の……非生物……

 

フェードでカット切り替え。地獄絵図。『屍鬼』『妖蟲』『降魔』が争い合う様子。屍体が山のように重なり、その先に光がある。右下が地面、左上が天、という風に角度のついた風景画にすること。異常性を演出。『降魔』はあの世においては、より植物ライクな形態をしている。諸星大二郎の『ヒルコ』を参考に菌類のようなネバネバ網状態な見た目。原始降魔ヨミの一部でもある。『妖蟲』はヒルコに触覚や複眼がついたような、何か蜘蛛状の黒い塊。『屍鬼』は単純な黒いオーブの集合体のようなもの。ジャック・カービィ式の黒い斑点をオマージュ。(Jack Kirby dot で検索のこと)※降魔以外は後々どうとでもできるようにしておきたいので、あくまでイメージ図的な調子にして、誤魔化したい。

 

氏綱:狂える蟲ども……そして亡魂……

氏綱:奴らと我らは互いを喰い争いながら、地上への顕現を目指してきた……!

 

フッとフェードで絵の中の光のある箇所へややクローズアップする。

 

氏綱:そして我ら降魔が遂に大いなる入り口を見付けたのだ。

氏綱:政情不安定なるこの時代……

氏綱:人々の無意識の恐怖が凝結する……

氏綱:この、時代の裂け目に。

 

白フェードアウト。

 

水虎:そんな……話は……

 

フェードでカット表示。水虎の顔のアップ。苦しみに顔を歪めながらも、気炎を吐き、牙を剝く(比喩)水虎。

 

水虎:信じらんないね……

氏綱:ほう。口が減らぬの……

 

パッとカット切り替え。御婢子狐の顔のアップ。水虎と同様、苦しみながらも、怒りの表情でキッ!と氏綱を睨みつける。

 

御婢子狐:そいつの言う通りだ……

御婢子狐:アタシにそんな記憶はない……!

 

氏綱:ククク呵呵呵呵呵……!!

氏綱:それこそが低級なる屍鬼の証!

氏綱:諸君らは地上に匂い出た奴らの悪臭よ!!

御婢子狐:……なにを……言っている……!(多分に怒気を孕んで)

氏綱:お前たちは単なる端切れなのだ。

氏綱:低級なる屍鬼が、地上において偽りの形を持っただけモノに過ぎん……

御婢子狐:……

 

フェードでカット切り替え。怨霊のイメージカット。座敷童的なもので、あまり怖くなりすぎないように。

 

氏綱:実体を持たぬ魂たるお前たち、屍鬼どもは……

氏綱:地上に於いては幽鬼となるざるを得ん……

氏綱:怪異とは……人間どもの思念、あるいは無意識と……

氏綱:低級なる屍鬼が結びついた物なのだ。

御婢子狐:……

 

フェードでカット切り替え。イメージ図。あの世から漏れ出た降魔、妖蟲、屍鬼たちが、地上世界でそれぞれの形態に変わっていくイメージ図。彼の世においての降魔たちの姿は、前述の何か黒い塊みたいな形態で。

 

氏綱:我らが地上に現れ出でるには、そのままの状態ではおれぬ……

氏綱:彼の世のモノたちは、地上にのさばる人間どもの悪念を通じてしか存在できぬのだ。

 

氏綱:我ら降魔も同様だ。

氏綱:低級の存在であれば否応無く。高位の存在であっても影響は免れぬ。

氏綱:それが我ら、彼の世の存在の呪い……

氏綱:一度(ひとたび)地上に出たならば……

氏綱:妖蟲どもは気が狂い、屍鬼どもは我を忘れ、我ら降魔は肉体、つまりは時間に支配される。

 

フェードでカット切り替え。これまで出てきた妖怪や怪異を集合させたショット。

 

氏綱:お前たち屍鬼は、人間の畏れに感応する。人間どもが畏れる異形そのものとなるのだ。

氏綱:創作妖怪が此の世に顕現する、これがその仕組み。

御婢子狐:アタイらは……

御婢子狐:つまり……

氏綱:地上の呪いは忌々しいが、幸い人の世は、げに操作しやすい。

 

フェードでカット切り替え。クダンのカット。クダンの顔を正面から大写しに。

 

氏綱:世情がグラつけば怪奇譚が流行る。妖怪変化の噂を何者かが始めれば……

氏綱:人の世は不安と恐怖に無意識に支配される。

 

フェードでカット切り替え。先程の御婢子狐の表情を大写しにしたカット。身体は正面を向いているが、首を曲げて、目線は斜め上に向かっている。上手側、右上側を見るようにする。視線の先には氏綱。

 

御婢子狐:なら……アタイらは……

水虎:姐さん……聞くな……!

御婢子狐:記憶がないのは……

水虎:姐さん!!

氏綱:造られたからだ。人の無意識によってな。

 

一瞬の間ののち……

 

御婢子狐:……

水虎:姐さん……!

御婢子狐:……ぁぁ……

 

チリッと火の粉エフェクトが舞う。

 

御婢子狐:……ぁぁぁぁぁぁ……

 

ボウッ!と炎エフェクト、カッ!と怒りの形相となる御婢子狐。

 

御婢子狐:あああああああああああ!!

 

氏綱:そうだ燃え上がるが良い!! それこそがお前の役割だ。

 

フェードでカット切り替え。迦具土の表情を捉えたカット。

 

迦具土:私は……妖怪ではない……

氏綱:左様。俗世の証、土の象徴は下賤なる人間であれば誰でも良い。

氏綱:貴様でなくても良かったのだ。

氏綱:必要だったのは、横におる神よ。のう、是害坊?

 

フェードでカット切り替え。是害坊の表情を捉えたカット。

 

是害坊:オオオオォォォ……

カンナ:神……?

氏綱:其奴は迦楼羅天……遥々大陸よりこの日の本に渡って来た渡鴉よ!(愉快でたまらないという調子)

氏綱:概念だけの存在であった其奴を……

氏綱:比叡山にてこの儂が地上に顕現せしめたのだ。

 

比叡山でのカット。戦国時代の様子。パッとカット切り替え。第6話の『血の海の中でやや俯き、呆然と佇む稗田。恐怖に凝り固まった表情をしている』カットを表示。

 

氏綱:僧侶どもを贄とし、その畏れと屍鬼を結びつけた。

大神:……では……あの話は……

氏綱:嘘ではない。是害坊を解放したのは真実だ。

 

パッとカット切り替え。第6話の『稗田の顔に近づく。瞳に仲間たちの手足が写っている。とはいえ、まだ小さい。』カット。なのだが、第6話の状態からは変化がある。顔中に返り血を浴びている。

 

フェードでカット差分切り替え。第6話のカットにさらに変化が生じる。稗田の口元がニヤリと笑う。

 

パッとカット切り替え。『さらに稗田の瞳に近づく。瞳に映った仲間たちの手足の様子が、はっきりわかるようになる。』カットを表示。

 

氏綱:数百年昔のことではあるがな……

 

フェードでカット切り替え。迦具土。力ない表情をしている。

 

迦具土:……

 

氏綱:天笠よ……まだ解せぬか!!

氏綱:貴様ら天笠は、そも大陸出の一族。

氏綱:儂が殺した僧侶どもの生き残りだ。

氏綱:京極慶吾が其方の弟を重用したのも、守護神たる迦楼羅天の力を見込んでのこと。

迦具土:……

 

ギギギ……という音とともにカット切り替え。是害坊が締め上げられる。是害坊、苦痛に呻く。

 

氏綱:その是害坊が言葉を発せなんだは、常に呪殺を防御しておったが故よ。

氏綱:貴様は我が分身により、常に強力なる呪殺魔術に脅かされておったからの。

 

フ……フ……フ……と三連モンタージュカット。百鬼連のアジトでクダンと向かい合う迦具土。第2話冒頭、迦具土に跪き、視線を送る是害坊。第10話での是害坊から黒いオーラが抜けるショット。

 

迦具土:……是害坊……

 

ドシュ!!という音と共にパッとカット切り替え。新たに触手によって刺される是害坊。苦痛に呻く。

 

是害坊:グオオオォォォォ……!

氏綱:最も、それも運命の内……

迦具土:やめろ……!!

氏綱:その“神”もまた、儂によって創られたのだからな!!

氏綱:五百有余年分の信仰を、力に換える存在として!!

氏綱:律儀にも人間どもを守護しようとは……

迦具土:……怪物め……!

氏綱:呵呵…… 百鬼連の大将。

カンナ:……(怒り)

 

フェードアウト。一旦暗転。

 

氏綱:そして時機が来るのを、儂は待った。

氏綱:いや……狙い出て来たというべきか……

氏綱:彼方の世では、我らは肉体……そして時間とは無縁の存在故、な……

 

モンタージュカット。百鬼連の行進、蒸気撤廃デモ行進やオシロ製菓のおまけをたしなめる親子の様子。

 

氏綱:人の世の畏れ……無意識の不安が凝結する格好の時機を見定めたのだ……!!

 

フェードでカット切り替え。氏綱のカットに。全身像。

 

氏綱:そして今……時は満ちた。

氏綱:来たるべき破滅への恐怖に、人の世の無意識が収束する……!!

 

ドン!という音とともにさっとカメラを引き、再び氏綱と百鬼連を同時に捉えたショットに。

 

氏綱:この時代、この帝都に……!!

氏綱:元素《エレメント》が凝結するのだ……!!

氏綱:お前たちは重要なる役割を持った駒であり、儀式のための傀儡。

氏綱:四大(しだい)元素の抽出役よ!!

 

フェードでカット切り替え。第10話終盤でコックピットを開けられたままの紅蘭のカット。表情のみ差分。緊張の面持ち。

 

紅蘭:……

氏綱:必要だったのは四つの元素、四つの生贄、そして扉の存在……!

 

フェードでカット切り替え。氏綱の表情クローズアップ。狂気(歓喜)の笑み。

 

氏綱:儂はこの手で、路を啓く!

氏綱:此の世と、彼の世に、径路(パス)を啓き……

氏綱:此の世と、彼の世を、繋げるのだ!!

 

フェードでカット切り替え。再びコックピットを開けられたままの紅蘭のカット。

 

紅蘭:四大元素……

 

モンタージュカット。レジオトロン、第6話の紅蘭が手に持った霊力匣、ゲーム中、霊力匣が転送される様子(映像)をパパパ……と表示。終了後は再び……

 

コックピットを開けられたままの紅蘭のカット。

 

紅蘭:径路(パス)……

紅蘭:……携挙……!

紅蘭:そんな……!!

氏綱:……娘よ! 錬金術と東洋魔術の融合、見事であったぞ!

氏綱:其方の次元観測機は見事だ。

氏綱:此の世の禁忌に触れる見事な発明だ!!

紅蘭:……(痛恨)

氏綱:こちら側から次元を超えて、彼の世に干渉する御業の完成……!

氏綱:この装置と、そして巫女の力があったればこそ、この時代に穴が開けられるのだ……!

 

ガシャン!!と光武のハッチ解放音とともに暗転。直後に新たなカットを表示、ギュオオオオオン!マリアが光武から降ろされ、触手に絡め取られ、高く持ち上げられる。

 

マリア:ああああぁぁぁ!!

 

氏綱:タチバナ。時の巫女よ……!

 

キュワーーーーーーーン!!と金色に発光するマリア。

 

マリア:ああああああぁぁぁ!!

 

グオオオオオオオオオン……という音とともにカット表示。氏綱の前にコックピットハッチを開け放たれたままの大神の光武が移動する。再び氏綱と大神の顔が寸前まで近づくカット。

 

大神:……!!

氏綱:借りるぞ。大神君。

 

バッ!という音ともにカット切り替え。通常戦闘画面、ゲーム盤の上に稗田の手がかざされる。

 

カーーー!!っとピンク色の閃光が迸る。

 

大神:うおおおおおお!!

 

キュオーーーーーーン!!!という霊力匣転送音ともにカット切り替え。大神機とマリアが触手で繋がれ、全体がマリアの金色の光とピンク色の光を混ぜたような光になり発光する。輪郭線っぽい部分がピンクで、内側が金色……黄色っぽければ良い。ともかく二つの力が混ざったという表現があればOK。

 

フェードでカット切り替え。氏綱の口元。邪悪に歪んでいる。稗田は氏綱となってからは目の色が変わり人外の形相となっているが拍車がかかっている。

 

氏綱:……ウス……ミル……クト……

 

カーーーーーッ!!!っという強力な光の音とともに、ピンク色の光に包まれた百鬼連幹部が順に映し出される。縦長の絵で、ググッと↑上昇しながらフレームイン。顔が真ん中に来たところで、ちょい下がり。慣性がついてるみたいな感じで、浮上している感を出すこと。

 

表情は全員目を開けているが白目になっていて、気絶している。苦悶ののち、呆けたような、痛ましい表情。

 

光の音だけでなく、ドーーーン!という、岩が大きく動く音も鳴りながらフレームインする。

 

ドーーーン!御婢子狐。

ドーーーン!水虎。

ドーーーン!迦具土。

ドーーーン!是害坊。

 

ゴーーーーウン…! と重たい鐘の音のような岩の音が響き、キメのショット。

 

中央の隆起柱にいる稗田を中心に、左上=是害坊、右上=水虎、左下=迦具土、右下=御婢子狐、の配置で、柱が隆起する。タロットカードの図案『ザ・ワールド』と同じ配置。レジオトロンの配置とも同じ。触手のうねり方なども駆使して、タロットっぽいデザインを意識して。

 

キュアーーーー!と言う音と共に百鬼連がそれぞれの色に発光する。激しく光を放つ。

 

氏綱:火、水、風、土……

 

パッとカット切り替え。白目のまま吠える百鬼連のカット。

 

御婢子狐:おおおおおぉぉぉぉ!!

