サクラ大戦V妄想回顧録

夢か現か…思い入れ深く『サクラ大戦』をプレイした結果、そこでの体験がリアルなもう一つの人生経験のように感じている…そういう方々が、実はプレイヤーの中には多々いらっしゃるのではないかと思います。サクラとはそんなミラクルが生じた作品であり、わたくしもそのミラクルにあてられた一人。そんなわたくしが、かつて“太正”時代に“経験”した事を記憶が混濁したまま綴ります。今思い出しているのは1928年以降の紐育の記憶。これは新次郎であり、現代の他人であり…という、人格の混ざった記憶それ自身による、混乱した、妄想回顧録です

2.僕がいるのは異国の地 / 九条昴氏との対面と紐育の洗礼

九条昴さんの姿を最初に見たのは…劇場の屋上の日本庭園でした。…変な庭園でしたね。仏像とかあって…。まさかあの妙なジャパニーズスタイルがその後全米で流行るとは思いもしませんでした…w

 

ともかく、紐育に来た初日に、まさに紐育のど真ん中で日本語を聞けて、まずはすごく安心したのを覚えています。僕と同じ日本の人がすぐ近くにいるなんて…これはきっと仲良くなれるはず…!紐育ではこの人を頼ろう…!と思ったんですが…そんなことを思えたのは、ほんの一瞬のことで…

 

昴さんは雰囲気が…なんというか…すごく超然としてて。日本語は通じてるはずなのに、何の気持ちも通じてないような…そんな気がして。ジェミニなんかとは真反対というか、むしろ存在をとても遠くに感じたのを、最初の印象として、良く覚えてます。

 

昴さんはその時すでに世界的な舞台人でしたし…そう、もう何年も前から欧州で活躍されていて。…これは後々勉強したんですけど、金春禅竹の秘伝書…あ、そうです、昴さんが公開した…。その奥義に通じた、能的宇宙を極めた達人でもあったわけです。

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《後年、金春流能楽師諸氏と九条昴氏が協力する形で公開された『明宿集金春禅竹著。北極星=昴との関わりも深い》

 

何だかもう…空気が違いました。住む世界が違うってのは、このことか…と。すごく柔和にお話ししてくださってるのに、目には見えない、分厚い壁があるような…

 

なのでまあ…日本人だという共通点があるだけで、その時まだ何者でもない、僕みたいな19歳の子供と話すようなことは、当然そんなにはないわけです…w

 

で、その、昴さんとの…日本語による、何だかよそよそしいやり取りによって、本当に僕は、遠い異国の地に…それも大都会にやって来たんだな…ってことを、痛感させられました。

 

だけど、今にして思えば、紐育生活の初日にそのことを思い知れたのは、僕にとっては、すごく良かったことだったと思います。

 

地元が同じとか、そういうことだけじゃないよな…あまりそんなことを頼りにするんじゃなく、人と人同士の個人的なやり取りをこそ、大事にしなきゃいけないんだな…っていうことを、最初に思い知ることができた…

 

そのおかげで、その後の紐育での生活の意識が変わりました。今時は帝都もそうですけど、紐育は当時から本当に人種のるつぼでもありましたし、本当に色んなバックグラウンドを背負った人々が集う場所ですから…

 

だから、なるだけ思い込みを捨てて、偏見を捨てて、一人一人と、きちんと対話していかなきゃいけないんだな…ということを思いました。

 

日本人だから…ではなく。メキシコ系だから…ではなく。黒人だから、白人だから、男の人、女の人だから…ではなく。

 

…もちろん、文化的な背景には、最大限の敬意を払いながら。で、これはまあ…今も、どこでも、そうですよね。紐育に行った初日に、このことを学べた僕は、幸運だったと思います。

 

逆に、慣れない英語のやり取りだったけど、ジェミニとは最初からすごく気軽に話せて、それは嬉しかったな。

 

まあなんせ立場が同じでしたから。新入り同士っていう。たまたま、ほぼほぼ同じタイミングでシアターで働き始めたんですよ。で、二人とも田舎から急に大都会に出て来たばかりだったし、都会暮らしも二人とも初めてだし、初めてのことだらけで右往左往するばかりで。

 

ジータさんに注意された後「怖ー!」って言って来るジェミニがちょっと面白くて、つい吹き出しちゃったりしましたね…。勢いで She’s insane! とまで言ってたような…w いやまあ、反射的にだと思いますけど…さすがに…w でも僕も正直、最初の頃はサジータさんかなり怖かったから、わかる!みたいになったりして。

 

見習いだった頃のジェミニは、ハキハキもしてるけど、同時にやっぱりオドオドもしてて…まあ、僕と一緒の状態です…w いつ何のきっかけでクビになるともしれないという…そりゃあ多少オドオドもしますよね…w で、サジータさんと昴さんが劇場のツートップで…割とピリピリしてたんですよね…全体の雰囲気が。

 

ジータさんは…なんせ声が大きいんだよなぁ…その上米国において法律を振り回されるのがあんなに恐怖だとは思ってもみなかったし…。なにせ “Seriousry…” が口癖でしたからね…w 怖…!っていう…w オイコラ、ぐらいの言い方だとは思うんですけど…。まさに Horrible Boss だったと思います。

 

サニーサイドさんいわく、サジータさんの怒りの沸点は華氏70度だと…w …つまりは、摂氏21度ってことですから、春ぐらいの気温ですね…w

 

まあその後、どうしてサジータさんがそうなったのかは、身に沁みて学ぶことになるんですが。結局サジータさんが一番情熱派というか、すごく暖かくて、最初の頃とは180度印象が変わることになりました。今ではもう、ジェミニのことも猫可愛がわりですし。ええ、まあ、猫好きですしね…w