水虎:あああああぁぁぁぁ!!

是害坊:オオオオオォォォォォ!!

迦具土:ぐううううううぉぉおぉ!!

 

パッとカット切り替え。再びザ・ワールドのカット。

 

氏綱:ロッド、ゴブレット、ソード、レイメン……

 

パッと稗田の口元のみをアップに。笑っていない。ボソリと呟くような様子。

 

氏綱:イェソド、マルクト……

氏綱:……

氏綱:32(さんじゅうに)

 

フェードでカット切り替え。帝都の遠景。夜の帝都。静かな美しい景色。

 

ややして……

 

ゴワアアアアアアアアアアアア!!!と遠くで地震のような音が鳴り響く。まだ音量は小さめ。そして……

 

パッとカット切り替え。と同時にゴワアアアアアアアアアアアア!!!とという地震音を大きく響かせ、ウィグルを伴ってパッパッパと帝都の景色を四~五枚見せる。地震が起こっている表現!なのでこのカット集に入った途端、激しく画面がウィグルする。

 

なお見せる場所は初代『サクラ大戦』で六破星降魔陣が発動したあと、帝都各地の惨状を見せるカットと地点、順番を一致させる。オマージュ。ただし、構図までは同じにする必要はない。例えば上野の西郷さんなども、グッと地面から見上げるようなカットで、迫力重視で。

 

氏綱:……いよいよ我らは黄泉還る……!

 

ここでマリアを通じて世界樹復活。以下、そのくだりが続く。

 

コオオオオオオオオオ!と発光音とともに光るマリアのカット。触手に持ち上げられ、大きく海老反ったような形で、上下逆さまになっている上体を描写。大きく羽を広げたように腕を広げた格好。胸が頂点で、目を閉じた状態で逆さになった顔、重力に垂れ落ちた髪の毛。天使が降臨するようにも、堕天するようにも見える、象徴的なカット。

 

スッとフェードでカット切り替え。先ほどのマリアのカットから、グッとカメラを引く。神聖な雰囲気。フォオオオオオ……。と発光音の優しい残響が響く。一瞬だが、素敵なことが起こりそうな雰囲気に演出する。

 

が、ォォォォ……と発光音が止むと……。

 

ドシャアアアアアアア!と激しい音と共に、一瞬のウィグルを伴ってカット切り替え。マリアの胸部というか腹部というか、ともかく上体から凄まじい奔流となって吹き出る触手。実におぞましい光景。

 

ドシャアアアアアアア!と同じ音と共にカット切り替え。マリアから出現した触手の海に包まれる氏綱。天外魔境Ⅱの菊五郎が似たような状況で真の姿を現すので、様子をオマージュして。ただし、こちらはラスボスなので、こちらの方が激しい絵になるように。触手の勢いもあるし。

 

氏綱:オオオオォォォォォォォ!!

 

ドシャアアアアアアア!と同じ音と共にカット切り替え。再びマリアの様子。

 

バシュゥゥン!!!とひときわ強くフラッシュで発光するとともに、カット切り替え。発光が終わり、触手が出切ったマリアの様子。

 

ガシューン!と地面に叩きつけられる空っぽの大神の光武。

 

ガシュガシュガシューン!続けて花組のみんなの機体が着地。カンナ機が大神をお姫様抱っこで助けている。おかげで大神は無事。大神は多少足を開いたり、うまく腕を回したりして、ほんとにお姫様ポーズになってしまわないように注意。ギャグではない。カンナのかっこよさだけをさりげなく提示する。その背後にはかえでをキャッチするレニ機。しばし表示した後……

 

フェードでカット切り替え。落下するマリアだがフワアアアア……と黄色い光で包まれ落下の勢いが緩やかになっている。

 

パサっという音でカット切り替え。アイリス機がマリアを抱きとめる。と、ゴゴゴゴゴゴゴ!!という地鳴りのような音とともに、そこにサッと影が差す。下から上へサッと。画面全体が暗くなり……

 

フェードで画像切り替え。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ……と低く唸る地鳴りのような音とともに、下から見上げた氏綱=原始降魔ヨミ=世界樹の姿。世界樹であるし、クトゥルフの怪物でもある。タコの怪物にも見えるはず……。というデザインをここで恐ろしく……ある意味で魅力的に見せる。まずは花組から見上げた様子。花組からはただただ足元の一部が見える。そして……。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ……と低く唸る地鳴りのような音とともに、カット切り替え。原始降魔ヨミの巨大な顔?を大写しで。画面からかなりはみ出しており、巨大さがわかる。鴉を配置し、大きさを比べるようにする。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ……と低く唸る地鳴りのような音とともに、カット切り替え。今度は遠くからのカットなので、ゴゴゴ地鳴り音はグッと静かに。引きのカメラで原始降魔ヨミ全体を映し出す。足元に建物等をそれとわかる程度に配置。超巨大。絵的にはシンゴジラの一・五倍程度。約180m。

 

パッとカット切り替え。原始降魔ヨミの顔のひたい部分…?(原始降魔ヨミはクトゥルフの怪物でもあるので、機能するつもりのないような歯牙が至る所に生えひしめいており、明確にひたいとも言えないような造詣が好ましい。ともかく……)ある一部分に張り付いている氏綱の顔に遠景から二段階でパ…パ…パッとクローズアップする。巨大な原始降魔ヨミのどの部分に氏綱の顔があるのかということを説明する必要があるので、それがはっきりわかるように留意すること。

 

ヨミの顔→そのひたいのあたり…→氏綱の顔 という感じで。

 

で、氏綱の顔に来たところで、ゴオオオオオオウウウウウウンン……と静かに始まる、しかし恐ろしさを増す効果音を再生。

 

数瞬の間ののち……

 

パッと花組の様子。コオオオウ……とマリアの胸に当てられたアイリスの華奢な手。一瞬だけ光エフェクトを出して、アイリスの霊力による治療の終わり際を一瞬だけパッと見せて……。

 

パッとカット切り替え。マリアを介抱する大神とアイリスの様子。アイリスは機体を降りて来て、マリアを治療していた。背後ではカンナがかえでを介抱している。

 

マリア:うう……!

大神:マリア……!

マリア:……私は……大丈夫です……かえでさんは?

大神:無事だ。気を失ってはいるが……

マリア:よかった……

マリア:……!

マリア:……あれは……!

 

パッとカット切り替え。マリア、アイリス、大神らの後頭部。見据える先には巨大なヨミの姿。

 

カンナ:なんなんだよありゃあ……

アイリス:……

アイリス:タコ……?

カンナ:へ……タコね……言えてらぁ。

大神:……あれが……地の底にいた降魔の塊……?

すみれ:巨大な樹にも見えますわね……

さくら:ものすごい妖気……!

大神:……降魔の本体が現れるとは……

 

ゴゴゴゴゴゴゴ……と低く唸る地鳴りのような音。画面をウィグルする。

 

大神:いかん! マリア、アイリス、ひとまず光武に!

大神:すみれくん、かえでさんを!

すみれ:お任せを。

 

フェードで暗転。一瞬後……

 

コオオオオオオオオオ!!という発光音。とともにパッとカット表示。地面が濃いピンク色に光り、下側から赤い光に照らされた大神の光武。

 

大神:!! 地面が……!!

 

ゴオオオオオオオオオオオ!!!っとドスの効いた地響きのような、しかし発光音とともに、パッとカット表示。上空からのカット。地面を斜めに捉えたカット。おかしなことが起こっているということの暗喩と、スケール感の演出のために斜めにする。はるか京都から帝都までをつなぐ道路が、ドギツイピンク色……クダンのピンク色に発光する。

 

パッとカット切り替え。氏綱の顔。この先、氏綱の声に若干のエフェクトをかけ、よりゴリゴリした迫力を増す。お芝居の繊細さがわからなくなっては元も子もないので、やり過ぎないように注意。

 

氏綱:妖怪ども……屍鬼どもの行進により、経路が通じたのだ……

 

パッとカット切り替え。再び帝都上空の遠景。深川あたりの上空から西へと向かって、京都方面を望むカット。ずっと先まで東海道がピンク色に発光している。

 

氏綱:東海道……

氏綱:それこそが……イェソドからマルクトへと到る路……

 

ビシュンビシュンギュオンギュオン!!と、パズルゲーム中での霊力匣の転送音とエフェクトが、磔になった百鬼連の周りで狂い咲くかのように大明滅し続けている。

 

氏綱:全てが一本の路で繋がる……

氏綱:京から……帝都……そしてこの……

氏綱:武蔵へと……!!

 

パッとカット切り替え。氏綱の顔。凶暴な表情をドアップで。笑っていない。

 

氏綱:此の世と、彼の世を繋ぐ路……

氏綱:……あるいは……

 

モンタージュカット。最初にクダンが登場した時のドアップのカット、紅蘭のカット、クダンと紅蘭が坂道で向かい合ったカットをそれぞれ一瞬だけパ……パ……パッと表示して消す。

 

再び氏綱の顔。

 

氏綱:黄泉還るのだ……

氏綱:黄泉比良坂が……!!

 

ドオオオオオオオオオオオオン!!とココイチ不気味な音でカット切り替え。今度は上空を見上げる紅蘭の光武の後頭部!紅蘭と同じ目線で見上げるショット。物理法則を無視し、日本列島全土が反り返るように持ち上がって、関西方面がグニョーンと壁になって迫ってくる!!

 

まるで球体の中にいるような感じで、周囲の海ごと日本列島全体が湾曲して迫ってくる。関西方面が坂道の上、帝都が坂道の下になっている。赤い光の路の線は東海道そのままに京都からその先へと通じている。

 

紅蘭:……坂道……!

 

紅蘭機コックピット。魚眼レンズを通して見たようなショットで、湾曲した紅蘭が写っている。気分が悪くて嘔吐寸前のようなつらそうな紅蘭の表情。脂汗で顔全面がびっしょり。上を見上げている。わけがわからない!世界が湾曲して見えている!という気持ちの表現。

 

紅蘭:大地が……西日本が全部……持ち上がっとる……?

紅蘭:帝都が……坂の……下に……

カンナ:下……!?

 

カンナ機コックピット。同じく魚眼レンズを通して見たようなショット。が、カンナは大きく首を前に突き出し、目線は下方向に向かっている。

 

カンナ:何言ってんだ紅蘭……?

カンナ:坂の……下だと……!?

 

ドオオオオオオオオオオオオン!!と再びココイチ不気味な音でカット切り替え。今度ははるか足元を見下げるカンナの光武の後頭部!物理法則を無視し、日本列島全土が反り返るように帝都方面が持ち上がって、関西方面がグニョーンと坂道の下に落ち窪む!!紅蘭のビジョンとは違って、遥か高みにいるカンナの視点!!

 

カンナ:上だぞ……高え……

カンナ:帝都が……山の上みてえに……!!

さくら:大神さん……わたし……気分が……

 

再び紅蘭機コックピット。先ほどの魚眼レンズカット。

 

紅蘭:……はあ……はあ……

紅蘭:……の……

紅蘭:……登ってんのに……

紅蘭:……はあ……

紅蘭:……降ってる……

 

ドオオオオオオオオオオオオン!!ドオオオオオオオオオオオオン!!と再び紅蘭機からの見た目カットと、カンナ機からの見た目カットを二連続で提示。

 

ドオオオオオオオオオオオオン!!と極め付けに、湾曲したヨミの姿。実際に湾曲しているのではなく、見え方が不気味に湾曲しているということ。

 

氏綱:彼の世は遥か地の底にして……

氏綱:遥か頂上にある世界……

氏綱:昇るように、降っていく……

 

パッとカット切り替え。氏綱の顔のアップ。

 

氏綱:我が名はヨミ……

氏綱:生命の樹……

 

ここでゴーーーーーーーーーーーン!!!といつものボス表示演出。ただし場面のトーンに合わせて効果音は重量級の最悪最凶版。

 

『原始降魔ヨミ』と表示。

 

紅蘭機コックピット。再び先ほどの魚眼レンズカット。

 

紅蘭:あかん……

紅蘭:もう……無茶苦茶や……

紅蘭:うちが……観測機なんて……作ったから……

 

ドン!!とタイトル表示。『第十一話 妖怪道五十三次』

 

一定時間表示したのち、パッと消す。

 

ギュワーーーーーン!!東海道のドギツイピンクの光が厩橋を越えたところで一気に広がっている様子がわかる空撮カット。本所方面が濃いピンク色に光り輝いている。

 

氏綱:黄泉比良坂蘇り……

氏綱:その道は通じていく……

氏綱:『武蔵』へと……

氏綱:彼の世、常世の国、ニライカナイ……

氏綱:どう呼んでも良いが……

氏綱:太古の昔にここに在った、我らの地だ……

氏綱:だが……

 

氏綱の顔。

 

氏綱:我らは最早、日陰の存在ではない……!

 

シャーーーーーーーーーーーン!!!と砒霜の鈴の音と同様の音で、厩橋の先が一挙に濃い桜色に弾ける!!本作で桜が登場するシーンはここ!!大事なので美しく神秘的に。光の粒子とともに、幻影の桜が開花する。

 

氏綱:此の世に……日の本に顕現するのだ……!

 

シャーーーーーーン!と衝撃波を伴って、花組全員のいる地点の周りが一気に桜色に染まっていく。要は厩橋から向こうだけでなく、帝都方面へと彼の世化が進んでいく!ということを提示する。パパパパパパパ!!と幻影の桜が咲いていく!!

 

フェードでカット切り替え。ここで帝都市民の様子。第一話冒頭の長屋の親子。戸口から顔を覗かせ、恐る恐る外を見る子供。外は幻影の桜が舞っている。

 

子供:お父ちゃん、お外……!

 

ガタッという音ともに、カット差分切り替え。子供を抱き抱えるように、父親が周囲の状況を恐ろしげに眺める。

 

父親:おいおい、危ねえだろ……! 中にいろ!

子供:綺麗だね……!

父親:綺麗ってお前……とにかく中にいろって……!

父親:……地震の後に桜が舞うだぁ……いってぇ何が起こってんだか……

子供:怖いこと?

父親:かもしんねぇ……

子供:……

父親:でも大丈夫だ。……帝国華撃団さんが、必ず何とかしてくれる。こういう時は、必ず。

子供:ほんと?

父親:ああ。いつだってそうだ。

 

フェードで暗転したのち……

 

パッとカット表示。と同時にビーーーーー!と非常音を鳴らして、緊急時を示す赤いランプのカット。そのランプが照らすは……

 

パッとカット切り替え。帝劇、作戦司令室……意外と戦闘中の風組の様子がわかるシーンはゲームでは少ない。劇場版を参考に。緊迫した雰囲気で、三人娘がモニターと格闘中。アラートで部屋全体が赤くなっている。

 

由里:なにそれ……! いったいどういうこと……!?

かすみ:由里? どうしたの?

由里:厩橋に到着するはずだった月組が……赤坂に出たって……

由里:突然違う場所にいたって報告が……

椿:現在全ての地下鉄車両が運行停止中!

椿:着くはずのない駅に着いたと……路線が滅茶苦茶になってます……!

由里:いったい何がどうなってんの……!?

かすみ:花組との通信も回復してないのに……!

由里:紅蘭……みんな……!

 

パッと暗転。

 

バシュウウウウ!とコックピットハッチ解放音からの……地面に足をついたカタっという音とともに、パッとカット切り替え。桜色に染まっていく地面に着いた、さくらの足元、戦闘服のブーツ。

 

フェードでカット切り替え。よろよろと漂い出たさくら、周辺を見上げ、途方にくれたような表情。

 

大神:さくらくん! いけない! 光武に戻るんだ!!

さくら:お父様……

さくら:お父様の…… 桜……

 

フェードでカット切り替え。さくらの手のひら。戦闘服のグローブを装着している。指先は出ている。ふっとひとひらの桜が右手のひらに舞い落ちる。濃いピンク。

 

手のひらに舞い降りた桜の花びらがファン!と散るように濃いピンクの光の粒子になって消える。

カタっという音とともにカット切り替え。さくらと、さくらの肩を掴んだ大神。大神は真剣な表情。さくらは狐につままれたような表情。さっきの名残で、右手のひらをあげている。

 

大神:さくらくん、気をしっかり持つんだ……!

さくら:ああ……

 

キュッという音とともに、握った右手を見据える、気のはっきりしたさくら。しかし苦い表情。左手は右手に添えている。

 

さくら:すみません……鬼王の……

さくら:お父様の桜に……似ていたので……

 

パッパと二枚程度カット表示。鬼王が技を繰り出し、さくらが舞っているカットと、一馬に戻って、さくらの腕の中にいるカット。パッパと表示して、元に戻る。

 

さくら:……

 

バシュウウウウ!とコックピットハッチ解放音からの……地面に足をついたカタっという音とともに、パッとカット切り替え。先ほどと同じだが、今度は靴のカットは省く。

 

さくらのように漂い出た紅蘭。やや下からの煽りの構図で、紅蘭のバストアップを捉える。紅蘭の茫然自失の表情と、周辺に咲く桜の状況がパッと把握できる。幻影の桜の木が立っている。灰色の木肌。紅蘭は眼鏡の奥の瞳に虹彩が無くなっている。

 

紅蘭:幻影の桜……

紅蘭:あの世の桜……

 

バタッ!と崩折れる音とともにカット切り替え。内股でへたり込んだ紅蘭。力なく手を胸の前に捧げ、ぼんやりと開いた両手のひらを見つめ、そこに舞い降りた桜の花びらを見つめている。

 

ゴオオオオオオオ……と低い不気味な効果音とともにパッとカット切り替え。帝都上空から捉えたヨミの姿。ちょっと表示した後、パッと至近距離で捉えた氏綱の顔に切り替え。

 

氏綱:では屍鬼ども……妖怪変化には……終いまで役目を全うしてもらおう……(妖怪変化というワードにに侮蔑の笑いを込めて)

 

グオオオオオン!と触手の音とともに、フェードでカット切り替え。白目を剥いて気絶している御婢子狐が突き出されている様子。

 

ギュル!という音ともに触手がピンク色に輝き御婢子狐の髑髏が炎に燃え上がる。

 

ドロロロロロロン!といつもの怪異出現音とともに、帝都各地に怪異が出現!まず一カ所目。

 

氏綱:せっかくその姿で此の世に顕現したのだ……

 

ドロロロロロロン!と別の場所。二カ所目。

 

氏綱:燃え尽きるまで暴れよ……

 

ドロロロロロロン!ともう一箇所別の場所。三カ所目。

 

氏綱:降魔の為に人間を滅せ……!

 

ドロロロロロロン!と今度は地面にへたり込んだ紅蘭の目の前に怪異が出現。紅蘭の後頭部越しに、紅蘭を取り囲むような調子で怪異が三体出現している。

 

怪異:ギシャーーーーーー!!

 

紅蘭:……(苦しみの表情)

 

シャーーーーーーーン!!という砒霜効果音とともに、すみれ機のカットを表示。砒霜を振り撒きながらダッシュで移動している様を横から捉えた図。左から右へとシャキーン!と画面を横切っている。砒霜を目立たせるため、背景は暗転黒背景でOK。

 

シャーーーーーーーン!!という効果音とともに今度はもっとアップになった状態で、右から左へとシャキーン!と画面を横切っているすみれ機。要はシャーーーーーーーン!!シャーーーーーーーン!!と二連続で、カットを表示する。そして……

 

バシュウウウウウウ!!と怪異撃破音。とともにカット切り替え。画面右端に攻撃後のカンナ機、左側にすみれ機が占めており、中央の遠方に紅蘭が見えている。紅蘭はへたり込んだ姿勢のまま、呆然と前を見ている。遠くて小さいということもあり、そこまで表情はわからない……が、呆然としており、わずかに口が開いているような様子。

 

すみれ:紅蘭!!

 

すみれ機コックピット。鬼気迫る形相。

 

すみれ:しっかりなさい紅蘭!! あなたが頼みの綱ですわ!!

すみれ:全てがあやふやになって……わたくしたちの感覚まで狂い始めてる……

すみれ:こんな滅茶苦茶な状況……なんとかできるのは……

すみれ:理性で捉えられるのは、あなただけです!!

 

フェードでカット切り替え。紅蘭の顔をグッと右下から見上げる角度で。

 

紅蘭:……

すみれ:周りをよくご覧なさい紅蘭!! わたくしたちは、どうすべきですの!?

紅蘭:……あ……

紅蘭:……あぁ……

 

紅蘭、一度目を閉じる。

 

紅蘭:……

 

紅蘭、目を開ける。しばし後に……

 

パッとカット切り替え。すっとカメラを引き、紅蘭を中心に、花組たちの周囲を描写。さくら、大神は光武に戻り、紅蘭のみ降りている。

 

紅蘭:ウチらの周りは……地面が安定しとる……

 

目を開いた紅蘭のカットに戻る。

 

紅蘭:砒霜は、通常空間においては異次元への手がかり……

紅蘭:せやけどこれは……反対側からの反応……

紅蘭:この周辺だけは、ウチらの知覚を反映した『この世』に近うなっとる……

紅蘭:せやたっら、砒霜をバラ撒けば……

 

カチャ……というメガネの位置を直す音とともに、メガネの位置を直しつつ上空(帝劇方面)を見据える紅蘭のカット。

 

紅蘭:すみれはん、お願いします。砒霜があれば、ここから移動できるはず……!

すみれ:ええ……ですけど、どこに? 氏綱を倒す方法がなければ……

紅蘭:……帝劇……

紅蘭:帝劇にはアレがある……けど……

すみれ:アレ……?

紅蘭:あるんや……切り札が……

紅蘭:……でも……

紅蘭:ほんまにやるとしたら……

 

地面が反り返って、すでに上空……っぽく見える位置にある日比谷を写したショット。遠い。しばらく表示したのち……

 

ゴーーーーーというボイラーの音とともにパッとカット切り替え。日比谷のボイラー設備。余剰蒸気がふんだんに漏れている、蒸気ロマンな図。しばらく表示したのち……

 

紅蘭:帝都のボイラーを、フル稼働させんと……

大神:ボイラー……? ……何をするつもりなんだ……?

 

一瞬の間ののち……

 

パッとカット切り替え。帝劇の奈落の底、暗闇の中佇むイルミくんの姿。数瞬表示したのち……

 

パッとカット切り替え。紅蘭機の表面に手を当て、その顔を見上げる紅蘭。ここ、表情のお芝居が大事なので気をつけること。ほんの少し切なさが表に出た顔。決意と逡巡で揺れている。数瞬表示したのち……

 

紅蘭:もしも失敗したら……

紅蘭:……いよいよ帝都の蒸気網はおしまいや……

 

パッとカット切り替え。今度は紅蘭目線で見た紅蘭機の顔。慈しみの目線。

 

紅蘭:……

大神:紅蘭、答えてくれ。成功すれば……

大神:あの巨大な怪物にも……対抗できるのか……?

 

フェードで暗転。

 

紅蘭:……わからへん……

紅蘭:でも……それしかあらへん……

紅蘭:あんな怪物と……マトモに戦う方法は、それしか……!

 

カッ!という靴音ののち……

ガシュウウウウンというコックピットを閉める音とともに、カット表示。紅蘭機コックピット。まっすぐ前を見据えた紅蘭を正面から。

 

紅蘭:まずは帝劇や……!

紅蘭:それから、日比谷のボイラーに移動して、切り札を使う……!

紅蘭:……ウチがケリをつける……!

大神:よし……

 

カット切り替え。シャキーーン!と大神機を筆頭に、並び立つ花組の光武。シャキーーン!でキラキラと光らせたりはしない。怪しい夜桜!桜吹雪が舞っている。

 

大神:みんな、帝劇に戻るぞ!!

大神:なんとしても、氏綱を倒すんだ!!

花組(アイコン代表、さくら):了解!

 

暗転。とともに、バシュウウウウ!と光武のダッシュ音。

 

パッとカット切り替え。ゴオオオオオオ……というおなじみの音とともに氏綱の顔。

 

パッとカット切り替え。遥か氏綱から見た遠くの花組。ちまちま遠ざかろうとしている様が見える。

 

氏綱:ほう……逃げおったか……

 

再び氏綱の顔。

 

氏綱:あるいは何か考えがあってのことか……

氏綱:なんにせよ……

 

パッとカット切り替え。百鬼連の図。磔になった全員を捉えた図。御婢子狐は頭蓋骨がボウと燃え盛っている。

 

氏綱:こやつらを終いまで使い切らぬとな……

 

☆☆☆戦闘パート開始:文月:原野・武蔵野☆☆☆

 

パーーーー!と幻想的な風景を描写。道の高低差が無茶苦茶になった帝都の道路と、周囲に咲き誇った圧倒的な夜桜。桜は道路にも散って、非常に美しい様子。パッ……パッ……パッ……としっかりと最低でも3カットほどは提示する。そして……

 

通常戦闘画面へ移行。桜吹雪が舞う美しい桜の原。サクラ大戦初の夜桜!なのでバッチリ嬉しい感じに演出すること。

 

テロップ表示『原野・武蔵野』

 

今回の戦闘で通常営業の戦闘は最終回。最終話の戦闘もちゃんとパズルゲームでは戦うものの、マップは存在しないイベント戦みたいなものなので、ここが実質最終面。なので、そのつもりで組み立て、演出すること。

 

今まで出てきた怪異たちが総出で襲ってくる。工夫して倒す必要のある敵がバラエティ豊かに襲ってくるので、やりがいのある面白ステージにもなっているはず……であるべきなので、頑張って調整しましょう。

 

なお、ボス連戦があるので、そこもポイント。

 

水虎、御婢子狐、是害坊、の順番で、それぞれ大怪異となって襲ってくる。御婢子狐を撃破すると雑魚怪異は全滅してしまうので、そこまでの道程をちゃんと長いマップにする。全体像は把握できるように。つまりスタート地点からゴールまでのうち、約半分の地点に水虎、ゴールのちょっと手前に御婢子狐、その直後に是害坊という構成。

 

というわけで進軍開始。

 

戦闘開始!! 敗北条件:すみれ機撃破。

 

カンナ:真夏の夜桜たぁ……笑えねえなぁ……

アイリス:綺麗だけど……なんだか怖い……

織姫:なかなかえげつない色してまーすね。

マリア:だけど……美しい……

マリア:これが……常世の国……?

大神:マリア、大丈夫なのか?

マリア:ええ……問題ありません。……私も戦闘に集中します。

レニ:マリアに何が起こったのかもわからない……

レニ:何としても帝劇に戻らないと……僕たちには打つ手が……!

さくら:行きましょう! 私たちがやらなきゃ……!

 

顔アイコンなし:ビジビジ……

大神:帝劇と通信が通じない……!

さくら:みんな……大丈夫かしら……?

カンナ:飛鯨丸さえ使えりゃあ……!

紅蘭:いや……あかん……おそらく空はもっと滅茶苦茶や……

紅蘭:この空間の位相のズレは、主に縦軸方向に出とる……

紅蘭:横移動しとるウチらが、なんとか方向を固めて進んどるだけや……

カンナ:ちくしょう……! わけわかんねえ……!

レニ:地下も同じなら……轟雷号も使えないということか……

織姫:ジャンヌダルクの時とは、ゲタ違いってことですね……!

カンナ:下駄でもなんでも、帝劇まですっ飛んでいける履物(はきもん)がありゃ今すぐ欲しいぜ……!

 

ある程度進むと……

 

マップ上の、ちょっと面白ポイントに到着。ちょっと水辺だったりする。

 

第一ボス!!『大怪異・水虎』水虎、初の大怪異化!!

 

ドオオオオオオオン!と水虎が地面に落下してくる。以下、通常状態の水虎は普段の立ち絵とは違うカットで、白目で我を失っている。

 

さくら:水虎!!

水虎:……

さくら:もうやめて! あなたたちは利用されていたんでしょう?

さくら:それなら……私たちが戦う理由はないはず……!!

水虎:グルルルル……

レニ:……我を失っている……!

カンナ:ちくしょう……! 氏綱の野郎……!

 

バシン!!髑髏が水虎を噛む!いつもの変身シーン!!

 

ドドン!!『大怪異・水虎』

 

変身後の水虎は、狼とシバテンが混ざったような、四足歩行のスマートな獣。恐ろしくもカッコよく。なお、この姿も最速のイダテンの真の姿のオマージュ。

 

マリア:戦うしかないようね……!

大神:ここでやられるわけにはいかない……!

大神:何としても突破するぞ……!!

全員(顔アイコン代表、レニ):了解!

 

戦闘開始!!

 

超速連打法、など、天外魔境Ⅲのボス、最速のイダテンをオマージュした技を使ってくる。

 

攻略のポイントはレニ&織姫!ストーリーパートで説明した通り、超速連打法は為す術なく大ダメージになる攻撃を連続で受けるものだが、レニのブロックを揃えておくと、レニが攻撃を防ぎ、一定時間水虎の超速連打法を無効にしてくれる。織姫の場合も同様。

 

うまくレニ&織姫を揃えられないと攻略はかなり難しい。そうでない場合アイリスで回復しまくって、運が良ければ何回に一回はギリ勝てるかどうか……ぐらい。

 

なお、水虎はアホの子っぽくムキになって、防がれるほどに超速連打法を繰り返し気味……という傾向があっても良い。

 

尚、マリアの氷攻撃はほとんど効果がない。高速振動してすぐにバキーンと散らされてしまう。

 

レニ:隊長! 奴の攻撃は僕が防ぐ……!

織姫:わたしもあいつの相手はできるでーすよ。

大神:わかった……二人とも頼んだぞ!

レニ:了解。

織姫:了解でーす!

 

水虎:ウォォォォォォオオオオ!!

レニ:怒っている……! 強引に突破する気だ……!

大神:なんて強力な攻撃なんだ……!

 

水虎:ウォォォォォォオオオオ!!

織姫:全部は捉えきれないでーすね……

大神:織姫くんとレニの霊力匣を優先しなければ……!

 

水虎撃破!!

 

バシーーーーーーーーーーン!!

 

大神:やったか!?

水虎:ウオオオオオオォォォォォォォォン……

 

バシュウウウウウウウウウウ!!!と輪郭線が青色の強力な光(それぞれ百鬼連のボスは対応した色になる)が発し、シルエットで水虎が蒸発するようなカット。フェードでちみっちゃいシルエットが残る。

 

ぽて。っと、ちっちゃくなった水虎が地面に落ちるカット。かわいい。頭にお皿が出たりして、より河童っぽくなっている。

 

大神:……!

アイリス:……ちっちゃくなった……!

 

ぷい。と起き上がる。下を向いているが、苦しみの表情。

 

が、バシュウウウ!といつもの霊力匣転送音&エフェクトで消える。

 

アイリス:あ……!!

 

バシュン!と画面揺れでカット切り替え。水しぶきだけが残ったカット。

 

アイリス:……

 

戦闘パート再開。

 

アイリス:……あの妖怪さん……なんだか、かわいそうだったかも……

大神:本当に悪いのは、水虎たちを利用した氏綱だ……

大神:アイリス、彼らのためにも、今は先を急ぐんだ……!

アイリス:……うん! わかった!

 

ある程度進むと……

 

第二ボス!!『大怪異・御婢子狐』御婢子狐、初の大怪異化!!

 

ドオオオオオオオン!と御婢子狐が落着。以下、通常状態の水虎は普段の立ち絵とは違うカットで、白目で我を失っている。

 

カンナ:今度は狐か……!!

御婢子狐:オォォォォォ……

 

バシン!!御婢子狐が普段頭に乗せている髑髏が巨大化し、改めて御婢子狐を噛む!変身!!

 

ドドン!!『大怪異・御婢子狐』

 

変身後の御婢子狐は、荼吉尼天(&地母神カーリー)のような形相。美しいが、恐ろしい。荼吉尼天も、裸体に髑髏みたいなモチーフで描かれることがある。

 

“狐”と言っているものの、デザインには『ジャッカル』の要素を入れ込むこと。ダキニはそもそもが『ジャッカル』のことで、これが中国や日本では理解され切らずに、狐と解釈されて、お稲荷さんと集合するような形になっていった……という歴史がある。それをデザイン一発で押さえると気が利いていてカッコいいので、大怪異となった御婢子狐の様子はダキニ感がある姿にする。もちろん炎は燃え盛らせて。ただし荼吉尼天っぽいと言っても、仏教寄りにしないこと!天女っぽい感じではなく、元の意味の“夜叉”っぽさの方を前面に出す。つまりは地母神カーリーのような感じになるということ。地母神カーリーも荼吉尼天と深く関係があり、存在自体ちょっと重なっている部分があるので、とにかく夜叉っぽい恐ろしさを大事に。

 

紅蘭:とうとう自分自身が大怪異に変身しよったっちゅうわけか!!

マリア:奴の妖力は段違いのはず……! みんな、気をつけて……! 

 

戦闘開始!!

 

さくら:御婢子狐……記憶がどうとか言っていたけど……

紅蘭:……それも思い込みやったとはな……

アイリス:……

すみれ:さっさと終らせてあげましょう。

すみれ:氏綱に利用させておくのは、ここでおしまいですわ。

 

攻略のポイントは髑髏のさばき方。無数の髑髏を放って攻撃してきたり、それだけでなく怪異を出現させたり、大怪異にしてきたりする。これまでの雑魚敵との戦い方も駆使して戦う必要がある。

 

雑魚敵大量出現!

 

レニ:怪異を繰り出してきた……!

紅蘭:さすが巨大化担当幹部……やりおるわ……!

大神:今まで戦ってきた妖怪たちだ……!

大神:さばき方は分かっている!!

大神:アイリス、戦い方の復習は頼んだ!!

アイリス:りょーかいっ!

 

怪異の一部が大怪異化!これまでのボスが出現!

 

レニ:大怪異!?

織姫:ヤバ……鬼ヤバでーす!

紅蘭:……ここまでやるやなんて……!

大神:だが、今まで戦ってきた妖怪たちだ……!

大神:アイリス! 復習を頼んだぞ!!

アイリス:りょーかいっ!

 

御婢子狐撃破!!

 

バシーーーーーーーーーーン!!

 

大神:うおおおおおおぉぉぉ!!

御婢子狐:ウオオオオオオォォォォォォォォン……

 

バシュウウウウウウウウウウ!!!と輪郭線が赤色の強力な光(それぞれ百鬼連のボスは対応した色になる)が発し、シルエットで御婢子狐が蒸発するようなカット。フェードでちみっちゃいシルエットが残る。

 

ぽて。っと、ちっちゃくなった御婢子狐が地面に落ちるカット。かわいい。頭に小さい髑髏。

 

すっとこちらを見るカット。戸惑いの表情。

 

が、バシュウウウ!といつもの霊力匣転送音&エフェクトで消える。

 

バシュン!と画面揺れでカット切り替え。火の粉が残って消えるカット。

 

アイリス:……

 

戦闘パート再開。

 

カンナ:雑魚怪異がいなくなったぞ……!!

レニ:御婢子狐を倒したからだ……!

大神:もうすぐだ!! いくぞ!!

 

少し進むと……

 

第三ボス!!『大怪異・是害坊』是害坊、初の大怪異化!!

 

ドオオオオオオオン!と是害坊が落着。以下、通常状態の是害坊は普段の立ち絵とは違うカットで、白目で我を失っている。

 

カンナ:……!!

是害坊:ヴォオオオオォォォォ……

 

バシン!!御婢子狐が残した髑髏が巨大化し、是害坊を噛む!変身!!

 

ドドン!!『大怪異・是害坊』

 

変身後の是害坊は、その真の姿ガルーダ!!

 

カンナ:……是害坊……!!

紅蘭:御婢子狐の髑髏……まだ残りが……!!

カンナ:……

カンナ:あいつはあたいに任せてくれ……

大神:カンナ……

カンナ:……

 

戦闘開始!!

 

ガールダとなった是害坊は神の域。翼を鋭い剣戟に変えて襲ってくる。回避が非常に困難。ストレートに強いボス敵だが、カンナは攻撃にボーナスがかかっているので、カンナを中心に戦うことが大事。

 

是害坊撃破!!

 

バシーーーーーーーーーーン!! だが、是害坊はまだ健在。バシュー!と地面を擦って、改めて花組とドン!と対峙!!

 

カンナ:無駄だ……!!

カンナ:今のあんたは……あたいには勝てねえ!!

是害坊:ヴォオオォォォォォ……

カンナ:……

カンナ:どうすればあんたを倒せるか……

カンナ:ここんとこ、そのことばっかり考えてた。

是害坊:……

カンナ:でもよ……

カンナ:やっとわかったよ……あんた……

 

カット表示。是害坊が迦具土を守るカット。

 

カンナ:……あいつを守ってたんだな……

是害坊:オオオォォォォォォ……

カンナ:……だったらあたいが勝てるわきゃねえさ……

是害坊:……ォォォ……

 

是害坊の虚ろな眼。

 

カンナ:だがよ……それなら今は……!

 

ドン!!カンナ踏み込み!最秘奥・公相君砕破!!

 

カンナ機が是害坊を攻撃!インパクトの瞬間に……

 

ドーーン!!という音と共にパッとカット表示。カンナ機のショルダータックルを手のひらでいなす是害坊。

 

カンナ:でやあああああ!!

 

パッとカット表示。花組集合写真。一瞬表示してすぐに元に戻す。

 

カンナ:いくらあんたが強かろうがっ!!

 

くるっと一回転するカンナ機体。

 

カンナ:どんだけ強化されようがっ!!

 

パッとカット表示。花組集合写真。一瞬表示してすぐに元に戻す。

 

ドーーン!!と音と共にパッとカット表示。裏拳状態の腕が是害坊に迫っている。インパクトの瞬間なので、激しくウィグルする。

 

カンナ:たとえ神様だろうがよっ!!!!

 

パッとカット表示。花組集合写真。一瞬表示してすぐに元に戻す。

 

カンナ:あたいが……

カンナ:負けるわきゃねえんだよぉぉ!!

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!とひときわ派手な音とともに、吹っ飛ぶ是害坊。

 

カンナ:公相君……砕破!!

カンナ:天狗殺し!!

 

バシュウウウウウウウウウウ!!!と輪郭線が緑色の強力な光(それぞれ百鬼連のボスは対応した色になる)が発し、シルエットで是害坊が蒸発するようなカット。フェードでちみっちゃいシルエットが残る。

 

ぽて。っと、是害坊の場合は三つ目のカラス。羽を広げて力無い。

 

が、バシュウウウ!といつもの霊力匣転送音&エフェクトで消える。

 

バシュン!と画面揺れでカット切り替え。風の粒子……緑色の光の粒子でOK……が残って消えるカット。

 

カンナ:……(表情は悲しげではなく、キリッと)

 

バシッ!!とカンナ機、両手を胸の前でがっしり合わせ、頭を下げ、礼!

 

カンナ:……(表情は悲しげではなく、キリッと。感謝の念!)

 

大神:カンナ……

カンナ:あいつの……

カンナ:是害坊のおかげだ……

大神:?

カンナ:思い出したんだ。

カンナ:桐島流は捨て身の空手……

カンナ:でもそこまでするのは……なぜなのか……

 

フェードで花組全機を写す。

 

大神:カンナ……

カンナ:へへ……ワガママ言ってすまねえな。

大神:いいさ。(笑顔)

カンナ:ありがとよ……隊長。

 

一瞬の間を置いて……

 

バッ!!という音と共にカット表示。大神機ナメのカット。向こうには帝劇が見えてきた……!桜吹雪の帝劇!

 

大神:よし……行くぞ……!

 

戦闘パート終了!!暗転。あるいはアイキャッチなどで一息。

 

☆☆☆☆☆☆

 

バタン!と強い扉を開く音。いきなり緊迫感絶頂の音楽。

 

カッカッカッカ!!と激しい靴音。疾走する花組、大神たちの脚。

 

キュロロロロ……など、何でもいいので妖怪の鳴き声とともにフェードで画像変更。帝劇ロビー。花組一同が乗り込んできている。武装しているものは抜刀などして、戦闘態勢。周りには妖怪たちがうろついている。

 

大神:いかん……! 帝劇内にまで……!

 

パッと暗転&シャーン!シャーン!という音ともに砒霜エフェクト。フェードで暗転が晴れると、すみれの姿。砒霜を振り撒いた直後で、バッ!と右腕を広げている。左腕は砒霜を入れた箱。脚はまっすぐ伸ばし、軽くクロスしているような格好。

 

画像はちょっと縦長の画像で、すみれの上で妖怪変化がキョワーとか弱そうな音を立てて透明度が薄れながらふよよーっと散っていく様子を描写。それが終わるか終わらないかぐらいのタイミングでカメラを下に動かし、さっとすみれの様子を中心に置く。

 

すみれ:中尉! 妖怪たちはわたくしが追い払います!

すみれ:先をお急ぎに!

大神:わかった。任せたぞ、すみれくん!

 

ガシュウウウーン!という扉の開閉音。作戦司令室。

 

椿:大神さん! 皆さん!

大神:大丈夫かい、椿ちゃん!?

椿:はい! みんな無事です! 夢組の皆さんが、地下に結界を張ってくれて……!

カンナ:椿、すまねぇ、かえでさんを頼む。

大神:降魔の術にやられて憔悴している……至急、医療ポッドに。

椿:わかりました! カンナさん、ひとまずここに……!

カンナ:よし……

 

ファサ……という音とともにフェードで画像切り替え。ひとまずの寝台に寝かされたかえで。傷ついている。

 

かえで:大神……司令……!

大神:かえでさん、喋らないでください、今は……

かえで:私が……稗田先生の……稗田の思惑に……気づいていれば……

大神:妖怪たちでさえ、利用されていたんです……かえでさんのせいでは……

かえで:大神くん……

大神:かえでさん、もう……

かえで:紅蘭を……

大神:……?

かえで:稗田……彼は……紅蘭のことを、気にしていたわ……

大神:紅蘭を……?

かえで:確かにあの子は……次元を超える……発明をした……

かえで:でも……それだけじゃ……

かえで:それだけじゃない……そんな気がするの……

大神:……

かえで:だから……お願い……

かえで:紅蘭を守って……大神くん……!

大神:……はい。必ず。

 

一瞬のウェイトの後……

 

紅蘭:大神はん!

 

フェードで通常画面に。

 

紅蘭:舞台裏に。

大神:ああ。

 

フェードで暗転。

 

パッとカット表示。舞台裏、薄明かりに照らされた『イルミくん』。この辺はBGM無音で。

 

ガシュウィーーーン……と起動音。イルミくんのモノアイなど、各部に明かりが灯る。

 

紅蘭:……

紅蘭:要はアイリスの妖怪ジャンポールと、同じ仕組みや。

紅蘭:巨大な幻影を半実体化して、ウチらの霊力を載せて、戦う。

大神:まさかイルミくんが……俺たちの切り札になるとはな……(微笑み顔。和まそうとしている)

紅蘭:最後の、な……(苦渋の表情)

大神:……

紅蘭:下手したら帝都を吹き飛ばしかねんほどの勢いの蒸気を、上手く制御して……

紅蘭:ウチらの霊力を全部束にして、その出力とアンサンブルが安定して……

紅蘭:次元観測機が、不安定になった今の帝都の状況に一切悪影響を受けへんかったら……

紅蘭:上手く行くはず。……楽勝やで。

大神:……

 

ファサ……という音とともにフェードでカット切り替え。肩を落とし、イルミくんに手を添えた紅蘭。紅蘭の斜め後ろに立つ大神からの視点で、紅蘭の表情は見えない。メガネの縁が少しだけ見えている……ぐらいの角度。

 

紅蘭:……

紅蘭:この夏……

 

一瞬の間のち……

 

紅蘭:この夏、帝都中で、蒸気のことが一気に盛り上がったんは……

紅蘭:偶然やないのかもしらん……

大神:……

紅蘭:蒸気の時代が……終わるんやろか……

大神:……

大神:……必ず、上手く行くさ。

 

フェードでやや振り返る紅蘭。依然表情は見えないが、ちょっとだけ横顔が覗く。

 

紅蘭:イルミくんを、日比谷のボイラーに。

 

フェードで暗転後、パッとカット表示。大型キネマトロンモニターに映った人型のスキャン結果。マリアの状態を示している。全体にグリーンに発光しており、問題ないっぽいことが示される。フオオン……みたいなキネマトロンサウンドを。

 

レニ:ひとまず、かえでも無事だった。それに……

レニ:見たところ、マリアにも特に異常はない……

 

ファサッ……という音とともにカット切り替え。上体を起き上がらせたマリア。頭が上手、足が下手。戦闘服のまま、簡易な布を掛けられており、布の端を腹の辺りで右手で持ち、左手で上体を支えている。

 

レニ:今のところは大丈夫だとは思う。

椿:よかった……

マリア:……

レニ:ただ、もちろん……

 

(第11話冒頭の再生)

ドシャアアアアアアア!と激しい音と画面フラッシュと共に、一瞬のウィグルを伴ってカット切り替え。マリアの上体から凄まじい奔流となって触手が吹き出た時のカットを表示して、パッとカット切り替え。同時に効果音もパッっとぶつ切りにする。

 

元に戻すようにカットを切り替えると、もう少しマリアに寄ったカットに。より表情に注目するような形のクローズアップ。

 

マリア:……

 

ファサッ……という衣擦れの音ともに、フェードで暗転。

 

椿:マリアさん?

 

トット……と、一階から二階への階段を上がる音。

 

椿:マリアさん……!

マリア:……

 

(ここも第11話冒頭の再生)

ギュオオオオオン!マリアが光武から降ろされ、触手に絡め取られ、高く持ち上げられる。

 

マリア:ああああぁぁぁ!!

氏綱:タチバナ。時の巫女よ……其方の力を借りてな……!

 

トットット……っという足音とともにフェードで画像切り替え。戦闘服のまま廊下を進むマリア。先を見つめている。同じく戦闘服の椿、心配そうにマリアの顔を覗き込もうとしている。

 

椿:大丈夫ですか、マリアさん?

 

トットット……っという足音とともにフェードで暗転。

 

フェードで画像表示。二階、サロン。サロン側に設置したカメラから、廊下を望むカット。手前にあるティーカップナメで、遠くにいるマリアを写す。最初はマリアにピントが合っているが……

 

マリア:……

 

フッとティーカップにピントのフォーカスを変える。一定時間表示した後……

 

ガシュウウウウウウウン!という人型蒸機の駆動音とともに、パッと暗転。

 

ギュウィーーン……という音ともに、ウィグルを伴ってパッとカット表示。ウィィィパタパタパタ……と、キャタピラの音が響く。イルミくんがキャラピラで移動している。

 

フェードでカット切り替え。ガシュウウウウウウウン……と停止音。花組の光武全機の中心に、イルミくんがいる構図のショット。決めカット。紅蘭がイルミくんのすぐ後ろにいるような体制。大神機とさくら機が横並びダブルで先頭。イルミくんを中心にした構図を強調することが大事。

 

大神:目標は日比谷ボイラー、目の前だ……!

大神:行けるか、紅蘭?

 

紅蘭機コックピット。左腕だけマニュピレーターから抜いて、イルミくん専用のジョイスティック風リモコンを動かしている。

 

紅蘭:うん……! 日比谷のボイラーに蒸気を集中して、全開にする……!

紅蘭:上手く行ったらイルミくんの出番や……!

 

フェードでカット切り替え。通常戦闘マップ。

 

☆☆☆戦闘パート開始:文月:原野・武蔵野/銀座大通り☆☆☆

 

すみれ:わたくしが道をならしますわ……!

大神:頼んだ、すみれくん……!

 

ドドドドーーーーーーン!と花火のような音。

 

織姫:? なんの音ですか?

さくら:花火みたいな……

 

ドドドドーーーーーーン!と花火のような音とともにフェードでカット切り替え。遠くで巨大に屹立するヨミから、肉塊のようなものが多数放出されている。

 

マリア:あれは……!

カンナ:おいおい……こっちに突っ込んでくるぞ……!!

 

ドドドドーーーーーーーン!!と激しい激突音とともに、画面ウィグルを伴って、戦闘マップにフェードで切り替え。

 

ゴール地点である日比谷公園付随のボイラー施設に、ドドーーーン!と『降魔傀』が降ってくる。グモモモモモモ……と触手というか、脚というか、口吻の付いた管というか、いかにもクトゥルフ的な怪物が触手を広げる。

 

スッと花組の近くにカメラを移動させる。

 

アイリス:うぅ……

織姫:ヤバみな感じでーす……

カンナ:……そうすんなりとはいかねえか……

大神:みんな、イルミくんが俺たちの切り札だ。

大神:なんとしても守り抜くぞ……!!

全員(顔アイコン代表:さくら):了解!!

 

☆☆☆戦闘パート開始:文月:原野・武蔵野/銀座大通り☆☆☆

 

第11話最後の戦闘パート開始! やはり本当の実質最終面はここ!敗北条件:イルミくんの撃破。

 

ここでは怪異ではなく『降魔傀:ヒルコ』が襲ってくる。降魔であるため、さくらの破邪の血統が効果を発揮する!妖怪たちとは段違いの強力な力!具体的には防御力と攻撃力!なんとかさくらを起点に一掃を狙いたい!

 

カンナ:こいつら……降魔なんだよな!?

レニ:なのに攻撃を無効化するだなんて……!

アイリス:妖怪さんといっしょだ……!

織姫:そんなのズルいでーすね!

紅蘭:おそらく帝都そのものが異界化し始めとる影響や……!

紅蘭:せやけど、ちゅうことは……

大神:レジオトロンによる攻撃は有効だ……!

すみれ:砒霜もですわね……!

大神:戦い方は怪異と変わらない!

大神:この戦いに帝都に命運がかかってる! いくぞみんな!

全員(顔アイコン代表:さくら):了解!!

 

さくらの攻撃がヒット!でええええい!

 

ヒルコ:ギェェェエェェェ!!

カンナ:さくらの攻撃が効いてんぞ!!

さくら:いきます!!

 

ギュオーーーン!と場合によってはさくらのブロックは並べられやすくする。サービス。

 

日比谷ボイラー(日比谷公園)の近くに来ると……

 

ドドドドン!!といつもの調子でボス表示!『降魔傀・ヒルコ』

 

降魔傀・ヒルコ:ギエエエエエエエエエエ!!

 

レニ:あの降魔の塊を排除しないと……!

大神:一点突破だ!行くぞ!

 

降魔傀・ヒルコは強敵……!なるだけ嫌悪感を催しそうな攻撃方法を使ってくる……宇宙的な、異星人の黒魔術師のような感じ。身体中のいたるところに牙があり、多数の口が開いて、自分の身体に噛み付くと、なぜかこちらが噛まれたかのようにダメージを受ける、など。エキセントリック&サイケデリックな攻撃を仕掛けてくる。口を開くと中に目玉があったりする。

 

降魔傀・ヒルコ、撃破!!

 

バシュウウウウウウ!!ギュピギュピピーン!と降魔は蒸発プラス観測盤の次元転送っぽいエフェクトで消えていく。

 

フェードで暗転したのち……パパパッと降魔傀の落着三連続。武蔵野の桜吹雪も舞う!

 

ドーーーーーン!という音とともにパッと画像表示。上野の西郷さん像の前に落下する降魔傀。落着の勢いで破片が散っている。

 

ドーーーーーン!という音とともにパッと画像表示。花やしきに落下する降魔傀。落着の勢いで破片が散っている。

 

ドーーーーーン!という音とともにパッと画像表示。増上寺に落下する降魔傀。落着の勢いで破片が散っている。

 

フェードで戦闘マップに戻す。ドーーーーーン!ドーーーーーーン!とまるで花火のような音が響き続けている。

 

マリア:あんな物が帝都中に降っているだなんて……!

カンナ:何とかしねえと……!

織姫:鬼ヤバイでーす……!

大神:急ぐぞ、紅蘭!

紅蘭:了解……!

 

フェードで暗転。戦闘モード終了。

 

ここから先、蒸気関連描写。

 

バシューーーーー!!バシューーーーー!!バシューーーーー!!と蒸気音と共に配管類を提示し、パパッと必要な情報を説明する。

 

ゴオオオオオオオオオ……!バシューーーーー!!とまずボイラー本体を描写。ここだけ蒸気音だけでなく、ゴオオオオオオオオオオと地鳴りのような巨大ボイラーの音を強調して入れる。一瞬だが大事。これがあることによって、ちゃんとボイラーを炊いてる感が出るので、注意して音を入れる。また、ボイラーの中身の火が、わかりやすく見えるようにデザインし、描写する。ぱっと見で赤色やオレンジ色、炎の色が目立つようにするのが大事。ボイラー本体は『サクラ大戦4』のミカサボイラーを参考に。ただ、ミカサボイラーのように流用したものではない、正規のボイラーだということがパッと見でわかるデザインに調整すること。

 

バシューーーーー!!と次は入り組んだ配管を描写。サクラ世界のパイプは無味乾燥な灰色ではなく、真鍮のような色の方がスチームパンクロマンが出るので、色味に気をつけること。ミカサボイラーは灰色や銀色貴重だったような気がするけれども……真鍮色や茶系統の暖色系を基調にするのが良いと思います。劇場版の描写なども考慮して、ここは全体の色味やデザインバランスに細心の注意をすること。蒸気関連の描写も間違いなくサクラ大戦の立派なキャラクターの一部。機械関連の描写をおざなりにしないように。蒸気はキャラクターそのものです。

 

バシューーーーー!!ともう一つ違う場所、より地上に近い場所の配管。

 

ゴオオオオオ……と次は遠くでボイラーが稼働しているかのような、静かに響く音と共に屋外の状態を描写。地上にたくさんのスリットが入った蒸気の噴出孔がある。この時点ではスリットは全て閉じている。

 

ガシャン!!プシーーーー……と全てのスリットが展開!本来排気口であるところのスリットから蒸気を外へ噴出させる。

 

ギョウィーーーーーーン……!と重々しい音を立てて圧力メーターを表示。円形のメーターで、右側に行くほど赤い表示になるもの。この後メーターの度合いに応じて表示が変わって行く。平板に真正面から捉えた絵では迫力が出ないので、クッ!と斜め上の急角度から見下ろすようなアングルで捉えた、ちょっと凝った絵にする。地表に漂う蒸気も同時にカメラに収められるようにすると、よりメーターの表示内容に納得がいくので、メーターをメインに据えながら、周りの様子もわかるようなレイアウトにすること。

 

この先、続けて先ほどと同じように今度はイルミくんのセットの様子をパパッと見せておく。

 

バシュー!バシュー!カチッ!カチッ!カチッ!ヴォーーン!と画面の照り返しを受けた紅蘭!……という順番とテンポで贅沢にサササッと見せる。紅蘭の熟達した手際を表現する演出ともなるので、テンポを落とさないように要注意!

 

以下、バシュー!バシュー!カチッ!カチッ!カチッ!ヴォーーン!の中身の説明。まずは……

 

バシュー!と、イルミくんにケーブルを接続した瞬間の様子。イルミくんはケーブルでボイラー設備と接続される。まずは一箇所、バックパックのどこか。そのケーブル・接続端子のデザインは、花組の光武搭乗中、戦闘服と光武を繋いでいるケーブルと同じ見た目のもの。接続された瞬間のため、蒸気がバシュー!と吹き出ている。ちなみに、あれは蒸気ではなく霊子系のケーブルでは?というツッコミは無用。似てても良い。イルミくんは実際かなりのところ霊子力が絡んでいる。

 

バシュー!と、イルミくんにケーブルを接続した瞬間の様子を、続けてもう一箇所。今度は肩部などが良いか。要は、ちょっとイルミくんの顔の一部を見せるのが目的。

 

カチッ!っと紅蘭の手が何かバックパックの装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。この先全く違う構図の、しかし紅蘭が手慣れた様子でペチペチ!っとスイッチを入れて行く様子を三連続。

 

カチッ!っと紅蘭の手が何か装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。二箇所目。

 

カチッ!っと紅蘭の手が何か装置のレバー式スイッチをオンの状態にする。三箇所目。

 

キュオーン……ヴォーーン!と、キネマトロンディスプレイの照り返しを受けた紅蘭。カチカチと何やら操作している。やや横顔気味。首の向きや目線は、胴の向きや手元からは離れているのがポイント。複数作業を同時進行していることが一発でわかるスタイルに。両手も離れており、別々の場所を操作している。

 

小さい音でパシュー!と蒸気音をさせながら、イルミくんの自動手動切り替えスイッチを今一度見せる。第5話で初登場したもの。ここだけ、ちょっと一泊長い“間”で見せること。次々見せていた先ほどまでのカットとテンポを変えて、ちょっとウェイトを置く。そして……

 

ガシュウィィィィィィィン!!バシュウウウウウウ!!とイルミくんを接続!日比谷ボイラーの中庭にセットされたイルミくんを、正面、やや上から捉える。サクラ大戦2の藤島イメージカットにオマージュを捧げた構図で。ただしさくらではなくイルミくんからはケーブルが伸びており、大量のケーブルでボイラー設備と接続されている。繰り返すが、そのケーブル・接続端子のデザインは、花組の光武搭乗中、戦闘服と光武を繋いでいるケーブルと同じ見た目のものにすること。このカットはイルミくんにグッと寄った状態から、サッと引くように表示。その後ジワズームアウトしながら、しばらく表示して、一連の準備モンタージュの締めと映るように演出すること。

 

で、締めが終わった~!おお~!イルミくん勇ましい~!……みたいになったタイミングで……

 

カシャッ!チャラララ……というダイスを振る音そのまんまの音と共に、さらなるモンタージュに移行。紅蘭の右手と、サイコロのように振り出された四つの霊力匣。一瞬表示した後……

 

フッとフェードで画像切り替え。霊力匣をクローズアップ。霊力匣の中に浮かんでいるキューブ、正六面体がゆらゆらしている様が見える。

 

紅蘭:……

紅蘭:霊力匣は正八面体……

紅蘭:土。貨幣。ペンタクル。

紅蘭:氏綱も同じように……

 

バシュウウーーー!という音とともに一旦画面が暗転し、直後に光が差し込むようにボウ……っと通常のゲーム盤が見えてくる。銀のレジオトロン。

 

フッとフェードで暗転&暗転開けをすると、画面上側から紅蘭の手が出現している。紅蘭の手は盤面の枠にあしらわれた多面体を外そうとしている。最初は右下の朱雀、正四面体。カシャ……と音を出し、外したというのが伝わるようにしながら……

 

フェードで正四面体を消すと同時に、紅蘭の手もフェードで次のバージョンに変更。今度は右上の玄武、正十二面体を取ろうとしているバージョン。最初に取り上げた正四面体は薬指と中指とで保持したまま。再びカシャ……と音を出し、外したというのが伝わるようにしながら……

 

フェードで正十二面体を消すと同時に、紅蘭の手もフェードで次のバージョンに変更。今度は左上の白虎、正八面体を取ろうとしているバージョン。最初に取り上げた正四面体と正十二面体は中指と薬指と小指とで保持したまま。再びカシャ……と音を出し、外したというのが伝わるようにしながら……

 

暗転。

 

大神:紅蘭……それは?

 

カシャ……という音ともに、フェードで画像表示。イルミくんのバックパックの中央に、金のレジオトロンが設えてある。そこに紅蘭の手が添えられており、今まさに盤面の多面体がはめ込まれたところ。

 

一泊おいて、紅蘭の手をフェードアウトさせて……

 

大神:金のレオジオトロン?

紅蘭:せや。霊力匣以外の多面体を、こっちに移植した。

紅蘭:まあつまり……受信機やな。

紅蘭:大神はんの、銀のレジオトロンが送信機やとしたら、こっちは受信機。

 

パッとカット切り替え。手動自動変更レバー。

 

紅蘭:そんで、最後にウチが霊力のバランスを調整して、イルミくんを起動する。

紅蘭:イルミくんが映し出す像を……半実体化する。

大神:それじゃあ……準備はいいのか?

紅蘭:イルミくん周りはオーケー。……あとは仕上げをご覧じろや……

アイリス:紅蘭!

 

とっとっと、と駆け足の音とともに、スッとフェードで画像切り替え。ジャンポールの画像。アイリス手渡し。

 

アイリス:はい!

紅蘭:え……?

アイリス:……いるでしょ?

紅蘭:……?

アイリス:ジャンポールがすっごく大きくなるんだよね?

紅蘭:……

大神:イルミくんの中に入れたものが、投影される仕組みなんだろ?

紅蘭:いや……ジャンポール……でもええけど……

紅蘭:この子が無茶苦茶巨大になっても、操りづらいし、ちょっと戦いづらいやろ……

紅蘭:さすがにカッコつかへんしな……

アイリス:そうなの?(驚き)

大神:そうなのか?(真顔)

紅蘭:……(面くらい顔)

大神:紅蘭、大事なのは戦えるかどうかだ。見た目にこだわってる場合じゃ……

紅蘭:せやのうて……

紅蘭:ちゃんと戦える子がおるやろ?

大神:?

紅蘭:ほら。

 

スッとフェードで画像切り替え。紅蘭の手の上に載ったオシロ製菓のおまけの光武。

 

ゴゴゴ……と遠くで響く謎の不気味音……触手が蠢く音か?を鳴り響かせながらフェードで画像切り替え。帝都の状況をものすごく引きで捉えた鳥瞰カメラ。球体であるはずの地球が反対側に反り返ってしまったかのように、本州が坂道となり、帝都は底の盆地と沈んでいる。その帝都はピンク色に光り、巨大な樹がそびえ立つ。ここは諸星大二郎を意識して。

 

パッとカット切り替え。氏綱の顔。

 

氏綱:いよいよ帝都全土が異界と化す……

氏綱:我等の……

 

パッとカット切り替え。原始降魔ヨミの全体像。

 

氏綱:トコヨノクニ……

 

ドドドドドーーーーーーーン!!と今までにないほどに降魔傀が放出される。音自体は遠い。

 

バババーーーーン!!とこちらはシャレにならない破壊音&ドカッ!!と激しいウィグルを伴ってカット切り替え。逃げ惑う人々の図。同時に人々の悲鳴も入れること。建物を壊しながらアパートメントに取り付いた降魔傀と、そこから逃げ出した住人たち。(とはいえ、とにかく死人が出てるっぽくしたくないので、建物の壊れ具合は加減して)カメラはグッと低い位置に持って来て、降魔傀の脅威を煽ること!特撮!アパートメントは上野の同潤会アパートメント等、当時のものを参考に。逃げ惑う人々の一番手前、目立つ位置には、母子連れがいる。第6話でオシロ製菓のお菓子を買う買わないの問答をしていた母と息子。

 

カタッ!という靴音とともにカット切り替え。一気に走ったせいで息の上がった息子が立ち止まり、手を引く母親が子供の様子を伺っている。余裕のない表情。

 

子供:はあ……はあ……

母親:ほら……! 上野の広場までもうすぐだから!

子供:うん……!

 

カタッ!という靴音とともに暗転。直後にキュキュキュオーーーン!といつものゲーム盤の霊力匣転送音の、激しいバージョンの音がする。

 

パッとカット表示。先ほどの母親の顔のアップ。カット表示すると同時に、セリフウィンドウなしで、母親の「(はっ!)」と息を呑むような声なき声を再生する。やや煽り視点のカメラ。母親の視点はやや上向きに、まっすぐ遠くを眺めている。周囲の状況に混乱の極み!

 

子供:お母さん……!

 

パッとカット切り替え。日比谷公園の前に呆然と立ちすくむ母子の背中。引きのパノラマカメラ。ポツネンと小さく母子が立っている。

 

母親:そんな……!

母親:日比谷……!?

母親:今……上野だったのに……

 

バシュウウウウウウウウウウウ!!!これまでで最強の蒸気噴出音!!とともに、ウィグルを伴ってカット切り替え。蒸気でうっすら白くなった空気の中、突風にやや吹き飛ばされそうになっている母子。二人とも思わず手を顔の前にかざしているが、手は繋いだまま。

 

パッとカット切り替え。先ほどと全く同じ画角の日比谷公園パノラマカメラ。しかし今度は圧倒的勢いで噴出する蒸気の柱が出現している。引き続きバシュウウウウウウウウウウウ……という蒸気噴出音。

 

母親:蒸気……!?

 

バシュウウウウウウウウウウウ!!!とパッとカット切り替え。スリットが展開した排気口から大量の蒸気が噴出している!

 

プシー!フオォン……というキネマトロン音とともにフッとフェードでカット切り替え。キネマトロンモニター画面。過去にあったレベルのコンピュータ線画…的なもので、帝都七大ボイラーがパイプラインで接続されていることを説明する図を描画。ミカサボイラーは一基で帝都全域の蒸気を担っていたとの設定なので、その時に整備された蒸気パイプラインが存在するはず。そこに接続する形で帝都七第ボイラーが全て繋がっている。パイプラインは網の目状に張り巡らされているが、細かいものは緑で表示。中でも特に日比谷ボイラーを中心として、他の六ヶ所のボイラーと繋がっている太いラインを赤表示にして、目立たせる。

 

紅蘭:今や帝都七大ボイラーは一つの大釜や……!

紅蘭:全部のボイラーを総動員して、日比谷に蒸気の塊を出現させる!

 

ドドドドーーーーーーン!!と、遠くで、しかし大きく響く巨大な音とともに、若干のウィグルを伴ってパッとカット切り替え。若干のウィグル……というのは、カメラが震源地よりもだいぶ遠いから。リアルな揺れに。遠景を収めるパノラマカメラで原始降魔ヨミと蒸気柱を臨むカット。構図的にヨミは上手寄り。下手寄り、手前に蒸気柱。ヨミと双璧をなすかのような巨大さ!

 

フェードでカット切り替え。ヨミ本体から突き出た氏綱の顔面を上手側から捉えた画像。怪訝そうな表情。周辺には降魔の頭や口が生えている。

 

氏綱:……!?

 

カシャ!という音とともにカット切り替え。転がる四個の霊力匣のそれぞれに何となく軽く指を添える紅蘭の手。

 

紅蘭:そして大神はんが観測盤を揃えることで……

 

プシー!と蒸気音とともにパッとカット切り替え。イルミくんのバックパックから張り出している各種レバーに、紅蘭が手を置き、スタンバイ状態になっているカット。画面奥側がイルミくん。その背中に向かうような形の紅蘭。紅蘭はイルミくんの方を向いているので、画面には後頭部が写っている。やや頭上あたりからなら状況がわかるような絵にできるかも。最初は紅蘭の手元が見えていないが、上方向にジワパンするすることで、見えてくる、という形。

 

紅蘭:ウチら全員の霊力をイルミくんに注ぎ込む……!

 

ゴオオオオオオオ……!と蒸気音が鳴り響く中、再びイルミくんの決めカット。しばし表示したのち……

 

パッとカット切り替え。左向きの紅蘭の横顔。緊張と不安を無理やりねじ伏せようとしている(が、失敗している)ような、神妙な表情。ここではスッと周囲の環境音を静かに。(しかし遠くで鳴るような調子で蒸気音が鳴っている。紅蘭の精神の集中を表現する)静的なシーン。しばらく表示した後……

 

パッとカット切り替え。手動自動切り替えレバー。一瞬後、フェードで暗転し……

 

バッ!とフェードで画像表示。手動自動切り替えレバーの上に紅蘭の手と腕を出現させ、スタンバイさせる。

 

紅蘭:大神はん、観測盤を!

 

ガシャ!という霊力匣をセットする音とともに暗転!直後、キュウオオオオオオオオ!!と急にゲームスタート!あと少しで多数の列が揃うような調子に霊力匣が並んでいる。が、多少工夫する必要のある配置。この時の戦闘画面は日比谷ボイラー、イルミくんを中心に。先ほど紅蘭の手で取り除かれたため、盤面の枠の部分からは多面体が無くなっているが、ぼんやり風、火、水の色に光っており、何かどこかと繋がっているようなイメージ。

 

ドン!と戦闘画面に降魔傀が出現!

 

氏綱:無駄な足掻きを……

 

一方的攻撃!花組は移動できないため、急ぎ霊力匣を揃える必要がある。

 

カンナ:また来やがった……!

大神:耐えてくれみんな! これさえ揃えば……!

 

プレイヤーの手でコンボ!霊力匣が揃う!

 

大神:出来た!!

 

キュウオオオオオオオオ!!と盤面と枠の光が強くなりそのままフラッシュ!ホワイトアウト!

 

バシュウウウウウ!という衝撃音と共にカット切り替え。降魔傀が光に吹き飛ぶ。

 

氏綱:!?

 

コオオオオオオオオ!という音とともにカット切り替え。円陣を組んだ花組の光武がオーラを放ち光り輝く!!

 

大神:紅蘭!!

 

バッ!とホワイトフェードで画像切り替え。イルミくんのバックパックに設置された金の観測盤。

 

キュワーーーーーーーーン!と枠部分の多面体が高速回転し、光り輝き、霊力匣が存在しないはずの盤面(通常のものと同様にそこには五芒星、ペンタクルが描かれている)に幻の霊力匣が出現し、オーラを放つ。

 

紅蘭:よし……!

 

フェードでカット切り替え。手動自動切り替えレバー。紅蘭の手が添えてある。

 

紅蘭:……

 

フェードアウト。

 

パッとカット表示。&無音。紅蘭の背後にクダンが出現しているカット。左側から捉えた図。下手側が紅蘭、上手側がクダン。紅蘭、レバーに手をかけたまま、視線もそのまま、背後にいるとおぼしきクダンの方は振り返っていない。ただし表情はクダンの存在を察知しているかのように緊張状態。虹彩のない瞳で、固まってしまったかのよう。冷や汗が一筋。

 

クダン:蒸気が、お前の、破滅を呼ぶ。

クダン:そしてお前は……

 

一拍置いて……

 

三秒ぐらいのうちにトン……トントントントンぐらいのリズムでパパパッと回想的なカットのモンタージュ。

 

①第5話、記者会見のシーン。紅蘭が答えているカット。

②第5話、舞台が爆散したシーン。

③第5話、紅蘭が爆発を見つめるシーン。

④第6話、幼い紅蘭、家族を亡くした時の、火災の記憶シーン。

⑤第6話、紅蘭の家族のシーン。

⑥第1話、紅蘭と父の影絵のシーン。

⑦第6話、幼い紅蘭、家族を亡くした時の、火災の記憶シーン。今度はもっとアップ!

⑧第9話、青木清司の荒ぶる霊魂のシーン。

⑨第6話、青木保治郎に責められるシーン。

⑩第6話、駄菓子売り場で目を輝かせる子供越しに、紅蘭と大神。のシーン。

⑪第6話、カタッという音とともに、ぞんざいに戻されたオシロ製菓のキャラメル。のシーン。

 

終了。元に戻る……と、クダンの姿だけが消えている。

 

コオオオオオオオオ!という音とともにカット切り替え。円陣を組んだ花組の光武がオーラを放ち光り輝く!!

 

大神:紅蘭!!

 

キュオオオオオオオオオオオオオ!!と異常な観測盤系の音とともにカット切り替え。金の観測盤の光が暴走する!!

 

コオオオオオオオオ!という音とともにパッとカット切り替え。先ほどのカットと同じ構図で、今度はクダンがおらず、紅蘭が中心に来る切り取り方。レバーに手を置いた状態のまま、カッ!!と他の花組の光武と完全に同様の形式で発光する紅蘭。暴走した金の観測盤の光に火あぶりにされるように紅蘭が燃え上がる!!地面から天に向けてオーラによって風が立ったかのような調子で髪や戦闘服の端々が持ち上がっている。まさに一瞬、何が起きたかわからない…という調子で表情は若干の戸惑い&恐怖。

 

ザッ!という靴音とともにパッとカット切り替え。(オーラ音鳴り続けたまま)左肩越しに後ろを振り返った紅蘭。花組の方を見ている。依然オーラに髪や戦闘服の端々が持ち上がっていてドラマチック。

 

紅蘭:おぉ……あぁ……!!

大神:紅蘭……どうした!?

紅蘭:みんな……

 

パッとカット切り替え。レバーに掛けられた紅蘭の右手のカット。オーラに包まれて発光した手が、バシュウウウウウウウウウウ!!と音を立てて分解していく!霊力匣の転送エフェクトのむちゃくちゃ細かい版みたいな感じで塵になっていく。

 

紅蘭:!!

 

スッとフェードでカット切り替え。塵になり崩壊していく右手を驚愕の面持ちで見る紅蘭のカット。左手で右腕を必死に抑えるようにしている。メッセージウィンドウなしで「!!」と、恐怖と戸惑いと驚愕の声色を入れる。

 

紅蘭:ああ……

 

パッとカット切り替え。もう一度左肩越しに後ろを振り返った紅蘭のカット。しかし今度は事態を理解したが為に、悲痛極まる表情。半分泣き顔。必死に大神に助けを求めている!背後……というか、体勢的に死角になっている右肩からは粒子が散っており、紅蘭の身体が塵になって崩壊してゆきつつある状況がありありと解る。

 

紅蘭:お……

 

バシュウウウウウウウウウウウ!!!とひときわ激しいフラッシュでカット切り替え。構図と態勢はほぼ変わっていないが、紅蘭の表情が崩れ、持ち上がったおさげのうち、右半分が消し飛んで、顔面も右上側の一部が崩壊している。紅蘭が叫び声を上げる!表情も叫び顔。メッセージウィンドウなしで「あああああああああ!!」と悲痛な叫び声を入れる。できればここはエフェクトでしっかり顔や身体を崩壊させていく。

 

ドオオオーーーーーーーーン!!!とこれは明確な激しい爆発音とともに、ひときわ激しいフラッシュでホワイトアウト。そしてそのまま、フェードでブラックアウト。

 

しばしの間を置いたのち……

 

コオオオォォォ……という風音とともに、パッとカット表示。ハッチが開き、爆風と衝撃で四肢を投げ出し(足はキャタピラなので、真横に倒れている)倒れたイルミくんをアップで捉えたカット。数瞬の間表示したのち……

 

パッとカット切り替え。引きのカメラ。画面左下側にイルミくん、少し離れた画面右上側に花組の光武。この後アイリスが右から左に向けて歩いていくので、それと方向を合わせたい。霊力関係のオーラは全て消え失せ、あたりは暗くなっている。ここだけは桜の花びらをなしで。イルミくんのそば、紅蘭がいた位置に爆発・爆風跡のような衝撃の跡が残っている。ここはモロに爆発事故の現場、物理的な爆発で消し飛んだかのような見た目にすることが大事。しばし表示したのち……

 

パッとカット切り替え。紅蘭のいた位置に残った爆発跡を中心に捉えたカット。爆発跡と、爆風で倒れたイルミくんの姿をクローズアップで表示。繰り返すが物理的な爆発で消し飛んだかのような見た目にする。紅蘭が消滅している。

 

しばらく表示する。しっかり間を取る。空恐ろしい風の音が響く……

 

パッとカット切り替え。大神コックピット。顔を大きくクローズアップ。目を大きく見開き、眉間に皺を寄せ、口がうっすらと開いた状態の、放心顔。冷や汗か脂汗か、何筋かの汗。カメラ目線ではなく先を見つめている。

 

しばらく表示する。しっかり間を取る。

 

パッとカット切り替え。アイリスコックピット。顔を大きくクローズアップ。恐怖と驚きと、何が起こったのかわからない……わかりたくない!という表情。大神からのアイリスでパッと印象を変えるため、アイリスの方が泣き出しそうな悲痛な顔をしている様に。カメラ目線ではなく先を見つめている。

 

しばらく表示する。しっかり間を取る。

 

バシューーーーー!!とコックピット解放音とともにパッと暗転。

 

パッとカット表示。と同時にザ……ザ……と重い靴音を再生。アイリスがとぼとぼと歩んでいる。左側から捉えたカメラ。上手から下手にむかってよろよろと歩いていく。両手を軽く前に出し、なんとか紅蘭を感じようとするかのように、あるいは、目が見えなくなって手探りでないと歩けないとでもいうように。よろよろと、漂い出てきた悲痛な様子を描写。

 

ザ……という重い靴音とともにカット切り替え。グッと地面すれすれからのカメラで、紅蘭の消えた場所に佇むアイリスの図。アイリスは画面奥を向いており、カメラに背を向けている。

 

アイリス:う……

 

バシューーーーー!!バシューーバシューーーーー!!と多数のコックピット解放音とともにフェードで暗転。

 

ザ……!という重い靴音とともにカット表示。地面に膝をつき、グッとアイリスの肩に手を回し、抱き寄せたカンナ。カメラに対しては奥側を向いているため、二人とも表情は見えない。

 

アイリス:……

 

ギュ……という衣擦れの音とともにフェードでカット切り替え。アイリスを抱き上げたカンナ。カメラに背を向けた状態のカンナの右肩にこちら側を向いたアイリスの表情が見える。カンナの肩越しに大神(カメラ)を見ている。何が起きたのか受け入れたくない!が、そうせざるを得ず、崩壊寸前の表情。

 

アイリス:お……

アイリス:お兄ちゃん……!

 

パッとカット切り替え。今度はアイリス側から見たカメラ。大神以下、他の花組隊員全員の状態を映し出す。全員光武からは降りて歩いてきている。以下、画面に近い順。大神は目を見開き、歯を食いしばり、なんとか次の状況を見出そうとしている。さくらは口を開き、泣き出しそうな顔。信じられない…という表情。レニは前髪で目が隠れているが口は開いている。織姫は右手で口元を抑え、左手で右手を支えている。もはや吐く寸前!のような、かなり気が動転している様子。すみれは口元が薄く開いており、所在無く握った拳をそのままに、両の手をまっすぐ下ろしている。マリアは遠く、表情が見えない。

 

カタ……という音とともにカット切り替え。膝をつき、紅蘭の爆発跡を無言で調べるレニ。やや上から、つまり立っている人間から見下ろした構図。前髪に隠れて表情が読めない。

 

パッとカット切り替え。織姫の表情を左側、斜め下から大きくクローズアップ。グッと右手で口元を覆っているが、驚愕に見開いた瞳から大粒の涙をこぼし続けている。ここで一番最初にはっきり涙を見せるのは織姫。何かシリアスなことがあったとき、織姫は一番動揺しやすいはず。いの一番に心を壊してボロボロさせるのがポイント。

 

パッとカット切り替え。マリアのクローズアップ。角度は織姫と同じ。前髪で上手く表情を隠す演出が定番のマリアだが、ここでは鬼の形相。キッと口を結び、先を睨む。怒り!憤怒!その怒りは自分に向けられたものであるが、すっかり紐育時代の冷酷な瞳に戻っている。

 

パッとカット切り替え。すみれのクローズアップ。角度は織姫と同じ。だが、こちらは軽く右側、カメラに対して反対側を向いており、表情が暗く影になっている。すみれは決して涙を見せない……!俯き、悲痛な様子。実際は泣いているので、落ち込んだ肩で泣きを表現すること。

 

パッとカット切り替え。さくらのクローズアップ。他と同じような角度の横顔。戸惑いの表情。さくらは全く今の時点では何が起こっているのか受け入れられていない。信じていない。なので涙を浮かべたりはしない。

 

さくら:……

さくら:……レニ……?

さくら:どうなの?

 

パッとカット切り替え。レニのクローズアップ。引き続き、現場を調べているレニ。他と同じような角度。だが俯き、前髪で表情は見えない。

 

ズ……という音とともにフェードでカット切り替え。レニの指先をクローズアップしたカット。紅蘭の爆発跡に残った煤を擦っている。

 

レニ:……

 

シュル……という衣擦れの音とともにフェードでカット切り替え。さくら(カメラ)の方を振り返ったレニ。前髪が晴れ、表情が見える。目に涙を浮かべている。

 

レニ:……

さくら:……そんな……

さくら:嘘よね……?

さくら:ね……?

 

カタっという靴音とともにフェードでカット切り替え。アイリスを抱き上げたカンナ。アイリスの顔は右肩側にある。左斜め後ろから捉えたカメラで、カンナは俯き、表情が影になって読めない。

 

パッとカット切り替え。そのままの角度でカンナに抱き上げられたアイリスの表情のクローズアップ。必然的に右側を向いている。とうとうポロポロと涙をこぼすアイリス。

 

アイリス:お兄ちゃん……

アイリス:紅蘭……

アイリス:紅蘭が……

 

パッと暗転。

 

アイリス:紅蘭……

アイリス:紅蘭……!!

アイリス:紅蘭!!(こうらああん!!ぐらいの調子)

 

しばし間を置く。無音。しっかりと間をとって……すわ、次回予告か……!? ぐらいのタイミングで……

 

ボーーー……遠くで汽笛の音が聞こえる……。なにこれ……音?という程度の小さい音。

 

ボーーー……遠くで汽笛の音が聞こえる……。もう一度汽笛。少し音が大きくなる。

 

ボーーー!という大きな汽笛の音。そしてトクトクトクトク……という船の疾る音とともに、パッとカット表示。波を切る客船の船首。少しだけ表示した後、パッと消す。

 

ぼや……と目を開いたような感じで、目の形にぼやけた景色が映る。ぼやー……と徐々に視界がひらけてきて、依然ピントは合わないものの、画面の全部が景色になる。ピンが合っていないが、こちらに背を向け、何かをしている(朝ごはんを用意している)何者か(紅蘭の母親)の姿が見える。

 

ボーーー……遠くで汽笛の音が聞こえる……。

 

スッと衣擦れの音とともにフェードでカット切り替え。紅蘭の右腕。カメラは紅蘭の視界になっている。自分の右腕をしばし見つめる。寝間着の袖が少し見える。視界はまだぼやけている。

 

香燕:あら……起きたみたいね。

 

フッとフェードでカット切り替え。紅蘭の母、香燕が紅蘭の方を振り返っている。

 

香燕:わ……! すごい寝癖……

 

トッという軽い靴音とともに、フェードで策杏が現れる。視界がぼやけているため、はっきりとは分からず、何か男が現れた、という感じ。

 

策杏:おはよ。あまり眠れなかったかな?

策杏:……ホントだ、すごいね……爆発してる……(軽く笑いながら)

香燕:ふふ……着替えてらっしゃい。

 

ボーーー……という外で響く汽笛の音ともに、フェードで暗転。

 

フェードでカット表示。鏡に映る自分の姿。手を目にやってこすっており、視界がぼやけている、が、フェードで差分切り替え。顔から手をどかすと、フー……っとピントが合う。長い髪を片方にやった紅蘭が映る。寝癖でボサボサ。確かに爆発したかのよう。微かにそばかすが少ない。表情は不思議そうな、でも何か少し高揚したかのような顔。やや頬が赤らみ、血色が良い。

 

紅蘭:……

 

一拍置いて……パッとカット切り替え。鏡台の横に置かれたヘアブラシ。少しの間表示して……フェードでカット切り替え。

 

切り替えと同時にトット……と軽い靴音とともに、お出かけスタイルになった紅蘭が階段から降りてきたカット。メガネはしておらず、髪の毛は片方に流してある。髪の長い時の李香蘭(山口淑子)をオマージュし、スタイルを参考に。ただし紅蘭にちゃんと似合う、可愛い髪型で。普段の紅蘭とは全く違う様子で、違った魅力を出すことが大事なので、可愛さ重視でデザインする。ただ、全体的に表情など、か弱そうになってはいる。箱入り娘のまま育ったため、強さがない。が、好奇心はある。先ほどのカットと同じく、表情はどこか不思議そうな、でも何か少し高揚したかのような表情。

 

紅蘭:……

 

キュイーン……ザザ……とラジオの音。

 

策杏:うん……電気はちゃんと来てるからね……

策杏:もうすぐ着くから、聴こえると思うんだけど……

 

キュイーン……ザザ……ラジオが音を拾う。古いラジオ放送の音質で花組の歌が途中から聞こえてくる。恋はやさし野辺の花よ。

 

策杏:よし! 拾った。

策杏:ふーんふーん……♪ オペラかな……なかなかいい歌だね。

香燕:ふふ……言葉はわかりませんけれど。

香燕:あら、紅蘭。

 

フェードでカット切り替え。一番入り口に近い、机の手前側におり、机の上の『ATWATER KENT』製ラジオをいじりながら、肩越しにこちらを向く策杏と、向かいで朝ごはんの支度をする母の姿。策杏の右側、母からすると左側に流しがある。その反対側にはもう一脚椅子が置いてあり、この後紅蘭が座る。ラジオの音も相まって、まるでノーマン・ロックウェルのイラストそのままかの様子。中国の家庭だが、現代的で裕福な家庭であるために、ゴールデンエイジのアメリカの家庭のようなニュアンスがある。またここは客船内であるため、よりその気が強まる。画像にエフェクトをかけて、ロマンチックな色調にする。参考はCWドラマ『フラッシュ』の“アース2”世界。

 

策杏:おお……! よく似合ってる。お出かけスタイルだね。

香燕:あらほんと。可愛いわねぇ……誰に似たのかな?

策杏:ね。誰に似たのかなぁ……

香燕:あらお父様ったら…… 朝ご飯いらないのかしら?

策杏:もちろんお母様ですとも。こんな美人さんなんだから。

香燕:よろしいでしょう。

策杏:ほら座って、紅蘭。

 

キュイーン……ザザ……と再びラジオの音とともにフェードでカット切り替え。卓に着いた紅蘭の後頭部越しの、李夫妻。右側が策杏、左側が母。策杏は机の上のラジオをいじっており、母はまだ卓に着かず、紅茶と珈琲を用意している。

 

香燕:ちゃんと腹ごしらえしとかないとね。今日は忙しくなるから。

香燕:お紅茶でいいわよね紅蘭。

紅蘭:あ……うん。

策杏:僕は珈琲を貰うよ。頭をスッキリさせときたいからね。

香燕:お部屋で頂けるなんてありがたいですわ。

策杏:何杯お代わりしても白い目で見られないしね。

 

カチャ……という音とともにカット切り替え。紅茶のポット。

 

ギュ……という着席音とともにパッとカット切り替え。構図的に先ほどの紅蘭後頭部越しのカットと似ているが、今度は完全に紅蘭の主観カメラになる。着席し、こちらにやや身を乗り出し、若干心配そうな、不思議そうな顔でこちらを覗き込む母と、ゆったり背もたれに体重を預け、コーヒーカップに手をやり、こちらは心配まではいかないが、やはりやや不思議そうにこちらを見ている父策杏。

 

香燕:……?

香燕:どうしたの、紅蘭?

策杏:……?

 

パッとカット切り替え。切り返しで紅蘭の顔を大写しに。何ともなしに、ごく普通に影もなく微笑んでいる様子だが、まるで本人の意思とは裏腹に、とでもいうように、うっすら目に涙が浮かんでいる。以下、紅蘭からは関西弁が消え失せている。李一家は実際には中国語で喋っているが、プレイヤーには翻訳されている、という調子。

 

紅蘭:え?

香燕:怖い夢でも見たの?

紅蘭:……えっと……

策杏:そうなのかい?

紅蘭:……

 

スッ……という衣擦れの音とともにフェードでカット差分切り替え。微笑んだまま、少し頭を下げ、右手の先で右目の涙にスッと手をやる紅蘭。

 

フェードでカット切り替え。この『大正』世界ではフェード切り替え時も真っ黒を挟まない。若干のブラウンというか、セピアというか、暖色でフェード切り替えする。紅蘭の視点で、自分の、紅蘭の右手の先を見つめるカット。濡れている。やや表示して……

 

フェードでカット切り替え。再び紅蘭を写したカット。頬は紅潮しているものの、今度は涙は拭かれている。目を閉じ、気持ち神妙な面持ちで、口を少しだけ開いて楚々と喋る紅蘭。

 

紅蘭:……そういえば……

紅蘭:わたし……なんだか、怖い夢を見てた気がする……

紅蘭:怖いような……それで……すごく長い……

紅蘭:そういう夢……

策杏:……

香燕:……そう……

 

フェードでフッ……と紅蘭の表情を変える。目を開き、微笑む。

 

紅蘭:でも……もう怖くないよ。

紅蘭:だって、もうすっかり目が覚めたし。(と笑う)

紅蘭:それに、お母様と、お父様が……

 

パッとカット切り替え。今度は紅蘭の横顔。左向き。笑顔だが、再び目に涙が浮かんでいる。

 

紅蘭:お母様と、お父様が……(涙声混じり)

紅蘭:二人が……(涙声)

紅蘭:あれ?

紅蘭:どうしたんだろ? 変だな……(誤魔化し笑いながら)

紅蘭:何でわたし……

 

フェードでカット切り替え。再び紅蘭の表情を大きく捉えたカット。今度は笑顔が崩れ、涙を浮かべた表情。父と母に会えた……という感激を、紅蘭の中の『太正』世界の紅蘭が感じ取り、制御不能に泣き始めてしまっている。

 

紅蘭:お……

紅蘭:お父さ……

紅蘭:お母さ……

 

ギュ……という衣擦れの音とともにフェードでカット切り替え。地面に膝をつき、椅子に座った紅蘭に高さを合わせた母に抱きしめられた紅蘭。先ほどのカットとほぼ同じような位置のカメラで、紅蘭に向かったカメラ。香燕はカメラに斜めに背を向けている。香燕の左肩から、紅蘭の顔が出ており、その表情が良く見える。紅蘭の手はほとんど猫の手みたいな形で、やわやわした赤ん坊のように力無げに、母の両腕に添えられている。紅蘭は先ほどよりもぐっと表情が崩れ、目を瞑り、ボロボロに泣きじゃくっている。

 

紅蘭:お母様……!!

香燕:大丈夫よ紅蘭。大丈夫。

紅蘭:……!!(押し殺した泣き声)

 

カタ……という椅子から立ち上がる音とともに、フェードでカット切り替え。今度は策杏が地面に膝をつく形になり、紅蘭の後ろ頭に左手をそっと撫でるように添える。母に抱きしめられたまま、涙に浮き紅潮した顔のまま目を開き、策杏の方を見つめる紅蘭。

 

紅蘭:お父様……!

策杏:お母様の言う通りだよ。もう平気さ。

策杏:もう夢は覚めたんだから。

 

フェードで紅蘭の目をギュッと閉じる。

 

紅蘭:……うん……!

 

フェードアウト。暗転。

 

ボーーー!という大きな汽笛の音とともに、パッとカット表示。同時にカモメの鳴き声も再生。客船の煙突を下から捉えたショット。青空にモクモクと立ち上る煙が生える。カモメが飛んでいる。

 

パッとカット切り替え。海を進む客船。全容を見せる。ポツポツと甲板に人影。ボスボスボス……という船の駆動音はずっと流しておくこと。

 

ボー……!という汽笛の音とともにフェードアウト……したと思ったら、カン!という靴音とともにパッとカット表示。甲板に躍り出た紅蘭の右足元を左横側からクローズアップで捉えたカット。

 

パッとカット切り替え。甲板に立つ紅蘭。李香蘭風の頬かむりをしている。一転して目をキラキラさせて、口を開き、上々機嫌!ダッシュして甲板の縁まで来た様子で、後方のやや離れた位置に、若干遅れをとった父と母がいる。二人とも歩いてきている。二人もご機嫌。無邪気な紅蘭に呆れるような、可愛らしく思うような、そんな表情。

 

紅蘭:わあああ……!

香燕:紅蘭、気をつけて! 転ばないでね!

策杏:あはは……仕方ないさ、もうすぐ着くんだ。

 

フェードでカット切り替え。紅蘭の横顔。甲板の手すりから身を乗り出して先を見つめている。キラキラした、好奇心に溢れた表情。

 

策杏:紅蘭にとっては、初めての場所なんだから。

 

ボー……!という汽笛の音とともにフェードでカット切り替え。ぐっと引きの遠景ショット。海をゆく客船、と横浜港が見える。

 

パッとカット切り替え。並んで紅蘭を見つめる策杏と母を、ほぼ横……斜め左前から捉えた図。

 

香燕:紅蘭ったら……本当に嬉しそう。

香燕:怖い夢見ちゃったみたいで可哀想だったけど……

策杏:初めての海外だからね。それも、船の上で寝るんだから、安眠なんてできやしないさ。

香燕:お父様はぐっすり眠れました?

策杏:僕はもう慣れたもんだよ。

香燕:本当に? てっきり眠気覚ましの珈琲かと思ってましたけど。

策杏:それは……その……

香燕:……ふふ……

策杏:参ったな……

香燕:……家族揃って来られて良かったですわね。

策杏:うん。半分は仕事だけれど、せっかく来たんだ、我々も楽しもうじゃないか。

香燕:ええ。わたしも日本は初めてですから。

 

フェードでカット切り替え。再び紅蘭の横顔。今度は甲板の手すりに肘をついて、顎を乗せて、リラックスしていたずらな感じで先を見つめている。

 

策杏:そうだ、銀座にすごく美味しい天ぷら屋さんがあるんだ、あれは優先して行かないと……

香燕:あら、楽しみですわ。

策杏:紅蘭は、日本食は大丈夫かな……

香燕:あら、あの子、美味しいものはなんでも好きじゃありませんか。

 

あらためてカモメの鳴き声とともにフェードでカット切り替え。李一家と同じく甲板にいるスーツの英国紳士。パーシー・ホワード。穏やかに微笑んでいる。李一家は彼の向こうに遠く写っている。パーシーはんは新聞を広げて読んでいる。

 

パッとカット切り替え。パーシーはんの手元をアップ。新聞の大まかな内容がわかるようになる。見出しぐらいしかはっきりとはわからない。

 

パッとカット切り替え。新聞の日にちをアップ。『大正二十九年 七月 ……』と読める。

 

パッとカット切り替え。さらにクローズアップ。『“大”正』という文字だけを、中心で大写しにする。爽やかなカモメの声は依然続く……

 

フェードアウト。

 

★★第11話:終了★★

 

タータータタータータ~♪ 最終話次回予告!

 

紅蘭:人と機械…… 機械と蒸気…… 蒸気と人…… お父様……お母様…… ……みんな… 最終回、真夏のイルミネイション 太正桜に浪漫の嵐! わたしは……ウチは……!

 

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